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メンタルレキシコンの学習:子どもはどのように単語の 意味を学習するか

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Presentation on theme: "メンタルレキシコンの学習:子どもはどのように単語の 意味を学習するか"— Presentation transcript:

1 メンタルレキシコンの学習:子どもはどのように単語の 意味を学習するか

2 子どもはことばをどのように おぼえるか 親が教えてそれを模倣する? ほめられようとしてことばを覚える?
何度も何度も繰り返し教えられてはじめて覚える? 何度も間違いを直されて覚える?

3

4 ことばの学習のパラドックス ことばの内包をもたず、状況中の手がかりのみからことばの指示対象を同定し、その外延範囲を決定することは論理的には不可能に近い それにもかかわらず子供はことばの一事例を与えられただけで即座ことばに意味付与をしている。

5 カテゴリーの推論 「リンゴ」 「どれがリンゴ?」
ことばを学習するのにどうして推論が必要なのでしょうか?子どもはことばを辞書の定義で教えられて学習するわけではありません。ことばが使われるのを観察し、自分で意味を推論します。例えばある対象が「リンゴ」だと教えられたら対象とことばの連合のみで「リンゴ」という語の意味が学習できるか、というとそうではありません。リンゴという語の意味がわかる、ということは他のどの対象がリンゴで他のどの対象がリンゴでないかを判断できなければなりません。つまり、カテゴリーを推論することが必要とされるのです。 しかし、この推論とともにことばの学習のためにはより基本的な推論機構が必要です。

6 ことばの意味の二側面 「内包」と「外延」 外延:当該のことばの指示対象の集合     内包によって決定される 内包:当該のことばが指示する概念

7 外延と内包の関係 内包は外延の成員の共通性から帰納される 外延は内包によって決定される

8 ことばの学習のパラドックス ことばの内包をもたず、状況中のてがかりのみからことばの指示対象を同定し、その外延範囲を決定することは論理的には不可能 それにもかかわらず子供はことばの一事例あるいは少数の限られた事例を与えられただけで即座にことばに意味付与をしているようにみえる。

9 こどもはどのように初めて遭遇することばの意味の推論をしているのだろうか?

10 子供が語に意味を推論するためにしなければならないこと
ことばが発せられた状況下でことばの指示対象を正しく同定する 覚えたことばを他の事物に般用できる。(他のどの事物にそのことばが適用でき、どの事物に適用できないかを正しく判断することができる。)

11 指示対象を同定し、般用するためには… まず、当該の語がどのような種類(品詞)の語であるかどうか決定できなければならない
各々の品詞がイベント中のどの要素に対応するのかがわからなければならない 何に基づいて般用がされるのかがわからなければならない これらのことを暗黙の知識として子どもは持っている

12 名詞と動詞の意味 名詞と動詞では指示する概念の種類、般用の基準が大きく異なる 名詞→事物 動詞→行為や関係

13 (事物)名詞の特徴 環境から「切り出されている」 時空間的に恒常性を持つ 階層構造を持つ

14 動詞の特徴 指示対象が環境中で切り出させれていない 時間軸に沿ってダイナミックに変化 モノとモノとの関係を指示する →モノは変数

15 子どもは名詞の意味をどのように学習しているか

16 日本語における名詞学習の問題 日本語の場合、名詞の中の種類が文法的に指標されない →固有名詞対普通名詞、物質名詞対物体名詞が形態としては区別されない 文法的手がかりの欠如は日本人幼児の名詞の語意推論に影響を与えるのか?(つまり欧米の子どもに比べ、日本人の子どもは名詞の学習が困難なのか?)

17 知らない人工物についた 新しいことば

18 知らない動物についた 新しいことば

19 未知の事物につけられた未知の名詞の般用 幼児は対象が動物(つまり固有名詞がつきやすいもの)でも人工物でも、まず新しい名詞は普通名詞と想定する。 色やサイズ、素材の違いは無視して形の類似性にしたがって般用する。(形状類似バイアス)

20 物質の名前と物体の名前 日本人幼児は物質と物体を区別する文法的手がかりなしで、物体名と物質名では異なる般用の基準を適用しなければならないことを理解しているか? 物体→全体の形状の類似性 物質→形状は無関係、物質の同一性に注目

21 Imai & Gentner, 1997

22 Imai & Gentner, 1997

23 2歳になったばかりの子どもでも、アメリカ人幼児と同様に物質名と物体名に対して異なる(そして正しい)般用の基準を用いることができた。

24 すでに名前を知っている人工物についた新しい名前
Imai &Haryu, 2001

25 すでに名前を知っている動物についた新しい名前
Imai &Haryu, 2001

26 幼児は異なる名詞が同じ対象を指示した場合、ふたつの語はまったく同一ではないことを理解している。(対比の原理)
動物は固有名詞の対象となるが、人工物には固有名詞はつきにくいことを理解している。

27 名詞の般用:結論 日本語は欧米の言語に比べ、名詞の意味クラスを示す文法的な手がかりがないにもかかわらず、日本人幼児は非常に合理的かつ柔軟に名詞語意を学習することができる。

28 動詞の意味を子どもはどのように学習するか?
そもそも子どもは動詞は行為を指示すること、つまりモノとモノの間の関係を指示し、モノ自体は変数に過ぎないことを理解しているのだろうか?

29 動詞と名詞の即時マッピング 実験(Imai et al., 2005)
ビデオ画像を見せ、動的なイベントの中で未知の名詞あるいは動詞を聞いたとき、名詞はアクションに独立に事物を指示し、動詞は事物に関わらずアクションを指示する(つまり事物は変数である)というメタ知識を子どもが持っているのかどうかを調べる。

30 実験方法 被験者:日本人幼児 デザイン 2(年齢)X2(条件:動詞条件vs. 名詞条件) 3歳児グループ 29人(男15 女14)
3歳児グループ 29人(男15 女14) 4-5歳児グループ 27人(男13 女14)  デザイン 2(年齢)X2(条件:動詞条件vs. 名詞条件)

31 刺激 実験刺激 一人の人物が物体で特定のアクション を行うシーンのビデオ画像(標準刺激 とテスト刺激) テスト刺激 行為が同じで事物が違う
事物が同じで行為が違う

32

33

34 手順 まず標準刺激を提示し、未知語を導入する。 (動詞あるいは名詞)
まず標準刺激を提示し、未知語を導入する。 (動詞あるいは名詞) 2つのテスト刺激が2つの画面にそれぞれ現れ、子どもはどちらのシーンが未知語を含むかを指さしで示す。 全部で6つの刺激セット。

35 各年齢での動詞条件・名詞条件におけるAction-Same –Object Change選択の割合
* * *

36 結果 5歳: 動詞→事物が変わっても同じ行為へ 名詞→行為が違っても同じ事物へ 3歳 名詞はOK 動詞はランダム反応

37 3歳児がわかっていないこと 動詞が行為を指すこと自体わかっていない?
動詞が行為を指すことはわかっているが、モノが変数だということをわかっていない?

38 インプット言語の影響:日,米、中の比較 (Imai et al., in prep.)
インプット言語の特性が新奇な語意の推論に影響を与えるか否か 与えるとしたらどのような形でなのか

39 日本語、中国語、英語の比較 英語→動詞の項の省略をしない 日本語、中国語→動詞の項は頻繁に省略される
インプットの中の動詞の割合 →日本語、中国語>英語 動詞の屈折→日本語、英語にはあるが、中国語にはない 中国語→語の形態としては動詞、名詞の区別がない

40 英語母語児の場合 名詞条件と3種類の動詞条件 “Blicking” Verb No agent “Watch blicking”
Verb agent “She’s blicking it” Verb bare “Blicking”

41 英語母語児の結果 名詞条件は3歳も5歳もOK 動詞条件→5歳で項を主語も目的語も入れたときのみASを選べる
Verb No agent “Watch blicking” Verb agent “She’s blicking it” Verb bare “Blicking” 名詞条件は3歳も5歳もOK 動詞条件→5歳で項を主語も目的語も入れたときのみASを選べる

42 中国語母語児の場合 中国語は動詞の学習に優位であると言われている Argument droppingのためインプット中の動詞の頻度が高い
屈折などの形態素がつかないので、シンプル

43 中国語母語児の結果 非常に強い事物バイアス→完全な動詞フレームで新奇語を導入した場合でもOSイベントを選んだ
大人はBare条件で、1/3 が事物、2/3がアクションに新奇語をマッピング

44 Are Chinese children truly noun biased even in learning verbs?
Proportion of AS response Adults mapped the verb to the action 100% 7 year-olds: at chance 9 year-olds: finally above chance

45 Do extra linguistic cues help?
All kinds of linguistic cues were provided. One syllable vs. Two syllables (Chinese two syllable verbs often incorporate a noun: e.g., 上校:go to school; 開扉:open a/the door) Emphasis on the aspectual adverb “zai” Present the target verb in three different sentential frames Some effect, but not strong enough to overcome the object bias

46 Manipulation of Linguistic cues

47 We then realized… In the stimuli, just for a second, the actor holds the novel object to show it clearly before starting the motion. This may indicate that the object is important. This did not affect Japanese or English children, but Chinese children may have been much more sensitive to extra-linguistic, pragmatic cues because linguistic cues are not obvious.

48 original First part clipped

49 We removed the object-showing part from the video…
* Verbs were presented as one syllable words in three different sentence frames in both cases. 3-year-olds: Still could not map the verb to the action 5-year-olds: Dramatic improvement!

50 言語普遍的バイアス 名詞のほうが学習が容易 →新奇な語は事物の名前と考えるバイアス 動詞の語意は当初変数である事物を含む。般用は非常に保守的

51 言語特性の影響 項構造の明示化 動詞を表す形態素の有無
英語では重要だが日本語は頻繁に項が省略される →英語母語児は項の明示化が必要、日本語母語児は影響をあまり受けない 動詞を表す形態素の有無 動詞を指標する形態素を持たない中国語を学習する幼児 →名詞バイアスが極端に強く現れる?

52 なぜ動詞の語意学習は むずかしいのか 動詞の意味を理解するためにはイベントを分解し、ある特定の部分(つまり行為)のみの類似性に注目し、変数(事物)の類似性は無視しなければならないから つまり、動詞の学習には高次の(関係にもとづいた)類推(アナロジー)が要求される

53 擬態語(gitaigo /mimetic word)
擬音語・擬声語(onomatopoeia) 人・動物の声や音を真似た言語 例)わんわん ざあざあ びゅうびゅう 擬態語(mimetic word) 視覚・触覚など聴覚以外の感覚印象を言葉で表現した語  例) ふわふわ ふらふら ひりひり にこにこ Gitaigo≠onomatopeia  擬態語は動きや状態、そのほかの感覚を表現することができる。  擬態語は実際の音に依存しない  実際には音のしない感覚や動きを擬した言語音を使用する。

54 従来の言語発達研究における オノマトペ・擬態語の位置づけ
なん語から一語発話への過程で発話されるようになる 1歳・2歳の言語のInput outputともに発話率が高い オノマトペ(特に擬音語)はIconicityが強く、恣意性が一般言語に比べて高いためなん語から一語文への橋渡し的存在であるとされてきた。 擬音語だけでなく擬態語は? →例)縄跳びをしている場面を描写の擬態語表現率   親⇒子  約35%(19/55word)   親⇒大人 約10% (2/21word) 動作への擬態語表現も多く使用されている。

55 仮説 ・動きを表現した擬態語は動詞の使用の移行を助ける橋渡し的役割を担っているのではないか?
・擬態語のもつ音表象が動きの特徴を表現していて語意味推論を助けているのでは? ⇒ 動詞般用課題を用いて擬態語と動詞を比較   動詞学習における擬態語の役割を考察する。

56 実験1 動詞般用 課題 (擬態語と動詞の比較) 目的 動詞般用課題を用いて擬態語と動詞を比較する 被験児
実験1 動詞般用 課題 (擬態語と動詞の比較) 目的  動詞般用課題を用いて擬態語と動詞を比較する 被験児  3歳児 50名(平均月齢 43.1ヶ月 range37-48ヶ月)   視覚刺激   ウサギ・熊 男性・女性が移動する様子を撮影した動画  音声刺激 :別途説明 手続き   保育園の個室で一人ずつPC画面上の動画をみながら行う。

57 刺激作成 予備調査結果(24語) →コントラストの大きい12語を抽出 その語にあわせて動画作成 ↓
 その語にあわせて動画作成           ↓  動画から連想される擬態語表出 (成人15名)  最頻出擬態語を既存マッチ擬態語とする            ↓ 変換を加えてマッチ擬態語を作成 マッチ擬態語と作成した動画のマッチ度評定(成人8名)    マッチ度高:マッチ擬態語動詞 マッチ度低;ノンマッチ擬態語動詞 とする

58 見て!ネケっているよ (新奇動詞条件) 見て!のすのすしてるよ(マッチ擬態語条件) 見て!ちょかちょかしてるよ(ノンマッチ擬態語条件)

59 Test Actor Change test Action Change test

60 結果 マッチ擬態語>新奇動詞=ノンマッチ擬態語 ⇒擬態語マッチのみ有意に正答率が高い。
*  マッチ擬態語>新奇動詞=ノンマッチ擬態語   ⇒擬態語マッチのみ有意に正答率が高い。 動きとマッチした擬態語がラベルの意味推論に影響したと考えられる

61 まとめ 人は幼少時から母語のレキシコンの構造、語の種類、語と概念の対応付け、語の般用の基準などについて暗黙の豊かな知識を持っており、このメタ知識が新しい語の意味推論を可能にする 名詞レキシコンの構造は普遍性が高く、人が持つメタ知識も普遍性が高い

62 まとめ2 動詞レキシコンに関しては、「動詞語意にはオブジェクトは独立」という点は普遍的であるが、lexicalization patternについては言語によって異なる。それにともない、動詞語意に関するレキシコンは言語依存性が高い

63 外国語学習の難しさ 学習者が母語のような豊かなメタ知識をもたない 母語に関するメタ知識が外国語語彙(特に動詞)の学習を阻害

64 まとめ 動詞の即時マッピングは名詞のそれより困難。3歳児は動詞が行為のカテゴリーを指示すること、行為の主体者が変わっても動詞が般化できることは理解しているが、行為において事物が変数であることはまだ理解していない。 動詞の学習に、事物類似性が影響を及ぼす →般用のしかたが保守的で、非常によく似た状況にしか般用しない

65 まとめ(2) 初めて聞く語をアクションの名前ではなく事物の名前と考えるバイアスが存在
そのバイアスを緩和し、動詞を行為にマッピングするのがどの程度容易に行われるか、どのような手がかりが必要かはインプット言語の特性に依存する


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