軽い原子核の3粒子状態 N = 11 核 一粒子エネルギー と モノポール a大阪電気通信大学 b東京工業大学

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軽い原子核の3粒子状態 N = 11 核 一粒子エネルギー と モノポール a大阪電気通信大学 b東京工業大学 軽い原子核の3粒子状態    N = 11 核 一粒子エネルギー と モノポール 梅谷篤史a 金子剛樹b 武藤一雄b a大阪電気通信大学 b東京工業大学 Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展

第 1 部 N = 11 核 17C, 19O, 21Ne, 23Mg Anomalous coupling state  3/2+ 基底状態(低い励起状態) M1 遷移   1/2+ → 3/2+   5/2+ → 3/2+  陽子数とともに変化 333keV 212keV 0keV 3/2 1/2 5/2 17C Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展

エネルギー と B(M1) の比較 Shell-model calculation PSDWBP interaction E.K. Warburton et al., PRC 20, 619 (1979) USD part USD → USDA B.A. Brown et al., PRC 74, 034315 (2006) Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展

M1遷移の陽子と中性子の行列要素 Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展

一粒子エネルギー s1/2 d5/2 Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展

第 2 部 一粒子エネルギーとモノポール 一粒子エネルギーを殻模型に基づいて定式化 モノポールと一粒子軌道の占有確率で表される 一粒子エネルギーを殻模型に基づいて定式化  モノポールと一粒子軌道の占有確率で表される モノポール相互作用 中心力の triplet-even 成分が支配的 1粒子エネルギーに繰り込める Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展

一粒子エネルギーの定義 M. Baranger, NPA 149 (1970) 225 Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展

殻模型における一粒子エネルギー モノポール 以前から行われてきた Monopole shift の理論的裏づけが得られた。 任意の原子核,任意の状態に対して一粒子エネルギーが計算でき,    一粒子エネルギー,特に殻進化について,定量的な議論が可能になった。 Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展

一粒子エネルギー計算の例1 N = 8 における魔法数の消失? I. Talmi and L. Unna, Phys. Rev. 4 (1960) 469  The ground state of 11Be has Jπ = 1/2+ in spite of a considerable gap of Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展

sd 殻核の一粒子エネルギーにおけるテンソル力の効果 一粒子エネルギー計算の例2 sd 殻核の一粒子エネルギーにおけるテンソル力の効果 Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展 10

モノポール:多重極展開の最低次の項 陽子-中性子 相互作用 exchange Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展 11

モノポール:多重極展開の最低次の項 同種粒子相互作用 (diagonal) (diagonal) Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展 12

モノポールは triplet-even の引力が支配的 sd-shell モノポールの主要成分はスピン・アイソスピン相互作用ではない Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展 13

結合エネルギーはモノポールが支配的 16O の結合エネルギー 原子核の結合エネルギーを モノポール(青)と他の成分(赤)に分解 Core 核に対する一粒子エネルギー(黄)はモノポール相互作用から生じる 16O の結合エネルギー N. Tajima et al., NPA603 (1996) 23 Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展 14

2体のモノポール相互作用は,良い近似で, 1体の一粒子エネルギーに繰り込むことができる。 一粒子エネルギーへの繰り込み 2体のモノポール相互作用は,良い近似で, 1体の一粒子エネルギーに繰り込むことができる。 monopole nucleus R 20Ne 1.035 24Mg 0.994 28Si 1.009 32S 1.004 36Ar 1.000 40Ca Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展

まとめ N = 11 核 殻模型計算で概ね実験データを再現 陽子数の変化に伴い,M1遷移への陽子の寄与が変化 一粒子エネルギー モノポールと数演算子で表される 任意の核(任意の状態)に適用でき,一粒子エネルギーについての定量的な議論が可能 モノポール 中心力の triplet-even の引力が支配的 原子核を結合させる核力の中でモノポール成分が支配的 1体の一粒子エネルギーに繰り込める(対角成分のみ)  配位混合は主として四重極成分による Dec. 23, 2008 少数粒子系物理の現状と今後の発展