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Published byのぶみつ じゅふく Modified 約 8 年前
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6 . 9 解析シミュレーションについて 計算科学技術の観点から事故から伺える(で明らかとなった)課題の 分析 2013 年 9 月 3 日(火) 計算科学技術部会 中島 憲宏 (日本原子力研究開発機構)
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1. SPEEDI (System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information) 2.耐震計算 3.津波数値計算 4.過酷事故解析
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1. SPEEDI (System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information) 3 月 11 日の事故当初から予め決められた指針に沿った役割を果たし、単位放出を仮定した 予測結果は緊急時モニタリング計画に、放出量逆推定に基づく線量予測は甲状腺被ばくのス クリーニング検査に活用された。 複雑な気象状況下でも、大気拡散の時・空間的傾向の再現性は高く、予報としての適時性 もあったが、放出量が不明であり絶対値が不確実という理由で避難行動の参考に活用されな かったことが批判を受けた。 気象災害に対する防災の体系と比較すると、避難行動に活用されなかった原因は、予測に どの程度の不確実性があるかを判断し、それを専門的洞察やモニタリングデータで補う知識 と経験、予測を検証・修正するためのデータ収集能力の欠如に原因があったと考えられる。 そのため、不確実性を含みながらも、予見能力と瞬時の全体把握というモニタリングには 無い大きな特徴を持つ計算シミュレーション技術を活用するためには、気象情報や環境モニ タリングデータの集約と、大気拡散モデルの開発や実測による検証研究等の経験を持つ専門 家の招集が重要である。 SPEEDI は、放出源情報が無い場合でも相対的な分布予測を一定の信頼性を持って提供し ており、かつ2年以上にわたり予測結果を配信し続けるなどシステムとしての頑強さも証明 した。このような状況を考慮すれば、 SPEEDI は今後も今回の事故対応の経験を生かし維 持・発展させていくべきである。 放出源情報の提供元として ERSS が想定されていたが、これまでの過酷事故解析コードが、 実際の事故をどの程度再現できるのか、放出源情報の供給元となり得るのかを検証する必要 がある。
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2.耐震計算 ● 少なくとも津波被害を受ける迄、施設の「冷やす」、「止める」の過程が確実に進んだ。 ①当時の耐震設計(最大加速度に基準化された地震動の動的解析)は有効であった。 ②建設後も、「耐震設計審査指針」等の提示、改訂に伴い、 耐震安全性評価に計算科学を利用したことは、有効であった。 ● 常に最先端計算機性能を活用した数値計算技法を活用や確率論的地震動評価とリスク評価 手法 を積極的に導入し、一層合理的な「想定」を導く努力の継続要。
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3.津波数値計算 ● 津波を想定するための地震規模が,東北地方太平洋沖地震より結果として小さかった。 ①津波の歴史上の記録から地震の最大規模を如何に想定すべきか。 決定論的と確率論的の両者の手法に共通 ②想定する津波の規模が大きくなり、津波が発電所敷地内に遡上・氾 濫・水位低下した時の影響を評価する手法が必要。 項目は,浸水量,圧力、波力、漂流物挙動とその衝突力、底質挙動 ● 常に最先端計算機性能を活用した数値計算技法を活用や確率論的津波評価とリスク評価手 法 を積極的に導入し、一層合理的な「想定」を導く努力の継続要。
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4.過酷事故解析 ● 事故の根本原因:長期にわたる全電源喪失の対策が現実に必要であるとの認識に至らな かった。 ● これまでに MAAP 、 MELCOR 、 SAMPSON 等のコードによる解析がなされてきたが、その 結果は事故後に実測されたプラントデータを再現できない部分があった。その主な理由は、 解析コードにおいても長期にわたる全電源喪失時に現れる物理現象をモデル化していな かった点にある。具体的には、 ①炉内核計装管の破損や逃し安全弁ガスケットの高温劣化による炉内蒸気のドライウェ ルへの直接漏洩 ②原子炉隔離時冷却系や高圧注水系の部分負荷運転 ③格納容器から原子炉建屋へのガスの漏洩 ④圧力抑制プールにおける蒸気の部分凝縮 ⑤消防車による代替注水時における分岐流の存在、等 ● 現在、「炉内状況把握・解析」の国のプロジェクトおよび国際的には OECD/NEA の福島ベ ンチマーク解析プロジェクト (BSAF) が進行中である。これらのプロジェクトの中で、上記 した諸現象のモデル化・コード改良、および解析が進められており、現実的な事故事象の 再現解析が待たれる。
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