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「IT革命か、ITバブルか」 by 佐々木スミス三根子
京都大学 経済学研究科 依田高典
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史上最長の米国景気拡大 1991年3月から史上最長 4%の成長率・失業率/低いインフレ圧力 ゴルディロックス・エコノミー 潜在インフレ懸念(グリーンスパン) 「ニューエコノミー論」の定義 経済学者の信奉者は少ない 3つの定義 (1)ITやバイオ技術によるデジタル化・ハイテク化の総称 (2)技術革新による生産性の伸びとグローバル化によるインフレ懸念の後退 (3)景気循環の消滅と半永久的な好景気
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肯定論 ウォール街に多い意見 定義(3)を信奉し、技術革新が生産性を上昇させ、インフレを抑制し、景気循環は消滅 堅調な景気拡大、失業率とインフレ率がともに低下 レーガン大統領の減税・規制緩和の成果 否定論 「ニュー・エコノミー」など存在しない 「ソロー・パラドックス」コンピューターによる生産性の伸びは観察されない ITやバイオによる構造的変化はなく、マクロ金融政策の舵取りのおかげ
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中間論 多くの経済学者(含むグリーンスパン) ITによる生産性の上昇によるインフレ抑止効果 半永久的にインフレや景気循環が消えたのではない NAIRU(インフレを起こさない失業率)が6%から4%に低下 潜在成長率も2.5%から3.5%へ上昇 過去一世紀で一、二度しかない技術革新。生産性を押し上げ、インフレに対する抵抗力。金融政策も変化すべき。 良好なファンダメンタル (1)強いドルと安い国際商品価格 (2)ベビーブーマーの年齢の上昇が失業率を低下させている (3)規制緩和とグローバル化で、労働組合の交渉力が低下
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米国は軟着陸できるか 1998年の大手ヘッジ・ファンドの経営危機 緊急的金融緩和 高株価の資産効果による貯蓄率の低下 経常収支の赤字幅の拡大 1999年6月以降FRBは金融引き締め体制に 米国の株価 株価はバブルか 多くの経済学者はそう考えている ガルブルレイス、キンドルバーガーの警鐘 1999年夏時点で40-50%の過大評価 しかし、1980年代の日本と同じではない 現時点で金融政策の引き締めに比較的限定的な反応しかしていない
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中央銀行の役割 キンドルバーガー、ガルブレイス、サミュエルソン 中央銀行は資産インフレを経済目標に含むべき ソロー、ブラインダー 物価のほかに成長率も含むべき ほかの学者 あくまで物価の安定のみ 金融の引き締めでバブルをつぶすことは邪道 過去9回の景気後退は老衰ではなく、すべて金融引き締めの結果 クラッシュランディングではなく、ソフトランディングできるか グリーンスパンに対する高い評価 中央銀行の役割の限界?
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日本との相違 日本に多いバブル同一論 米国の財政黒字、いざとなれば減税によるカンフル剤 米国が日本と同じ政策的間違いを犯したときのみ、デフレ基調・流動性の罠に陥る危険性 日本の弱点:銀行制度の規律と監督が弱かった 日本再生へ 日本のデフレ的状況 サプライサイダー型の大幅減税? 秩序ある金融緩和? 調整インフレ論? 日米通貨同盟?
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「インターネットの経済学」 by佐々木スミス三根子
京都大学経済学研究科 依田高典
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インターネットに対する評価 革命説 「通信技術革命」グリーンスパン 「バーチャルなユニバース」フリードマン 「マイクロエレクトロニクス、コンピューター、テレコム、新素材、ロボット、バイオの技術融合による第三次産業革命」サロー 普及までの年数(4分の一の家庭、5000万人) 活版印刷機 数世紀 家庭用電気 50年 電話 35年 ラジオ 38年 テレビ 13年 CATV 10年 インターネット 5年
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革命否定説 クルーグマン「インターネットはFAX程度」 ローマ「米国の好景気は巧妙な金融政策」 カード「インターネットは電気・自動車・ロケットに比べて革命的か」 「スタンダードな革命」説 デゥロング「不断な革命の一つ」 ヴァリアン・シャピロ「企業戦略は変わるが、経済法則は変わらない」「情報経済のネットワーク効果による独占化」 多くの経済学者 突然変異的な革命ではなく、長年のITが加速的に開花している。100年前の電気の発明と普及に匹敵。
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インターネット経済 2005年に世界で10億人がオンライン? インターネットエコノミー インフラ部門 35% ソフト部門 19% ミドルウェア 14% Eコマース 32% 米国の4%の成長率に占めるIT産業の貢献度 30%程度 生産性へのインパクト 労働生産性の伸び 1.5%から2.5%へ 資本深化・労働力の変化・コンピューターの質的向上 ニューエコノミー否定論者も、生産性の伸びを認める
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物価へのインパクト 生産性の向上→賃金上昇相殺→物価上昇抑制 IT価格の低下 –8% 平均物価上昇率 1% 資産価格・富へのインパクト 資産価格インフレと富の格差の拡大 ハイテク株のPERは高く、ポートフォリオが妥当しない世界 フリードマン「貧困はなくならない」 多くの経済学者「経済成長に関らず、経済格差は拡大」 デゥロング「高校の質改善・職業教育の拡大」 コブリン「世界的なデジタルデバイドの懸念」
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「内生的な成長論」 技術革新の収穫逓増の法則が長期的成長を促進 独り勝ち市場的な産業構造 QWERTY的経路依存性 シュンペーターの技術革新内生論 ローゼンバーグの再評価 「技術は経済成長の内生的要因」 「資本主義とは進化的なシステム」
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ネット金融取引 証券→銀行→保険 ナスダックの取引の30%がオンライン証券会社 ユニバーサル・バンクからスーパーマーケット・モデルへ 今後のインターネット利用者数の拡大が鍵 手数料 支店1ドル、ATM27セント、インターネット1セント 米国で遅れる振り込みの電子化 Eキャッシュのような少額支払い用のインターネット・キャッシュの必要性
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ベンチャーキャピタル シリコンバレー現象 ベンチャーキャピタルのクラブと企業家のクラスター 資本提供のみならず、ガバナンス機能の遂行 年金基金・大学基金・企業の資金が主 日本の銀行「技術の地図」を描く能力 失敗に寛容な社会的風潮 2度の失敗を活かし、3度目で成功
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インターネット税 1998年のインターネット税のモラトリアム フリードマン インターネット税は困難、小さな政府に貢献 デゥロング、コブリン 政府に規模は選挙で決めるべき 税金中立性の基本原則を守るべき 世界租税機構の提唱 インターネット政策 プライバシー、知的財産権 インターネットの急速な拡大、早急に政策を議論すべき
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大学の役割 ARPAとカーネギーメロン・MIT・スタンフォード・バークレー インターネットのオープン性は大学で開発されたため 文部省管理をなくし、研究インセンティブを強化すべき 以上
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