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Published byせいごろう かつもと Modified 約 8 年前
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文責:研究幹事 研究会議レジュメ補足 2014 年度前期早稲田大学雄弁会
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学問における科学的な研究のプロ セスと目的を概観する
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理論 モデル 作業 仮説 検証 このプロセスを繰り返すことで、 よりよい理論の構築を目指す
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より一般的な因果関係についての言説 分析の際の前提条件のようなもの 理論 個別の現象を説明するための分析道具 具体的な独立変数と従属変数のセット モデル モデルが正しいときに成り立つこと 観察可能 ⇒ 数量的に検証可能 作業仮説
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ただし、これらの用語には異同がある 理論とモデルはほぼ同じ意味で使われる また、理論と仮説にも科学的に本質的な差はない どんな理論も、反証に耐えて現時点で残っている 「仮の説」に過ぎない
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ある社会現象が なぜ (why?) どのようにして (how?) 起こるのかを明らかにすること!
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KKV は、科学的研究とは推論であるとする 推論 ⇒ 直接観察されたデータの単なる集積ではな く、そのデータをもとに、より広範囲の何かを推 測しようとすること 推論には、 記述的推論 ( 物事がどうなっているか? ) と、 因果的推論 ( 物事がなぜそうなるか? ) という、 二つの種類がある
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このうち、 特に因果関係の解明が重要視される 記述的推論により現象の特徴を明らかにした上で、 その現象がなぜ生じたのかについて因果的推論を 行う
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科学的な研究のツールとして どのような手法があるか紹介する
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実証研究 作業仮説の検証によるモデルの検証 例 ) 計量政治学 数理研究 検証すべきモデルの構築 例 ) ゲーム理論
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今回の発表で触れるのは以下の手法 ・計量分析 ・事例研究 ・実験研究 ・シミュレーション ・数理モデル 研究の目的に沿って、いずれかの手法を選択する
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現実の観察データに統計手法を適用し、作業仮説 を数量的に検証することでモデルを検証する 母集団から抽出された標本の性質を、推測統計学 を用いて母集団へ一般化する ( 帰納的論理 ) 手法
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検証すべき作業仮説を反証可能で計量可能にする ため、まずは概念の操作化を行う 観察されるデータをうまく説明するような統計 モデルを選択する 統計的有意性検定によりその妥当性を検証する ただし、統計処理により因果関係を主張するため には様々な制約がある ( 後述 )
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1 個または数個の事例の過程を研究することで、 仮説検証を行う 因果メカニズムの解明や、逸脱事例の検討による 仮説構築という強みがある 定量的研究からは、観察の数が少ないと因果関係 の検証はできないとの批判もある (N=K 問題など )
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定性的研究も定量的研究と同様の論理で推論を 行うべきである 少数事例研究 (small N study) は、選択のバイアス の問題を避けるため、分析の単位を細分化するな どして観察 (N) の数を増やす必要がある 単一事例研究は、観察が増やせなければ無意味
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定性的研究にも独自の方法論的意義がある 決定的事例研究 least likely case/most likely case を用いることで、 単一事例でも仮説検証に使える可能性がある 仮定追跡 少数事例内で仮説構築 ⇒ 検証を繰り返すことで、 因果メカニズムを推論する ( 計量分析だけでは因果 メカニズムの精緻な分析は難しい )
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実験で割り当てた条件間の比較により、仮説検証 を行う 他の条件を統制し、独立変数だけを変化させ、 従属変数が仮説通りに変動するかどうかを見る ⇒ 介入による因果効果をより正確に把握できる ⇒ これこそが実験の最大の強み
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実験群と対照群を無作為に割り当てることで、 他の条件を一定とみなし、共変量の統制が容易に ⇒ 「無作為割り当ては実験の王道」 社会科学における適用は難しいとされてきたが、 近年導入が進んでいる
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外的妥当性 実験の結果をどれだけ一般化可能か?ということ 実験研究がよく批判されるポイント 自然実験 観察データに基づくが、社会的・政治的なプロセ スの結果による独立変数の割り当てが、無作為に 近いとみなせる事例を用いた研究デザイン
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また、調査観察研究では実験と違い、独立変数の 無作為割り当てができない したがって、共変量の影響を統制しきれない 近年ではこれらの問題を解決するため、種々の統計 手法が開発されてきている それによって、調査観察データによる因果推論も 可能になってきている
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現実をモデル化し、コンピュータ上でそのプログ ラムを走らせ、仮想的な結果を得る シミュレーションを実施するプロセスを観察し、 それを現実の現象と対比することを通して、その 現象のメカニズムの解明を目指す
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近年政治学の分野で適用が進んでいるのは、 マルチエージェントシミュレーションという手法 ミクロな主体の行動を定義し、その集合によって マクロ的にどのような現象が生じるかを分析する ただ、社会におけるミクロな主体としての人間の 行動をモデル化するのは難しい
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数学的手法を用い、演繹的にモデルを構築する 論理的な厳密性を担保できる 論証のプロセスや、置かれている仮定が明確に 示されるため、モデルの問題点を発見しやすい
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また、論理性が高いために、自然言語による記述 モデルでは発見できないような隠れた論理的展開 を明らかにできる 数理モデル相互の適切さを判断する先験的な規準 はない ⇒ 実証データとより整合的なもの、より広い範囲 をカバーするモデルと整合的なものが適切である と判断される ⇒ 実証研究との接続が必要
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自然言語:英語、日本語といった言語のこと 言葉を用いて因果関係のメカニズムを記述するこ とで、因果モデルを構築する 数理的アプローチに比べると、論理的な厳密性は 担保できない
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科学的な研究における方法の意義 について
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科学的に社会現象を分析するため、どのような手法 を適用すべきかということを議論するのが科学的方 法論 実証研究は、科学的に妥当な手続に基づいて行われ ることによって、確かな知識を得る しかし科学的な方法も、一定不変である訳ではない 異なる方法論的立場を認識し、自らの依拠する方法 にも自覚的である必要がある
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また、特に政治学という分野においては、政治を分 析する者が、同時にその政治社会の一員でもある 研究者自身の規範的な評価が、客観的であるはずの 実証分析に影響してしまう可能性がある だからこそ、方法論的な自覚が必要
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幸いにして、早稲田大学政治経済学部には方法論 を学ぶ環境が整っている 計量分析 → 計量政治学、政治経済の計量分析、計量経済学 実験研究 → 実験経済学 ゲーム理論 → ゲーム理論、ゲーム理論入門、国際政治学 シミュレーション → シミュレーション分析 政治学方法論全体について → 調査研究デザイン 方法論を学び、より確かな方法で政治現象を理解 していこう!!
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とはいっても … 方法論を知るだけで面白い研究ができる訳ではない ( あたりまえ ) 研究対象となる政治 ( 学 ) への知識が必要だし、、、 政治学以外の諸学問の知識が活きることも多い 日常の政治現象に潜む謎を発見していく知的好奇心 がなにより大事!!! ( 激しく自戒 )
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荒井紀一郎『参加のメカニズム』 久米郁男『原因を推論する』 清水・河野編『入門政治経済学方法論』 戸田山和久『「科学的思考」のレッスン』 星野崇宏『調査観察データの統計科学』 ブレイディ・コリアー編『社会科学の方法論争』 キング・コヘイン・ヴァーバ『社会科学のリサーチ・デザ イン』
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