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―本日の講義― ・計量経済学とは ・入門計量経済学で学ぶこと ・授業の進め方と成績評価
入門 計量経済学 第01回 ―本日の講義― ・計量経済学とは ・入門計量経済学で学ぶこと ・授業の進め方と成績評価 清水千弘(Chihiro SHIMIZU)
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1.計量経済学とは? 1.1.計量経済学とは 「経済理論に実証的な内容をもたせ,それらを立証したり,反証したりするために,経済データの分析に経済的・数学的方法を応用すること」G.S.Maddala 数理統計学 vs. 計量経済学 数理経済学:数学の応用分野として導出された理論が必ずしも実証的な裏づけを持たない But.経済データの統計的分析をはじめるにも,適切な経済理論を数学を用いて明確に定式化しておくことは必要となる。 →経済数学の同時受講が望ましい 1.2.経済モデルと計量モデル 計量経済学と統計学:統計学を基礎とする 計量モデルの構築:モデルとは→現実の社会の動きを単純化して表現するもの 複雑な経済社会を単純なモデルで説明できるか モデルの前提になる仮定は現実的であるか 1.3.計量経済学の目的 計量モデルの構築/特定化 モデルの推定,検定/推測 予測+政策判断
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経済学とは選択の科学である!統計学は科学の文法である!
経済学は,社会科学の一分野 自然科学との違い1.研究方法 法則性が,自然科学と比較して不確実 検証が困難→実験経済学の登場 数学(法則性)+事実の列挙と分類の重要性 自然科学との違い2.研究対象 社会科学には,人間という不可解なものが含まれる 研究者のイデオロギー的立場の違い 科学的分析のフレーム 科学的説明の枠組み 演繹モデルによる説明 帰納的モデルによる説明 人間感情と科学
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計量経済学と科学的分析 一定の規則と手続きにのっとって分析を行う。 Aが起きたときに,Bも引き続き起こる→接近 原因は結果よりも時間的に先行する→継起 関係を明確にする(Path解析) 因果関係(原因と結果) 相関関係 対立関係 共通関係 Trade-off 哲学的に深く考察した最初の人:ヒューム 科学の分類 書斎科学・実験科学・野外科学 経済学は,もともと書斎科学+実験科学 野外科学の方法 方法論の体系化 問題提起と内部探索・外部探検 計量経済学は,生きた経済を対象として,実験を行う。単なる理論の検証を越えて,現象から新しい理論を創造することもできる。
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数学(法則性)+事実の列挙と分類の重要性 自然科学との違い2.研究対象 社会科学には,人間という不可解なものが含まれる
社会科学とは? 経済学は社会科学の一分野 自然科学との違い1.研究方法 法則性が,自然科学と比較して不確実 検証が困難→実験経済学の登場 数学(法則性)+事実の列挙と分類の重要性 自然科学との違い2.研究対象 社会科学には,人間という不可解なものが含まれる 研究者のイデオロギー的立場の違い
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伝統的経済モデル/古典派経済学 と ケインズ派経済学 第2回講義ノートより
伝統的経済モデル/古典派経済学 と ケインズ派経済学 第2回講義ノートより 計量モデルの構築にあたっては,どのような経済理論体系で考えるのかによって,モデルが変化してくる。 マクロモデルであれば,マクロ経済理論への精通が求められる。 古典派 ケインズ派 貨幣 生産関数 利潤最大化条件 労働供給関数 貯蓄 利子率
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3.講義の進め方と成績評価 (講義の進め方) 本講義は,毎授業,教材を中心として学習を進める。PCを用いて,実際にデータを分析しつつ,経済モデルと統計理論について学習していく。基本的には,前期には,MS-Excel,SPSSを,後期ではSASまたはTSPを利用する。その利用方法についても授業において解説する。これらのソフトウェアは,実社会においても頻繁に利用するものであるために,ある程度の基本的操作を学習しておくことの意義は高いと考える。 (提出物について) 各授業ごとに,最後に演習問題に回答し,印刷して提出する。提出物は,特に希望がない限り,返却しない。この提出をもって,出席とする。なお,その提出物は,授業の理解度を測るものであり,成績評価には連動しない。 また,試験前にレポート提出を要求する。このレポートは,成績評価の対象となると共に,期末試験を受ける上で必要になる。 (入門計量経済学の受講にあたって) 統計学A.Bを受講済みであることが望ましい 経済数学を同時に受講することが望ましい 計量経済学A.Bを将来に受講することが望ましい (教科書) 『Excelによる回帰分析』朝倉書店 *各自の判断で購入して下さい。 (成績評価) 成績評価は,・授業への貢献(出席状況),・課題提出,・試験の3つから判断いたします。 出席 45%,課題10%,期末試験・レポート45%で評価を行います。試験は,年2回実施します。(レポートのみになることもあります) 基準:14-15回 45点,12-13回 30点,10-11回 10点,10回以下 採点対象としない (質問等) Hour等を利用してください。メイルでアポをとれば,可能な限り対応します。
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不動産市場の予測-意思決定支援ツールとしてのEconomate/清水千弘
計量経済学への応用///東洋経済・エコノメイトユーザー倶楽部1/ 不動産市場の予測-意思決定支援ツールとしてのEconomate/清水千弘 エコノメイトとの出会い 「これから地価(賃料)はどうなるのか?」こんな質問をしばしば受ける。 特に、近年では、資産市場はファンダメンタルズを重視してきているので、実務において収益還元価格を出すためには、将来の不動産収益の見通しを正確に出すことに対するニーズが高くなってきた。そのために、不動産市場を見通す場合、単なる「予想」から説明義務を伴った科学性を持つ「予測」が求められるようになってきた。 当時、研究部にいた私は、自分の得意とする開発言語でモデルを構築していたが、現在の部署への異動に伴い、予測業務を他のものに引き継がなければならなくなった。自分で構築したモデルを他人に引き継ぐ労力は、モデルを作成する以上に大変なものであった。そんなときに、Economateの導入を決断した。 意思決定支援ツールとしてのEconomate Economateを導入して驚いたのが、操作性の良さとデータベースの充実であった。特に、月次データが毎月届けてもらえることは何より嬉しい。操作性の高さが故に、データベースが整っているが故に、簡単なサブモデルを構築し、わずか数十分で結論を導出することができる。社会情勢の変化速度が高まるなかで、意思決定を行う速度を高めることが大きく要請される現在においては、この効用は何よりも大きいのではないか。古くは、ローマ会議でSystem Dynamics(SD)が注目を浴びた頃、計量経済モデルと競った時期があったと聞くが、SDは、いち早く操作性が高いソフトが多く開発され、理論的な裏付けがないとされるその欠点を補うだけの操作性の高さを確保したが故に、シミュレーションまたは意思決定支援ツールとして根強く支持されている。 そもそも予測とは、意思決定支援のための科学的手続きではあると考えるが、Economateの誕生により、計量経済モデルが、多くのものに門を開くと共に、本当に意味での意思決定支援ツールとなってきたことが、何よりも嬉しいことである。 不動産の市場予測? また話を戻して、「これから地価(賃料)はどうなるのか?」といった問題を考えよう。エコノメイトが供給してくれる年次モデルのなかでは、私どもの「市街地価格指数」のデータを用いて、地価予測をしてくれている。しかし、実務のなかで不動産市場を予測しようとした場合には、不動産自体に地域性が強く反映されているために、地域的特性を十分に反映させることが必要とされる。現実にバブル期において、地価が大きく上昇した地域は、三千を超える自治体のうち数十都市である。そのため、まず地域単位の時系列分析に耐えうる不動産価格情報の整備を行い、地域モデルを構築し、市場予測を行った。 しかし予測は、必ずしも的中するものではないため、批判の対象にもなる。モデルの開発者としては、予測が的中することよりもはずれることを望む。つまり、なぜはずれたのか、その原因を追及することの方が重要なのである。そしてモデルを改善する、または別のシステム(アンケートなどを通じてDI作成)を通じて相互補完することを考える。予測システムとは、単一の計量経済モデルではなく、複数のモデルの集合体であるべきだ。 Economateの誕生は、計量経済モデルを意思決定支援ツールに計量経済モデルを進化させると共に、各組織に根付いた予測システムづくりの環境を提供してくれたと考える。これから都道府県モデルが供給されると聞く。さらなる発展を期待したい。
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Economateが果たした役割-計量経済学・統計教育への貢献- /清水千弘
計量経済学への応用///東洋経済・エコノメイトユーザー倶楽部2/ Economateが果たした役割-計量経済学・統計教育への貢献- /清水千弘 不動産金融市場の登場 J-REIT(日本版不動産投資信託)の上場をはじめ,不動産の証券化が本格化し不動産市場と金融市場が融合する過程で,不動産市場を科学的に分析することが必要不可欠な行為となってきた。不動産市場を,単なる実務者の経験と感だけではなく,シナリオが明確な形で透明度の高い分析が求められている。それは,単なる現象面を重視する金融工学的なアプローチだけではなく,経済学的な理論体系に裏付けられた計量経済学的接近法は,極めて重要な行為となる。具体的には,オフィスや住宅の供給動向は?,雇用者数などの需要サイド動向はどうなっていくのか?,またはそれらの動きが経済全体のなかでどのように決まっているのか?,価格に対してどのような影響をもつのか?,などを整合性をもって予測していくことが求められる。 さらに,このような市場の変化の中で不動産鑑定評価基準が改訂され,この秋からはDCF法(Discount Cash Flow Method)が鑑定実務のなかに登場する。ここでも,キャッシュフローの予測が不可欠となり,その予測シナリオを明確にしていくことが求められる。不動産金融市場の登場は,不動産市場分析を科学的なレベルに進化させることで,統計分析または計量経済学的接近法を必要不可欠なツールとしてきたのである。 オフィス立地動向と地域計量モデル・産業構造のリンク 例えば,オフィス需要の動向を予測しようとした場合,産業構造と企業の立地動向が一致することが多いため(例えば金融街・出版街など),産業構造の変化を観察することが必要となる。オフィスの需要は,一般には「就業者一人あたりのオフィス床面積×就業者数」として求められ,県別・行政市区別などの地域特性を加味しようとすればするほどに産業別の動向が重要な情報となる。そのようななかで,Economate-IOとリンクできることは,この種の分析を行うものにとって,極めて有益な分析機会を提供してくれる。 また,不動産市場分析は,地域性が強いために,日本全体を対象としたモデルでは極めて利用しにくい場合が多かった。近年においては,都道府県別モデルなどの地域計量モデルが提供されるようになった。不動産市場分析の裾野を広げるとともに,大きな進化をもたらす機会を提供されたと思う。 Economateの果たした役割と今後 Economateの登場は,計量経済モデルを多くの実務者に対して開放することとなった。かつては,計量経済モデルは一部の研究者によってのみ開発されるものであったため,一般利用者は無知であるがためにブラック・ボックス的なものとして結果のみを利用してきたといえよう。Economateは,モデルそのものを解放し,実務者に試行錯誤させることで,モデル全体の透明感を高め,間接的に計量経済学・統計教育を行ったという意味での市場への貢献は大きいと考えている。例えば,Economateとの出会いがなければ,計量経済モデルに触れることがなかった実務家は少なくないのではないか。経済全体の構造がめまぐるしく変化するなかで,計量経済モデルの限界を指摘する声も大きい。しかし,逆に市場が複雑化していくなかでは多くのシナリオを用意していくことが必要となるものと考える。その場合には,計量経済学的な接近法は必要な手段となってくるであろう。経済的な変動に伴うリスク管理をしていく上で,その重要性が高くなってくることを感じている。 Economateユーザーの裾野を広げることで,さらには事業リスクなどを直接に行っている主体に対して啓蒙・普及させることで,不動産市場に代表される非効率的な市場の改善を行うとともに,経済全体のリスク管理を科学的に行う文化が日本に根づいていくことを期待したい。 2002年7月16日
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