Total understanding on Civil Code of Japan

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Lecture on Obligation, 2014 明治学院大学法学部教授 加賀山茂
明治学院大学 法と経営学研究科 設立時委員長 名古屋大学 名誉教授 加賀山 茂
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Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 民法の全体的理解 吉備国際大学大学院教授 名古屋大学名誉教授 明治学院大学名誉教授 加賀山茂 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 目次 序 自己紹介 全体的理解とは? なぜ困難なのか? 打開策は? 第1部 法を学ぶ目標と方法 法を学ぶ目標 医学部の学習到達目標との対比 トップダウン式からボトムアップ式学習法へ 法を学ぶ方法 法律家の思考方法としてのアイラック(IRAC)のマ スター,論文の作成も同じ 議論はトゥールミン図式で行う 第2部 民法の体系的理解 民法の体系と目的,Best20 民法第1編 総則の体系 民法第1編 第4章 物〔権利の客体〕 民法第1編 第5章 法律行為の体系 民法第2編 物権の体系 民法第2編物権と第3編債権との関係 担保物権の体系と債権法的理解 民法第3編 債権の体系 民法第3編 第1章(債権総論)の体系 民法第3編 第2章 契約の体系 契約の類型と契約の流れ 民法第3編 第3章 事務管理と他者への貢献(Do for others),事務管理の立法理由 民法第3編 第4章 不当利得の体系 民法第3編 第5章 不法行為の体系 不法行為法の電気回路による理解(1,2,3,4,5) 共同不法行為と連帯責任 民法の体系図(ひゃくみん参照) 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 自己紹介 http://cyberlawschool.jp/kagayama/にすべての情報がある。 1948年 愛媛県宇和島生まれ(現在70歳) 1979年 大阪大学法学部,大学院博士課程単位取得退学(31歳) 1979年 国民生活センター研究部職員(4年半)消費者問題の実務 1984年 大阪大学教養部講師(3年)民法,法律人工知能(AI&Law) 1987年 大阪大学法学部助教授,教授(10年)民法,法律人工知能 1997年 名古屋大学法学部教授(10年)民法,アジア法整備支援 2005年 明治学院大学法科大学院,法学部(11年)民法,消費者法 2015年 明治学院大学「法と経営学研究科」委員長(2年),定年退職 2018年 吉備国際大学大学院(通信制)知的財産学研究科教授 2018年 大分大学経済学部 非常勤講師(消費者と法) 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 全体的理解とは? 理想は, Googleマップの 法律版の作成 全体的理解はなぜ必要か? 全体的な理解がないと部分的理解はおぼつかない。 なぜなら,部分は全体の中でのみ位置づけられるからである。 全体的理解はなぜ困難なのか? 全体を理解するには,部分を疎かにしてはいけない。「真理は細部に宿る」 からである。しかし,細部を理解するには,全体との位置づけが必要である。 そうすると,以下の無限ループに陥る。 全体を理解するには,部分を理解しなければならない。しかし,部分を理解するには, 全体からの位置づけしなければならない。しかし,全体を理解するには…。 全体と部分を同時に理解するにはどうすればよいのか? 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 全体的理解を可能にする方法 伝統的な方法 (司法試験に合格する極意) 新しい方法 (AIに負けない実力の養成) 目次(全体図)の重視 目次(全体図)をコピーする。 本文が目次のどの部分に該当するのか を常に確認し,目次の項目を読み終え たら,その要約(全体的理解への橋渡 し)を書きながら読み進める。 索引(散布図)の重視 難しい用語に出会ったら,索引(恣意的 だが,役に立つ散布図)で,どの箇所で その説明なり,例なりが出てくるかを確 認する。 本文をテキスト化・PDF化 本文を自炊するなり,コピーしてOCRを掛 けるなりして,検索が可能なPDF化を行う。 PDFに目次(全体図)を作成する。 目次に要約(全体像への橋渡し・AIでは 困難)を書き込みながら読む。 用語検索(母集団の分散)の重視 難しい用語に出会ったら,全部を検索し て,その用語の意味,用法,全体での位 置づけを理解する。 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

第1部 民法の学習目標と 目標を達成するための方法論 Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 第1部 民法の学習目標と 目標を達成するための方法論 目標 事例に適用すべき条文を探索し,解決策を提言できる能力を育成する。 方法 トップダウン式学習法とボトムアップ式学習法を併用する。 すべての問題をアイラック(IRAC)で考え,書くように練習を重ねる。 議論は,議事録を含めて,トゥールミン図式で表現する。 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 法律を学ぶ目標 学習する法律の全体像を理解する(トップダウン式学習法) 個々の条文の意味,立法理由,学説・判例について理解する。 法律の条文から典型的な事例を例示し図で説明できる。 具体的な事例から適用されるべき条文を探索できる(ボトムアップ式学習法) 具体的な事例に適用されるべき一つの条文を当てはめて原告有利の解決案を提示できる (アイラック(IRAC)的思考)。 具体的な事例に適用されるべきもう一つの条文を当てはめて,被告有利の解決案を提示で きる(トゥールミン図式を活用したアイラック(IRAC)的思考)。 具体的な事例に対して対立する正反対の解決案を検討し,どちらの解決案を 選ぶべきか,理由を示して結論を示すことができる(最終的な到達目標)。 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 医学部の新しい学習目標も法学部と同じ NHKの病名推理番組:ドクターG(ジェ ネラル) 患者の病状から,病名を解明し,診療方 法を確定するまでのプロセスを見せる。 研修医の最初の見立ては,全て外れ。 総合診療医のアドバイスを受けながら, 可能性のある病名を全てチェックし,除 外すべきものを除外して,正解にたどり 着く。 この番組から,大学教育の改善にヒ ントを得ることができる。 教員が,具体的な事例を先に用意する。 学生の一つのグループは,その事例に 適用されるべき,法原理と法ルールを探 索し,意見を述べる。 他のグループの学生は,結論が異なる 法原理・法ルールを探索する。 両グループで,解決策を巡って,議論を 行う。 最終的に,両者が納得できる解決策と, ルールの改善を提言する。 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

トップダウン式からボトムアップ式学習法へ Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 トップダウン式からボトムアップ式学習法へ トップダウン式推論 ルールの眼鏡をかけて こそ,無限の事実の中 から,重要な事実を発 見できる(Rule→Issue)。 ボトムアップ式推論 発見した事実(Issue)に 適用できるルール (Rule)は一つとは限ら ない(Argument)。 ルールを見逃すと,妥 当な結論(Conclusion) を見いだせない。 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

すべての問題をアイラック(IRAC)で考える Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 すべての問題をアイラック(IRAC)で考える IRAC(アイラック)で考え,論証する 法的分析能力 Issue 論点・事実の発見 Rules ルールの発見 A Application ルールの適用 法的議論の能力 Argument 原告・被告の議論 Conclusion 具体的な結論 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 議論はトゥールミンの図式で行う データ (Data) 主張 (Claim) 主張× (Claim) 推定× (Qualifier) 推定 (Qualifier) 根拠 (Warrant) 反論 (Rebuttal) 裏付け (Backing) 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

すべての論文もアイラック(IRAC)で表現可能 Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 すべての論文もアイラック(IRAC)で表現可能 問題提起 I:重要な問題を発見したことの経緯を述べる。 R:その問題を解決する視点と仮説を提示する。 本論 A:問題をいくつかのブロックへと分割する。 A:ブロックごとに問題を展開し,議論してすべてを解明する。 結論・展望 C:問題を展開して得られた答えを1つにまとめる。 I:残された問題に対する展望を行う。 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

第2部 日本民法の全体像を 体系的に図解し理解する Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 第2部 日本民法の全体像を 体系的に図解し理解する 民法の全体像を体系的に理解する(マジカルナンバー7±2) 日本民法の体系(通則における民法の目的と私権の制限) 民法総則の体系(法律行為を中心に) 物権の体系(物権と債権との違い,担保物権の債権的考察) 債権の体系(債権総論,契約,事務管理,不当利得,不法行為) 家族法の体系(別添) 体系図,フロー図,電気回路図の活用 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 日本民法の体系 民法 通則 財産法 第1編 総則 第2編 物権 第3編 債権 家族法 第4編 親族 第5編 相続 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 民法条文・適用頻度ベスト20 加賀山茂 『民法条文100選 100ヵ条で学ぶ民法 (ひゃくみん)』 信山社 (2017/2/24) 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 民法の目的 民 法 第1編 第1章 通則 第1条 (私権の制限) 私権の 公共の福祉適合性 契約自由の 信義則による制限 権利濫用の禁止 第2条 (私権の目的) 個人の尊厳 両性の本質的平等 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 民法 第1編 総則の体系 第1編 総則 権利の主体 第2章 人(自然人) 第3章 法人 権利の客体 第4章 物 権利の変動 第5章 法律行為 第6章 期間の計算 第7章 時効 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 第1編 第4章 物(権利の客体) 現代的課題 問題解決のための提案 民法85条(定義) この法律において物とは,有 体物をいう。 著作権法2条(定義)1項1号  一 著作物 思想又は感情 を創作的に表現したもの〔無 体物〕であつて,文芸,学術, 美術又は音楽の範囲に属す るものをいう。 民法85条(物の定義)改正私案 ①物とは,有体物又は無体物をいう。  一 有体物とは,人が管理することができる もののうち,固体,液体,気体をいう。  二 無体物とは,人が管理することができる もののうち,有体物でないもの〔例えば,著作 物,エネルギー,すべての権利など〕をいう。 ②所有権の目的物は,有体物に限定される  〔債権の上の所有権という概念は,物権と債権 との区別を維持する限りで,認めない〕。 ③所有権以外の権利の目的物は,有体物 だけでなく,無体物とすることができる。 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 民法第1編 総則 第5章 法律行為の体系 第5章 法律 行為 第1節 総則 第2節 意思表示 意思の 不存在 表意者悪意 心裡留保 (民法93条) 通謀虚偽表示 (民法94条) 表意者善意 錯誤 (民法95条) 瑕疵ある 意思表示 詐欺 (民法96条) 強迫 (民法96条) 意思表示 の効力発生 所在あり 意思表示の到達 (民法97条) 所在不明 公示送達 (民法98条) 第3節 代理 第4節 無効及び取消し 第5節 条件及び期限 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 民法 第2編 物権の体系 第2編 物権 第1章 総則 第2章 占有権 本権 第3章 所有権 制限物権 用益 物権 第4章 地上権 第5章 永小作権 第6章 地役権 担保 物権 第7章 留置権 第8章 先取特権 第9章 質権 第10章 抵当権 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 第2編物権 と 第3編債権 との関係 請求 摑取力 優先弁済権 摑取力(強制執行) 有体物 支配 財産 物権 債権 担保物権 使用・収益 換価・処分 人 債務者 債権者 担保 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 人的担保と物的担保の統合 担保法: 掴取力の強化 量的強化 (人的 担保) 責任主体を 増やす 保証 債務と保証 との結合 連帯債務 質的強化 (物的 担保) 事実上の 優先弁済権 履行拒絶の 抗弁権 留置権 法律上の 優先弁済権 優先弁済権 先取特権 優先弁済権 +留置効 質権 優先弁済権 +追及効 抵当権 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 民法第3編 債権の体系 民法 第1編 総則 第2編 物権 第3編 債権 第1章 総則(債権総論) 第2章 契   約 第3章 事務管理 第4章 不当利得 第5章 不法行為 第4編 親族 第5編 相続 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 第3編 債権 第1章(債権総論)の体系 債 権 総 論 債権の目的 債権の効力 対内的効力 履行強制 損害賠償 対外的効力 債権者代位権 詐害行為取消権 多数当事者関係 可分・不可分の 債権・債務 連帯債務 保証 債権の譲渡 債権の消滅 弁済 相殺 更改 免除 混同 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 債権編 第2章 契約の体系 Ⅲ 債 権 債権 総論 債権 各論 契約 契約 総論 成立 効力 解除 契約 各論 事務管理 不当利得 不法行為 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 契約の類型 典 型 契 約 財産権を 移転する (返還不要) 無償 1. 贈与 有償 対価が金銭 2. 売買 対価が物 3. 交換 返還必要 4. 消費貸借 移転しない 返還必要 物の利用 5. 使用貸借 6. 賃貸借 役務の提供 従属的 (時間決めで) 7. 雇用 独立的 仕事の完成 8. 請負 事務の処理 9. 委任 物を預かる 10. 寄託 事業を営む 団体形成 11. 組合 年金事業 12. 終身定期金 紛争の解決 13. 和解 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 契約の流れ Start Yes 成立 No(不成立) 不当利得 No(取消し・無効) 有効 (停止条件・始期が未到来) Yes No(条件・期限) (解除条件・終期が到来) 効力発生 未発生 No 履行強制 No(不履行) No(救済) 履行 免責 契約解除 Yes 損害賠償 End 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 債務不履行法の体系 債務不履行 債務の本旨に従った履行がないこと 履行期に履行がないこと Ⅰ履行遅滞 (履行の意思あり) 通常の場合 催告解除 定期行為 無催告解除 Ⅱ履行拒絶 (履行の意思なし) 履行期に履行があるが瑕疵があること Ⅲ不完全履行 (瑕疵担保責任) 契約目的を 達成できない 解除可能, 代品請求も可能 契約目的を 達成できる 解除不可 損害賠償,修補のみ 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

事務管理と他者への貢献(Do for others) Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 事務管理と他者への貢献(Do for others) 事務管理 法学における他者への貢献 民法697条(事務管理) ①義務なく他人のために事務の管理 を始めた者は,その事務の性質に従 い,最も本人の利益に適合する方法 によって,その事務の管理をしなけ ればならない。 ②管理者は,本人の意思を知ってい るとき,又はこれを推知することがで きるときは,その意思に従って事務 管理をしなければならない。 著作権法第13条(権利の目的となら ない著作物) 次の各号のいずれかに該当する著作物 は,この章(著作者の権利)の規定による 権利の目的となることができない。 一  憲法その他の法令 二  国,地方公共団体…が発する…もの 三  裁判所の判決… 四  前三号…編集物で,国…が作成するもの 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 事務管理の立法理由 本条第2項は,管理の方法に付き本人の意思が管理者に明白なる か又は之を推知することを得る場合に於ては,第1項に規定する所 の管理の方法に依らずして,寧ろ,本人の意思に従ひ管理を為す べきことを規定し, 事務管理の名義を以て濫りに他人の事務に干渉し,本人の欲せざ ることを行ふこと勿からしむるものにして, 本人の意思 に反するも,尚ほ且つ,此者に利益なりとして,其事務 に干渉する如きは,事務管理の立法の本旨に反し,寧ろ不当利得 の規定に従はしむべきものと云ふべし。 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 民法第3編 第4章 不当利得の体系 不 当 利 得 一般 不当利得 民法703条の背景にある公平の原則 正当の原因なく,他人の損失によって利得した者は,利得をその他人に返還しなければならない。 特別 不当利得 給付 不当利得 肯定 民法703条,704条,121条ただし書き 否定 民法705条,706条,707条1項,708条 侵害 不当利得 民法189~191条, 民法248条 支出 不当利得 民法196条,707条2項 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 民法第3編 第5章 不法行為の体系 第5章 不法行為 一般不法行為 単独不法行為(709条) 共同不法行為(719条) 特別不法行為 監督者責任(714条) 使用者責任(715条) 注文者責任(716条) 土地工作物責任(717条) 動物占有者責任(718条) 名誉毀損(723条) 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 不法行為の全体像(電気回路による表現) 故意又は 過失 因果関係 損害発生 責任無能力 免責事由 過失相殺 加害者を知って から3年経過 事故から20年経過 損害賠償 消滅時効 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 不法行為法における消滅原因 故意又は 過失 因果関係 損害 責任無能力 免責 過失相殺 3年経過 20年経過 損害賠償 消滅時効 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

不法行為法における 責任無能力者免責の意味 Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 不法行為法における 責任無能力者免責の意味 故意又は 過失 因果関係 損害発生 責任無能力 免責事由 過失相殺 損害賠償 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 不法行為法における監督者責任の意味 故意又は過失 因果関係 損害発生 責任無能力 無過失 免責事由 過失相殺 損害賠償 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 製造物責任の意味 故意又は過失 因果関係 損害発生 責任無能力 欠陥 <製造物責任の例> 製造者の過失が証明できなくても,商品 の欠陥を証明すると過失が推定される 無過失 免責事由 過失相殺 損害賠償 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 共同不法行為と連帯責任 ほう助者Y3 ほう助者Y3 実行・ほう助者Y2 実行・ほう助者Y2 首謀・教唆者Y1 首謀・教唆者Y1 首謀・教唆者Y1 (300万円) 300 実行・ほう助Y2 (200万円) 300 200 200 100 100 ほう助者Y3(100万円) 300 200 100 被害者 600万円 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 KAGAYAMA Shigeru, 2018

すべての問題をアイラック(IRAC)で考える Total understanding on Civil Code of Japan 2018/4/1 すべての問題をアイラック(IRAC)で考える IRAC(アイラック)で考え,論証する 法的分析能力 Issue 論点・事実の発見 Rules ルールの発見 A Application ルールの適用 法的議論の能力 Argument 原告・被告の議論 Conclusion 具体的な結論 2018/4/1 Total understanding on Civil Code of Japan, 2018 民法の全体的理解 2018年1月16日 名古屋大学・明治学院大学名誉教授 加賀山 茂 ご清聴ありがとうございました。 KAGAYAMA Shigeru, 2018