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第4章 空間解析 5. ラスタ(リモセン)データの分析

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1 第4章 空間解析 5. ラスタ(リモセン)データの分析
2010年10月13日 第4章 空間解析 5.  ラスタ(リモセン)データの分析 小口 高

2 ラスタデータはベクターデータと並ぶGISの基本的なデータ 特に自然環境や土地利用の解析で多用
リモセンデータは形式がラスターデータと類似し,多様な解像度のものが入手可能 土地利用・被覆の解析や,地図に重ね合わせる画像として広く活用 上の内容そのもの

3 GISで使われるデータの二大形式.同じものを表現している点に注意.ラスターの様子は解像度で大きく変わることに言及.

4 ラスターデータの表示例. ラスターデータの表示例

5 LANDSAT リモセンの データは 画像だが 構造は ラスタ データと 同じ
中部日本.前のラスターと比較し,違うようにみえるが,解像度,縮尺,信号解像度の効果であり,実際には類似していることを言及.

6 画像強調・空間特徴抽出(フィルタリング)
フィルターの語がGISでは一般とは異なる使われ方であること,ただし信号処理の観点では似たことをやっている(たとえば,ハイパス,ローパス)に言及. 移動窓による近隣操作

7 平均化 平均化で数の頻度分布が狭くなっていることに言及.画像のぼかしと同じ効果という形で理解をしやすくする.

8 多様なフィルターがあること,分母が省略されているが前と同じであること,微分積分やシャープ化ができることも述べる.
分母省略

9 土浦市の 衛星画像 ややぼけた画像であること=判読のために改善要を述べる.

10 エッジ強調で見やすくなること,ラプラシアンは特殊な画像になるが,北部のゴルフコースなどがわかりやすくなることを述べ,フィルターの威力を述べる.
左: エッジ強調   右:ラプラシアン

11 ラスタ演算 各セルごとに複数のレイヤーを用いて数値計算するという原理を紹介.

12 Soil erosion: 土壌侵食 日本ではこのような農地が少ないが,アメリカ南部やアフリカなどではこのような風景が多く見られることを解説.

13 A [erosion rate 侵食速度] = R K L S C P
R: rainfall (factor) 降水(のファクター), K: soil 土壌, L: slope length 斜面長, S: slope gradient 斜面勾配, C: cultivation 耕作物, P: protection 防止策 元々はGISとは無関係に開発されたが,ラスター演算に適合する形式だったため,後でGISと組み合わせて使われるようになった経緯がある. USLE: 汎用的な土壌侵食量の計算式

14 Topography, LS factor, soil factor
各レイヤーの説明.LとSはともにDEMから求められる地形ファクターであるため,統合されている. Topography, LS factor, soil factor 地形,斜面長×勾配,土壌特性

15 C factor (land use), R factor
雨の要素はこの狭い流域では一定であるが,広域であれば変わる. C factor (land use), R factor 耕作の要素(土地利用),雨の要素

16 GISで使えるメニューの一つであることを説明.一種の面的な計算機.
「ラスター計算器」によるモデル適用

17 分布について評価.たとえば地形についてはLが効いているのが水系的な分布で見えるとともに,非常に大きな値が谷壁のSが大きいところで局所的に出ている.
適用結果

18 地形分析(DEM/DTM)・差分解析 等高線が古典的な表現方法で,それとの関係に主に言及.

19 3×3の移動窓とDEMを用いた地形の傾斜,斜面方向,曲率(縦断・横断)の計算
前に出てきたフィルタリングの一種であることを述べる.

20 Finite differential (X) Finite differential (Y)
XYの2方向で傾斜を求め,それを合成する.傾斜は差分として求める.これについては次のスライド参照. Finite differential (Y) Y方向差分

21 差分 データの特徴から 数学的に厳密な 微分(x = tの近傍) が難しい場合
差分の原理の説明

22 Finite differential (X) Finite differential (Y)
-1 1 1 -1 -1 1 -2 2 1 2 -1 -2 差分を表すフィルタ.分母省略.前のスライドの下側の式は,面的で距離による重み付けをしている.上側は単純な二次元の扱い. 前の式

23 日本と韓半島のDEM (GTOPO30, 約1 km解像度)
赤いところが高所,青いところが低所. 標高

24 傾斜の計算結果.DEMの解像度が低いため,山地では実際の個々の斜面の傾斜よりも値が低いが,緩急の傾向は忠実に反映されている.

25 流域分析 DEMのある点から周囲の点を見て,「水は低きに流れる」の原理を適用すると流向や流域を抽出できる.

26 流向から蓄積する水量=上流域を計算し,その塗り分けをすると,水系図を作成できる.
「蓄積水量」の分布

27 抽出された水系 水系を高速で自動抽出できる.地形図で手作業でやっていた時代とは全く異なる.

28 抽出された流域 流域の抽出についても同様.

29 可視領域分析 一般人にも興味のある話.たとえば,東京スカイツリーが見える可能性のある最遠点はどこか.景観評価にも重要.

30 Mt. Diabloの 可視域 ある山を見ることが出来る場所を緑で表示.

31 切り土・盛り土分析 多摩丘陵の1984~1990年代末の人工地形改変地域.
A B C 二つの異なる時期のDEMを用いて侵食や堆積を評価する手法.広義にはラスター演算の一種. 多摩丘陵の1984~1990年代末の人工地形改変地域. ベクター等高線データと空中写真測量により2時期の 10-m DEMを作成.A~Cの3地域を分析.

32 90年代末 1984 ニュータウン整備のために土地が人工改変された.その過程で標高が下がった場所(切り土)と上がった場所(盛り土)が生じた.

33 標高の変化の例 改変前 改変後 標高差 赤:減少(切土) 青:増加(盛土)
実際に標高の変化を図示した例.大規模な改変が行われたことがわかる. 改変前 改変後 標高差 赤:減少(切土) 青:増加(盛土)

34 コスト・パス解析 動きやすさの分布が与えられた状態で,最も動きやすい経路を探索する.ネットワーク分析の経路探索は道路網が与えられた状況でおこなわれるが,こちらは面の中から経路を抽出する.

35 推奨 ルート 国立公園の中を移動する際の推奨ルート.歩道の設置計画などに利用可能.

36 ラスタ分類 リモセンのバンドの説明.可視光を広く拾おうとするデジカメとは異なり,特定の波長に反応するセンサを複数搭載して画像を撮影する. ランドサットTMセンサの諸元

37 地表物質別の各バンドの反射特性 水 砂 森林 都 市域 モロコシ 草
バンドごと,地表の物質ごとに,反射特性が異なる.これを上手く利用すると衛星画像から土地利用・被覆を分類できる. 水    砂    森林  都 市域 モロコシ  草 地表物質別の各バンドの反射特性

38 最初に土地利用が既知の場所で調べる 都市域 モロコシ コントロールポイントにおける2バンドの特性. 森林

39 確率密度 楕円の利用 Maximum Likelihood Method 最尤法
コントロールポイントの値を元に,未知の点でどの土地利用・被覆になる確率が最も高いかを求め,その値から任意の点の土地利用・被覆を推定する. 最尤法

40 実際の土地被覆分類の例

41 セルラ・オートマトン(cellular automaton)モデル
格子のセル(ラスター)に単純な法則を与え,拡散したり変化する現象の分布を記述するモデル.

42 セルラ・オートマトンにより形成されたパターン.実際の地理現象の分布を近似できる場合がある.
生成された模様の例

43 参考文献 長澤良太・原慶太郎・金子正美(編) 「自然環境解析のためのリモートセンシング・GISハンドブック」 古今書院,2007
上の内容そのもの


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