スーパーカミオカンデ、ニュートリノ、 そして宇宙 (一研究者の軌跡) スーパーカミオカンデ、ニュートリノ、 そして宇宙 (一研究者の軌跡) 平成12年4月18日@科学技術週間 東京大学宇宙線研究所 戸塚洋二 1983年 カミオカンデによる陽子崩壊探索開始 大気ニュートリノ研究開始 1987年 太陽ニュートリノ研究開始 超新星ニュートリノの観測成功 1991年 スーパーカミオカンデ建設開始 1996年 スーパーカミオカンデ観測開始 1998年 ニュートリノ有限質量の発見(大気ニュートリノ観測) 1999年 つくば-神岡間ニュートリノ振動実験開始 年 宇宙線望遠鏡(将来計画) 年 重力波望遠鏡(将来計画)
e+ π0 p カミオカンデによる陽子崩壊探索実験 p → e++π0 → γ… ν + K+ → γ,ν,… ν + K+ → γ,ν,… 崩壊産物のe+やガンマ線を観測する
小柴先生(本年Wolf賞) F.Reines (1995年Nobel賞)
カミオカンデ 動作原理 カミオカンデ装置 光電子増倍管 陽子崩壊観測されず! 装置は低エネルギー電子に高い感度あり 太陽ニュートリノが観測できる?? νe + e → νe + e
超新星SN1987A
超新星とは 星の最後の大爆発 10-100年に一度天の川銀河で起きる 半径1000kmの鉄球が崩落し半径10kmの中性子星になる過程(Ⅱ型) 星の半径は1000万~1億km 放出される位置エネルギー=3×1053erg (46億年分の太陽エネルギーのさらに500倍) 99%はニュートリノが持ち出し、1%が星の破壊に使われる ニュートリノの放出時間は10秒程度 10-100年に一度天の川銀河で起きる
データ(Ⅰ)
データ(Ⅱ)
ニュートリノの観測結果 全放出エネルギー=2.5±1.2 ×1053 erg 原始中性子星の表面温度 =5.2±1.2 ×1010 度 原始中性子星の表面温度 =5.2±1.2 ×1010 度 原始中性子星の半径 =23±20 km 放出時間 =4.2±2 秒 太陽・大気ニュートリノの研究
スーパーカミオカンデ (1996年4月完成)
国際共同研究 日本人研究者約70名、外国人約50名
特徴 純水量=50000トン 光電子増倍管の改良(時間、電荷特性) 光電子増倍管取り付け密度=2本/m2 高度な電子計算機システム 有効体積=22500トン (カミオカンデ有効体積:680-1000トン) 光電子増倍管の改良(時間、電荷特性) 光電子増倍管取り付け密度=2本/m2 総数=11200本 高度な電子計算機システム 純水製造装置(溶存ラドンガスの除去)
研究目的 太陽ニュートリノ 大気ニュートリノ 陽子崩壊 ニュートリノ振動実験(追加)
太陽ニュートリノの精密観測
大気ニュートリノとは(Ⅰ) p, He 大気 μ± νμ π± Super-K e± νe 地球 νμ:νe=2:1
大気ニュートリノとは(Ⅱ) θ フラックスの上下 対称性 地球
イベントディスプレー
低エネルギー 高エネルギー 電子 ミューオン
ニュートリノ振動
結果の意味すること(素粒子) ニュートリノに質量があること m(ντ) = 0.1 – 10 eV(電子ボルト) (観測はτ型とμ型ニュートリノの質量差を示すのみ) = m(陽子)÷( 1億~100億) なぜこんなに小さいか 新しい理論(大統一理論)の存在 ~~
結果の意味すること(宇宙) 宇宙の質量密度が臨界値を超えると宇宙は将来収縮に転じてつぶれる 宇宙の密度が臨界値以下だと宇宙は膨張し続ける 宇宙にある陽子とニュートリノ ニュートリノ質量は宇宙の未来に大きな影響を及ぼす?
つくばー神岡間ニュートリノ振動実験 観測結果より飛行距離数100kmから振動の効果が現れる
つくば 近接装置 ニュートリノ生成場所 ターゲット 陽子ビームライン 陽子加速器 陽子 1000トン装置内部
μニュートリノは減ったか 昨年4月から実験開始 使用陽子総数 =7.2×1018個 神岡での期待数 =12.3±1.8個 観測数 =3個! 使用陽子総数 =7.2×1018個 神岡での期待数 =12.3±1.8個 観測数 =3個! 6月に結果発表
新たな挑戦
新たな謎(最高エネルギー宇宙線)
最高エネルギー宇宙線の到来方向
解明すべき謎 最高エネルギー宇宙線の源 どんな天体か? 宇宙初期の遺物か? ニュートリノ? ガンマ線? ?????
宇宙線望遠(TA)
ユタ州に設置 有効面積は日本国土の6分の1
さらなるチャレンジ 重力波 時空場のひずみの伝播 超新星や中性子星の合体、ビッグバンがその源 ニュートリノと同時観測 電波は電磁場のひずみの伝播 超新星や中性子星の合体、ビッグバンがその源 ニュートリノと同時観測
極低温鏡レーザー干渉計計画(LCGT)
性能 地球の公転軌道が水素原子の直径の約1%くらい変化した
おわり ご清聴ありがとうございました 戸塚洋二
カミオカンデの動作原理 θ 超音速 → ソニックブーム 超光速 → チェレンコフ光 (水中の光速 = c/n = c/1.33) e
カミオカンデ装置
光電子増倍 20インチPMT
ニュートリノの種類 u c t d s b νe νμ ντ e μ τ 対応する反粒子が存在する 電荷 第1世代 第2世代 第3世代 クォーク 2/3 u c t -1/3 d s b レプトン νe νμ ντ -1 e μ τ 対応する反粒子が存在する
宇宙の中の陽子とニュートリノ 臨界質量密度≒5000 eV/cm3 数密度 (cm3あたり) 質量 (eV) 質量密度 (eV/cm3) 0.0000001 1000000000 100 ニュートリノ (1種類あたり) 0.1 ~10 10 ~3000 臨界質量密度≒5000 eV/cm3