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アジア-北米間海運アライアンスにおける航路形態の分析
2017/3/11 アジア-北米間海運アライアンスにおける航路形態の分析 では、卒業論文の発表を始めます。 私の卒論のテーマは「アジアー北米間における海運アライアンスにおける航路形態の分析」です。 流通情報工学課程 98715 岸 哲郎
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研究目的 アジア‐北米間における海上コンテナ 輸送において、航路形態の視点から 各アライアンスの特徴を明確にする。
2017/3/11 アジア‐北米間における海上コンテナ 輸送において、航路形態の視点から 各アライアンスの特徴を明確にする。 基本的な航路形態に関して、 航路形態毎の特性を明確にする。 研究目的 世界3大航路の1つであるアジアー北米間の航路(北米航路)は、アジア各地域の 経済発展及び港湾整備の充実に伴い、その形態を変化させてきました。特に1995年の アライアンス形成以降、コンテナ船の大型化に伴い、航路形態は激変しています。 しかし、航路形態に関する分析は十分行われておらず、船社の計画担当者が試行錯誤の 上、決定しているのが実情です。 そこで本研究では航路形態の視点から各アライアンスの特徴を明確にすると共に、 基本的な航路形態に関してその特性を明確にする事を研究の目的とします。 この場合、アライアンスとは、海運会社間の業務提携の事を指します。
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アジア‐北米間で就航している主要なアライアンス
2017/3/11 アジア‐北米間で就航している主要なアライアンス The New World Alliance United Alliance 6大アライアンス COSCO+K-Line +Yang Ming Grand Alliance この北米航路において、主要となるアライアンスがこの6つのアライアンスです。 The New World Alliance、United Alliance、COSCO+K-Line+Yang Ming、Grand Alliance、Evergreen+LT、Maersk+Sealand の6つです。特にアライアンス名が定まっていないアライアンスについては各船社の名前を足したものとしています。 この6つのアライアンスを航路形態の視点から特徴を明確にします。 Evergreen+LT Maersk+ Sealand
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2017/3/11 使用データの一例 アライアンスの航路形態毎の分析を行う上で使用したデータは、国際輸送ハンドブック2000年度版の北米航路です。 この図はその一部です。このように上の地図でこの航路の各港を辿る順番を、真中にどの港に何時着くかを書き、 下の表に使う船と船速、積載量といった、そのスペックについて記載されています。 これらのデータを用いて集計しました。
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アジア-北米航路全体の集計データ 北米航路全体の集計結果 1隻当りの集計結果 1航路当りの集計結果 2017/3/11
これがその集計結果の一部です。これはアジア-北米航路全体の集計データです。 一番上の表は北米航路全体の集計結果で、北米航路全体の隻数は427隻、総船腹量 TEU、総航路数は55航路、寄港数は91港です。 二番目の表は1隻当りの集計結果で、1隻当りの平均速度は21.8ノット、平均積載量は3338TEU、平均建造年は1991年です。 三番目の表は1航路当りの集計結果で、1航路当りの平均の隻数は7.8隻、平均の寄港回数は12.1回で、平均の船社数は1.2社です。 このように、北米航路において基本的な集計をして、特徴をみました。 ここで港数をご覧下さい。これは、北米航路において寄港する港すべての数で、91港です。航路形態の視点から各アライアンスの特徴を明確にする のですが、北米航路で現在使用されている港、全部を見て航路形態の分析をするのは困難でした。ですから、 港をある程度しぼります。 1航路当りの集計結果
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米西岸 日本 香港 米東岸 シンガポール 欧州 Vancouver New York Seattle Busan Norfolk Tokyo
2017/3/11 米西岸 日本 Vancouver New York Seattle Busan Norfolk Tokyo Oakland and Yokohama Nagoya Shanghai Los Angeles Osaka Savannah and Kobe and Long Beach 香港 米東岸 Hong Kong Yantian Kaosiung 北米航路で寄港回数の多い上位20港を選び、そこからさらにクラスター分析 を行って港を集約化しました。 クラスター分析とは、距離の近いもの同士をまとめて 分析を行うというものです。 まず、アジア地域とアメリカ西岸、東岸の3つに分け、 さらにアジア地域を日本周辺、香港周辺、シンガポールの3つに 分けます。 この5つに欧州を加えてまとめたのがこの6つです。この6つのクラスター間で 各アライアンスがどのような航路形態となっているか分析します。 まず、各アライアンスがとるすべての航路を示します。 Manzanillo de Panama シンガポール 欧州
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COSCO+K-Line+Yang Ming シンガポール
2017/3/11 米西岸 日本 米西岸 米東岸 米東岸 日本 香港 香港 欧州 欧州 The New World Alliance シンガポール COSCO+K-Line+Yang Ming シンガポール 米西岸 米西岸 日本 日本 米東岸 米東岸 香港 香港 欧州 欧州 Evergreen+LT United Alliance シンガポール シンガポール これが6つのアライアンスのとる全航路を一度に載せた図です。 電車のように、航路を行ったり来たりと、往復するような航路は 各港を線で結んでおり、各港をぐるぐる回るような航路は、矢印で その向きを示します。 では、各アライアンスの特徴を分析します。 The New World Allianceは全てアジアー北米間のみを就航する航路である事が分かります。 COSCO+K-Line+Yang Mingは米西岸-米東岸を結ぶ航路がおらず、航路形態の数も全体を見て少ないです。 Evergreen+LTは6つのアライアンスの中で唯一世界一周航路を持っています。 United Allianceは香港、日本、米西岸を順に回る航路を右回り、左回りの両方持っています。 Grand Allianceは2つ以上の航路を組み合わせて他の地域を結ぶような輸送を行っています。 Maersk Sealandは航海距離の長い航路を多く持ち、全域を均等に運航しています。 以上のように、各アライアンスが組み合わせの特徴を持っています。 米西岸 米西岸 米東岸 日本 日本 米東岸 香港 香港 欧州 欧州 シンガポール Grand Alliance シンガポール Maersk Sealand
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5つのアライアンスで採用されている航路 4つのアライアンスで採用されている航路 2017/3/11
全体で、特に多くのアライアンスで採用されている航路を 抜き出しました。それがこの図です。これはそれぞれ、 5つのアライアンスで採用されている航路と 4つのアライアンスで採用されている航路で、 5つのアライアンスで採用されている航路は日本と米西岸を結ぶ航路です。 4つのアライアンスで採用されている航路は香港、日本、米西岸を結ぶ航路です。
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3つのアライアンスで 採用されている航路 2017/3/11 この図は3つのアライアンスで採用されている航路です。 それぞれ、
米西岸、日本、香港の順でぐるぐる回る航路と 香港、日本、米西岸、米東岸、欧州を結ぶ航路と シンガポール、香港、日本、米西岸を結ぶ航路です。 これらの比較的良く使われる航路を基に、 基本となる航路形態を3つに分けました。
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基本航路形態 巡回型 往復型 中間型 米西岸 日本 香港 シンガポール 米西岸 米西岸 日本 日本 香港 香港 シンガポール シンガポール
2017/3/11 基本航路形態 米西岸 日本 香港 巡回型 シンガポール 米西岸 米西岸 これがその基本となる航路形態です。 1つ1つ港を順番に回る「巡回型」 電車のように行きに通った航路を帰りも辿る「往復型」 そして、巡回型と往復型を合わせた形の「中間型」の 3つに分けました。 日本 日本 香港 香港 シンガポール 往復型 シンガポール 中間型
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アライアンス毎の各航路形態の航路数 往復型航路が多い! 2017/3/11
基本航路形態をこの3つに分けて、各アライアンス毎に航路形態を見比べた所、往復型航路が 多く見られました。では、なぜ往復型航路が多いのでしょうか? それを今度は航路形態について船型と需要に関して感度分析を行い、分析します。
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感度分析による分析 基本的な航路形態に関して感度分析を行います。 2017/3/11
今度は基本的な航路形態に関して船型と需要に関する感度分析を行います。 ここでいう感度分析とは、ある航路において、需要、船型を変動させる事によって、 各航路形態の総費用が変わるので、それについて分析するものを言います。
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費用の算出方法 総費用= 航海費+荷役費+船費+コンテナ関係費 航海費=港から港へ航海する為の燃料費+港への入出港費
2017/3/11 費用の算出方法 総費用= 航海費+荷役費+船費+コンテナ関係費 航海費=港から港へ航海する為の燃料費+港への入出港費 荷役費=輸入、輸出のコンテナ、積替えのコンテナにかかる費用 船費=船が一年間に必要な費用。船員費+修繕費+減価償却費+利息 まず、総費用の算出方法です。総費用は、航海費、荷役費、船費、コンテナ関係費を足したものです。 航海費は港から港へ航海する為の燃料費と港への入出港費を表します。 荷役費は、輸入、輸出のコンテナ、積換えのコンテナにかかる費用を表します。 船費は、船が1年間に必要な費用です。船員費、(船の)修繕費、減価償却費、利息を足したもので表します。 コンテナ関係費はコンテナが一個当り一年間に必要な費用です。 航路形態の変化により変動する項目は航海費と船費とコンテナ関係費の3つです。 総費用ではなく、単位輸送当りの費用を見る場合は、航海費と船費を 輸送距離×船腹量で割って算出します。コンテナ関係費は計算が複雑となるのではずします。 コンテナ関係費=コンテナ一個当り一年間に必要な費用。修繕費+減価償却費+利息
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検討内容一覧 往復型航路における総費用の推移 往復型航路における単位輸送当りの費用の推移 2つの巡回型と航路結合の話 航路形態の比較
2017/3/11 検討内容一覧 往復型航路における総費用の推移 往復型航路における単位輸送当りの費用の推移 2つの巡回型と航路結合の話 航路形態の比較 感度分析によって行う検討の内容は以下の通りです。 往復型航路における総費用の推移 往復型航路における単位輸送当りの費用の推移 2つの巡回型とその航路を結合した場合の話 航路形態の比較の話です。
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設定条件 往復型 需要3000TEU/週 香港‐日本‐米西岸の3港 往復型 米西岸 日本 香港 2017/3/11
設定条件は往復型航路を使用、需要は週当り3000TEU、 港は香港、日本、米西岸の3港を扱います。 ではまず、往復型航路における総費用の推移からお話します。 香港 往復型
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往復型航路における単位輸送当りの費用の推移
2017/3/11 輸送需要(TEU/週) しかし、往復型航路における需要毎の総費用の変動を見た所、 どのような航路でも最適船型が存在する、ということと、 需要が増すに従って、最適となる船型も大きくなる、ということが分かりました。 単純に総費用だけで、需要毎の違いを見る事が出来ないので、今度は単位をそろえて 見てみます。 この図は、往復型航路における単位輸送当りの費用の推移を表します。 横軸に船型、縦軸に単位輸送当りの費用を表します。 このグラフより、 需要が増えるにつれて船型を大きくすると単位輸送当りの費用が下がる 費用の低減傾向はだんだんゆるやかになっていく ことが読み取れます。 これはなにをあらわしているかというと、需要が集めることが出来るなら 船型は大型化する傾向にある、ということです。 アライアンスを組む事によって、需要を集められ、需要をあつめられるので船型を大型化出来て、 その結果、単位輸送当りの費用を下げられる、という事が実際になされています。 各船社がアライアンスを組むのにはそういった事が理由の一つと考えられます。 往復型航路における単位輸送当りの費用の推移
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2つの直送型を合わせた型とそれらの航路を統合した航路の比較
2017/3/11 2つの直送型を合わせた型とそれらの航路を統合した航路の比較 米西岸 米西岸 日本 日本 香港 香港 2つの直送型を合わせた型 往復型 航路を統合する事により、結果として単位輸送当りの費用の低減が可能になった! 次に2つの直送型を合わせた型とそれらの航路を統合した航路の比較を行います。 2つの直送型を合わせた型は米西岸を中心として、日本-米西岸、香港-米西岸間の 輸送を行います。往復型は日本を真中にして、米西岸-日本-香港の3港間で輸送を行います。 この2つの航路について感度分析を行った結果、下の表のような結果になりました。 かかる費用の合計を比べると、往復型航路のほうが費用が安くなります。 つまりこの表より、 航路を統合する事によって、単一航路における輸送需要が増大し、これにより船型の 大型化が可能となり、単位輸送当りの費用の低減を図る事が可能となる事が分かりました。 また、船型を大型化する事により、必要隻数を抑える事が出来ます。 必要隻数も減少する!
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航路形態の比較 巡回型、左の往復型に比べて明らかに費用が安い! 総航海距離により差が出る 隻数により差が出る 巡回型 往復型 米西岸 米西岸
2017/3/11 航路形態の比較 米西岸 米西岸 日本 日本 香港 香港 巡回型 往復型 総航海距離により差が出る 隻数により差が出る 次に航路形態毎の比較をします。 この図は、巡回型、往復型、往復型の域内輸送を行う場合、の3つの航路についての 分析を行ったものです。それぞれ香港、日本、米西岸の3港間を対象にして、 需要は週当り3000TEUとします。 結果の表はこのようになりました。 航海費は航海距離により差が出るので、航海距離の長い往復型航路のほうが高くなりました。 船費は今回は同じでしたが、往復型は巡回型に比べて、Weekly Serviceを行う上で、船の隻数が 増える可能性が高いので、費用も高くなる可能性があります これらをトータルとしてみると、巡回型と往復型航路は若干往復型航路がかかる費用が 高くなったものの、あまり違いが見られませんでした。 そこで今度は往復型航路のアジア域内輸送を考えてみます。すると、域内輸送をした場合の往復型航路は 先ほどの巡回型と域内輸送をしない往復型航路と比べて明らかに費用が安くなりました。 結果として、巡回型と往復型のどちらかの航路を採用する場合、航路形態の面から考えた場合は 往復型のほうが経済性が良いという事が分かりました。 実際は先ほどの往復型航路のほうが多く採用されているといいましたが、 これが理由の一つと考えられます。 しかし、ならば航路をすべて統合して航路の長い往復型航路にすれば良いかといえば、 そうでもありません。 この場合を経済性と拘束性の2つの面から考えてみます。 まず、経済性ですが、寄る港の数を増やせば増やすほど港費が上がり、 航海距離も増えます。また、Weekly Serviceを行う上で、港の数がある程度以上に なると、隻数も増やす必要があります。結果、費用がかさむので良いとはいえません。 また、拘束性の面で考えてみると、積荷を運ぶという事は、それを依頼する荷主がいるわけで あまり長い間荷物がこないのでは、荷主のサービスに堪えられません。 結果、サービス面からも良いとはいえません。 つまり、往復型が一般的には経済性は良いのですが、 条件があるということです。 巡回型、左の往復型に比べて明らかに費用が安い!
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まとめ 国際輸送ハンドブックのデータを用いて、各海運アライアンス毎の航路形態の特徴を明確にした。
2017/3/11 まとめ 国際輸送ハンドブックのデータを用いて、各海運アライアンス毎の航路形態の特徴を明確にした。 航路形態の基本的な特性について明らかにした。 まとめです。 以上より、国際輸送ハンドブックの結果を用いて、各海運アライアンス毎の航路形態 の特徴を明確にしました。 また、航路形態の基本的な特性について明らかにしました。
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