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朱子学の理気論 総合政策学部非常勤講師・ 愛知文教大学国際文化学部助教授 川田 健
中国思想の2大体系 朱子学の理気論 総合政策学部非常勤講師・ 愛知文教大学国際文化学部助教授 川田 健
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唐宋変革 唐代中葉ー安史の乱以降の混乱 門閥貴族の経済的基盤が脅かされる→相対的な地位の低下
新興知識人層との激しい権力闘争 →牛(牛僧孺)李(李徳裕)の政争 いわゆる古文復興運動→中国のルネサンス 四六駢儷文に対する秦漢の古文 代表:唐宋八大家 唐 韓愈・柳宗元: 宋 歐陽脩・王安石・蘇洵・蘇軾・蘇轍・曾鞏 士大夫階級の代表として新しい儒学の担い手となる
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士大夫の時代 宋代:士大夫の時代ーいわゆる家産官僚制 皇帝専制の完成 (実際は 高級官僚子弟の特権も多数存在したが、高級官僚となるには科挙の洗礼を受ける必要がある。) 士大夫ー読書人・知識人→儒家の教養=文化を有するもの。
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新儒家(朱子学)の興起 聖人学んで至るべし
唐宋変革:世襲貴族の没落と官僚士大夫の勃興 ーいわゆる「先覚者」としてふさわしい教養と修養の方法を模索 固定化された経典解釈(訓詁学)に対する不満 ー仏教に対抗できる儒家思想の構築 道家(道教)の本体論(宇宙論)/禅の修養論の昇華 なにより「士大夫としていかに生きるべきか」の探求 聖人学んで至るべし
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ただし、これは朱熹が後に「系譜化」したもの
朱子学の先達たち 周敦頤( )道教の生成論を用いた万物生成のプロセスの図(太極図説)が朱子にヒントを与える *心が動き始める前の状態を保つ(主靜)という修養論を提示 張載( )気の哲学を提示、気の核としての性を天地の性と気質の性に分ける 程顥( )「仁」を「万物が一体であることの自覚」とする。 程頤( )「性即理」の命題を立て、理一分殊を説く。 理の探求としての窮理と修養法としての居敬を提示 ただし、これは朱熹が後に「系譜化」したもの
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朱熹( )朱子学の大成者 理の哲学ー万物にはそれを成り立たせている法則「理」があり、それら万物の「理」は究極には一つの「天理」に集約される 性即理ー性を本然の性と気質の性に分ける 本然の性=本来持っている性→至善 気質の性=情を含んだ個を形作る性→有善有不善 *気質の性の不善の部分を去って本然の性を回復することが人としてなすべきこと。
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理 理:玉のすじめ 普遍的道理 治=理 程顥の「天理」説 「天理とは道理」 自然の法則の全て→道家のいわゆる「道」に近い
理:玉のすじめ 普遍的道理 治=理 程顥の「天理」説 「天理とは道理」 自然の法則の全て→道家のいわゆる「道」に近い 程頤 「理は天下の至公、利は衆人の同じく欲するところ」→人欲と対立するものと捉える 「所以然」の理=万物を万物たらしめる「理 「所当然」=あるべき秩序 理一分殊ー一つの理が万物を貫き、しかも親疎の別によって厳密な差等が存在する →天理とそれを受けた万物の理という概念となる
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理一分殊
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気 本来ー空気状のもの(息・風・雲) →人体の中にも充満している 万物の構成要素・気分のような心理作用
万物は気の集散(張載)→万物は一気 気に陰陽ありー陰陽の動きによって集散する 「モノ」の性格ー気の核である「性」による。
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万物の生成 朱子が周敦頤の「太極図説」を利用して説く 無極而太極→理が先に存在「一陰一陽する所以」
万物の生成 朱子が周敦頤の「太極図説」を利用して説く 無極而太極→理が先に存在「一陰一陽する所以」 気の回転によって天地ができ、やがてそれが相互に混ざり合って万物となる
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理と気 理と気はどちらが先か *理は気を離れては存在せず、気も理を離れては成り立たない「不離不雑」 →しかし、価値としては理が優先
理ー天よりもたらされる→至善 気ー善・不善いずれにも向かうことがある
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性即理 性ーもともともっているもの→天から授かっている=理・・・当然「善」でなくてはいけない ならば「悪」はどこから存在するのか?
性を二つに分ける ☆本然の性ー人間が本来持っている(はずの)天とつながっている性 ☆気質の性ー気によってもたらされる個人の性質ー気の清濁によって善不善がある。
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復初 気質を克服して「初」にもどる →聖人に至る道 格物致知一つ一つの「理」を探ることによって理を極める
理はすでに聖人によって明らかにされている →外に理を窮めることが本然の性を取り戻すことにつながる
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体系の確立ーその影響 自然界の生成論を人間の倫理観にリンクさせる→あらかじめ「天理」が定められているとしたら?
性善説→定められた「天理」が実はその人の本来の性 万物一体観・の宇宙論・倫理観が 例外を認めず、多元的価値観を否定し かねないことになる
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参考文献 島田虔次(1967) 『朱子学と陽明学』(岩波新書)岩波書店
荒木見悟(1974) 『朱子・王陽明』(『世界の名著』続4 ) 中央公論 佐藤仁(1985) 『朱子』(『中国の人と思想』8) 集英社 日原利国編(1987) 『中国思想史』(上下) ぺりかん社 岸本美緒(1999) 『明清交替と江南社会』東京大学出版会 小島毅(2004)『朱子学と陽明学』放送大学教育振興会
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