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高大連携 大学出前講座 長崎北高校 2012/10/11 長崎大学 薬学部 教授 西田孝洋

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1 高大連携 大学出前講座 長崎北高校 2012/10/11 長崎大学 薬学部 教授 西田孝洋
『クスリの宅配便』 高大連携 大学出前講座 長崎北高校 2012/10/11 長崎大学 薬学部 教授 西田孝洋

2 今回の大学セミナー内容 クスリの宅配便  新しいクスリの開発では、クスリを適切な時間に必要量だけ、からだの効いて欲しい場所に正確に送り届ける運搬システム(DDS、ドラッグデリバリーシステム)が、注目されており、宅配便によく例えられます。一般的には、クスリの形(錠剤、カプセル剤など)や化学構造を変えることで、DDSは実現されます。  今回の大学セミナーでは、クスリの歴史や開発方法の説明から始まり、DDSの手法や遺伝子治療などについて分かりやすく解説します。さらに、薬学部で学ぶ際に必要となる高校の科目分野や薬学部の紹介もしたいと思います。

3 薬の探索方法の例 アスピリン(鎮痛薬) ペニシリン(抗生物質) タクロリムス(免疫抑制薬) ①伝統薬 ②偶然の産物 ③大規模なスクリーニング
植物、動物 ②偶然の産物 失敗・発見からのひらめき 当選確率 宝くじ1等: 医薬品: 約1千万分の1 約1万分の1 土壌などから ③大規模なスクリーニング 一攫千金!

4 アスピリンはヤナギの皮から見つかった! 東洋:ヤナギの枝を噛んで歯痛を静めた 西洋:ヤナギの葉や樹皮を飲んで、腹痛や頭痛を治した
 日本でヤナギの楊枝(ようじ)を使うのも、楊枝という名がヤナギの枝をさしている。

5 薬ができる過程 10~18年 候補物質 薬の候補物質 薬(医薬品) ①化学合成や天然物 ②薬理作用でスクリーニング ③動物実験 ④臨床試験
(ふるい分け) ③動物実験 ④臨床試験 ⑤承認申請 薬の候補物質 ・市販後調査 ・医療現場での適正使用 薬(医薬品)

6 薬をつくるためには、研究開発のウエートが高い
薬を開発するための費用 約350億円 14 % 東京ドーム:350億円 売上高に対する研究開発費の割合 全産業の平均: 2.7 % 電化製品 6.2 % 自動車 4.5 % 薬をつくるためには、研究開発のウエートが高い

7 非臨床(動物)・臨床試験 非臨床試験 ・薬効薬理 ・安全性・毒性 ・薬物動態 ※ 吸収、分解 臨床試験 ボランティア 患者

8 非臨床試験に用いられる実験動物 ・ラット ・ウサギ ・マウス ・モルモット ・ハムスター ・イヌ ・サル
どの医薬品も動物の犠牲無しには世に出ない! ・ラット ・ウサギ ・マウス ・モルモット ・ハムスター モルモット ・イヌ ・サル ビーグル犬 ラット

9 医薬品・剤形開発の歴史 化学合成 生体を利用 バイオテクノロジー

10 ヒトゲノム解析計画  ヒトの設計図である8万の遺伝子、そしてそれを形成する約30億対のDNA塩基。これらをすべて解読し、DNAの配列及びその一つ一つの役割を明らかにしようという壮大なプロジェクトがヒトゲノム解析計画である。ヒトゲノム解析は、遺伝子疾患の原因追究やその治療法開発に応用できる。

11 ポストゲノム時代の新しい医療システム 遺伝子治療 根本治療への期待 遺伝子診断 適切な薬物治療、疾患の予防 病因遺伝子の解明
新規なドラッグデザイン ヒト遺伝子情報の解明 特定の病気にかかりやすい 体質などの研究 遺伝子治療 遺伝子情報に基づく 新しいアプローチの新薬開発 効果的で副作用の少ない 薬物治療

12 テーラーメイド医療  すぐ手に入る既製服は手軽で便利だが、体格に合わないとサマにならない。効果がない“出来合い治療”であるなら、副作用が深刻だ。そこで、身の丈に合わせた注文服のように、患者の体質や病状に適したクスリを開発し、投与する医療を「テーラーメイド医療」と呼ぶ。遺伝子レベルで病気の原因や、個人によるクスリの効き目の違いがあらかじめわかるようになる可能性が出てきたため、急速に注目を集め始めた。

13 新薬開発の成功率 スクリーニング: 約32万化合物 0.017 % 医薬品:53個 医薬品開発の障壁(薬物体内動態):
 約32万化合物 0.017 % 医薬品:53個 医薬品開発の障壁(薬物体内動態):  副作用や相互作用、分解が速い、吸収が悪い

14 薬が効果を発揮するには、最適な濃度範囲がある
毒性 薬の濃度 治療域 無効 時間 取り返しのつかない事態が起こる!

15 「薬の宅配便 ドラッグデリバリーシステム」
「薬の宅配便 ドラッグデリバリーシステム」 長崎新聞 ※ 薬剤学研究室HPに詳細な情報

16 様々なオプションを備えた『薬の宅配便』 ●化学修飾 ●剤形修飾 ●投与経路・手法 作用部位 その他の部位 飲み薬 貼り薬 注射薬 吸収 安定
時間 速効 薬の宅配便 DDS号 適量 徐放 作用部位 その他の部位

17 プロドラッグ(化学修飾した薬) プロドラッグ修飾の要点
 そのものは活性がないが、体内で変化を受けて生物活性のある薬物が生成するよう分子設計された化合物をプロドラッグ(prodrug)という。 プロドラッグ修飾の要点 溶解性 吸収性 安定性 指向性

18 プロドラッグの薬効発現 吸収バリヤー 薬効 プロドラッグ 修飾 親薬物への 復元 脂溶性↑ : 親薬物 : 修飾基 : プロドラッグ

19 プロドラッグの代表例 最近の新薬はプロドラッグが多い アスピリン フルスルチアミン (アリナミンA) 胃腸障害の防止
サリチル酸のプロドラッグ ビタミンB1のプロドラッグ 胃腸障害の防止 吸収性の向上、代謝分解の抑制 最近の新薬はプロドラッグが多い

20 剤形修飾:体内で4週間にわたってゆっくり分解
徐放性製剤/リュープリン マイクロカプセル 前立腺がんの治療薬 4週間

21 例:緩和ケアに貢献する製剤 http://www.itaminai.net/

22 投与の工夫:化学塞栓療法 動脈塞栓効果 がんの血管を詰まらせて、兵糧攻めにする

23 新規投与形態の進歩 動注療法 腹腔内視鏡 読売新聞 医療ルネッサンスより

24 隔離灌流治療

25 血管内治療

26 肝臓表面からの吸収を利用した新規投与形態の開発
Liver surface application Normal route Proposed drug distribution in the liver Diseased region 薬物吸収メカニズムの解明 局所ターゲティング能の評価 臨床応用するための吸収制御 他の臓器への応用、遺伝子デリバリー

27 Schematic diagram of liver surface application in rat
Diffusion cell Area: 0.64 cm2 I.D.: 9 mm Model compounds Phenolsulfonphthalein (PSP) Bromphenol blue (BPB) Bromosulfonphthalein (BSP) FITC-dextrans (FD-4, FD-10, FD-40, FD-70) Sampling Plasma Bile Urine Liver Diffusion cell Liver A cylindrical diffusion cell was attached to the liver surface (left lateral lobe) of male Wistar rats ( g) with the biocompatible glue Aron Alpha. Compounds (0.1 ml) were added into the diffusion cell. Rat Nishida et al, J. Pharm. Pharmacol, 46, 867, 1994

28 Liver concentration of PSP at 30 min after application to liver surface (LSA) or i.v. administration in rats † ** ■:Site 1 ■:Site 2 ■:Site 3 Site 2 Site 3 Site 1 Concentration (µg/g liver) Nishida et al, Pharm. Res., 22, 1331, 2005 Site 1: 投与部位(拡散セル直下) Site 2: 投与部位以外の外側左葉 Site 3: 非投与葉 * LSA 30 min i.v. 30 min *p < 0.01, **p < 0.001, vs. site 3 †p < 0.001, vs. site 2 FD-70の実体蛍光顕微鏡による観察 (拡散セル内に投与、2 hr後)

29 Liver concentration of 5-FU after LSA in rats bearing Walker 256 carcinoma
Concentration (µg/g liver) Nishida et al, Pharm. Res., 22, 1331, 2005 Time (min)

30 Application to gene delivery
実体蛍光顕微鏡による観察 肝臓 皮膚 カテーテル(SURFLO®)  内径 0.60 mm  外径 0.85 mm 腹壁 薬液 Kawakami et al, BBRC, 294, 46, 2002 Hirayama et al, Pharm. Res., 20, 328, 2003 現在の検討項目(麓 准教授)  移行・発現メカニズム、テーラーメイド型

31 薬学部の特徴 (利点) ◎様々な研究分野 ◎つぶしが効く(研究、就職) ◎薬剤師国家資格取得 ◎新薬開発のビッグチャンス (ゲノム創薬)

32 アスピリンの化学合成 物質名? どのようにして原物質から合成するか?

33 アスピリンの定量分析 分光法:物質の発色などで定量 光も波である 毎日新聞HPより

34 アスピリンの安定性 反応速度が反応物質の濃度に 比例する [ A ] = ?

35 アスピリンの作用 プロスタグランジンの生成を阻害 体の中で作られ、 極微量で作用する物質 ホルモンとは

36 Aspirin from Wikipedia
 Aspirin, or acetylsalicylic acid is a salicylate drug, often used as an analgesic to relieve minor aches and pains, as an antipyretic to reduce fever, and as an anti-inflammatory medication. It also has an antiplatelet or "anti-clotting" effect and is used in long-term, low doses to prevent heart attacks, strokes and blood clot formation in people at high risk for developing blood clots. It has also been established that low doses of aspirin may be given immediately after a heart attack to reduce the risk of another heart attack or of the death of cardiac tissue. Pharmacokinetic data Bioavailability Rapid complete absorption Protein binding 99.6% Metabolism Hepatic Half life 3.1–3.2hrs Excretion Renal Physical data Density 1.40 g/cm³ Melt. point 135 °C Boiling point 140 °C Solubility in water 10 mg/mL

37 卒業後の進路:薬学の幅広い職業分野 病院・地域社会の薬剤師 創薬・製薬 研究・教育機関 医療・薬事行政 化学・食品 他の専門分野 薬の責任者
(育薬) 70 % 18 % 創薬・製薬 薬を作り出す (創薬) 研究・教育機関 薬学の教育・基礎研究 医療・薬事行政 国民の福祉に貢献 化学・食品 他の専門分野 長崎県庁 薬学の幅広い知識・経験を生かす

38 創薬における4年制と6年制の役割 候補物質 薬の候補物質 薬(医薬品) ①化学合成や天然物 ②薬理作用をスクリーニング ③動物実験
4年制 候補物質 ③動物実験 ④臨床試験 ⑤承認申請 6年制 薬の候補物質 ・市販後調査 ・医療現場での適正使用 薬(医薬品)

39 長崎大学 薬学部の特徴 ●歴史が古い(120年) ●近代医学発祥の地 ●教育・研究の充実 ●医歯薬学の総合大学院
学食も安くておいしい ●6年制と4+2年制とのバランス ●新カリキュラム(特に実務実習)へのスムーズな移行 出島 ●地元(OB・OG) ●国立大学法人(学費) ※ オープンキャンパス(7月中旬)

40 創薬 臨床 長崎大学薬学部 研究室 (4年制) (6年制) 医歯薬の連携 (教育・研究) 基礎系の充実 (理工農) 他にはない内科実習
化学系 ●薬品製造化学 ●医薬品合成化学 ●薬化学 ●天然物化学 ●薬用植物園 ○薬品構造解析学 生物系 ●細胞制御学 ●感染分子薬学 ●分子薬理学 ●薬品生物工学 臨床薬学系 ●薬物治療学 ●医療情報解析学 ●薬剤学 ●病院薬学 創薬 (4年制) 臨床 (6年制) 医歯薬の連携 (教育・研究) 物理分析系 ●薬品分析化学 ●機能性分子化学 ●衛生化学 医学系協力講座 ○治療薬剤学 ○臨床病態薬学 ○感染症予防治療学 基礎系の充実 (理工農) 他にはない内科実習 長崎大学病院

41 早期体験:医療現場、企業・研究所 6年制 4年制 3年次後期より研究室配属: 研究遂行力や英語力 1年次に病院・薬局を早期体験
写真:長崎大学病院薬剤部 4年制 1年次にインターンシップ 写真:長崎県環境保健研究センター 3年次後期より研究室配属: 研究遂行力や英語力

42 長崎大学薬学部HP http://www.ph.nagasaki-u.ac.jp/ 薬剤学研究室HP
プレゼンファイルの ダウンロード 薬剤学研究室HP


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