数学入門 7月9日
確認演習解答 2 𝑒 𝑥 −1 𝑑𝑥=2 𝑒 𝑥 𝑑𝑥− 𝑑𝑥=2 𝑒 𝑥 −𝑥+𝐶 2 𝑒 𝑥 −1 𝑑𝑥=2 𝑒 𝑥 𝑑𝑥− 𝑑𝑥=2 𝑒 𝑥 −𝑥+𝐶 sin 𝑥+ cos 𝑥 𝑑𝑥= sin 𝑥𝑑𝑥+ cos 𝑥𝑑𝑥=− cos 𝑥+ sin 𝑥+𝐶 2𝑥+1=𝑡とおくと,2𝑑𝑥=𝑑𝑡,つまり𝑑𝑥=𝑑𝑡/2なので, 2𝑥+1 𝑑𝑥= 1 2 𝑡 1 2 𝑑𝑡= 1 2 ⋅ 2 3 𝑡 3 2 +𝐶= 1 3 2𝑥+1 3 2 +𝐶 (4) 2𝑥 𝑥 2 +1 = ( 𝑥 2 +1) ′ 𝑥 2 +1 なので,𝑡= 𝑥 2 +1とすると𝑑𝑡=2𝑥𝑑𝑥より 2𝑥 𝑥 2 +1 𝑑𝑥= 𝑑𝑡 𝑡 = log 𝑡 +𝐶= log 𝑥 2 +1 +𝐶
確認演習解答 (5) 𝑓 𝑥 =𝑥, 𝑔 ′ 𝑥 = cos 𝑥 とすると 𝑥 cos 𝑥𝑑𝑥= 𝑓 𝑥 𝑔 ′ 𝑥 𝑑𝑥=𝑓 𝑥 𝑔 𝑥 − 𝑓 ′ 𝑥 𝑔 𝑥 𝑑𝑥 =𝑥 sin 𝑥− sin 𝑥=𝑥 sin 𝑥+ cos 𝑥+𝐶
今日(7月9日)の内容 5章(5.1章,5.2章 + α) 定積分の定義,性質 定積分の計算法 数列の和への定積分の応用
定積分とは 定積分は𝑦=𝑓 𝑥 , 𝑥軸, 𝑥=𝑎, 𝑥=𝑏(ただし,𝑓 𝑥 ≥0)で囲まれた 図形の面積を定義するための概念 定積分は図形を長方形の集まりで以下の図のように近似したときの 長方形の面積の和の極限として定義される 𝑎= 𝑎 0 𝑎 1 𝑎 2 𝑎 3 𝑎 𝑛−1 𝑎 𝑛 =𝑏
定積分とは 極限値 lim 𝑛→∞ 𝑖=1 𝑛 𝑓 𝑥 𝑖 Δ 𝑥 𝑖 (ただし, 𝑥 𝑖 は[ 𝑎 𝑖−1 , 𝑎 𝑖 ]の代表点で,Δ 𝑥 𝑖 = 𝑎 𝑖 − 𝑎 𝑖−1 は𝑛→∞のとき0に収束)が存在するとき,𝑓(𝑥)は[𝑎,𝑏]で 積分可能といい, 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥= lim 𝑛→∞ 𝑖=1 𝑛 𝑓 𝑥 𝑖 Δ 𝑥 𝑖 𝑎= 𝑎 0 𝑎 1 𝑎 2 𝑎 3 𝑎 𝑛−1 𝑎 𝑛 =𝑏
定積分とは 極限値 lim 𝑛→∞ 𝑖=1 𝑛 𝑓 𝑥 𝑖 Δ 𝑥 𝑖 (ただし, 𝑥 𝑖 は[ 𝑎 𝑖−1 , 𝑎 𝑖 ]の代表点で,Δ 𝑥 𝑖 = 𝑎 𝑖 − 𝑎 𝑖−1 は𝑛→∞のとき0に収束)が存在するとき,𝑓(𝑥)は[𝑎,𝑏]で 積分可能といい, 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥= lim 𝑛→∞ 𝑖=1 𝑛 𝑓 𝑥 𝑖 Δ 𝑥 𝑖 この概念は負の値を取る場合にも拡張される 𝑎= 𝑎 0 𝑎 1 𝑎 2 𝑎 3 𝑎 𝑛−1 𝑎 𝑛 =𝑏
定積分の性質 𝑎 𝑎 𝑓 𝑥 𝑑𝑥=0 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥= 𝑎 𝑐 𝑓 𝑥 𝑑𝑥+ 𝑐 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 (𝑎≤𝑐≤𝑏) 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥= 𝑎 𝑐 𝑓 𝑥 𝑑𝑥+ 𝑐 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 (𝑎≤𝑐≤𝑏) 𝑎<𝑏のときに 𝑏 𝑎 𝑓 𝑥 ≔− 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 と定義すると,2. は どんな大小関係の𝑎,𝑏,𝑐でも成立 区間[𝑎,𝑏]で𝑓 𝑥 ≤𝑔(𝑥)のとき, 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥≤ 𝑎 𝑏 𝑔 𝑥 𝑑𝑥 線形性 𝑎 𝑏 𝑘𝑓 𝑥 𝑑𝑥=𝑘 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 𝑎 𝑏 𝛼𝑓 𝑥 +𝛽𝑔(𝑥) 𝑑𝑥=𝛼 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥+𝛽 𝑎 𝑏 𝑔 𝑥 𝑑𝑥
定積分と原始関数の関係 関数𝑓(𝑥)がある区間𝐷で連続なら𝑓(𝑥)は𝐷で積分可能(定理5.3) 定理5.6改(微分積分学の基本定理) (1) 関数𝑓(𝑥)が区間𝐷で連続なとき,𝐷の1点𝑎と任意の𝑥に対して 𝐹 𝑥 = 𝑎 𝑥 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 は𝑓(𝑥)の原始関数. (2) 𝐹(𝑥)が𝑓(𝑥)の原始関数なら, 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥=𝐹 𝑏 −𝐹(𝑎)
定積分と原始関数の関係 関数𝑓(𝑥)がある区間𝐷で連続なら𝑓(𝑥)は𝐷で積分可能(定理5.3) 定理5.6改(微分積分学の基本定理) (1) 関数𝑓(𝑥)が区間𝐷で連続なとき,𝐷の1点𝑎と任意の𝑥に対して 𝐹 𝑥 = 𝑎 𝑥 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 は𝑓(𝑥)の原始関数. (2) 𝐹(𝑥)が𝑓(𝑥)の原始関数なら, 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥=𝐹 𝑏 −𝐹(𝑎) (証明) (2) 𝐹(𝑥)が𝑓(𝑥)の原始関数なので(1)より,𝐹 𝑥 = 𝑎 𝑥 𝑓 𝑥 𝑑𝑥+𝐶 よって,𝐹 𝑏 −𝐹 𝑎 = 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥+𝐶 − 𝑎 𝑎 𝑓 𝑥 𝑑𝑥−𝐶= 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥
定積分と原始関数の関係 関数𝑓(𝑥)がある区間𝐷で連続なら𝑓(𝑥)は𝐷で積分可能(定理5.3) 定理5.6改(微分積分学の基本定理) (1) 関数𝑓(𝑥)が区間𝐷で連続なとき,𝐷の1点𝑎と任意の𝑥に対して 𝐹 𝑥 = 𝑎 𝑥 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 は𝑓(𝑥)の原始関数. (証明アイデア) 𝐹 ′ 𝑥 = lim ℎ→0 𝐹 𝑥+ℎ −𝐹(𝑥) ℎ は以下の図より𝑓(𝑥)に等しくなる 面積=ℎ×𝑓 𝑐 ≈𝐹 𝑥+ℎ −𝐹 𝑥 ただし,𝑥≤𝑐≤𝑥+ℎ 𝑎 𝑥 𝑥+ℎ
定積分の計算 微分積分学の基本定理より, 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 =𝐹 𝑏 −𝐹(𝑎) なので原始関 数を求めて端点の値の差を取ればOK! 例題5.1(2) 0 𝜋 cos 𝑥𝑑𝑥 cos 𝑥𝑑𝑥= sin 𝑥+𝐶 より 0 𝜋 cos 𝑥𝑑𝑥= sin 𝜋− sin 0=0 数学IIでも習ったように, 𝐹(𝑥) 𝑎 𝑏 =𝐹 𝑏 −𝐹(𝑎)という記法が良く使わ れ,上記の計算は 0 𝜋 cos 𝑥𝑑𝑥= sin 𝑥 0 𝜋 = sin 𝜋− sin 0=0 のように記述される.
0 𝜋 cos 𝑥𝑑𝑥=0 正の部分の面積と負の部分の面積が打ち消し合っている 𝑦= cos 𝑥 と𝑥軸,𝑥=0, 𝑥=𝜋に囲まれた部分の面積は 0 𝜋 2 cos 𝑥𝑑𝑥+ 𝜋 2 𝜋 − cos 𝑥 𝑑𝑥= sin 𝜋 2 − sin 0− sin 𝜋+ sin 𝜋 2 =2 𝜋 2 𝜋
問題5.1(5): −1 1 𝑒 𝑥 + 𝑒 −𝑥 𝑑𝑥
問題5.1(5): −1 1 𝑒 𝑥 + 𝑒 −𝑥 𝑑𝑥 𝑒 𝑥 + 𝑒 −𝑥 𝑑𝑥= 𝑒 𝑥 − 𝑒 −𝑥 +𝐶 なので −1 1 𝑒 𝑥 + 𝑒 −𝑥 𝑑𝑥 = 𝑒 𝑥 − 𝑒 −𝑥 −1 1 = 𝑒− 𝑒 −1 − 𝑒 −1 −𝑒 =2𝑒− 2 𝑒 𝑓 𝑥 = 𝑒 𝑥 + 𝑒 −𝑥 は偶関数(𝑓 𝑥 =𝑓(−𝑥))なのでグラフはy軸対称 よって −1 1 𝑒 𝑥 + 𝑒 −𝑥 𝑑𝑥 =2 0 1 𝑒 𝑥 + 𝑒 −𝑥 𝑑𝑥=2 [ 𝑒 𝑥 − 𝑒 −𝑥 ] 0 1 =2 𝑒− 1 𝑒 より一般に(例題5.7): 𝑓(𝑥)が偶関数なら −𝑎 𝑎 𝑓 𝑥 𝑑𝑥=2 0 𝑎 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 𝑓(𝑥)が奇関数(𝑓 −𝑥 =−𝑓(𝑥))なら −𝑎 𝑎 𝑓 𝑥 𝑑𝑥=0
例題5.3(1): 1 2 𝑥 log 𝑥𝑑𝑥 𝑥 log 𝑥𝑑𝑥= 𝑥 2 2 log 𝑥− 𝑥 2 2 1 𝑥 𝑑𝑥= 1 2 𝑥 2 log 𝑥− 1 2 𝑥𝑑𝑥 = 1 2 𝑥 2 log 𝑥 − 1 4 𝑥 2 +𝐶より 1 2 𝑥 log 𝑥𝑑𝑥 = 1 2 𝑥 2 log 𝑥− 1 4 𝑥 2 1 2 = 1 2 ⋅ 2 2 log 2− 1 4 ⋅ 2 2 − 1 2 ⋅ 1 2 log 1+ 1 4 ⋅ 1 2 =2 log 2− 3 4 (注) 定理5.2(定積分の部分積分法) 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑔 ′ 𝑥 𝑑𝑥= 𝑓 𝑥 𝑔(𝑥) 𝑎 𝑏 − 𝑎 𝑏 𝑓′ 𝑥 𝑔(𝑥)𝑑𝑥 を使ってもよい
例題5.2(1): 0 1 𝑥 1−𝑥 𝑑𝑥 まず 𝑥 1−𝑥 𝑑𝑥 を求める.𝑡=1−𝑥とすると𝑑𝑡=−𝑑𝑥なので 𝑥 1−𝑥 𝑑𝑥 = 1−𝑡 𝑡 −𝑑𝑡 =− 𝑡 1 2 𝑑𝑡+ 𝑡 3 2 𝑑𝑡 =− 2 3 𝑡 3 2 + 2 5 𝑡 5 2 +𝐶=− 2 3 1−𝑥 3 2 + 2 5 1−𝑥 5 2 +𝐶. 0 1 𝑥 1−𝑥 𝑑𝑥 = − 2 3 1−𝑥 3 2 + 2 5 1−𝑥 5 2 0 1 =−0+0+ 2 3 − 2 5 = 4 15 (注) 教科書の定理5.1(定積分の置換積分法)を使ってもよい
今日(7月9日)の内容 5章(5.1章,5.2章 + α) 定積分の定義,性質 定積分の計算法 数列の和への定積分の応用
定積分と数列の和 定積分はしばしば数列{ 𝑎 𝑛 }の和の大きさを見積もるために利用される 例: 𝑎 𝑛 = 1 𝑛 で定義される数列{ 𝑎 𝑛 }の第𝑛項までの和 𝐻 𝑛 = 𝑖=1 𝑛 𝑎 𝑖 =1+ 1 2 + 1 3 +⋯+ 1 𝑛 の大きさを見積もるには? (参考) 𝐻 𝑛 は調和数(Harmonic number)とよばれる. 定積分を利用すると, log 𝑛+1 ≤ 𝐻 𝑛 ≤ log 𝑛+1
クーポン集め問題 12種類のおまけがついたチョコレートが売られている.12種類すべ て集めるには平均何個チョコレートを買う必要があるか? (1) 18個くらい, (2) 36個くらい, (3) 120個くらい, (4) 360個くらい 12× 𝐻 12 個(より一般に𝑛種類なら𝑛× 𝐻 𝑛 個). log 𝑛+1 ≤ 𝐻 𝑛 ≤ log 𝑛+1 を使って見積もると平均で30~40個くらい買う必要がある. 12log(12+1)=30.779, 12(log12+1)=41.81, 12H_12=37.238…
調和数の積分による近似 定積分が和の極限であったことを思い出すと・・ 𝐻 𝑛 = 𝑖=1 𝑛 1 𝑖 =1+ 1 2 + 1 3 +⋯+ 1 𝑛 ≈? 1 𝑛 1 𝑥 𝑑𝑥
調和数を下から評価 𝐻 𝑛 = 𝑖=1 𝑛 1 𝑖 =1+ 1 2 + 1 3 +⋯+ 1 𝑛 ≥ 1 𝑛+1 1 𝑥 𝑑𝑥 𝑦= 1 𝑥 𝐻 𝑛 = 𝑖=1 𝑛 1 𝑖 =1+ 1 2 + 1 3 +⋯+ 1 𝑛 ≥ 1 𝑛+1 1 𝑥 𝑑𝑥 𝑦= 1 𝑥 長方形の面積の和 1 2 3 4 5 𝑛−1 𝑛 𝑛+1
調和数を下から評価 𝐻 𝑛 = 𝑖=1 𝑛 1 𝑖 =1+ 1 2 + 1 3 +⋯+ 1 𝑛 ≥ 1 𝑛+1 1 𝑥 𝑑𝑥 𝑦= 1 𝑥 𝐻 𝑛 = 𝑖=1 𝑛 1 𝑖 =1+ 1 2 + 1 3 +⋯+ 1 𝑛 ≥ 1 𝑛+1 1 𝑥 𝑑𝑥 𝑦= 1 𝑥 長方形の面積の和 1 2 3 4 5 𝑛−1 𝑛 𝑛+1
調和数を上から評価 𝑦= 1 𝑥 1 2 3 4 5 𝑛−1 𝑛 𝑛+1
調和数を上から評価 𝐻 𝑛 −1= 𝑖=2 𝑛 1 𝑖 = 1 2 + 1 3 +⋯+ 1 𝑛 ≤ 1 𝑛 1 𝑥 𝑑𝑥 𝑦= 1 𝑥 𝐻 𝑛 −1= 𝑖=2 𝑛 1 𝑖 = 1 2 + 1 3 +⋯+ 1 𝑛 ≤ 1 𝑛 1 𝑥 𝑑𝑥 𝑦= 1 𝑥 長方形の面積の和 1 2 3 4 5 𝑛−1 𝑛 𝑛+1
調和数の見積もり 𝐻 𝑛 −1≤ 1 𝑛 1 𝑥 𝑑𝑥≤ 1 𝑛+1 1 𝑥 𝑑𝑥 ≤ 𝐻 𝑛 ⇒ 1 𝑛+1 1 𝑥 𝑑𝑥≤ 𝐻 𝑛 ≤ 1 𝑛 1 𝑥 𝑑𝑥+1 ⇒ log (𝑛+1)≤ 𝐻 𝑛 ≤ log 𝑛+1 𝑦= 1 𝑥 1 2 3 4 5 𝑛−1 𝑛 𝑛+1
宿題と今後の予定 宿題 問題5.1 (2),(3) 問題5.2 (1),(3) 問題5.3 (3) 問題5.6 (4): 関数が多項式の場合(数学IIで既習)と同様の考え方 (定理5.7) 今後の予定 7/23 第2回拡大演習(持ち込み可) 7/30 定期試験(持ち込み不可)