「産婦人科医療における格差是正に向けて」

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「産婦人科医療における格差是正に向けて」 1/29/2012 日本産科婦人科学会 平成23年度 拡大医療改革委員会 兼 産婦人科医療改革公開フォーラム 「産婦人科医療における格差是正に向けて」 基調講演 産婦人科勤務医の就労環境と偏在 ―日本産婦人科医会調査よりー 日本医科大学 中井章人

昨年まで横ばいから増加傾向であった無床診療所、分娩を扱わない病院が減少に転じている。 ー405 −49 ー252 ー164 +58 2006年比 −116 ー58 ー39 ー17 -2 昨年比 昨年まで横ばいから増加傾向であった無床診療所、分娩を扱わない病院が減少に転じている。 日本産婦人科医会施設情報調査2011

診療現場で働く医師数は着実に増加している。 +745 2007年比 +233 昨年比 診療現場で働く医師数は着実に増加している。 日本産婦人科医会施設情報調査2011

診療所で働く医師数が著明に減少 +629 +164 ー109 +61 2007年比 +259 +14 +15 ー55 昨年比 日本産婦人科医会施設情報調査2011

2010年の総分娩数1,047,885件 (病院533,218件、診療所51,4667件) 帝王切開率18.7% 日本産婦人科医会施設情報調査2011

4年前に比較し、医師数は1.4人増加、月の当直回数は0.5回減少、6割り近くに分娩手当金があるが、月平均在院時間は300時間以上。   2007年、2008年、2009年、2010年全国アンケート調査との比較 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 対象施設 1,281 1,177 1,157 1,142 1,118 有効回答(%) 794 (62.0) 853 (72.5) 823 (71.1) 769 (67.3) 754 (67.4) 分娩数 1施設あたり 446.3 474.8 499.8 498.3 507.0 常勤医1名あたり 98.4 98.3 88.9 90.9 85.9 1施設あたりの医師数 常勤医 4.5 4.9 5.6 5.5 5.9 非常勤医師 1.5 1.9 2.0 推定平均在院時間(1カ月) NA 317 314 304 当直 回数(/月) 6.3* 6.0 6.3 5.8 翌日勤務緩和(%) 58(7.3) 142 (16.7) 156 (19.0) 156 (20.3) 163(21.6) 手当増額(%) 73 (9.2) 124 (14.5) 144 (17.5) 130 (16.9) 分娩手当(%) 61 (7.7) 230 (27.0) 339 (41.2) 416 (54.1) 427(56.6) 特殊手当(%) 41 (5.2) 110 (12.9) 143 (17.4) 154 (20.0) 139(18.4) ハイリスク加算の還元(%) 5 (0.6) 66 (7.7)   39 (8.2)**   42 (9.5)** 47(10.3) * 2006年度定点調査より換算 NA: not applicable. **ハイリスク加算の請求がある施設における頻度 4年前に比較し、医師数は1.4人増加、月の当直回数は0.5回減少、6割り近くに分娩手当金があるが、月平均在院時間は300時間以上。 日本産婦人科医会勤務医部アンケート2011.7

日本産婦人科医会勤務医部アンケート2010、2011 都道府県別施設平均医師数の推移 2010.7 2011.7 増減 北海道 4.1 4.9 0.7 滋賀県 4.0 5.3 1.3 青森県 3.1 ▲ 0.9 京都府 4.4 4.7 0.3 岩手県 6.0 6.3 大阪府 6.5 ▲ 0.3 宮城県 5.0 7.1 2.1 兵庫県 5.5 0.6 秋田県 2.9 3.7 0.8 奈良県 6.7 8.2 1.5 山形県 4.8 1.1 和歌山県 0.5 福島県 3.6 4.2 鳥取県 5.2 6.6 1.4 茨城県 4.6 5.6 1.0 島根県 3.4 栃木県 9.9 13.2 3.3 岡山県 5.9 5.4 ▲ 0.5 群馬県 4.5 ▲ 1.1 広島県 ▲ 0.4 埼玉県 7.6 7.2 山口県 0.9 千葉県 6.4 6.9 徳島県 8.8 8.5 東京都 8.4 香川県 3.0 神奈川県 7.4 愛媛県 3.2 ▲ 0.1 山梨県 5.7 高知県 長野県 0.1 福岡県 7.5 9.1 1.6 静岡県 5.1 佐賀県 0.4 新潟県 長崎県 3.8 富山県 1.2 熊本県 ▲ 1.3 石川県 2.7 0.0 大分県 福井県 4.3 宮崎県 岐阜県 鹿児島県 愛知県 沖縄県 三重県 ▲ 0.2 全施設 日本産婦人科医会勤務医部アンケート2010、2011

医師1名の施設は半減したが、医師2名以下の施設は全国に22.2%あり、地域によってその頻度は50%に及ぶ。 都道府県ごとの常勤医師1名、2名の頻度(%) 2010.7 2011.7 1名 2名 北海道 18.9 10.7 滋賀県 33.3 22.2 青森県 30 10 20.0 30.0 京都府 4.2 29.2 8.0 12.0 岩手県 16.7 12.5 大阪府 8.3 2.1 14.6 宮城県 20 14.3 28.6 兵庫県 10.8 16.2 6.1 18.2 秋田県 7.7 23.1 奈良県 山形県 30.8 11.1 和歌山県 25 福島県 21.4 鳥取県 50 茨城県 5.9 11.8 島根県 41.7 10.0 40.0 栃木県 岡山県 6.7 26.7 群馬県 9.1 広島県 17.4 4.3 19.0 埼玉県 5 8.7 山口県 27.8 23.5 千葉県 徳島県 東京都 5.3 4.7 香川県 神奈川県 4.4 10.4 愛媛県 山梨県 高知県 長野県 15 13.6 福岡県 8 16 静岡県 6.3 18.8 15.8 佐賀県 新潟県 26.3 長崎県 40 25.0 富山県 熊本県 42.9 石川県 大分県 福井県 宮崎県 岐阜県 15.4 鹿児島県 35.7 愛知県 2.4 9.5 2.5 沖縄県 三重県 全施設 11.4 15.9 8.1 14.1 2005年 日本産科婦人科学会調査 医師1名の施設は半減したが、医師2名以下の施設は全国に22.2%あり、地域によってその頻度は50%に及ぶ。 日本産婦人科医会勤務医部アンケート2010、2011

日本産婦人科医会勤務医部アンケート2008、2009、2010、2011 勤務医師の当直回数の推移 2008 2009 2010 2011 2008年比   2008年比 北海道 3.3 5.2 8.9 4.5 1.2 滋賀県 7.1 7.5 6.9 7.2 0.1 青森県 4.4 5.7 6.2 1.8 京都府 6.6 6.8 6.4 ▲ 0.2 岩手県 4.9 4.3 3.0 2.8 ▲ 2.1 大阪府 6.0 5.0 ▲ 0.9 宮城県 3.5 4.0 兵庫県 5.3 6.1 0.8 秋田県 3.7 3.4 奈良県 8.4 5.6 5.4 4.6 ▲ 3.8 山形県 7.3 和歌山県 8.3 5.5 8.8 0.5 福島県 4.1 3.1 2.3 3.8 ▲ 0.4 鳥取県 1.9 1.4 茨城県 10.0 8.1 1.7 島根県 3.9 0.2 栃木県 6.3 1.3 岡山県 5.1 7.0 0.3 群馬県 2.2 広島県 5.8 6.5 ▲ 2.3 埼玉県 ▲ 1.6 山口県 7.8 10.8 8.7 千葉県 徳島県 東京都 ▲ 0.5 香川県 9.4 ▲ 0.7 神奈川県 5.9 ▲ 0.1 愛媛県 2.6 2.5 ▲ 0.8 山梨県 9.0 8.0 高知県 長野県 9.2 ▲ 3.5 福岡県 ▲ 1.4 静岡県 ▲ 1.3 佐賀県 3.6 新潟県 9.1 長崎県 12.1 富山県 3.2 熊本県 10.3 石川県 大分県 4.8 ▲ 1.0 福井県 ▲ 0.3 宮崎県 9.7 岐阜県 鹿児島県 愛知県 沖縄県 三重県 全施設 日本産婦人科医会勤務医部アンケート2008、2009、2010、2011

施設平均医師数が多い都道府県ほど女性医師の割合が多い。 都道府県ごとの施設平均医師数と女性医師の頻度(%) 医師数 女性(%) 北海道 4.9 30.7 滋賀県 5.3 37.5 青森県 3.1 35.5 京都府 4.7 44.4 岩手県 6.3 30 大阪府 41.7 宮城県 7.1 26.3 兵庫県 5.5 37 秋田県 3.7 22.9 奈良県 8.2 26.8 山形県 4.8 27.9 和歌山県 45.2 福島県 4.2 28 鳥取県 6.6 27.3 茨城県 5.6 45.3 島根県 4.1 34.1 栃木県 13.2 41.8 岡山県 5.4 28.4 群馬県 4.5 19.1 広島県 4 26.2 埼玉県 7.2 30.1 山口県 26.4 千葉県 6.9 38.8 徳島県 8.5 44.1 東京都 9.9 42.6 香川県 3 36.7 神奈川県 7.4 42.9 愛媛県 3.2 34.5 山梨県 5.7 41.2 高知県 4.4 36.4 長野県 4.6 35.3 福岡県 9.1 35.9 静岡県 6 33.3 佐賀県 5 新潟県 19.6 長崎県 3.8 35 富山県 5.9 41.5 熊本県 25.6 石川県 2.7 17.5 大分県 25 福井県 4.3 17.6 宮崎県 5.1 27.5 岐阜県 5.2 36.8 鹿児島県 25.5 愛知県 46 沖縄県 39.6 三重県 全施設 36.6 施設平均医師数が多い都道府県ほど女性医師の割合が多い。

女性医師支援に関する調査結果の比較 1,177 1,157 1,142 1,118 853 (72.5) 823 (71.1) 2008年 2009年 2010年 2011年 対象施設 1,177 1,157 1,142 1,118 有効回答率(%) 853 (72.5) 823 (71.1) 769 (67.3) 754(67.4) 集計された女性医師数(%)** 1,259(30.6) 1,503(32.5) 1,485(35.2) 1,628(36.6) 妊娠・育児中の女性医師数(%)*** 413 (32.8) 475 (31.6) 424 (28.5) 768* 院内保育所の設置状況 設置施設数(%)**** 399 (46.8) 436 (53.0) 426 (55.4) 457(60.6) 病児保育(%)**** 80 (9.4) 85 (10.3) 92 (12.0) 122(16.2) 24時間保育(%)**** 111 (13.0) 134 (16.3) 135 (17.6) 114(15.1) 利用者数 163 172 190 代替医師派遣制度(%)**** 110 (12.9) 79 (9.6) 72 (9.4) 86(11.4) 妊娠中の勤務緩和 制度がある(%)**** 388 (45.5) 378 (45.9) 359 (46.7) 363(48.1) 軽減される週数 23.3 22.5 22.0 21.8 実績人数 371 442 510 652 育児中の勤務緩和 346 (40.6) 363 (44.1) 338 (44.0) 314(41.6) 軽減される期間(月) 15.3 17.5 14.7 20.6 260 350 392 351 *妊娠中、育児中(就学前または小学生)を各々別に算定の合計 **全医師数に対する頻度 ***全女性医師数に対する頻度 ****全施設に対する頻度 日本産婦人科医会勤務医部アンケート2011.7

都道府県ごとの平均医師数と女性医師、院内保育所の頻度(%) 女性(%) 保育所(%) 北海道 4.9 30.7 57.1 滋賀県 5.3 37.5 88.9 青森県 3.1 35.5 20 京都府 4.7 44.4 56 岩手県 6.3 30 75 大阪府 41.7 70.8 宮城県 7.1 26.3 50 兵庫県 5.5 37 60.6 秋田県 3.7 22.9 30.8 奈良県 8.2 26.8 80 山形県 4.8 27.9 66.7 和歌山県 45.2 福島県 4.2 28 55.6 鳥取県 6.6 27.3 茨城県 5.6 45.3 64.7 島根県 4.1 34.1 60 栃木県 13.2 41.8 岡山県 5.4 28.4 群馬県 4.5 19.1 73.3 広島県 4.0 26.2 71.4 埼玉県 7.2 30.1 73.9 山口県 26.4 70.6 千葉県 6.9 38.8 77.3 徳島県 8.5 44.1 25 東京都 9.9 42.6 43.8 香川県 3.0 36.7 神奈川県 7.4 42.9 79.2 愛媛県 3.2 34.5 33.3 山梨県 5.7 41.2 高知県 4.4 36.4 100 長野県 4.6 35.3 54.5 福岡県 9.1 35.9 56.5 静岡県 6.0 94.7 佐賀県 5.0 新潟県 19.6 17.6 長崎県 3.8 35 31.3 富山県 5.9 41.5 熊本県 25.6 石川県 2.7 17.5 40 大分県 福井県 4.3 宮崎県 5.1 27.5 岐阜県 5.2 36.8 鹿児島県 25.5 58.3 愛知県 46 70 沖縄県 39.6 三重県 63.6 全施設 36.6

小活:なんでもトップ5 施設平均医師数の減少している県 1位 熊本県 ▲1.3人 大分県 3位 群馬県 ▲1.1人 4位 青森県 ▲0.9人 4位 福井県 長崎県 昨年比 平均 0.4人 施設平均医師数の少ない県 1位 石川県 2.7人 2位 香川県 3.0人 新潟県 4位 青森県 3.1人 5位 愛媛県 3.2人 平均 5.9人 女性医師割合の少ない県 1位 石川県 17.5% (13位) 2位 福井県 17.6% (40位) 3位 群馬県 19.1% (44位) 4位 新潟県 19.6% (23位) 5位 秋田県 22.9% (18位) 括弧内は「地域ブランド調査2011」居住意欲調査より引用 1ヶ月の平均当直回数の多い県 1位 熊本県 9.0回 2位 和歌山県 8.8回 3位 山口県 8.7回 4位 山形県 8.4回 5位 香川県 8.3回 佐賀県 平均 5.8回 日本産婦人科医会勤務医部アンケート2011.7

・医師数増加には女性医師の確保が必須である。 待遇と施設平均医師数(人) あり なし 当直翌日勤務緩和 7.7 5.4 分娩手当 5.9 5.8 ハイリスク管理加算の還元 医師への還元 8.2 クラーク配置 6.8 4.7 院内保育所 4.5 24時間保育 6.9 5.3 病児保育 7.5 5.6 平均女性医師数(人) あり なし 実施率 3.1 1.9 21.6% 2.3 2 56.6% 3.4 2.1 10.3% 2.6 1.6 58.1% 2.5 1.5 60.6% 2.7 1.8 15.1% 16.2% ・医師数増加には女性医師の確保が必須である。 ・女性医師を含めた医師確保には、当直翌日の勤務緩和、ハイリスク管理加算の還元、院内保育所の整備が有効。 ・女性医師の少ない地域は、地域に魅力がないのではなく、さらなる医師確保対策に取り組む必要がある。