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産業組織論 6 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2015年11月19日
2015/11/19 産業組織論 (6) 垂直的取引 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2015年11月19日
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抱き合わせ販売 HW:①身の回りの抱き合わせ販売の例を考える 抱き合わせをバンドリング(bundling)とも言う
プリンターを買うのも一種の抱き合わせ プリンター本体とインクを買うこと 本体がエントリー価格,インクが利用料金 一種の二部料金 抱き合わせ販売はなぜ悪いのだろう? 独占企業が抱き合わせ販売で儲ける方法は 企業が顧客の需要にばらつきがあり,価格差別ができないとき 2015/11/19 産業組織論 6
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垂直的な取引関係 製造業が直接販売せず中間に卸売業者や小売業者に財を販売
製造業者は下請け業者から部品を調達して最終財(消費者の手元に届く財)を生産 垂直的な取引関係 製造業者 小売業者 財 消費者 下請け業者 製造業者 部品 消費者 財 製造業者 消費者 財・サービス 通常の経済モデル 2015/11/19 産業組織論 6
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カレーチェーンのCoCo壱番屋 ハウス食品、壱番屋を買収へ 「CoCo壱番屋」展開 2015年10月30日16時30分朝日新聞デジタル
ハウス食品、壱番屋を買収へ 「CoCo壱番屋」展開 2015年10月30日16時30分朝日新聞デジタル ハウス食品はCoCo壱番屋の親会社 ハウスは株式の公開買い付けを行いCoCo壱番屋の株式の51%を取得して完全子会社化へ CoCo壱番屋はハウスからカレーのルーを購入していた これも一種の垂直的な取引関係 2015/11/19 産業組織論 6
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セブンカフェ(セブン)vsマチカフェ(ローソン)
セブンカフェの供給元 ドーナッツ:昭和産業 コーヒー豆:三井物産,丸紅 焙煎:AGF, UCC コーヒーマシン:富士電機 マチカフェの供給元 ドーナッツ:山崎製パン コーヒー豆:三菱商事 焙煎:アートコーヒー コーヒーマシン:カリマリ コーヒーとドーナッツにも多くの企業が関係している 2015/11/19 産業組織論 6
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くい打ちデータ改ざん問題 旭化成建材、マンション傾斜で全国調査へ 2015/10/23 18:00日本経済新聞 電子版
三井住友建設 三井不動産レジデンシャル マンション工事元請け 消費者 マンション販売 日立ハイテクノロジーズ 杭打ち工事の管理 旭化成建材 杭を打ち込む作業 旭化成建材、マンション傾斜で全国調査へ 2015/10/23 18:00日本経済新聞 電子版 マンションの販売と建設にも複雑な取引関係 特殊な作業を別企業に請け負わせる 元請けと下請けの関係 国土交通省という規制当局 2015/11/19 産業組織論 6
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小売企業と下請け企業 多くの企業は他の企業のために財やサービスを生産している
この上下の関係を水の流れにたとえて上流(生業業者)と下流(小売業者)とも表現する 最終財生産者に中間財を提供する下請け企業は特殊な財・サービスを 流通には様々な機能がある 2015/11/19 産業組織論 6
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流通の機能 生産→販売 中間に卸売り業者(仲介) 商品の存在(陳列),財の在庫,品質と価格, 品揃えの確保 時間的・空間的差異を橋渡し
生産→販売 中間に卸売り業者(仲介) 商品の存在(陳列),財の在庫,品質と価格, 品揃えの確保 時間的・空間的差異を橋渡し 売れ筋商品(消費動向)を把握,情報の生産 金融機能 商流(所有権),物流,金流,情報流 2015/11/19 産業組織論 6
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卸の役割 卸は上流と下流の取引費用を削減 生産と需要の不確実性を小さくする 紀伊国屋文左衛門の紀州ミカンの販売 卸は小売りに再販売する
メーカー1 メーカー2 小売り1 小売り2 メーカー3 小売り3 メーカー1 メーカー2 小売り1 小売り2 卸 メーカー3 小売り3 卸の発生より矢印が9本から6本へ 卸は上流と下流の取引費用を削減 生産と需要の不確実性を小さくする 紀伊国屋文左衛門の紀州ミカンの販売 卸は小売りに再販売する 2015/11/19 産業組織論 6
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紀伊国屋文左衛門の紀州ミカンの販売 江戸時代,紀州(和歌山県)でみかんの豊作 大消費地は江戸,しかし嵐で運べない 江戸ではミカンの価格は高騰
うれないのでミカンの価格は暴落 文左衛門はミカンを積んだ船で嵐のなか江戸へ辿り着く 価格差とリスクテイク(危険を承知で行動すること)で文左衛門は大金持ちへ 2015/11/19 産業組織論 6
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商社・卸売りの売上高順位(2014年3月期,連結)
1 豊田通商 7.7兆円 2 三菱商事 7.5兆円(SEC) 3 丸紅 4.3兆円 (IFRS) 4 伊藤忠商 5.5兆円(SEC) 5 三井物産 5.2兆円(SEC) 6 住友商事 3.3兆円(IFRS) 7 メディパルHD 2.9兆円 8 アルフレッサHD 2.5兆円 9 三菱食品 2.3兆円 10 スズケン 1.9兆円 11 双日 1.8兆円(IFRS) 12 阪和興業 1.6兆円 13 伊藤忠エネクス 1.5兆円 14 日鉄住金物産 1.4兆円 15 東邦HD 1.1兆円 医薬品四大卸は商社・卸売りのベスト20入り 特に商社を除くとメディパルは一位 注意:SECは米国基準 IFRSは国際会計基準 双日は日本基準だった2013年3月期の売上高は3.9兆円 出所:Yahoo!ファイナンス 2015/11/19 産業組織論 6
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二重マージン 中間業者が存在すると不都合なことも 製造業者も小売業者もその下流に対して独占的に振る舞うとしよう
財 消費者 中間業者が存在すると不都合なことも 製造業者も小売業者もその下流に対して独占的に振る舞うとしよう 小売業者は消費者に対して売り手独占 製造業者は小売業者に売り手独占 小売業者と製造業者は各々の限界費用よりも高い価格を下流に提示する マージン(限界費用よりも高い価格)が二重に出てくる二重マージンが発生 2015/11/19 産業組織論 6
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製造業者と小売業者 製造業者は小売業者に卸売(wholesale)価格 w を提示する 小売業者は消費者に価格 p を提示
産業組織論 6 2015/11/19 製造業者と小売業者 製造業者 小売業者 w 消費者 p q=D(p) 製造業者は小売業者に卸売(wholesale)価格 w を提示する 小売業者は消費者に価格 p を提示 消費者の購入量 q は需要関数 q=D(p) 製造業者の固定費用は 0. 限界費用は一定の c がかかる 小売業者の固定費用と限界費用は 0. しかし,財を製造業者から買うと w 円の支払い 小売業者は利潤が 0 以上なら取引 2015/11/19 産業組織論 6 丹野忠晋
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製造業者と小売業者 製造業者 小売業者 消費者 q=D(p) 2015/11/19 産業組織論 6 産業組織論 6 2015/11/19
消費者 q=D(p) 2015/11/19 産業組織論 6 丹野忠晋
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独占価格と限界原理 M PM N 限界費用曲線 需要曲線 限界収入曲線 MR Q M 独占企業の限界費用は一定(点線) とする
産業組織論 2 独占価格と限界原理 独占企業の限界費用は一定(点線) とする MR=MCを満たすQ Mを選択 需要曲線からQ Mに対応する独占価格PM求まる 独占企業は価格をつり上げる 価格 M PM N MC 限界費用曲線 需要曲線 限界収入曲線 MR 数量 Q M 2015/11/19 産業組織論 6
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小売業者の独占価格 p M PM マージン N 卸売価格 需要曲線 D 限界収入曲線 MR Q M
産業組織論 2 小売業者の独占価格 p 小売業者にとっての限界費用は製造業者の付ける卸売価格 w それと限界収入と一致する水準でQ M 独占価格PM求まる 価格 数量 需要曲線 D PM Q M 独占企業は価格をつり上げる M 限界収入曲線 MR マージン N w 卸売価格 2015/11/19 産業組織論 6
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製造業者の問題 製造業者はどのように卸売価格 w を付けるか?
産業組織論 6 2015/11/19 製造業者の問題 製造業者はどのように卸売価格 w を付けるか? 製造業者は独占企業なので「限界費用=(製造業者にとっての)限界収入」となる水準に w を定める 製造業者の限界費用は c (一定) 製造業者の限界収入は?その前に製造業者の需要関数はなんだろうか? 製造業者が付ける w に対して小売業者は「限界収入 MR=w」となる数量 q を選んだ つまり,限界収入曲線が製造業者の需要曲線 2015/11/19 産業組織論 6 丹野忠晋
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製造業者の限界収入 製造業者の限界収入曲線 MRM M PM マージン N 卸売価格 限界収入曲線 MR 需要曲線 D Q M
産業組織論 2 製造業者の限界収入 製造業者にとっての需要曲線は限界収入曲線 その限界収入曲線を製造業者の限界収入曲線と呼ぶ その作り方は通常の限界収入曲線の作り方と同じ 製造業者の限界収入曲線と限界収入曲線は縦の切片を共通する 製造業者の限界収入曲線は限界収入曲線より傾きが険しい 価格 数量 需要曲線 D PM Q M 独占企業は価格をつり上げる M 限界収入曲線 MR 製造業者の限界収入曲線 MRM マージン N w 卸売価格 2015/11/19 産業組織論 6
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製造業者の独占価格 製造業者の限界収入曲線 MRM M マージン PM N 卸売価格 マージン 需要曲線 D 限界費用 QM
産業組織論 2 製造業者の独占価格 製造業者は自身の限界費用 c と製造業者の限界収入曲線が等しくなる生産量 Q M を生産 小売がQ M を注文するには製造業者は卸売価格を w に設定する 製造業者のマージン w-c (>0)が発生する 2つのマージン(加えてPM –w)を二重マージンという 価格 数量 需要曲線 D QM 独占企業は価格をつり上げる M 限界収入曲線 MR 製造業者の限界収入曲線 MRM マージン PM N 卸売価格 w マージン 限界費用 c 2015/11/19 産業組織論 6
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製造業者の独占価格 M 小売価格 マージン PM N 卸売価格 マージン 需要曲線 D E 限界費用 QE QM
産業組織論 2 製造業者の独占価格 二重マージンの発生によって小売価格が高くなる 需要が減退している もし価格と限界費用が等しい点 E で生産すれば生産量がQE に増大 社会的余剰も大きくなる 価格 数量 需要曲線 D 独占企業は価格をつり上げる M 限界収入曲線 MR 製造業者の限界収入曲線 MRM 小売価格 マージン PM N 卸売価格 w マージン E 限界費用 c QE QM 2015/11/19 産業組織論 6
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フランチャイズ契約 コンビニやファーストフードの形態はフランチャイズ制を取る 本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)の関係
本部(7-11)は加盟店(地域の小売店)とフランチャイズ契約を結ぶ 本部は商標・ノウハウ・商品を提供し加盟店は,対価である加盟料(フランチャイズ料金)や仕入れ代金を支払う 2015/11/19 産業組織論 6
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フランチャイズ契約 加盟料(フランチャイズ料金)は固定料金(エントリー料金) 商品の仕入れ代金は利用料金 フランチャイズ契約は二部料金制
製造業者は小売業者に二部料金を課した 製造業者の料金は? 利用料金=c (製造業者の限界費用) エントリー料金=小売業者の利潤 これによって製造業者は小売の利潤を吸い上げる.二重マージンを解消 2015/11/19 産業組織論 6
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