疫学概論 臨床試験の種類 Lesson 14. 無作為化臨床試験 §B. 臨床試験の種類 S.Harano,MD,PhD,MPH.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
東京大学医学系研究科 特任助教 倉橋一成 1.  背理法を使った理論展開 1. 帰無仮説( H0 、差がない)が真であると仮定 2. H0 の下で「今回得られたデータ」以上の値が観測でき る確率( P 値)を計算 3. P 値が 5% 未満:「 H0 の下で今回のデータが得られる可 能性が低い」
Advertisements

Lesson 7. 生命表 §C. 臨床生命表. 臨床生命表 ある研究対象集団における、観察期間 内でのある事象(出来事;死亡、再燃、 不全、など)が起こる時間を記述した もの 個人個人が参入したり集団から脱落す る変動的な時間を扱う その事象が起こらない累積確率を計算 する.
第6回 適合度の検定 問題例1 サイコロを 60 回振って、各目の出た度数は次の通りであった。 目の出方は一様と考えてよいか。 サイコロの目 (i) 観測度数 : 実験値 (O i ) 帰無仮説:サイコロの目は一様に出る =>それぞれの目の出る確率 p.
五十嵐 佳那 JAMA volume310 Number15. 【背景①】 ・ HAI(health care-associated infection; 医療関連感染 ) の 管理は最も複雑であり、入院患者の 20 人に一人は罹 患すると予測されている。 ・ MRSA と VRE.
保健統計演習 ( 教科書 ) 橋本. 序論 第1章第1章 はじめに 臨床研究 Clinical Study 治験 Clinical Trial EBM ( Evidence Based Medicine) ← 根拠に基づいた医療 EBN ( Evidence Based Nursing)
Pre-PBL 原野 悟 社会医学系公衆衛生学分野
推計統計学への一歩 橋本 .
疫学概論 二項分布 Lesson 9.頻度と分布 §B. 二項分布 S.Harano,MD,PhD,MPH.
レニンーアンジオテンシンシステムの阻害が、 左心室機能が残存している急性冠動脈症候群 患者の血清アルドステロンの上昇を抑える:
Lesson 21. 健康政策と疫学 §B. 集団データを用いた 疫学研究 疫学概論 集団データを用いた疫学研究
疫学概論 臨床生命表 Lesson 7. 生命表 §C. 臨床生命表 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 時系列研究 Lesson 11. 記述疫学 §B. 時系列研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
保健統計演習 橋本.
公衆衛生学 疫学デザインと健康指標
疫学概論 コウホート生命表 Lesson 7. 生命表 §A. コゥホート生命表 S.Harano,MD,PhD,MPH.
第5回(5/10) 授業の学習目標 1.1.5節 検定の前提とその適否について考えよう(テキスト輪読 p.10から p.11)
疫学概論 メタアナリシス Lesson 21. 健康政策と疫学 §D. メタアナリシス S.Harano, MD,PhD,MPH.
疫学概論 流行発生調査 Lesson 2. 流行状況調査 §B. 流行発生調査 S.Harano,MD,PhD,MPH.
聖マリアンナ医科大学救命救急医学教室 今西 博治
疫学概論 母集団と標本集団 Lesson 10. 標本抽出 §A. 母集団と標本集団 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学(Epidemiology) 第4回 標本抽出法 誤差やバイアスの制御 中澤 港(内線1453)
疫学概論 無作為化比較対照試験 Lesson 14. 無作為化臨床試験 §A. 無作為化比較対照試験 S.Harano,MD,PhD,MPH.
第4回講義(4/26)の学習目標 1.1.3節 2種類の過誤等の理解を深めよう 1.1.4節 効果量とは 1.1.5節 検定の前提とその適否
疫学概論 診療ガイドライン Lesson 22. 健康政策への応用 §B. 診療ガイドライン S.Harano, MD,PhD,MPH.
第8回授業(5/31)での学習目標 一事例デザインとは? 分割区画型反復測定デザインとは? メタ・アナリシスとは?。
疫学概論 異なった集団での率の比較 Lesson 5. 率の調整 §A. 異なった集団での率の比較 S.Harano,MD,PhD,MPH.
    「超低出生体重児の後障害なき救命に関する研究」
1 大阪大学で行っているリスク分類の原則 1)原則として、胎生期の一番早期に、信頼出来る条件で測定された
Study Design and Statistical Analysis
疫学概論 測定の信頼性 Lesson 20. 評価の要件 §B. 測定の信頼性 S.Harano, MD,PhD,MPH.
疫学概論 患者対照研究 Lesson 13. 患者対照研究 §A. 患者対照研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
通常治療群 介入群(アルテプラーゼ群) ・アルテプラーゼ 《投与方法・併用禁止について》 登録時 治療開始 1時間 投与終了後 24時間
Lesson 22. 健康政策への応用 §C. リスク・マネージメント 疫学概論 リスク・マネージメント
疫学概論 患者対照研究 Lesson 13. 患者対照研究 §A. 患者対照研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学(Epidemiology) 第3回 疫学研究のデザイン 中澤 港(内線1453)
公衆衛生学コース 人を対象にした研究のデザインⅡ 藤田 裕規 近畿大学医学部公衆衛生学.
CKD患者に対する食事記録が 食事療法に及ぼす効果の検討
疫学概論 横断研究 Lesson 11. 記述疫学 §A. 横断研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 感度と特異度 Lesson 19. 評価の指標 §A. 感度と特異度 S.Harano, MD,PhD,MPH.
Evidence-based Practice とは何か
Evidence-based Health Care とは何か
リサーチカンファ 29 Aug, 2017.
疫学概論 間接調整法 Lesson 5. 率の調整 §C. 間接調整法 S.Harano,MD,PhD,MPH.
感染症集団発生事例に対する基本的対応 大山 卓昭 感染症情報センター 国立感染症研究所.
疫学概論 交絡 Lesson 17. バイアスと交絡 §A. 交絡 S.Harano, MD,PhD,MPH.
付属書Ⅰ.5 ハザード分析と 重要管理点 (HACCP).
臨床研究への参加のお願い  病気の原因を調べたり、予防、診断、治療などが進歩、発展していくために人を対象として行う、複数の臨床研究が必要となります。  船橋市立医療センターでは臨床研究を開始するにあたり、倫理委員会おいて、研究内容について医学的な面だけでなく患者さんの人権、個人情報、安全に対する配慮も十分検討したうえで、問題がないと考えられた研究のみを行っております。
疫学概論 疾病の自然史と予後の測定 Lesson 6. 疾病の自然史と 予後の測定 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 バイアス Lesson 17. バイアスと交絡 §A. バイアス S.Harano, MD,PhD,MPH.
疫学概論 感度と特異度 Lesson 19. 評価の指標 §A. 感度と特異度 S.Harano, MD,PhD,MPH.
アウトカムとタスク.
疫学概論 ヘルシンキ宣言 Lesson 23. 疫学研究の倫理 §A. ヘルシンキ宣言 S.Harano, MD,PhD,MPH.
疫学概論 測定の信頼性 Lesson 20. 評価の要件 §B. 測定の信頼性 S.Harano, MD,PhD,MPH.
UFT服薬に関しての注意事項 ☆ 患者さんには「UFT服用のてびき」をお渡し下さい。.
疫学概論 直接法と間接法の相違 Lesson 5. 率の調整 §D. 直接法と間接法の相違 S.Harano,MD,PhD,MPH.
臨床試験の考え方 ーある効能追加の開発を例にー
Niti-S大腸ステント多施設共同前向き安全性観察研究の進行状況について
疫学概論 カプラン・マイヤー法 Lesson 8. その他の生存分析 §A. カプラン・マイヤー法 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 方法論的問題点(患者対照研究) Lesson 13. 患者対照研究 §B. 方法論的問題点 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 罹患の指標 Lesson 4. 罹患と死亡の指標 §A. 罹患の指標 S.Harano,MD,PhD,MPH.
アウトカムによる        ケアマネジメントの評価 在宅ケア看護学 奥富 幸至.
(上級医) (レジデント) 同意説明取得 無作為化 割り付け群による治療開始 来院時
Lesson 4. 罹患と死亡の指標 §G. YPLLとQOLの測定 疫学概論 YPLLとQOLの測定
疫学概論 寄与危険度 Lesson 15. 関連性の測定 §D. 寄与危険度 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 疫学研究の目的 Lesson 1. 疫学研究 §A. 疫学研究の目的 S.Harano,Md.PhD,MPH.
疫学概論 時系列研究 Lesson 11. 記述疫学 §B. 時系列研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 §C. スクリーニングのバイアスと 要件
疫学概論 横断研究 Lesson 11. 記述疫学 §A. 横断研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 流行発生調査 Lesson 2. 流行状況調査 §B. 流行発生調査 S.Harano,MD,PhD,MPH.
市場調査の手順 問題の設定 調査方法の決定 データ収集方法の決定 データ収集の実行 データ分析と解釈 報告書の作成.
Presentation transcript:

疫学概論 臨床試験の種類 Lesson 14. 無作為化臨床試験 §B. 臨床試験の種類 S.Harano,MD,PhD,MPH

無作為化臨床試験の種類 単純、非交差 Simple, non-crossover 計画的交差比較 Planned crossover 非計画的交差比較 Unplanned crossover 多元配置(要因デザイン) Factorial 治療する意図の分析(治療本意の分析)   Intention to treat analysis

単純、非交差試験 A 結果 Outcome 無作為化 研究対象 集団 B 結果 Outcome 追跡観察期間

計画的交差比較試験 無作為化 新しい治療 従来の治療 A群 B群 A群 B群 B群 A群

非計画的交差比較試験 本来の研究デザイン (外科治療と内科治療の比較例) 無作為化 外科 治療 内科 治療

非計画的交差比較試験(続き) 実際=非計画的交差比較 無作為化 外科治療 内科治療 手術 拒否 手術 要求 手術 手術なし

多元配置試験 無作為化 治療A プラセーボ 治療B 治療B プラセーボ プラセーボ

多元配置試験(続き) 治療B + - 治療A AとBの 両方 Aのみ Bのみ AとB 両方なし

多元配置試験の例 アスピリンとβカロチンの試験 目的 アスピリンは心血管疾患を予防するか? βカロチンは癌を予防するか?

アスピリンとβカロチンの試験の 多元配置デザイン + - βカロチン アスピリンと のみ 両方とも なし

無作為化臨床試験の 倫理的問題 無作為化は倫理的か? 本当にインフォームドコンセントは得られるか? どのような条件下で本来予定していたより早くに無作為化臨床試験を中止するべきか?

本来の無作為化臨床試験 (per protocol) 介入群 対照群 継続 拒否・中断 継続 拒否・中断 結果 (除外) 結果 (除外)

Intention to treat analysis 無作為化 介入群 対照群 拒否 中断 拒否 中断 継続 継続 結果 結果

Per protocolとIntention to treatの比較 解明的 実用的 主目的 仮説検定 最適治療の選択 指示治療拒否例 原則除外 解析に含める 治療条件の調整 同一条件下で比較 実用条件下で比較 効果の評価 客観的で特定の効果 (効能) 包括的実用的評価 (主観的効果も加味) エンドポイント 関心のある事象 (検査値、症状など) 患者の利害に直結する事象(患者アウトカム) 倫理的問題 あり 比較的少ない

無作為化臨床試験の 内的および外的妥当性 基準人口集団 外的妥当性 (一般化) 研究対象集団 無作為化 新薬治療 従来薬治療 内的妥当性