火山の基礎知識
・概ね過去1万年以内に噴火した火山 及び現在活発な噴気活動のある火山 1 活火山とは ・概ね過去1万年以内に噴火した火山 及び現在活発な噴気活動のある火山 活火山とは,おおむね過去1万年以内に噴火した火山,及び現在活発な噴気活動のある火山のことです。 火山の寿命は数千年から数十万年と長いため,数百年間活動していない火山も,そのうち噴火する可能性があります。 例えば,数千年ぶりに活動を再開し,その後も活発な活動を続けている北海道の有珠(うす)山のような例もありました。 以下補足 現在は,休火山,死火山という区分はありません。 2002年までの活火山の定義は,「過去2000年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動がある火山」でした。 宮城県 蔵王山火山防災マップ
2 監視・観測体制の充実等が必要な活火山 気象庁 気象等の知識 火山 2 監視・観測体制の充実等が必要な活火山 火山噴火予知連絡会は今後100年程度の中長期的な噴火の可能性などを踏まえて,火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山として47の火山を選定しました。 栗駒山と蔵王山は,過去100年程度以内に火山活動の高まりが認められている火山として選定されています。 気象庁 気象等の知識 火山
3 噴火の歴史 蔵王山 1940(昭和15)年 4月 新噴気孔生成 1895(明治28)年 2月 御釜沸騰。火山泥流発生。降灰。 3 噴火の歴史 蔵王山 噴火の年代 噴火 主な被害 堆積物の種類 1940(昭和15)年 4月 小噴火 新噴気孔生成 降下火砕物 1895(明治28)年 2月 御釜沸騰。火山泥流発生。降灰。 有毒ガス発生。白石川の洪水。 火砕サージ 1867(慶応3)年10月 噴火? 硫黄混じりの泥水が増水し,火山泥流発生,洪水を起こし死者3名。 ? 1831(天保2)年11月 泥流が発生。 1821(文政3)年 1月 御釜沸騰,濁川増水し硫黄堆積 1809(文化6)年 泥流が発生 1694(元禄7年)年5月 神社消失,河川毒水化 1624(寛永元)年5月 柴田,名取方面に降灰 1227(安貞元)年10月 柴田郡に噴石,人畜に被害多数 773(宝亀4)年 蔵王山の噴火の記録から,被害の大きかった噴火について抜粋した表です。 数十年ごとに噴火が起こっていることや,泥流の発生により,死者が出ていることが分かります。 宮城県 蔵王山火山防災マップ 気象庁 気象等の知識 火山 より作成
4 噴火による被害 溶岩,火山弾,火山灰,火山ガス(中1理科) 噴火時の災害 間接的な災害 溶岩流,火砕流,火砕サージ,山体崩壊, 4 噴火による被害 溶岩,火山弾,火山灰,火山ガス(中1理科) 噴火時の災害 溶岩流,火砕流,火砕サージ,山体崩壊, 火山礫,火山岩塊噴出,降灰,火山性ガス放出 間接的な災害 火山性地震,地殻変動,爆風,空振,地熱変化, 津波,泥流・土石流,斜面崩壊,地滑り 蔵王山の噴火で一番起こりやすいと考えられているのは,水蒸気爆発と,それによる噴石,火山灰の噴き出しです。また,火山灰が厚く降り積もった際には土石流が,雪のある時期には火山泥流が起こりやすくなると考えられています。 火山が噴火した際に発生する災害には,おもにこれらがあります。 中学校の理科では溶岩,火山弾,火山灰,火山ガスを学習します。 蔵王山ハザードマップでは,特に赤字で示した災害を想定しています。そこで,このスライドも主にそれらについて説明します。
北海道 十勝岳泥流発生後25分で25km離れた町に到達した泥流 5 融雪型火山泥流 ・ 積雪期の噴火により,火口周辺の雪が一気にとけ,土砂を多く含んだ泥のような流れとして流れ下る現象。 融雪型火山泥流とは,噴火に伴い,火口周辺の雪が一気に溶け,土砂を多く含んだ泥流として流れ下る現象です。 北海道の十勝岳が噴火した際には,泥流発生後25分で,25km離れた町に到達しました。 上富良野町提供 北海道 十勝岳泥流発生後25分で25km離れた町に到達した泥流 死者・行方不明者 合計144名
5 融雪型火山泥流 山の斜面上に,雪が降り積もった時期に火山が噴火すると・・ 宮城県 蔵王山火山防災マップ 5 融雪型火山泥流 山の斜面上に,雪が降り積もった時期に火山が噴火すると・・ 山の斜面上に雪が降り積もった時期に火山が噴火すると 宮城県 蔵王山火山防災マップ
5 融雪型火山泥流 火山からの噴出物による熱で,雪が一気にとけ泥流が発生します。泥流は山の斜面を浸食し,土砂や樹木を巻き込みながら流下していきます。 熱で雪が一気にとけ泥流が発生します。泥流は山の斜面を浸食し,流下していきます。 宮城県 蔵王山火山防災マップ
5 融雪型火山泥流 泥流は高速(時速60kmを超えることもある。)で谷筋や沢沿いを流下し, 5 融雪型火山泥流 泥流は高速(時速60kmを超えることもある。)で谷筋や沢沿いを流下し, 平野部で氾濫して,人家や集落に大きな被害を及ぼします。 時速は60kmを超えることもあり,谷筋や沢沿いを流下し,平野部に大きな被害を及ぼします。 宮城県 蔵王山火山防災マップ
5 融雪型火山泥流 東白石駅 北白川駅 宮城県 蔵王山火山防災マップ 5 融雪型火山泥流 東白石駅 蔵王山ハザードマップでは,図の水色の範囲が,融雪型火山泥流の氾濫予測範囲です。 川を流れ下り,東白石駅や北白河駅周辺まで到達すると予測されています。 北白川駅 宮城県 蔵王山火山防災マップ
2008年6月14日岩手・宮城内陸地震で発生した土石流によって流される旅館 6 土石流 ・ 山腹,谷底にある土砂が雨によって一気に下流へ押し流される現象。 土石流とは,山腹,谷底にある土砂が長雨や集中豪雨などによって一気に下流へと押し流される現象です。 2008年6月14日岩手・宮城内陸地震で発生した土石流によって流される旅館 (財)消防科学総合センター 災害写真データベース
火山噴火により,山の斜面に火山灰が降り積もります。 6 土石流 火山噴火により,山の斜面に火山灰が降り積もります。 火山災害の場合は,噴火によって山の斜面に火山灰が降り積もり 宮城県 蔵王山火山防災マップ
通常降る程度の雨の量でも,土石流が発生します。 6 土石流 通常降る程度の雨の量でも,土石流が発生します。 通常降る程度の雨の量でも,土石流が発生しやすくなります。火砕流で堆積した土砂や,岩も巻き込み大きな被害につながる事例もありました。 宮城県 蔵王山火山防災マップ
6 土石流 土石流は高速(時速50~60km)で流れ下り,平野部で氾濫し,人家や集落に大きな被害を及ぼします。 宮城県 蔵王山火山防災マップ 6 土石流 土石流は高速(時速50~60km)で流れ下り,平野部で氾濫し,人家や集落に大きな被害を及ぼします。 土石流の速度は時速50~60kmと非常に速く,平野部に到達すると大きな被害を及ぼします。 宮城県 蔵王山火山防災マップ
6 土石流 東白石駅 北白川駅 宮城県 蔵王山火山防災マップ 蔵王山ハザードマップでは,赤の斜線で囲まれた範囲が,土石流の氾濫予想範囲です。 6 土石流 東白石駅 蔵王山ハザードマップでは,赤の斜線で囲まれた範囲が,土石流の氾濫予想範囲です。 融雪型火山泥流の氾濫予測範囲と同様に,東白石駅や北白川駅周辺まで到達すると予想されています。 北白川駅 宮城県 蔵王山火山防災マップ
表紙/Cスライド型資料/1一覧表/(4)中学校/⑦火山/a火山編① 7 噴火警報とは 種別 名称 対象範囲 警戒事項等 火山活動の状況 特別 警報 噴火警報 (居住地域) 又は 居住地域 及びそれより 火口側 居住地域及びそれより 火口側の範囲における 厳重な警戒 居住地域厳重警戒 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生,あるいは発生すると予想される。 生命に危険を及ぼす火山現象! 時間的猶予がほとんどない! 噴火警報は,噴火に伴って発生し生命に危険を及ぼす火山現象(大きな噴石,火砕流,融雪型火山泥流等,発生から短時間で火口周辺や居住地域に到達し,避難までの時間的猶予がほとんどない現象)の発生や危険が及ぶ範囲の拡大が予想される場合に,「警戒が必要な範囲」(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)を明示して発表されます。発表された際はすぐに避難が必要であると言えます。 噴火警報は,平成25年8月30日(金)から運用が開始された特別警報に位置付けられています。 以下補足 ①蔵王山ハザードマップでは火山情報が発表されるとありますが,気象庁では,平成19年12月より,火山情報(緊急火山情報,臨時火山情報,火山観測情報)に代わって噴火警報・予報を発表しています。 ②特別警報とは・・・ 「特別警報」が発表されたら,ただちに命を守る行動をとってください。 経験したことのないような異常な現象が起きそうな状況です。ただちに命を守る行動をとってください。 この数十年間災害の経験が無い地域でも,災害の可能性が高まっています。油断しないでください。 経験したことのないような異常な現象が起きそうなときに発令される警報 気象庁 火山―その監視と防災― より作成
表紙/Cスライド型資料/1一覧表/(4)中学校/⑦火山/a火山編① 7 噴火警報とは 種別 名称 対象範囲 警戒事項等 火山活動の状況 警報 噴火警報 (火口周辺) 又は 火口周辺警報 火口から居住地域近くまでの広い範囲の火口周辺 火口から居住地域近くまでの広い範囲の火口周辺おける警戒 入山危険 居住地域の近くまで重大な影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)噴火が発生,あるいは発生すると予想される。 火口から少し離れた所までの火口周辺 火口から少し離れた所までの火口周辺における警戒 火口周辺危険 火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)噴火が発生,あるいは発生すると予想される。 警戒が必要な範囲が火口周辺に限られる場合は,噴火警報(火口周辺)または火口周辺警報として発表されます。 入山規制や火口周辺の規制がされるので,決して近寄らないようにしましょう。 状況に応じて避難の準備を始めましょう。 気象庁 火山―その監視と防災― より作成
8 火山防災の心得 火山防災の心得です。 これらのことを守って安全に避難しましょう。 気象庁 火山―その監視と防災―
<終わり>