シンチレーションファイバーを 用いた宇宙線の観測 10761086 宇宙粒子研究室 丸茂拓也
研究目的 シンチレーションファイバーと光電子増倍管(PMT)を用いて宇宙線を測定できる装置を製作し、観測すること。
シンチレーションファイバー ・シンチレータとは、荷電粒子が通過すると蛍光するものである。この性質より高エネルギー実験などでPMTと組み合わせてシンチレーション検出器として用いられている。 今回使用したシンチレーションファイバー サンゴバン BCF-10 発光色 青色 発光ピーク波長 432nm 直径 1mm ファイバー外部 白色反射材
シンチレーションファイバーの断面 実際に使用するシンチレー ションファイバーのPMTとの 設置面の写真である。 上が24本×4段、 下が24本×10段で、 それぞれのファイバー検出器 をS1、S2とする。 2.5cm S1 0.5cm S2 1.5cm 2.5cm
シンチレーションファイバー検出器 上から見た写真 S1 S1とS2の間隔0.5cm 10.0cm S2 横から見た写真
実験1 PMT ゲート 宇宙線ミューオン S1 スケーラー コインシデンス 上図のような装置でS1のHVとカウント数との関係を求める。 シンチレーションファイバー 荷電粒子の通過に伴い蛍光を発する 光を電気信号に変換し増幅する コインシデンス ゲート スケーラー ディスクリミネーター 100mV 宇宙線成分を選別し、 ノイズ成分を除去する。 パルス数を計測する 上図のような装置でS1のHVとカウント数との関係を求める。
S1の高電圧とカウント数の関係 図の結果よりS1の印加電圧を1400Vに設定した。 シンチレーションファイバー検出器(S1)を通過したミューオンの数 図の結果よりS1の印加電圧を1400Vに設定した。
実験2 PMT上 PMT下 ゲート 宇宙線ミューオン S1 S2 スケーラー シンチレーションファイバー PMT下 シンチレーションファイバー S2 ディスクリミネーター 100mV コインシデンス ゲート スケーラー 同時計測装置 上図の装置を用いて、2つのシンチレーションファイバー検出器を同時に通った宇宙線だけを観測する。 この時、上の電圧を1400Vに固定し、PMT(下)の電圧を変化させて計測する。
S1とS2の同時計測数 図の結果よりS2印加電圧を1900Vに設定した。 上下のシンチレーションファイバー検出器を同時に通過したミューオンの数 図の結果よりS2印加電圧を1900Vに設定した。
実験3 PMT上 PMT下 宇宙線ミューオン S1 S2 シンチレーションファイバー PMT下 シンチレーションファイバー S2 波高分析器 (MCA) PC ディスクリミネーター100mV ゲート 15μs コインシデンス レベルアダプタ S1に1400V、S2に1900V印加して、上図の装置でS2からの光量の分布の測定を行った。
S2の波高分布 125channel付近でピークが現れている。 34~300channel間のカウント数の合計は9096個であった。 測定時間:57460sec≒16時間 (S2の光量) 125channel付近でピークが現れている。 34~300channel間のカウント数の合計は9096個であった。
まとめ ・直径1mmのシンチレーションファイバーを束ねて2個のシンチレーションファイバー検出器を製作した。 ・S1とS2のシンチレーションファイバー検出器を同時に貫通する宇宙線の数は9.4個/分となった。 ・S1またはS2検出器に入る宇宙線は25個/分と予想されるので、検出器の配置からS1・S2の同時計測数はおおよそ正しいことが分かった。 ・S2を通過する宇宙線ミューオンの波高分布を求めた。その平均的な検出光電子数はおおよそ70個と予想される。
S2からの光電子数の求め方 直径1mmのシンチレータファイバー1本あたり50個の光子が出てくると考える。 10層では500個 宇宙線に沿った充填度を70%とすると 500x0.7=350個 PMTの量子効率25%、電子収集効率を80%とすると、量子効率x電子収集効率=20% 宇宙線1本がS2を通過したときに検出される光電子数は350x0.2=70となる。