IPv6マルチキャストに対応した 遠隔プレゼンテーションシステムの開発 JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 IPv6マルチキャストに対応した 遠隔プレゼンテーションシステムの開発 情報ネットワーク講座 松浦 友彦 タイトルを言って,名乗る.
JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 発表概要 はじめに システム概要 評価と考察 おわりに 発表概要はご覧のとおりです.
はじめに インターネットの発展 パーソナルコンピュータを用いた遠隔講義や遠隔会議が行われる機会が増えている IPv6ネットワークの普及 JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 はじめに インターネットの発展 IPv6ネットワークの普及 マルチキャスト通信機能が標準で採用されている マルチキャストアプリケーションの利用場面が増えてくる パーソナルコンピュータを用いた遠隔講義や遠隔会議が行われる機会が増えている 音声や動画が含まれる多様な資料提示が求められる 講義,プレゼンテーションの再利用の需要 ネットワークの普及が進んでいると思いますが, 近年では,IPv6ネットワークが徐々に普及しつつあります. IPv6では,マルチキャスト通信機能が標準で採用されており, マルチキャスト通信を用いたアプリケーションの利用場面が増えてくると予想されます. また,パーソナルコンピュータを用いた遠隔講義や遠隔会議が行われる機会が増えています. 回を重ねることにより, 多様な資料提示が求められたり, 講義の再利用を行いたいという要求がでてきています.
背景 遠隔講義,遠隔講演 音声 講演者映像 資料提示 資料提示における要求 資料が鮮明に見えるほうがよい 資料にポインタを表示したい JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 背景 遠隔講義,遠隔講演 音声 講演者映像 資料提示 資料が鮮明に見えるほうがよい 資料にポインタを表示したい 黒板のように書き込みたい 資料提示における要求 ネットワークとPCの普及により,これらを用いた遠隔講義や遠隔講演が行われる機会が増えている. ここに遠隔講義の受講風景を示す. 遠隔講義を行ううえで,講演者映像,音声,資料提示の3つがポイントになると思います. 我々は,資料提示に着目した. こちらに示すように講演者と資料を同じ映像で送ると資料が見難いという意見があります. 資料を独立して表示することが望まれる. また,ポインタを表示したい,黒板のように書き込みたいといった意見が出てきます. これらを満たすことで遠隔講義をより有意義なものにできると考えられます. そこで,遠隔参加者の理解を助けるプレゼンテーションシステム“GOZARU”を開発しました. 本日は,GOZARUを使用して発表させていただいています. プロジェクタに写っているのが,講演者の画面で, こちらのPCが遠隔参加者用の画面です.
遠隔プレゼンテーションシステムGOZARUの開発 JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 研究目的 既存のシステムでは IPv6マルチキャストに対応していない 多様な資料提示が行えない 遠隔講義の再利用の要求 IPv6マルチキャストに対応した 遠隔プレゼンテーションシステムGOZARUの開発 既存の遠隔プレゼンテーションシステムでは, IPv6マルチキャストに対応していない 多様な資料提示に対応していないといった問題点があります. また,遠隔講義の再利用の要求もあります. そこで,IPv6マルチキャストに対応した遠隔プレゼンテーションシステムGOZARUを開発しました.
GOZARUの概要 実施形態 動作モード システム機能 一対多の遠隔講義や遠隔講演 リアルタイムモード(遠隔講義、講演) 再生モード(自習) JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 GOZARUの概要 実施形態 一対多の遠隔講義や遠隔講演 動作モード リアルタイムモード(遠隔講義、講演) SenderとReceiver 再生モード(自習) reProducer システム機能 スライド,ポインタ,描画(ペン),テキスト同期機能 一対多の遠隔講義や遠隔講演を想定している. 動作モードとして, 実際の遠隔講義で用いられるリアルタイムモード 遠隔講義を再利用し,自習などを行う際に用いられる再生モード システム機能は4つある.
リアルタイムモード Receiver Sender 受講者 講演者 Log 受講者 Command Command Internet JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 リアルタイムモード Command(Control Data+Text Data) Receiver Sender Internet Command Command 受講者 Log 講演者 講演者がインターネットを介して受講者に講義を行う形. 講演者の映像は別に送信される. 講演者はSenderを使い資料を操作する,その際の制御情報やテキスト情報を コマンドとしてReceiverに送る. Receiverはコマンドを受け取るとそれを解釈して画面に表示する. また,講演者の操作をLogファイルに書き残すことが出来る. 受講者
スライド同期機能 Receiver Sender 受講者 講演者 受講者 Command Internet JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 スライド同期機能 Receiver Sender Internet 受講者 講演者 システム機能の説明に入ります. 講演者がスライドをめくる等の操作を行うと,Receiverのスライドも同期してめくられる機能. アニメーションにも対応している. 通常の講義等でもスライドを利用することからもスライドを同期させることは, 重要な機能だといえます. 受講者 Command
ポインタ同期機能 Receiver Sender 受講者 講演者 受講者 Command Internet JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 ポインタ同期機能 Receiver Sender Internet 受講者 講演者 講演者がポインタを移動させるとReceiverの画面のポインタも移動する機能. この機能は,講演者の説明箇所を明確にするために必要な機能です. ※Windowsの通常のポインタよりも大きなポインタを表示しています. 受講者 Command
描画同期機能 Receiver Sender 受講者 講演者 受講者 Command Internet JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 描画同期機能 Receiver Sender Internet 受講者 講演者 講演者がSenderの画面上にビットマップペンで線を引くと, 受講者の画面に線が描画される機能です. スライドを強調させたり,追記するのに役立つと考えられます. 受講者 Command
テキスト同期機能 Receiver Sender 受講者 受講者 Command Internet テキスト テキスト JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 テキスト同期機能 Receiver Sender テキスト テキスト Internet 受講者 Senderで入力したテキストがReceiverで表示される機能. 動画を資料として利用する場合などに補助情報としてテキストが役立つと考え,実装しました. これは,テレビで利用されているテロップのような役割をする機能です. こちらはテキスト同期機能の利用場面です. 右上にあるテキスト入力パッドから入力することで, 画面下にテキストが表示されます. 受講者 Command
通信機能 Receiver Sender 受講者 講演者 受講者 Command Internet UDP通信 一対一(ユニキャスト) JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 通信機能 Internet UDP通信 一対一(ユニキャスト) 一対多 マルチポイント マルチキャスト IPv4/v6 ネットワーク対応 Receiver Sender 受講者 講演者 本システムでは,通信にUDPを用いており, 一対一のユニキャストや一対多のマルチポイント,マルチキャストに対応しています. また,ネットワークはIPv4・v6に対応しています. 受講者 Command
× 状態通知機能 Receiver Sender 受講者 講演者 受講者 状態通知コマンド Command Internet JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 状態通知機能 Receiver Sender 状態通知コマンド × Internet 受講者 講演者 本システムでは,通信にUDPを用いているため, 必ずコマンドがReceiverに届くという保障がありません. そこで,Senderの状態を通知するためのコマンドを実装し, これを定期的に送信することによりReceiverの状態をSenderに合わせることを行い, 通信の信頼性向上を計っています. 受講者 Command
再生モード reProducer Log 自習者 遠隔講義に参加できなかった受講者が 自習学習することが出来る Command JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 再生モード reProducer Log 自習者 遠隔講義に参加できなかった受講者が 自習学習することが出来る もう一つのモードの再生モードですが, 講義やプレゼンテーションをアーカイブし,再利用したいという需要があることから, このモードを実装しました. 再生モードでは,Senderで残したLogファイルをreProducerが読み込むことにより, 講義の資料表示を再現するモードです. ※講演者映像は別途必要です. Command
システムの構成図 Object Parser Display Log Sender Receiver reProducer Commands JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 システムの構成図 reProducer Receiver POINTER Object PEN SLIDE TEXT Display Sender Commands Object Parser Log Internet システムの構成です. 同期される機能をオブジェクトとして定義しています. このオブジェクトに制御情報であるコマンドを渡すことで,資料が表示されます.
開発環境と動作実績 開発環境 動作環境 ネットワーク環境 Microsoft Windows XP Professional SP2 JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 開発環境と動作実績 開発環境 Microsoft Windows XP Professional SP2 Microsoft Visual C# .NET 2003 動作環境 Microsoft Windows XP Microsoft PowerPoint 2000,2002(XP),2003 Microsoft .NET Framework 1.1 ネットワーク環境 ISDN以上の回線(帯域) 開発環境と動作実績はこちらに示すとおりです. Microsoft.NET Framework上で動作します. ネットワークはISDN回線程度の帯域があれば,動作します.
評価と考察 ネットワークオーバヘッドの算出 状態通知による通信の信頼性向上に関する考察 既存システムとの機能比較 JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 評価と考察 ネットワークオーバヘッドの算出 状態通知による通信の信頼性向上に関する考察 既存システムとの機能比較 ユーザインタフェースおよび機能についての実証実験を通した主観評価 評価と考察です. まず,既存システムとの機能比較を行いました.
ISDN、ADSL等のネットワークでも利用可能 JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 GOZARUが利用可能なネットワーク 例)ポインタオブジェクトの場合 59byte POINTER MOVE 1280 1024 800 600. IP UDP MOVEコマンド 59byte × (1秒間に)10回 ⇒ 4.6Kbps 使用帯域は(0.1秒間隔でMOVEコマンドが発行された場合) 全てのオブジェクトを利用した場合 = 4.6Kbps + 4.9Kbps + 0.7Kbps + 0.3Kbps + 2.1Kbps ポインタ ペン テキスト スライド 状態通知 コマンド 12.6Kbps (状態通知コマンドの送信間隔:1秒) ポインタオブジェクトの場合、ネットワーク利用帯域が最大になるのは ポインタを移動するときに発行されるMOVEコマンド 同様にして全てのオブジェクトを利用した場合を計算すると, 12.6Kbps程度になります. これは,ISDNやADSL回線でも利用できる計算になります. テキスト:2分に1回 ISDN、ADSL等のネットワークでも利用可能
n=2 q=1-pn+1 通信の信頼性向上に関する考察 受信パケット損失率 p(0<p<1) コマンドの到達率 q(0<q<1) 状態通知コマンドの送信回数 n回 q=1-pn+1 例 受信パケット損失率 :10% コマンド到達率 :99.9% このとき q=1-pn+1 ・・・ 0.999=1-0.1n+1 n=2
状態通知コマンドの送信回数 状態通知コマンドの送信回数は 1回で パケット損失率3%以下の ネットワークに対応 コマンド到達率99.9%のときの状態通知送信回数 状態通知コマンドの送信回数は 1回で パケット損失率3%以下の ネットワークに対応
既存システム RMOP: Remote Material Operation Protocol(3) JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 既存システム RMOP: Remote Material Operation Protocol(3) 汎用的な遠隔資料操作を行うマルチキャストに対応したシステム RPT: Remote Point(4) IRCを利用してPowerPointを遠隔制御するシステム Mppt: Multicast PowerPoint Add-in(5) PowerPointをマルチキャスト対応にするためのプラグイン 比較した既存システムとして,まず, RMOP, RPT, Mppt です.
機能比較(システム機能) スライドを用いた スライド表示に依存しない機能 遠隔講義等に 必要な機能 JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 機能比較(システム機能) スライドを用いた 遠隔講義等に 必要な機能 スライド表示に依存しない機能 まず,スライドを用いた遠隔講義などで必要な機能ですと, 本システムとRMOPの対応が多いと言えます. また,スライド表示に依存しない機能を比較した場合, 本システムがもっとも多く対応していると言えます. ※だから,,,
機能比較(通信機能) JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 次に通信の機能比較ですが, 一対多の通信や高信頼の通信にという面では,ほぼすべてのシステムで対応しているが, IPv6のネットワークに対応しているのは本システムだけでした. これにより,本システムがより多くの環境で使えることがわかりました.
実証実験1(スライド,ポインタ,描画同期機能) JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 実証実験1(スライド,ポインタ,描画同期機能) 広島市立大学 Sender Internet (JGNⅡ,IPv6) 長崎大学 附属中学校 長崎大学附属中学校研究の学問探求「高精細動画でのコミュニケーション」 広島市立大学から佐賀大学附属中学校にむけて行った学問探求の遠隔授業において, 本システムを利用しました. こちらの写真は,授業風景で,こちらが本システムの利用場面です. Receiver 講演者映像: Robst(HD)
実証実験1の評価(アンケート結果) 受講者(中学生20人) 文字・絵の見やすさ ポインタの 見やすさ 板書授業との比較 スライドの同期 JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 実証実験1の評価(アンケート結果) 文字・絵の見やすさ 受講者(中学生20人) 5・・・よい ↑ 3・・・ふつう 1・・・わるい ポインタの 見やすさ 板書授業との比較 (分かりやすさ) 実証実験の際に行ったアンケートの結果ですが, 文字・絵の見やすさ,説明との同期,ポインタの分かりやすさ,板書講義との比較の4つを聞いたところ 5段階評価で5が一番よく,1がよくない. 平均で4以上の評価をいただきました. スライドの同期 (講演者の話と資料の説明箇所)
実証実験1の評価(コメント) 参加者のコメント 利用者のコメント 動作と声が合っていてよかった. とても分かりやすかった. JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 実証実験1の評価(コメント) 参加者のコメント 動作と声が合っていてよかった. とても分かりやすかった. 利用者のコメント ビデオでスライドを映したときよりきれいに見えた 既存システム(RMOP)と比較して使いやすくなっている スライドファイルを配布する機能がほしい ほとんどの機能に関して利用実績を残せた. また, ビデオをスライドで映したときよりもきれいに見えた 既存システムと比較して使いやすくなった スライドファイルを配布する機能がほしい と言った,意見をいただきました.
実証実験2(テキスト同期機能) メイン会場 サテライト会場(7箇所) VLC media player GOZARU + ○▲□ 先生 ○▲□ 先生 VLC media player + GOZARU Receiver GOZARU Robst(HD) メイン会場 サテライト会場(7箇所)
実証実験2の評価(コメント) よかった点 改善点 カメラワークによらず,演題や講演者の名前が中継と同時に確認できてよかった JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 実証実験2の評価(コメント) よかった点 カメラワークによらず,演題や講演者の名前が中継と同時に確認できてよかった 現在どの講演者の講演なのかがわかりやすい 改善点 他のアプリケーションと切り替えが容易だといい VLC media player(映像表示ソフト)をGOZARUから操作できれば嬉しい ほとんどの機能に関して利用実績を残せた. また, ビデオをスライドで映したときよりもきれいに見えた 既存システムと比較して使いやすくなった スライドファイルを配布する機能がほしい と言った,意見をいただきました.
おわりに まとめ 今後の課題 GOZARUの配布URL JSiSE-MATSUURA 2019/8/3 おわりに まとめ IPv6マルチキャストに対応した 遠隔プレゼンテーションシステム “GOZARU”の開発 システムの評価と考察 今後の課題 実証実験の実施 資料の配布機能のサポート GOZARUの配布URL http://lab.ipc.hiroshima-cu.ac.jp/gozaru/ まとめといたしまして, 開発をし,システムの評価と考察を行った. 今後の課題として, 実証実験の更なる実施. 資料配布機能のサポートがあります. また,本システムをこちらのWebサイトで公開しています. ご清聴ありがとうございました.
IPv6マルチキャスト実装状況 システム 製品 サービス Windows XP SP1以降 Linux・・・USAGI Project FreeBSDなど・・・KAME Project 製品 ルータ YAMAHA,IIJ,NEC,OMRON,他 映像配信サーバ OKI,NEC,他 サービス プロバイダ NTT西日本,NTTコミュニケーション,ぷららネットワークス,他
アプローチ 一対多の遠隔講義には3番目が適している 資料をビデオで映す方式 PCデスクトップ共有方式 制御情報を転送する方式 きれいに映すには高性能なカメラとネットワークが必要 Comet等 PCデスクトップ共有方式 PC上で表示される全てが共有可能 データ量(トラフィック)が多い NetMeeting,VNC等 制御情報を転送する方式 資料ごとに制御が必要 比較的トラフィックが小さい RMOP,RPT,Mppt等 一対多の遠隔講義には3番目が適している
Mpptの信頼性向上機構 スライドファイルの配信 制御情報の配信 ECSRM Fcast 0.5秒間隔の制御情報パケットの送信 FEC:前方誤り訂正符号をパケットに付加 SRM:損失パケットの再送をNACK(否定応答)で要求 Fcast FECを用いたファイル配信に適したマルチキャストプロトコル 制御情報の配信 0.5秒間隔の制御情報パケットの送信
システムの構成 3つから構成される Sender Receiver reProducer 講演者が操作し,制御情報を送信 オプションで操作をLogファイルに残す Receiver 講師の操作の制御情報を受信し,リアルタイムに同期 reProducer Logファイルを読み込み,講演者の操作を再現
システムの機能 ポインタ同期機能 ペン同期機能 スライド同期機能 テキスト同期機能 講演者が指し示す場所を明確にするための機能 用意された資料に対して,補足するための機能 スライド同期機能 スライド表示する機能 テキスト同期機能 講演者が入力したテキストを受講者側の指定した位置に表示する機能
オブジェクトのコマンド