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Published byよしお しげまつ Modified 約 8 年前
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統率・束縛理論
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統率・束縛理論( GB 理論) 統率・束縛理論 ( Government-Binding Theory ) Chomsky により創始される 変形文法( Transformational Grammar, TG )の直系子孫
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統率・束縛理論( GB 理論) 構成 d -構造 ( d-structure ) s -構造 ( s-structure ) 音声形式 ( Phonetic Form, PF ) 論理形式 ( Logical Form, LF ) = TG における深層レベル = TG における表層レベル
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統率・束縛理論( GB 理論) 構成 音声形式( PF ) 論理形式( LF ) 文法の「音声の」側の出力である実際の 音列を表すレベル 「意味の」側の対応するレベル
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統率・束縛理論( GB 理論) 例: “ Mary was fired ” (基底構造) ⅰ) d-structure S NP INFL VP V VP V NP PAST be fired Mary 屈折 ( inflection ) ・ 時制 ・ アスペクト ・ 動詞の一致 ・ 節のモダリティ 動作を受ける対象 =意味的な目的語
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統率・束縛理論( GB 理論) 例: “ Mary was fired ” (基底構造) ⅱ) s-structure S NP INFL VP V VP V NP Mary i PAST be fired e i
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統率・束縛理論( GB 理論) LF について 意味解釈に関連する情報を与える 数量詞や疑問詞のスコープなどを取り扱う “Two languages are spoken by most people” ① [Two languages are spoken by [most people]] ふたつの言語が多くの人々に話されている ② [most people][Two languages are spoken by e i ]] 多くの人々は言語を二つ話す (α 移動 ) → most people > two languages → two languages > most people
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統率・束縛理論( GB 理論) GB 全体の構成 d -構造 ( d-structure ) s -構造 ( s-structure ) 論理形式 ( Logical Form, LF ) α 移動 X’ 理論, θ 理論 投射原理, θ 基準 格フィルタ 空範疇原理 束縛理論 制御理論
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X ’ 理論 X ’ 理論 ある言語の異なる句の内部構造に同様のパター ンを見出すことができるという考え方 句構造規則を用いず、 X ’ のテンプレートにより 適格かどうかを判断 英語: 動詞は目的語の前 日本語: 動詞は目的語の後
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X ’ 理論 X ’ スキーム d-structure の適格条件を部分ごとに表す (主要部の最大投射) X ’’ X ’ (主要部の投射) 項 指定句 (specifier) 修飾句 (modifier) X (主要部) NP N’N’ PP/S ’ Det N 例:名詞句 NP
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X ’ 理論 文の構造 S’S’ S VP COMP ( 補文標識 ) = that,for 修飾句 (modifier) INFL =主要部 NP
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X ’ 理論 X ’ 対応表 XX’X’ X ’’ NN’N’ NP VV’V’ VP AA’A’ AP PP’P’ PP INFLSS’S’
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X ’ 理論 範疇素性 [+N] [ ー N] [+V]AV [ ー V] NP 例: consider consider は補語としてとれる範疇は [+N] = 補語として A,N を とる
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X ’ 理論 下位範疇化について 句構造規則体系において PS 規則が担っていた情 報は、主要部の下位範疇化フレームが担う 下位範疇化は任意に生成された句構造を フィルタする装置として使用できる c- 選択 動詞は最大投射の集合( S ’,NP,VP,AP,PP )のあ る 部分集合を c- 選択する( c-select )という
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投射原理 投射原理 ( Projection Principle ) 各統語レベルにおける表示は、語彙項目の下位 範疇化特性を守っているという意味で、辞書部門 から投射されたものである 「全ての節は主語を持つ」という付則を伴うと、 拡大投射原理 (Extended Projection Principle) が得られる d-structure,s-structure,LF の間の写像に関する制 約 「あるレベルのある構造に NP の位置にあれば、 その NP の位置は全てのレベルで存在しなければなら ない」
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θ 理論 θ 役割 ( θ-role ) 項に関する意味的情報を与える ex) find NP を一つと る :下位範疇化 動作主( agent )と主題( theme )をとる : θ 役割
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θ 理論 θ 役割 ( θ-role ) 主要部の辞書項目に書き込まれており、主要部 の項構造 ( argument structure ) と呼ばれる ex) donate, V,, ( 動作主, 主題, 目標 ) 外的な項 内的な 項 外的な項‥‥特徴が動詞句全体で決まる 内的な項‥‥特徴が動詞で決まる
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θ 理論 θ 役割 ( θ-role ) 動詞の辞書記述に何らかの形で主語の位置に対 する意味役割の位置を記載しておかなければなら ない
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θ 理論 θ 役割付与 ( θ-marking ) d-structure において付与される 主要部の項構造の数とその主要部が付与する θ 役割を受け取る数の一致に関しては θ 基準によりな される VP INFL NP S V 外的 内的
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θ 理論 θ 基準 各項はただ一つだけの θ 役割を持ち、また各 θ 役 割はただ一つの項に付与される → 各主要部が統語的にとれる項の数は、 主要 部に対して辞書で指定されている項の 数と一 致する
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θ 理論 下位範疇化と θ 役割付与( θ マーキン グ) もし α が β の占める位置を下位範疇化するとき、 α は β を θ マークする → 意味役割 ( thematic ) 条件と下位範疇化条 件が 各レベルで投射されることを保証する
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構成素統御と統率 c -統御 ( c - command ) α が β を c -統御するのは、 α を支配する全ての最大投射が β を支配すると き また、そのときに限る S’S’ VP PP NP 1 V’ VNP 2 V は NP 2 を c-command する V は PP を c-command する V は NP 1 を c-command しな い
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構成素統御と統率 統率 ( government ) a. α が β を c- 統御する b. α が統率子( N,V,P,A,INFL )である c. β を支配する全ての最大投射が α をも支配する 以上を満たす場合に限る
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構成素統御と統率 統率 ( government ) 通常姉妹関係に限られるが、補文をとる動詞の 場合には例外がある VP S V NPVPINFL VP S’ V COMP S NPVPINFL S 補語 S ’ 補語
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構成素統御と統率 統率 ( government ) ある範疇 β が別のある範疇 α の領域にあるのは、 α が β を統率する場合に限る S ’ = α S VP = β COMP INFL NP α の領域
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構成素統御と統率 統率 ( government ) 統率されている構造の下で起きること 下位範疇化が満たされる 内的 θ 役割の付与がなされる 格付与がなされる ECP (空範疇)が(部分的に)満たされる
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α 移動 α 移動 ( α-move) NP 移動: NP に作用する移動変形 任意要素を任意範疇に移動する ex) 受動文における NP 移動 d-str: [ NP ] INFL kiss-en Bill s-str: Bill i INFL kiss-en e i 空範疇 A A * 空範疇 : α 移動によって空にされた NP 位置 = NP 痕跡 受動化形態素: 外的 θ 役割を 抑制する
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α 移動 wh- 移動: wh- 句に作用する移動変形 ex) “Who Bill saw?” について d-str: [ comp ] Bill INFL see who s-str: [ comp who i ] Bill INFL see e i wh- 痕跡 A A
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α 移動 連鎖 ( chain ) 移動の痕跡は、移動が起こったことを示すため、 移動した NP と同じ指標をつけられる。この一対の NP と e を連鎖と呼び、( Bill,e )と表記する 連鎖は θ 役割を一つのみ持ち、全ての θ 役割は連 鎖に対して付与される
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α 移動 位置について θ 役割が与えられる位置を θ 位置、そうでない 位置を θ (シータバー)位置 「核的な( core )」文法的位置(主語、目的 語など)を A 位置、「周辺的な( peripheral )」 位置( COMP など)を A 位置 全ての移動は θ 位置から θ 位置への移動 NP 移動は A 位置から A 位置への移動 wh- 移動は A 位置から A 位置への移動
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同一指標付け 同一指標付け a. d- 構造で[ NP,S] と AGR を同一指標化せよ b. α 移動は指標を作り、かつ、それを保持する c. s- 構造で全ての A 位置に対して自由に指標をつ けよ
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同一指標付け a. について S VP INFL i NP i AGR i * AGR ‥‥ INFL の一致 主語 NP と AGR が同じ指標を与えられ、規約 ( convention ) により INFL もその指標を持つ d- 構造
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同一指標付け b. について c. について s- 構造において、全ての A 位置が指標を持ち、 移動先になった A 位置も指標を持つ s- 構造において、全ての A 位置が指標を持つ ことを保証している
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移動について 着陸地点 ( landing site ) 移動先になれる位置 ex ) θ 位置である主語位 置
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移動について 移動について 可能な移動 [NP,S] 位置への移動( NP 移動) COMP への付加( wh- 移動 /wh- 解釈規則) S への移動( QR )
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移動について wh- 解釈規則 ( wh-construal ) 統語部門で動かされなかった全ての wh- 区を COMP に移す ex) “Who ate what?” について d-str: [ S ’ [ COMP ]] [who INFL eat what]] s-str: [ S ’ [ COMP who i ]] [e i INFL eat what]] LF : [ S ’ [ COMP what j [ COMP who i ]] [e i INFL eat e j ]]
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移動について 付加 ( adjunction ) α に β を付加すると α と β を直接支配するもう一つ の新しい α ができる ex) LF での数量詞 NP の移動 = QR ( Quantifier Raising, 数量詞繰り上 げ) s-str: [ S an oak i INFL grow from every acorn j ] LF : [[ S every acorn j ] [ S an oak i INFL grow from e j ]] → S に句を付加する
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下接の条件 下接の条件 ( subjacency ) α 移動のどんな適用も境界接点を一つ以上超え てはならない
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下接の条件 ピットストップ ( pit-stop ) 特性 境界接点を NP と S であるとしたとき、補文節か らは「長距離」移動が可能となる the man who i [ S I think [ S ’ that [ S you said [ S that [ S you had seen e i ]]]]] ex)
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下接の条件 ピットストップ ( pit-stop ) 特性 関係節あるいは埋め込み疑問文では移動できない the man who i [ S I identified [ NP the dog [ S ’ which j [ S e j bit e i ]]]]] ex) the man who i [ S I wonder [ S ’ which woman j [ S e i married e j ]]]
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