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平成28年1月13日 第 49 回 みんなの健康教室 「認知症の診断と症状」 富士見高原病院 統括院長.

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1 平成28年1月13日 第 49 回 みんなの健康教室 「認知症の診断と症状」 富士見高原病院 統括院長

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4 高齢期の要介護期間

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6 痴呆の始まり 何か今までと違う、人が変わったみたい。 今までの活動性や明るさが無くなって、急に老け 込んだみたい。 「年だから・・・」 今までにしたことの無いような失敗をおかす。 財布がなくなった、泥棒が入った お昼を食べていない 同じものを毎日買ってくる 知らない間に外に出て迷う 「これはおかしい。痴呆ではないか?」

7 痴呆を見極めるために 1. 以前と人が変わる。 2. 物事に興味が無くなる。 3. 人を避けるようになる。 4. 話の内容が乏しくなる。 5. 「あれ」「それ」の会話が多くなる。 6. 失敗が多くなる。 7. いいわけが多くなる。 8. 何度も同じことをする。 9. 外出を嫌う。 10. だらしなくなる。

8 認知症の症状 ①記憶の障害がある ・思い出せない・覚えられない ②記憶の障害以外にもできないことがある ・言葉が出てこない、話しがまとまらない(失語) ・慣れた動作・操作ができなくなる(失行) ・見えてはいるが、それが何か識別できなくなる(失認) ・計算や文字など習い覚えた能力の低下(失算・失書) ・思考力・判断力の低下 など ③社会生活・日常生活に支障がある 以前はなかった下記のような症状が出現する ※「認知」とは、記憶や認識・理解・思考・判断・言語といった 人のもつ知的能力を幅広く指す学術用語

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11 記憶の障害 ①エピソード記憶(あのときこうした) ②意味記憶 (知識) ③手続き記憶 (自転車の乗り方) ※認知症では①から障害されていく (自転車にも乗れ、 1m が 100cm ということは わかるが、 朝食の内容を忘れている)

12 認知症の記憶障害 生理的: お昼に食べたものはなんだっけ・・・? 認知症: お昼ごはん食べてないよ! (食べたこと自体を忘れている) 生理的: 財布をどこに置いたかなあ・・・? 認知症: 財布がなくなった! (置いたこと自体を忘れている) ※「なんだっけ・どこだっけ・いつだっけ」は生理的な物忘れでも生じ る

13 失認・失行 失認 見えてはいるがそれが何か識別できい。 例:目の前にある調味料がわからない。 失行 意味のある行動がとれない。 例:ボタンがはめられない。

14 見当識障害 時間: 今日は何月何日? / 今は昼?夜? 場所: ここはどこ?

15 実行機能の障害 計画し、実行することの障害 例:料理ができない 。 1週間の予定が立てられない。

16 発動性の低下 今までしていた日課をしなくなった。 一日中庭を眺めている。

17 痴呆を見極めるために 1. 以前と人が変わる。・・・ 人格の荒廃 2. 物事に興味が無くなる。・・・ 発動性の低下 3. 人を避けるようになる。・・・ 発動性の低下 4. 話の内容が乏しくなる。・・・ 記憶障害 5. 「あれ」「それ」の会話が多くなる。・・・ 記憶障害、失認 6. 失敗が多くなる。・・・ 実行機能の障害、失行 7. いいわけが多くなる。・・・ 記憶障害、無いものを補う。 8. 何度も同じことをする。・・・ 記憶障害、実行機能の障害 9. 外出を嫌う。・・・ 発動性の低下 10. だらしなくなる。・・・ 発動性の低下、運動機能の低下、 人格の荒廃

18 周辺症状の理解のために 脳は無いことを認めようとしない。 不安は普段と異なる行動を引き起こす。

19 無いもの補う脳 聴力障害・視力障害と幻聴・幻視・妄 想 記憶障害と作話 様々な機能の低下と頑固・威勢

20 不安が引き起こす行動 不安が普段と異なる行動を引き起こす。

21 高齢者の喪失体験 1. 生理的な喪失:運動能力や俊敏性、視力や聴力の 低下、各臓器 の機能低下 2. 心理学的な喪失:老いの自覚、抑うつ、死への不安 恐怖 3. 社会的な喪失:地位、収入の消失、役割の低下 4. 人との関わりの消失:配偶者の死や子どもの独立 などによる孤独、 理解者の減少

22 人が不安になるとき ギャップが生じたとき 自尊心が傷ついたとき 孤独なとき・大切なものを失ったとき 過負荷が持続的にかかっているとき 変化の前後・さなか 選択を迫られるとき 一つのもの(こと)に正反対の感情が存在 ※上から 5 つが特に認知症者に起こりやすい。

23 本来、ギャップ自体は悪いものとは限らな い。 しかし、認知症高齢者ではギャップをバ ネとす るゆとりがなくなっている。 (心理的・身体的・脳機能的に) ギャップは不安を生み、不安は周辺症状を 生じやすくする。 ギャップから生まれる不安

24 高齢者を取り巻く様々なギャップ 世界とのギャップ 予想していたこと と違うことが起こ るギャップ かつての自分と 今の自分のギャップ 自分のギャップ 援助者が良かれと 思ってしていること が下駄が合わない ギャップ 援助のギャップ 能力が低下している にもかかわらず、悔 しさや悲しさは保た れているギャップ 能力と感情のギャップ

25 能力と感情のギャップ -感情や自尊心は保たれる- 認知症は「何もかも変わってしまう 病気」ではない。 脳機能の低下に比べ … 自尊心は低下しない。 感情的な能力の低下はずっと緩やか。 (喜び・怒り・悲しみ等の感情は保たれる)

26 ギャップを埋めるための物盗られ 妄想 今まで一家を切り盛りしてきた人が、家族に 依 存する状態になったとき、立場の逆転が起 こり、 かつての自分と今の自分のギャップが生じ る。 物を盗られたという訴えは、ギャップを埋め るた め(自分のプライドを守るため)の必死の 抵抗。 自分のプライドや家庭内の立場が守られてい る 間は、妄想はおこりづらい。

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35 抑うつ状態 認知症状態 せん妄状態 物忘れのように見える

36 抑うつ状態 感情、意欲・行動、思考 の3点に分けて考える。 抑うつ気分:滅入って沈んだ状態、ゆううつ、むなしい。 自分に対して:自己評価過小、悲観、絶望、自責 身体に対して:何となく全身の調子が悪い、疲れ、不快(生命感情) 周りに対して:周囲のものが生き生きと感じられなくなる、 喜怒哀楽の感情が薄れる、興味の消失 というような時に漂っている気分が抑う つ気分 正常な人の落ち込みとは似て非なるもの 感情

37 抑うつ状態 精神運動制止(億劫さが強く手につかない) ※不安焦燥が強いうつ状態の場合ソワソワと落ち着きなく動 くため、 一見活発に見えることもある。 形式面:思考制止 (考えようとしても考えが頭に浮かばない、判断 力も低下。 思考のテンポが遅くなり考えが進行しない) 内容面:何事にも過小評価、酷くなると訂正不能の域に及ぶ。 微小妄想・罪業妄想・貧困妄想・心気妄想 意欲・行動 思考

38 抑うつ状態 身体症状 不眠(入眠困難、中途覚醒、早朝覚 醒) 食欲不振、体重減少 性欲低下 自律神経症状、頭痛、肩こり、手足の しびれ等々 抑うつ状態(感情、意欲行為、思考、身 体症状)は、日内変動(朝の内が強く、 夕方や夜にかけて軽快)がある。

39 せん妄状態  意識と注意の障害  認知の全体的な障害(失見当識、思 考障害、幻覚妄想など)  精神運動性障害(寡動あるいは多 動)  睡眠 - 覚醒周期の障害  感情の障害(抑うつ、不安、焦燥、 多幸、無感情など) ◎症状の浮動性( 1 日のうちでいい時と 悪い時がある) ( ICD-10 精神及び行動の障害 - 臨床記述と診断ガイドライン)

40 せん妄状態 ● 直接因子 器質的脳疾患(脳腫瘍、脳血管障害など) 代謝性疾患(糖尿病、腎臓病など) 内分泌性疾患(甲状腺疾患など) アルコール 薬物(睡眠薬、抗コリン薬、ステロイドなど) ● 準備因子 高齢 慢性的な中枢神経系の脆弱性 (脳血管障害など) ● 誘発因子 入院による環境の変化 ICU などの過剰刺激 心理的ストレス(不安) 身体的ストレス(痛み、かゆみなど) 感覚遮断(眼科手術後など) 拘禁状態

41 せん妄状態 身体疾患や薬物の使用などを背景に起 こる一時的な混乱状態と言える。 予防策としては … ・日中は明るく、夜間は暗く。 ・日頃から使っているメガネや補聴器を使用する。 ・時計やカレンダーを置いて時間をわかるようにする。 ・患者の慣れ親しんだ物を視界に入る場所に置く。 ・出来る限り患者の望む体位を取らせる。 治療は … ・原因の除去、抗精神病薬の使用。 ・鎮静

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43 アルツハイマー病患者からのお願い 1. どうぞ、わたしのことを我慢して 2. どうぞ、わたしに親切にして 3. どうぞ、わたしに話しかけて 4. 私の気持ちを考えて 5. 人間的尊厳があり、尊敬される人として 扱って 6. 私の過去を思い出して 7. 私の現在を思って 8. 私の将来を考えて 9. 私のために祈って 10. 私を愛して

44 パーキンソン病 若年性認知症


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