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(台風セミナー) 台風の発生過程と非軸対称構造の力学
(京都) (台風セミナー) 台風の発生過程と非軸対称構造の力学 メカニズム と 数値モデル 山 岬 正 紀 海洋研究開発機構 地球環境変動領域
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この資料での紫色での記述は講演後の追記である。
講演資料と参考文献は、実行委員の配慮で、 事前に参加者が見れるようになっていたので、 通常の講演形式ではなく、ごく要点のみにふれ、 多くの時間を質問、議論に充てる形式をとった。 したがって、 2時間30分(休憩時間を除いて)の 講演時間であったが、質問、議論できないことも 多かったと思う。 しかし、通常の講演形式より 意義は大きかったのではないかと思っている。 このような形式は初めてのことであった。
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台風は対流の集団効果(熱放出の効果)によって 発生・発達する。
[台風のメカニズム (CISK) に関する研究の経緯] Conditional Instability of the Second Kind メカニズムのうち発生、発達にかかわる不安定性について (第2種条件付不安定) (1) 1960年代の CISK Ooyama (1964), Charney and Eliassen (1964) 摩擦収束が積雲対流を組織化し、 台風は対流の集団効果(熱放出の効果)によって 発生・発達する。 現在でも このCISKが台風を説明する と考えている人は多い? 摩擦収束…反時計回りに回転している渦では 大気と地球表面(海面)の間の摩擦のために 渦中心に向かう流れ(吹き込み)を伴い、 近似的には、風速最大の所より内側で収束 (上昇流)となる。 Syono (1949), Charney and Eliassen (1949) 実行委員が 山岬 (1996) の図をスライドで。他の箇所でもいくつか。
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・ 地表摩擦は弱い渦では効果をもたない*。 (地表付近での風速 5-6 m/s 以下では) ・ 渦は地表摩擦がなくても
(2) 1970年代半ばー80年代前半の研究 Yamasaki (1975, 77a,b, 79, 83) 2次元非静力学モデル ・ 地表摩擦は弱い渦では効果をもたない*。 (地表付近での風速 5-6 m/s 以下では) ・ 渦は地表摩擦がなくても 対流の集団効果によって発生し、発達する。 ・ 風速が 10 m/s 近くになると 地表摩擦は重要な効果を もつようになる。 frictional inflow という形で、 対流の組織化、振舞いに重要な役割を果たす。 ・ 1960年代の CISK (摩擦収束が本質的なCISK) は主に 台風の目の壁雲に限られる (風速15-20m/s以上)。 ・ 目の壁雲以外の対流群 (スパイラルレインバンドや 台風発生前のクラウドクラスター、渦)においては、 雨水の蒸発、コールドプールが重要な役割を果たす。 * 1960年代のCISKに基づくモデルでも、弱い初期渦(たとえば 1 m/s) の発達、 台風強度の渦の発生は表現できる。 しかし、これは正しくない。
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(3) Rotunno and Emanuel (1987) の不安定論
wind induced surface heat exchange (WISHE) 海面からのエネルギーの供給の重要性を強調。 (風速依存性) しかし、その重要性は Ooyama (1969) によって論じられている。 Malkus and Riehl (1960) による研究もあり、 これらは Yamasaki の 60年代後半以後の研究の 基礎であった。 WISHE は CISK とは別のメカニズムではなく CISK の重要な要素 と考えてきた。 筆者はその当時から Yamasaki (1989b) Emanuel (1987) は、また、 熱帯大気は通常、条件付不安定ではないと考え、 Ooyama の CISK を支持していない。 しかし、僅かの条件付不安定(潜在不安定)が重要。 潜在不安定が 対流、CISK の必要条件。 Yamasaki (1989b)
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潜在不安定 (参考) 応用力学講演(2007) より 気象情報で不安定といっているのはこの不安定である。 積乱雲、積雲 をつくる不安定 高度
潜在不安定 (参考) 応用力学講演(2007) より 気象情報で不安定といっているのはこの不安定である。 積乱雲、積雲 をつくる不安定 雲頂 上昇気塊の温度 高度 浮力で上昇できる 湿潤断熱減率で上昇 大気の温度 LFC(自由対流高度) 持ち上げ凝結高度(雲底) LCLまでは 乾燥断熱減率で上昇 LCL A 温度 境界層での空気の温度が高いほど、水蒸気量が多いほど、 上空の温度が低いほど、 不安定は大きく、積乱雲が発達。
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湿潤対流の集団(対流雲の集団)の効果(相互作用) 大きなスケールの擾乱をつくる大気の不安定。 偏東風波動 のような波では wave-CISK
CISK の定義 Yamasaki (1983, 84) 以後 湿潤対流の集団(対流雲の集団)の効果(相互作用) によって、台風や偏東風波動、熱帯収束帯での渦など、 大きなスケールの擾乱をつくる大気の不安定。 偏東風波動 のような波では wave-CISK CISK の 3つのタイプ(次表参照) Yamasaki (1983, 86) (1) 地表摩擦は重要でない CISK (弱い渦) (2) frictional inflow が重要な CISK (台風の発生) ( frictional inflow CISK ) (3) frictional convergence (摩擦収束)が重要な CISK ( frictional convergence CISK ) (eyewall circulation) 1960年代のCISK 雨水の蒸発冷却、コールドプール (1) で最も重要。 この重要性は雷雲などメソ現象に関しては1950年代には指摘されていたが、 CISKでの重要性は Yamasaki (1975) 以後。この論文中で記述はないが、 CISKの必要条件は対流の持続、そのための上記の重要性。
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地表摩擦によって CISK(第2種条件付不安定)の分類 山岬 (2003)
地表摩擦によって コントロールされたCISK 地表摩擦は ( frictionally controlled CISK ) 重要でないCISK 地表摩擦による 摩擦収束 吹込み ( frictional (frictional inflow) convergence) が重要なCISK が本質的なCISK 重力波的なCISK Kelvin wave CISK 非地衡風的な gravity wave CISK CISK (ageostrophic 重力波的ではない 弱い渦、擾乱 CISK) CISK 準地衡風的な ベータ効果は 弱い渦、擾乱 強い渦、擾乱 目の壁雲 CISK 重要でない CISK スパイラルバンド を伴う台風 (quasi-geostrophic を伴う台風 or quasi-balanced ベータ効果が Rossby wave CISK CISK ) 重要なCISK (水平スケール大) 境界層での風速 6-10m/s 雨水の蒸発冷却、コールドプール、 ダウンドラフトの重要性 大 小
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メカニズムの理解 現象の実態 観測 数値モデルの改善 (以下しばらく、数値モデルと対流の階層構造の話)
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メソ対流解像モデル (5 – 20 km) (理想的には1-2 km) 静力学モデル (Yamasaki, 1986, 2001)
[研究の2つの柱] (湿潤対流が重要な役割を果たす現象の研究のために) 積雲対流解像モデル (Yamasaki, 1975, 2004) 2次元 3次元 cumulus-convection-resolving model (CCRM) いうまでもなく非静力学モデル 水平格子間隔 (1 km – 100 m) 多くの現象の理解。 メソ対流解像モデルの開発・改善の基礎としても重要。 メソ対流解像モデル (5 – 20 km) (理想的には1-2 km) mesoscale-convection-resolving model (MCRM) 多くの現象の理解と予測を 効率的 に行える。 静力学モデル (Yamasaki, 1986, 2001) 現在の気候モデルはメソ対流解像 となることを期待。 非静力学モデル (Yamasaki, 2010)
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用語の説明 積雲対流 メソ対流 次のスライドで。 多くの研究者が用いている表現 雲解像モデル と メソモデル 後述
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積雲対流 (cumulus convection) 湿潤対流 (moist convection) の基本モード
時間スケール 10 分位 ~ 数十分 1930 年代には認識されていたもの 気象学の基礎 メソ対流 (mesoscale convection) MC 積雲対流がメソスケールに組織化した対流で (mesoscale organized convection) メソの基本モード として認識 (Yamasaki, 1983,1984) ・ 時間スケール …. 数時間 ( ~ 10 時間程度) ・ レインバンド、クラウドクラスターの構成要素 メソ対流の空間的 and/or 時間的集団 (これをメソ対流系 MCS と呼ぶこととする) 単一のメソ対流の場合もある。
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メソ対流 (続) 時間スケール (lifetime) 多くの場合、数時間 (約 3 時間) しかし 3 ~ 10 時間の広い範囲をとる。
しかし 3 ~ 10 時間の広い範囲をとる。 (このため、観測データのスペクトル解析では 明瞭なピークをもたないことが多い。) 時間スケール にかかわる要因 (Yamasaki, 1983,1984) 環境風の鉛直シアー 地表摩擦でコントロールされた流れ 雲の微物理過程(現実大気中ではあまり変動しない)
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レインバンドがメソスケールのセルから成り立っている
ことが多いことは レーダー観測から 1950 年代以後 知られている。 年代におけるハリケーンのレインバンドにおいて メソスケールのエコーセルとして認識。 Senn and Hiser (1959) など 立平 (1961, 1962) 雷雲の研究では 孤立したメソの存在。 (1940年代末)
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(Matsumoto and Tsuneoka, 1969) メソの時間スケール(数時間)は 対流による水蒸気の消耗によって説明されていた。
梅雨前線に関連した観測からの研究でも メソスケールが強調された(松本、二宮)。 メソの時間スケールとして 数時間 (Matsumoto and Tsuneoka, 1969) メソの時間スケール(数時間)は 対流による水蒸気の消耗によって説明されていた。 しかし、十分な水蒸気の供給が持続しても メソの時間スケールには上限がある。 メソ対流 3時間(~10 時間) (Y(1983) の図11 など) (Yamasaki, 1983,1984) 実行委員が図をスライドで。 このことに対して重要な役割を果たすのは 雨水の蒸発、冷却 コールドプール ダウンドラフトと吹き出し
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1970 年代、数値モデルを用いた対流、対流系の研究
において レインバンドの中のメソスケールセルが シミュレートされることはなかった。 当時の研究では 孤立した対流系が長い時間 (1時間またはそれ以上) 持続する条件(環境風の鉛直シアーの重要性)や 長い時間 持続する対流系の再現 などに 多くの関心がもたれていた (e.g., Takeda, 1971)。 長い時間とはいっても 数値実験は 1-2 時間程度。 メソの時間スケールに関する議論はなかった。
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メソ対流系 メソ対流の時間的 and/or 空間的集団 (レインバンド、クラウドクラスター に対応。 バンド状でないものも含む。)
メソ対流系 この言葉は 多くの研究では 孤立したメソ現象 に対して用いられてきた。 対流の階層構造の一つとしての意味をもつものとしても用いる。 メソ対流の時間的 and/or 空間的集団 (レインバンド、クラウドクラスター に対応。 バンド状でないものも含む。) レインバンド 単一のメソ対流の場合もある。 クラウドクラスター メソ対流系の集団である場合もある。 レインバンドとクラウドクラスターは全く別の見方による用語であるから 上記のような並列的表記は適切でないのであろう。 クラウドクラスターは単一のレインバンドに対応する場合と、 複数のレインバンドの集団である場合とがある。 バンド状ではない形状の対流(系)の場合も多い。
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階層構造の記述 研究者により異なる。 現象を水平スケール によって分類 meso- 20 ~ 200 km
階層構造の記述 研究者により異なる。 ・ メソ 、 、 (Orlanski, 1975) を用いたもの ・ 積雲対流、メソ対流、メソ対流系 Yamasaki (1983) ・ 積乱雲、メソ対流系、降水システム 吉崎・加藤 (2007) 積乱雲は? 積雲対流が組織化したもので、通常、時間スケールは 1~2 時間程度。 メソ対流のうち、小さい方に属する。 (参考) ………………………………………….. Orlanski (1975) による大気現象の分類 現象を水平スケール によって分類 meso ~ 20 km meso ~ 200 km meso ~ 2,000 km この分類は 現象の理解に基づいていない。
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meso- の中で小さい方(200-500 km) に属する。
メソ対流は 多くの場合 meso- の中で小さい方 ( km) に属する。 メソ対流の集団としてのメソ対流系は meso- の中で大きい方( km) または meso- の中で小さい方( km) に属する。 クラウドクラスターが 複数のメソ対流系から成る場合 meso- の大きい方 (500-2,000 km) に属する。
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メソ対流を解像する重要性の認識に基づく。 (Yamasaki, 1975, 77a,b, 79, 83, 84)
[ メソ対流解像モデル の開発 ] (Yamasaki, 1986) メソ対流を解像する重要性の認識に基づく。 積雲対流解像モデルを用いた研究で認識。 (Yamasaki, 1975, 77a,b, 79, 83, 84) メソ対流に対応するものは観測では知られていたが、 大気大循環モデル、数値予報モデル、熱帯低気圧などの 数値モデルの開発において、メソ対流が重要視されること はなかった。 水平格子間隔 50 km 以上のモデルでは メソ対流は扱えない。 現在、20 km モデルになっている場合でも 重要視されていない。
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この場合、従来の対流のパラメタリゼーションは
[ メソ対流解像モデル の開発の背景 ] 1980 年代初め頃の状況 気象研のつくば移転の時期 台風 3次元モデルの開発が重要視 水平格子間隔 1 km は無理 20 km 程度 を用いたい。 この場合、従来の対流のパラメタリゼーションは 適切でないと認識していた。 (1960年代後半以後の研究により)
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Arakawa and Schubert (1974) などがあった。
対流のパラメタリゼーションとしては当時 Manabe et al. (1965), Kuo (1965), Ooyama (1969), Kurihara (1973) Arakawa and Schubert (1974) などがあった。 (1) Ooyama (1964)、Kuo (1965)、Kurihara (1973) 等 に基づくパラメタリゼーションを用いた1960~1970年 代の研究では、台風のメソスケール構造を再現する ことは難しかった。 雨水の蒸発を考慮していないことも一因。 (2) 対流による熱の鉛直分布 を決める難しさ しかし、励起される擾乱の性質に対して重要。 台風、偏東風波動、赤道波 を対象とした研究 Yamasaki (1968a,b,c, 1969, 1971) で認識。 (3) 非現実的な重力波の卓越の困難 これに関連して 台風のレインバンドは 「重力波が対流の効果で modifyされたもの」 という1970 年代の研究での説明 は不適切である と認識していた。
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予報モデル、大気大循環モデル、多くの台風モデル
メソ対流解像モデル を開発した 1980 年代半ば の状況 当時の 予報モデル、大気大循環モデル、多くの台風モデル ・ 静力学モデル であった。 ・ 雲水量、雨水量 は予報変数に 含められていなかった。 Yamasaki (1986) の メソ対流解像モデル も 静力学モデル 積雲対流はサブグリッドスケール として扱うので 静力学平衡の仮定 は許される。 雲水量、雨水量 を予報変数に含め メソ対流 を解像 (雨水の蒸発・冷却 の重要性の認識に基づく) これが当時のモデルからの改善の大きな要因 の一つ。
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積雲対流を解像できないなら メソ対流を解像 すればよい という立場をとったこと。 メソ対流を適切に解像するためには
従来のモデルに比べて改善された理由 ・ 雨水の蒸発が重要 という認識のもとで 雨水量を予報方程式に含めたこと(前述) (雨水の蒸発、コールドプールが表現できた)。 ・ メソ対流をメソの基本モードとして認識し、 積雲対流を解像できないなら メソ対流を解像 すればよい という立場をとったこと。 メソ対流を適切に解像するためには 水平格子間隔 1-5 km が望ましい。 しかし、当時の(現在も)コンピュータの制約から 当面は 5-20 km が効率的で、 大きなメソ対流はある程度、記述できる。 ・ メソ対流に対する積雲対流の効果を ある程度適切に組み込む ことができたこと。 (続く)
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従来のモデルに比べて改善された理由 (続) ・ subgrid-scale である積雲対流の効果 放出される熱が境界層上端での上昇流
放出される熱が境界層上端での上昇流 に依存する という仮定を用いた。 この仮定は Ooyama (1964, 1969) や Yamasaki (1968a, b, c) の台風 及び Yamasaki (1969, 1971) の偏東風波動、赤道波 の研究で用いられた。 しかし、この熱は台風や大規模波動に直接 寄与する のではなく、メソ対流に寄与する と考える。 これによって、非現実的な重力波が抑えられる。 メソ対流を realistic に再現すること と 非現実的な重力波が出ないこと とは 裏表の関係
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メソスケール対流解像モデルでは mass flux を用いているが、 これは積雲対流に伴うもので、
これは積雲対流に伴うもので、 Ooyama (1971), Arakawa and Schubert (1974) の cloud mass flux とは意味が異なる。 (後述、p.29 参照)
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[ メソ対流解像モデル の効用 ] ・ 積雲対流解像モデルより効率的に研究、予測が 行える。(研究目的によっては積雲対流解像であることが重要
メソ対流を、ある程度、適切に表現できるようになった結果として ・ 積雲対流解像モデルより効率的に研究、予測が 行える。(研究目的によっては積雲対流解像であることが重要 なものも少なくないが。) 以下、粗格子(5-20 km 格子)モデルに関して ・ スパイラルレインバンド を表現できるようになった。 Anthes (1972), Kurihara and Tuleya (1974) とは別の立場。 ・ とくに、台風(TC) の発生過程 が、ある程度、適切に表現できるようになった。 メソ対流 を表現することは 台風の発生を論ずるときには特に重要。 TC の発生の数値実験 Kurihara and Tuleya (1981) とは異なる立場。 摩擦収束が重要な目の壁雲では、その効果は相対的に小さい。
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Nasuno and Yamasaki (2001) でも同様 (サブグリッドスケールの 雨水量 は
・ サブグリッドスケールの雲水量は diagnostic に扱っていた。 prognostic に扱う。 Nasuno and Yamasaki (2001) でも同様 (サブグリッドスケールの 雨水量 は Y (1986) でも prognostic) ・ サブグリッドスケールの上昇域(雲域)の 面積比 a << 1 の仮定をしない方程式系
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[メソ対流解像モデルと他のメソモデルとの違い ] メソ対流解像モデルでは 積雲対流だけをサブグリッドスケールとして扱い、
積雲対流だけをサブグリッドスケールとして扱い、 メソ対流を格子で解像することを意図する。 (メソ対流が湿潤対流の重要なモード の一つであると認識している点が重要)。 多くのメソモデルにおける対流のパラメタリゼーションでは メソ対流を explicit に解像することを意図して いなかった。 あるいは、 積雲対流とメソ対流を distinguish していなかった。 何を陰に扱い(パラメタライズし)、何を陽に扱うか (格子で解像するか)が明確でなかった。 このことは Arakawa and Schubert (1974) のパラメタリゼーションが メソ現象に適用されてきた事実 にもみられる。 メソ対流を解像する重要性は 近年でも 他の数値モデルの開発では強調(認識)されていない。
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雲解像モデル cloud resolving model (CRM)
もともとは 水平格子間隔 1 km またはそれ以下の モデル (積雲対流を解像するモデル) を指す言葉として用いられた。 しかし、その後、 格子間隔 数 km の粗格子モデルに対しても 用いられている。 ‘cloud-resolving’ の物理的意味は不明確。 雲解像モデル 積雲対流解像モデル メソ対流解像モデル メソ対流解像モデルも雲を解像することを意図している。 重要なことは 何を格子で解像するか に関する認識 をもっているかどうか
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台風の発生、スパイラルレインバンドなども ある程度、適切に表現できる。 1 km 格子の積雲対流解像モデルは
(既述と重複するが) メソ対流解像モデルは 水平格子間隔が 15 km - 20 km でも 台風の発生、スパイラルレインバンドなども ある程度、適切に表現できる。 1 km 格子の積雲対流解像モデルは メソ対流解像モデルより台風をよく表現 できるかもしれないが、 たとえば、 10 km 格子のメソ対流解像モデル に比べて、CPU time は 倍かかる。 格子間隔 5—20 km のメソ対流解像モデルは 台風の研究や予報に対して効率的である。
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メソ対流と積雲対流のスケールの分離*は しばしば 不明瞭であるが、それはメソ対流解像モデルが 不適切なモデルであることを意味しない。
水平格子間隔 5-20 km の粗格子モデルにおいて、 メソ対流を解像する意図をもたないで、これより 良いモデルを開発することが可能かどうか? * 境界層での乱流過程のように、サブグリッドスケールの 水平スケールが 扱う現象に比べて十分に小さい場合、 parameterizability が(相対的に)高いと考えられてきた。 メソ対流解像モデルでは、スケールの分離は大きくないので、 パラメタリゼーションという用語を用いることを、山岬(1993)以後 避け、「積雲対流の効果をサブグリッドスケールとして含める」 という表現をしてきた。 ただ、広い意味でのパラメタリゼーションといってよい。 格子で表現できない現象の効果を取り入れること
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熱帯でのクラウドクラスター、熱帯擾乱、台風
メソ対流解像・静力学モデルの適用 熱帯でのクラウドクラスター、熱帯擾乱、台風 梅雨前線に伴うクラウドクラスター 温帯低気圧に伴う雲 ケルビン波の CISK マデン・ジュリアン振動 赤道域での大きな島での対流の日変化 などに適用してきた。 今後は 台風に対する地球温暖化の効果 に関する研究 20 km 位の格子を用いて盛んに行われるようになる 。 メソ対流解像モデルによる研究は重要と考えている。
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[台風の発生 に関するこれまでの研究発表] (1a) メソ対流解像・静力学モデル
(今回のセミナーの本題に入る) [台風の発生 に関するこれまでの研究発表] (1a) メソ対流解像・静力学モデル 1987年秋季大会 Yamasaki (1988) xxxxx Yamasaki (1989a) 1990年秋季大会(山岬・原) 傾圧不安定波等との相互作用 1991年秋季大会(山岬・原) 上層寒冷渦の役割 2004年秋季大会 Yamasaki (2006a) 2005年春季大会 Yamasaki (2006b) (1b) メソ対流解像・非静力学モデル (2008年春季大会 モデル開発) Yamasaki (2010) 年秋季大会 2009年春季大会 (2) 積雲対流解像モデル 年秋季大会 対流圏中層渦からの台風の発生
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擾乱、渦の発生、発達過程 (台風強度となるまで) [Yamasaki (1989b) のTC発生論]
[台風の発生過程] (定義) 熱帯収束帯や偏東風中での 擾乱、渦の発生、発達過程 (台風強度となるまで) [Yamasaki (1989b) のTC発生論] second WMO IWTC での rapporteur report (International Workshop on Tropical Cyclones) 現在の考え方 及び Yamasaki (2007) は 本質的には当時と同じ。 最も大きな違いは 上層の寒冷渦、トラフの役割は重要ではない と考えられる。1991年秋季大会(山岬・原)
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conditional instability(条件付不安定) という言葉を
(註) ・ Yamasaki (1989b, 2007) では conditional instability(条件付不安定) という言葉を latent instability (潜在不安定) と同じ意味で用いると 断って用いている。 latent instability という言葉は国外では死語とされて いるようであるが、これに代わる言葉は何か? CAPE は意味が違う。重要な概念の言葉を死語 とするときは、より適切な言葉を用意するべき。 ・ Yamasaki (1989b) では メソ対流 (MC, mesoscale convection) は mesoscale organized convection メソ対流系 (MCS, レインバンドなど) は cloud band または mesoscale organized convection とかいている。 Yamasaki (1989b) では IWTC参加者、レポートの簡潔さなどを考慮して MCの記述をあまりしていない。
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CISK (偏東風波動擾乱 が重要な CISK
[潜在不安定 な大気中での CISK のメカニズムと台風の発生] 地表摩擦は重要でない CISK 非地衡風的、しかし 重力波的ではない CISK 準地衡風的(準バランス的)で ベータ効果は重要でない CISK 台風の発生 ベータ効果が重要な 地表摩擦による吹き込み CISK (偏東風波動擾乱 が重要な CISK や総観スケールの渦)
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潜在不安定が CISK、台風の発生の必要条件 擾乱、渦
[ 風、渦を強める対流群、必要条件としての 潜在不安定 ] 潜在不安定が CISK、台風の発生の必要条件 擾乱、渦 海面からの顕熱・潜熱フラックス の発生、強化 潜在不安定な熱帯大気中の上昇域で 対流 (階層構造をもつ) 積雲対流 メソ対流 メソ対流系 メソ対流系の集団 (レインバンドなど) (擾乱、渦、台風) 多くの場合、レインバンドの外側(渦中心から遠い側)で 風の強まり 渦度の強化 メソ対流系(レインバンドなど)の集団の効果により 風の強まり、渦(渦度)の形成、強化 (CISK) 潜在不安定の維持、強化を通して正のフィードバック 海面からの顕熱・潜熱フラックスの増大
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対流が適度な大きさの領域に集中して持続することが 台風の卵としての渦の強まりに対して重要。
多くの場合、複数のメソ対流系 MCS が 核 となる。 多くの場合、偏東風波動擾乱や総観規模の渦内における 多くのメソ対流系のうちの一部が核となる。 単一のメソ対流系 MCS が 核 となる場合もある。 この場合も、やがて、複数のメソ対流系が形成され、 全体として台風をつくる。 メソ スケール の対流系が 台風 をつくる。 渦としては メソ スケール ~ 総観スケール 上記の’適度な大きさ’ について 熱帯域で擾乱が強くないときのロスビーの変形半径は大きいので ‘適度な大きさ’ は これよりずっと小さい。大きさの定義は難しいが。
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相互作用により、或るものは suppress される。
比較的ランダムな対流活動が組織化されて 渦が形成、発達する過程の理解が重要 対流を伴ういくつかの渦(メソ対流系)が 共存するとき、その距離が十分に大きくなければ、 相互作用により、或るものは suppress される。 (淘汰) 一つまたは数個の渦(メソ対流系) この過程に affect する要因 潜在不安定の非一様性 外力 (偏東風、南西モンスーン、cold surge など) CISK の第2ステージ frictional flow CISK の重要性 (第1ステージと比べて) より強い対流 活発な対流域の集中化(局所化)
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潜在不安定 (対流の励起、維持の必要条件) ・ CAPE 上昇気塊の浮力の鉛直積分 多くの研究者により重要視されてきた。
多くの研究者により重要視されてきた。 ・ 上昇気塊の浮力の鉛直分布の重要性 上層での浮力 対流の到達高度、擾乱の鉛直スケール 下層での浮力 対流の強さ、擾乱の発達 に対して重要。 後者は Yamasaki (1986) の MCRM で とくに重要視。
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メソ対流系の集団 目の壁雲 摩擦収束(上昇流) それ以外の対流群 摩擦収束ではない上昇流 潜在不安定 海面からの熱、水蒸気
[台風の卵としての 渦の形成、強化] メソ対流系の集団効果 [熱力学過程] [力学過程] 傾度風平衡 下層での 気圧降下 回転風速、渦の強まり 静力学 平衡 * 角運動量の輸送 昇温 適度な大きさの 下層での吹き込み 領域に集中すること (強まり) メソ対流系の集団 目の壁雲 摩擦収束(上昇流) それ以外の対流群 摩擦収束ではない上昇流 潜在不安定 海面からの熱、水蒸気 *地表摩擦でコントロールされた吹込み 対流の組織化
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[台風の発生過程におけるベータ効果] 環境風の鉛直シアーと共に非対称の最大要因 渦中心の北と南で ロスビーの変形半径が異なる。 南側では 渦中心に向かう流れの吹き込み角が大きく 対流はより活発。 多くの場合、対流は 渦中心の南~南東側で最も活発。 (水蒸気量に南北傾度がない場合でも)
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[ 台風の発生環境としての潜在不安定と大規模な流れ]
潜在不安定 海面からの潜熱・顕熱フラックッス 暖かい海面 偏東風 亜熱帯高気圧 潜在不安定の分布に affect するものとして その他に 季節内振動 ( ISV, 40-50日振動 ) ENSO 30-60日振動と呼ばれることが多いが。 環境風としての大規模な流れ(偏東風など)の渦度 の重要性 (Gray, 1975) 同じ収束でも擾乱の渦度は より増大 ハドレー循環等 に伴う上昇流
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・ ハドレー循環 対流活動を励起、維持する上昇流の外的要因 ・ 大規模な2つの流れ (偏東風と南西モンスーン等)による収束
(偏東風と南西モンスーン等)による収束 ・ 偏東風波動擾乱 (内的要因である場合もある) ・ 重力波 (内的要因でもある)
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環境風の鉛直シアー Gray (1975) 台風の発生に不都合な条件として 温暖核 (warm core) を傾け
下層での気圧降下を小さくする。 ただし、メソ対流系の形成には都合のよい条件。 Yamasaki (1969) の線形論 frictional convergence CISK について 鉛直シアーは上層の温度偏差を小さくする。 擾乱の成長率を小さくする。 成長率はほぼ同じ*。 Yamasaki (1987) の数値実験 東西非対称の構造(コリオリ因子が一定でも) 鉛直シアーによる構造の変形の第0近似の議論は気象力学の基礎知識から容易に可能 (渦度と温度に対する式を用いた線形論的考察)。次に非線形効果を理解する。 *鉛直シアーによって渦の発達が抑えられるのは非線形問題
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しかし、その後の研究 (1991 秋季大会 山岬・原)
Yamasaki (1989b) のTC発生論の中で 台風の発生に都合のよい条件として 熱帯対流圏上層のトラフ (TUTT) 上層の寒冷低気圧 (UCL) Sadler (1976,1978) しかし、その後の研究 (1991 秋季大会 山岬・原) により、あまり重要でないと考えている。
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Gray (1979) 6個の seasonal genesis parameter に関して 力学的因子 ・ コリオリ因子 ・ 渦度 観測からどのように値を求めるかが重要。 ・ 鉛直シアー (前述) 熱力学因子 ・ 海面温度 ・ 対流不安定 (convective instability) 潜在不安定 (latent instability) でみるべき。 ・ 対流圏中層の湿度 上昇流、対流活動の目安。 この方が発生の重要な要因。
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渦度の増大はメソスケールの形で起こる。 [ 渦度場でみた台風の発生過程 ] Yamasaki (1988,1989a,b)
対流(メソ対流、メソ対流系) 温度場に対してだけでなく、 渦度場 に対しても重要。 これに対して 対流の集団の効果は 古くから(1950年代には)知られていた。
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vortical hot tower や PV anomaly の merge の 重要性に関しては、用いている言葉は異なっているが、
Hendricks et al. (2004) の発生論 vortical hot tower や PV anomaly の merge の 重要性に関しては、用いている言葉は異なっているが、 Yamasaki (1989b) と本質的には違わない。 Yamasaki (1989b) では [ 積雲対流 メソ対流 雲バンド への組織化 ] 台風の発生 メソ対流系に対応 という言葉で論じている。 渦度のmergeという言葉では述べていないが、 メソ対流やメソ対流系が渦度を持っていることは よく認識した上でのこと。 上記の組織化は当然、渦度の merge を含む。 Hendricks et al. は メソ対流やメソ対流系などの雲を、 熱力学的な観点ではなく、力学的な観点から述べており、 Yamasaki (1989b) は熱力学的な観点を重視している。 先の概念図参照。どちらかといえば、力学過程が熱力学過程にフォローする。 或る領域に集中した昇温さえ起これば、渦の形成がこれにフォローする。
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Hendricks et al. (2004) の発生論 (続)
(2009年春季大会予稿より) 筆者は、対流群と流れの様子、風速(したがって気圧)分布、潜在不安定の分布 に最も強い関心をもっているが、他の(国外の)研究では、近年、渦度の議論に ウェイトがおかれ、渦度の合体が台風発生論の新たな考え方であるという立場 の議論が多い。筆者はこの20年、潜在不安定な大気中での対流の組織化、そ れによる流れのパターンの変化、風速の強まり、という観点から台風の発生を 論じてきた。筆者のいうメソ対流は台風の発生過程では渦度を伴っており、対流 の組織化は渦度の合体を含む。バンド状対流の外側での強い風、それに伴う 渦度は長年認識してきたことである。渦度は流れの様子と風速分布から容易に 推定できるが、渦度分布から流れの様子や風速分布、台風の発生を推定する のは容易ではなく、筆者は、渦度が発生を論ずる際の最も重要な物理量である という立場はとらない。
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Hendricks et al. (2004) の発生論(続)
TC formation stage での CISK の理解は Yamasaki (1989b) とは異なっている。 とくに、frictional flow の役割については 述べられていない。 これは発生過程で(発達過程でも)重要。
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[外力が重要な発達と自励的な発達] 台風の発生過程も発達過程も共に 上記2つの相対的重要性は 本質的には異なっていないと考えている。 例えば、外力としての海面温度は 両方の過程で非常に重要である。 発生過程に関して、むしろ強調されるべきことは 決定論的というよりは 確率論的な面が多いということ。 Ooyama (1982) [熱帯域で擾乱は多いのに、台風になるのは僅か] ・ 潜在不安定が不十分、十分に持続しない。 ・ 対流の集中化が起これない。 (小さな)渦の競合。 ・ 環境風の強い鉛直シアー。
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[台風の発生に関する数値実験の例] (1a) メソ対流解像・静力学モデル (1b) メソ対流解像・非静力学モデル
これまでの研究発表 (前出) のうち 下記 4つの例 (1a) メソ対流解像・静力学モデル 1987年秋季大会 Yamasaki (1988) xxxxx Yamasaki (1989a) 1990年秋季大会(山岬・原) 傾圧不安定波等との相互作用 1991年秋季大会(山岬・原) 上層寒冷渦の役割 2004年秋季大会 Yamasaki (2006a) 発生例 1 2005年春季大会 Yamasaki (2006b) 発生例 2 (1b) メソ対流解像・非静力学モデル (2008年春季大会 モデル開発) Yamasaki (2010) 年秋季大会 発生例 3 2009年春季大会 発生例 4 (2) 積雲対流解像モデル 年秋季大会 対流圏中層渦からの台風の発生 発生例 1-4 について、一部を当日示す。この資料では省略。
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(時間は短かく、また、議論の時間はなかった。) 発生例 3 と 4 の資料については
講演では 発生例 3 と 4 について 見てもらった。 (時間は短かく、また、議論の時間はなかった。) 発生例 3 と 4 の資料については メールなどで希望者に送ることはできる。
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[ 対流圏中層メソ渦からの台風の発生 ] 積雲対流解像モデルを用いた数値実験 (山岬 2009年秋季大会) 対流圏中層のメソ渦の再現 発生、振舞い、構造 台風の発生は再現されていない。 上記の発表で用いたスライドは参考資料に。 講演では、時間がなく、このケースにはふれていない。 他の研究者による研究を期待している。
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[台風の非軸対称構造] 講演では時間がなく、述べていない。 A 或る程度、強い台風の非軸対称構造 (1) 波数1の構造
(今回のセミナーの第2テーマ) [台風の非軸対称構造] 講演では時間がなく、述べていない。 A 或る程度、強い台風の非軸対称構造 (1) 波数1の構造 ベータ効果(コリオリ因子の緯度変化) に起因するもの。 環境風の水平シアーに起因するもの (効果小さい) 環境風の鉛直シアーに起因するもの。 1986年秋季大会 Yamasaki (1987) (2) スパイラルレインバンド で代表される非軸対称構造 空気が反時計周りに回転しながら吹き込む渦では、対流雲の分布は(他の場の 分布も)軸対称ではあり得ない。 A(1) の要因にも強く affect される。 B 台風の発生過程における非軸対称構造 A(1) の要因が含まれる。 第2テーマについては時間のこともあり、とくに資料の準備をしていない。
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下記での引用文献などをみていただくこととして、 ここでは省略。
[参考文献] 下記での引用文献などをみていただくこととして、 ここでは省略。 山岬正紀、1996: CISKと雲システムに関する研究, 気象研究ノート、No. 186、第5章、75-96。 山岬正紀、2003: 台風と熱帯擾乱に関する研究:CISKとメソスケールの理解、 天気、50, 。 Yamasaki, M., 1989: Advances in basic understanding of tropical cyclone formation, The second WMO international workshop on tropical cyclones, Manila, WMO Tropical Meteorology Research Programme Report Series, WMO/TD-No. 319, Vol. 1, Yamasaki, M, 2007: A view on tropical cyclones as CISK. J. Meteor. Soc. Japan, 85, Yamasaki, M., 2010: Development of a nonhydrostatic version of the mesoscale-convection-resolving model and its application to the eyewall and spiral rainbands of tropical cyclones. J. Meteor. Soc. Japan, 88, Yamasaki(1989) は 本資料では (1989b) として引用している。IWTC-II での rapporteur report としてかいたもので、通常の Journal のようには入手が 容易でないので、今回、作り直して(文章を変えずに)、みてもらえるようにした。
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