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平成12・13・14・15・16・17年度 文部科学省教育研究開発学校指定

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1 平成18年度                     H18.7.13 兵庫教育大学 Pf.成田ゼミ   「特別支援学校に向けた       京都市の先進的な取り組み」              京都市立西総合養護学校                   校 長   朝 野   浩

2 平成12・13・14・15・16・17年度 文部科学省教育研究開発学校指定
平成12・13・14・15・16・17年度         文部科学省教育研究開発学校指定  総合制・地域制の養護学校における     教育課程はどうあるべきか   ~ ~  障害種別の枠を超えた     教育課程のあり方に関する研究 ~ ~    ただ今ご紹介頂きました京都市総合養護学校長会長の研究開発学校企画委員会委員長を勤めております京都市立西総合養護学校長の朝野でございます。  どうぞよろしく,おねがいいたします。 本日は,このすぐ近く四条河原町、鴨川の畔の南座に恒例の顔見せ興行役者の招きが上がり、冬本番「師走の京都」に私たちの文部科学省指定の最終報告会のために全国より沢山の方がお越し頂き、最終報告会を開くことが出来、喜びに堪えません。ありがとうございます。 本年は、最終報告会ですので、 さて,本研究は,平成12年度に始まり,平成14年度に第1次の指定最終報告会を行いました。しかしながら,3年間では研究が終わらない内容であったことから,継続して第2次の指定を頂き,今年で6年次・最終報告会を迎えることになりました。長い、実践研究でありましたが、平成16年四月1日、順調に私どもの考え出しました独自の個別の包括支援プランに基づく総合制養護学校がスタートして2年が経とうとしています。初年度は、不安から期待に変わる16年度でしたが、本年17年度は期待から始まる2年目あります。その実践からの評価を含めての最終報告誌をまとめています。是非ご覧にいただきまして、特別支援教育が始まり数年が経とうとしています、参考の一助にして頂ければ幸いです。会をここに発表できますことを  また,研究開発学校の趣旨は,現行の法の枠を超えた先行的な実践を行い,次の,学習指導要領の改訂に資するための基礎研究でもあります。 ■京都市立北総合養護学校 ■京都市立白河総合養護学校 ■京都市立東総合養護学校 ■京都市立鳴滝総合養護学校 ■京都市立西総合養護学校 ■京都市立呉竹総合養護学校 ■京都市立桃陽総合養護学校 提 案: 企画委員会委員長 朝 野   浩     京都市立総合養護学校長会長

3 ①「21世紀の特殊教育のあり方について」(H13.1) ②学校教育法施行令の改正(H14.4)
●特別支援教育に関する動向 ①「21世紀の特殊教育のあり方について」(H13.1)          ②学校教育法施行令の改正(H14.4)                  ③「今後の特別支援教育のあり方について」(H15.3)       *障害者基本計画(H16.1)                                ‥養護学校での「個別の教育支援計画」の策定(H17までに)     *中央教育審議会特別委員会での審議継続           (H17.12.8)④「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」   ⑤学校教育法施行規則の一部を改正する省令(H )     *LD、ADHDの児童生徒を中級による指導対象にとする             *各号の改正ー2号自閉症者、3号情緒障害者選択性かん黙等に分離、             6号LD、7号ADHDを追加                      *「特別の教育課程」一部改正(通級による指導時間の弾力化)       ⑥学校教育法等の一部を改正する法律(H19.4.1施行)       *障害種別を超えた特別支援学校へ*教職員免許法改正                               

4 …学校として専門性を確保する指導体制のあり方
●最近の教育改革の動向  ●中央教育審議会(h )              「新しい義務教育を創造する」(答申)          …学校経営に対する明確なビジョンと評価    …学校として専門性を確保する指導体制のあり方     ※教育改革のための重点行動計画 ー 義務教育の基礎構造改革      ○教育目標の明確化と結果の検証による室の保障・向上     ○特別支援教育の推進  (他戦略4点)            戦略 ★盲・聾・養護学校の『特別支援学校』への転換        ★小・中学校におけるLD等を含む障害のある子どもに                         対する教育の充実  ●特別支援教育を推進するための制度の在り方について    (最終答申)H17.12.8              ○障害種別を超えた学校制度…地域における教育ニーズ等    ○…組織や運営の在り方を再構築し…一層効果的な学校経営            

5 「期 待」 に 保護者の不安 再編の様子 ・「個別の包括支援プラン」 ・通学圏が変わること ・障害が異なる集団になること
・給食や健康管理に関すること ・指導体制が変化すること など 保護者の不安 昨年4月の再編時の様子でありますが,通学する学校が変わることや,障害の異なる子ども同士が一緒になること,個に応じた給食や医療的ケア等の必要な子ども達の健康管理に関することに,保護者は,大変不安をもっていました。  また,今まで受けてきた教育環境の変化から,指導体制が変わることへの不安もあり,大変混乱するのではないかと、心配されたわけですが,非常にスムーズに総合制・地域制に移行できました。       それは,新たにスタートする総合養護学校では、どの様な集団になり,どの様な支援が必要なのかを,「個別の指導計画」をもとに各学校ごとに開校前から指導計画ができていたことが,指導の継続性の観点からも不安を取り除けた一番大きな要因だと思っています。  さらに,事前の新たな集団での試行通学や、 PTAと共催の8回に及ぶ給食試食会や、 医療的ケアーの必要な子どもに対する4校への看護師の配置などを実施してきた結果,   今までの保護者の「不安」は,今では「期待に」変化してきております。 ・「個別の包括支援プラン」 による事前準備 ⇒ 指導の継続性 ・試行通学 ⇒ 学級編成 ・PTA共催の給食試食会 ・看護師の4校配置 など 「期 待」 に

6 ● 期待と信頼からスターする2年目

7 障害のある子どもの「生きる力」と 保護者への生涯にわたる「支援」
障害のある子どもの「生きる力」と      保護者への生涯にわたる「支援」    ★ 「 個 別 の 包括支援プラン 」  さて,平成12年度より取り組んでまいりました, 「障害種別を超えた教育課程のあり方に関する研究」を進めるに当たり, その基本理念を「障害のある子どもを地域や家庭で暮らす1人の生活者として捉え」 , 「個」に視点をあてた「個」から出発する教育の具体化と,「障害のある子どもが地域や家庭で「生きていく力」を育み,本人・保護者への生涯にわたる支援のあり方を明らかにしていくことだと考えております。  本研究は,その意味から,養護学校に求められている3つの要素が協働する運用システムの研究であります。   1つは,障害種別によらないカリキュラム開発に関する研究     ⇒「個のニーズから出発する」総合制・地域制養護学校を意味します   2つ目に,「生涯にわたる支援システムのあり方に関する研究     学校での学習が家庭や地域で生きたものになっているのかということ   3つ目に,教育活動と地域を結ぶための学校運用システムに関する研 究です。     多様なニーズに応えていくためのインクルーシブな教育をどのようにすればよいのという視点、そのためのマネジメントのあり方   この三つの研究内容を具体化していくために、京都市では「個別の指導計画」をツールとして活用してきました。   今年の2月から名称を「個別の包括支援プラント」呼ぶことにしました。 その考え方は後ほどご説明いたします。 サポート 生涯にわたる支援   カリキュラム   マネージメント 内と外に向けた連関 障害種別にとらわれない教育課程 総合育成支援教育相談センター

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9 1.はじめに 本市養護学校の再編の経緯 ◆平成11年11月 「養護育成教育の今後のあり方」 <報告> ◆平成12年度~14年度
研究の経緯について 京都市では,平成11年11月に「養護育成教育の今後のあり方について ~養護学校の再編に向けた基本的方向~ <報告>」と言う形で,答申が出されました。 そのため,養護学校校長会においても,総合制・地域制養護学校構想についての先行研究を行ってきました。 おりしも,平成12年度に,文部科学省研究開発学校指定において,初めて特殊教育部門の募集があり,「総合制養護学校の教育課程のあり方に関する基礎研究」として指定を受けることになりました。 研究開発学校は現行法の枠組を超えた先行的な研究に主旨がおかれていることから「新たな養護学校構想の実現に向けて」の理念整理と試行実践に取りかかりました。 平成14年度の最終報告の後,京都市におきましては,「障害種別の枠を超えた教育課程の研究」の理念の実現に向けて」学校と行政そして保護者が一丸となって,初めての総合制・地域制養護学校の開校に向けて一つ一つ問題を解決しながら, 昨年,平成16年4月に京都市の養護学校の再編を完了しました。 今日は,その辺の経過も踏まえ,ご報告させて頂きたいと考えております ◆平成12年度~14年度 文部科学省教育研究開発学校(第1次指定) ◆平成15年度~17年度 文部科学省教育研究開発学校(第2次指定)

10 ●養護育成教育の今後のあり方プロジェクト
目的:京都市の養護育成教育の課題を解決し *今後のあり方について検討・提言  ・第一期:平成4年~平成7年    ・第二期:平成8年~平成11年  ①<報告>「養護育成教育の今後のあり方について」H11.11         ー養護学校の再編に向けた基本的方向ー       ②育成学級・通級指導教室の新増設  cf.弱視教室(巡回方式) *発展:                                      ①文部科学省教育研究開発学校指定・H12~H 17          ②特別支援教育専門家会議                       

11 養護育成教育の今後のあり方について (養護学校の再編に向けた基本的方向) <報 告> 平成11年11月 京都市教育委員会
<報  告> 平成11年11月 京都市教育委員会 養護育成教育の今後のあり方研究プロジェクト

12 本市養護学校の再編計画 (改編)

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14 ○京都市の総合養護学校(平成16年4月1日) (昭和54年養護学校義務制)
○京都市の総合養護学校(平成16年4月1日) (昭和54年養護学校義務制) 総合制・地域制 北 総合養護学校 東 総合養護学校 西 総合養護学校 呉竹総合養護学校 分教室 紅梅分教室 4校(小・中・高) 訪問教育 総合養護学校 総合制 (高等部職業学科) 白河総合養護学校(産業総合科) 鳴滝総合養護学校(生活産業科) 2校(高) 鳴滝総合養護学校 桃陽総合養護学校 京大病院 病    弱 分教室 国立病院 2校 (鳴滝は小・中・高) (桃陽は小・中) 府立病院 (H17.4~) 第二赤十字病院 (H17.4~) 訪問教育

15 ●平成8年当時の京都市養護育成教育の課題 *障害種別による養護学校(6校体制):ー ・障害の重度、重複、多様化
 ●平成8年当時の京都市養護育成教育の課題 *障害種別による養護学校(6校体制):ー   ・障害の重度、重複、多様化     → 教育方法、医療的ケア、進路指導など   ・養護学校の市内周辺の偏在     → スクールバス通学の長時間乗車   ・在籍児童生徒の増加     → 高等部への進学        専門教育の期待ー小学部の入学増(保護者の意識変化)   ・指導力の向上・充実、専門性の向上     → 京都市立養護学校教員研修会(S64~)、各主任・代表者会

16 「ゆとり」の中で一人一人の子どもたちに, 「生きる力」を育成する。 ■ 自己の生き方を考える
教 育 改 革 「ゆとり」の中で一人一人の子どもたちに,    「生きる力」を育成する。     ■ 自己の生き方を考える 見失ってはならないこと ● 新しい時代を創りだす「個」の営みの尊重 ● 障害のある子どもたちの「主体性」の尊重 文部科学省 「21世紀の特殊教育の在り方について」

17 「生きるすべ」から「生きるかたち」へ インクルーシブな関係 ● 教育とは生きるかたちをつくること 家庭や地域社会において「生活者」として,
● 教育とは生きるかたちをつくること 家庭や地域社会において「生活者」として,   生きるすべをもって生きるかたちを伝える営み 「生活者」として,お互いが優しく支えあう 自立した社会 「生きるかたち」の    教えあい・支えあい 我々の生活の「場」 インクルーシブな関係

18 新しい障害観 「される」存在 「する」存在 発想の転換 視 座 障 害 B.ミケルセン・・・・ノーマライゼーション
障害のある人を可能な限り正常に近い存在にする 「される」存在 「する」存在 ● 介  護 発想の転換 ● できる存在として捉え直す 視 座 障 害 個人と周りの状況との関係・「環境」のあり方

19 総合制・地域制養護学校の意義と創造 障害のある子ども教育の「場」の見直し 教育改革 「個」の視点からの出発
● ノーマライゼーション理念の実行 with them から We へ ● 学ぶ側の「主体性」を重んじるカリキュラム      ADL → QOL       自己選択・自己決定ー参加 ● 生涯にわたる「支援」のシステムづくり

20 「3つの【場】の教育を超える」 障害のある子供の教育の「場」の見直し 生涯にわたる支援 = 個別の個別の包括支援プラン
生涯にわたる支援 = 個別の個別の包括支援プラン ① 障害種別による教育の【場】を超える    ノーマライゼーション理念の具現化 ② 従来の学校という教育の【場】を超える    「生活者」としての「生きるかたち」の視点 ③ 小・中・高等学校等という教育の【場】を超える    障害特性への支援 ⇒ 一人一人の教育的ニーズ

21 ① 総合制・地域制養護学校での 社会参加・自立に向けた教育内容の充実
総合制・地域制養護学校のカリキュラム開発の研究 1.ねらい〔視点〕 ① 総合制・地域制養護学校での      社会参加・自立に向けた教育内容の充実 「生きる力」を育てる適切な教育課程の基礎研究 (3)本研究のねらいです。一点目には,総合制・地域制養護学校での社会参加・自立に向けた教育内容の充実です。「生きる力」を育てる適切な教育課程の基礎研究を行ないました。二点目には、教育課程のソフトを支えるインフラ整備です。21世紀の開かれた養護学校のあり方の基礎研究を行いました。 ② 総合制・地域制養護学校を支える                     教育基盤の整備 21世紀の開かれた養護学校のあり方の基礎研究

22 ⑤ 評価について本人参加や保護者の参加を促す
理論仮説 総合制・地域制養護学校のカリキュラム開発は, ① 「社会参加・自立」を積極的に推進する ② 多様なカリキュラムの策定を促す ③ 個別の包括支援プランにより              新しいカリキュラムを創造する (4)次に理論仮説として,総合制・地域制養護学校のカリキュラム開発は,①「社会参加・自立」を積極的に推進する ②多様なカリキュラムの策定を促す ③個別の包括支援プランにより新しいカリキュラムを創造する ④「四つの生きる力」の視座により新たな支援のあり方を創造する ⑤評価について本人参加や保護者の参加を促す ⑥個別の包括支援プランにより「生活者」としての支援のネットワークを創生する といった6点を設けました。  ④ 「四つの生きる力」の視座により               新たな支援のあり方を創造する ⑤ 評価について本人参加や保護者の参加を促す ⑥ 個別の包括支援プランにより       「生活者」としての支援のネットワークを創生する

23 Ⅰ カリキュラム開発に関する研究 Ⅱ センター機能に関する研究 Ⅲ 学校経営システムに関する研究
カリキュラム開発に関する研究   センター機能に関する研究     Ⅲ 学校経営システムに関する研究 (5)最終報告誌内容は図にあります4つの内容で構成しています。カリキュラム開発とセンター機能に関する研究,それを支える学校経営システムと,経営システムを担保するキャリアシステムの研究であります。 Ⅳ キャリアシステムに関する研究

24 Ⅰ.カリキュラム開発に関する研究 教育改革 「生きる力」の定義 「個」の視点からの出発 障害のある子供の教育の「場」の見直し
●従前の教育システムの見直し 障害種別の学校設置と教育課程 はじめに,「カリキュラム開発に関する研究」についてご報告いたします。 前回の最終報告で,私たちは,「障害のある子供たちを,一人の児童生徒として見る前に,まず一人の「生活者」として、地域の中で生活していると言う」視点をもつこと。   即ち,ノーマライゼーションの理念が研究を進めていく原点であることを提言しました。   そして,その理念で教育の場を見つめ直した時,従前の教育システムである障害種別の教育の「場」ではなく,  学ぶ側の「主体性」を重んじるインクルーシブな教育環境を総合制・地域制の創造に求めていきました。   即ち,「個」の視点から出発することを,教育改革として進めてまいりました。 そこで,新たなカリキュラムを開発していくためには,障害のある人が一人の市民として「生きていくための力」を新たな教育の視座とし、障害のある子供の「生きる力」について定義し新しいカリキュラム編成の基準についての検討に入りました。 「個」の視点からの出発 教育改革 障害のある子供の教育の「場」の見直し    「生活者」としての捉え直し 「生きる力」の定義

25 新しい教育課程の理念構造図 従前の教育課程からの転換 環境 スキル 社会性 意欲・主体性 学習内容の系

26 基本理念 「四つの生きる力」の視座 1 「生命として生きる力」 2 「生きて生活する力」 3 「生きて働く力」 4 「ともに生きる力」
新しい教育課程を編成するための基準に関する基礎研究 基本理念    「四つの生きる力」の視座     1 「生命として生きる力」     2 「生きて生活する力」     3 「生きて働く力」     4 「ともに生きる力」    生命 生活する 働 く ともに

27 「生きる力」の定義 「四つの生きる力」の視座 と 京都市版「個別の指導計画」 1 「生命として生きる力」 2 「生きて生活する力」
と 京都市版「個別の指導計画」 1 「生命として生きる力」 2 「生きて生活する力」 3 「生きて働く力」 4 「ともに生きる力」 「個別の指導計画」(京都市版)改称: 個別の包括支援プラン そこで,障害のある子どもの「生きる力」を4つの視点で捉え直しました。 ①生命として生きる力 ②生きて生活する力 ③生きて働く力 ④ともに生きる力 であります。 この視座が,カリキュラム開発の原点であり、基準であります。 この視座で「個別の指導計画」を作成し,実践していくことに取りかかりました。   ですから,始めに指導内容があり,それを「個別の指導計画」に整理し直したものではなく,「個々の子どもと、保護者」への生涯にわたる支援のためのツールとして,考えることにしました。   これが京都市版「個別の指導計画」の発想であります。 従って,障害種別を超えた,カリキュラムの創造のためだけではありません。   組織運用のためのツールでもあります。 ●カリキュラムの創造ーーー 障害種別をこえた教育…特別支援教育 ともに ●教育の「場」の見直しーー 生涯にわたる支援…連続・継続性 ●組織運用システムーーーー- センター機能…内・外(小・中など)支援

28 本市における「個別の支援計画」の考え方と名称
「個別の指導計画」(京都市版)から 「個別の包括支援プラン」 h16名称変更 ここで,従来から使っていました京都市版「個別の指導計画」の考え方の整理をいたします。 今までご説明しましたように,京都市の考えている「個別の指導計画」は学校教育の場面だけでなく生涯にわたる支援の計画までを本研究の当初よりめざして来ました。ですから,単に個別の授業計画に留まらない,また自立活動や重度重複児童生徒だけを対象としたものではありません。 その意味では,国レベルで最近言われています「個別の教育支援計画」やさらに「個別の支援計画」と重複しているように思える概念でありますが,学齢期にあっては,後ほど詳しくご説明いたしますが,「カリキュラム編成のためのツール」でもあり,もちろん「指導のためのツール」であります。   さらに、「保護者への支援のためのツール」でもあり,また,相談センターとして「地域支援をしていくためのツール」でもあります。  学校と,家庭・地域との学習内容の連続性と関係機関との協働・連携コラボレイションを図るツールを目指すものです。  そのように,様々な要素を包括しております。ですから,京都市版という言葉で区別しておりましたが,長い間検討してきた結果今回そのような意味から,「個別の包括支援プラン」と言う積極的な意味を込めて呼び方を改正することにいたしました。 乳児期 幼児期 青年期 壮年期 老年期 個別の移行支援計画 個別の指導計画 個別の教育支援計画 ★「個別の包括支援プラン」 個 別 の 支 援 計 画 就学前 学齢期 卒業後

29 ● 「四つの生きる力」の視座 ● 「四つの領域」で目標の設定 ● 「実行プラン」による授業実践 内容の選択の規準づくり
「個別の個別の包括支援プランからカリキュラムの創造 ● 「四つの生きる力」の視座 ● 「四つの領域」で目標の設定 ● 「実行プラン」による授業実践 内容の選択の規準づくり ◆発達の視点 ◆障害の特性の視点 ◆「個」の視点 京都市における「個別の個別の包括支援プラン支援」(システム)

30 「四つの生きる力」の視座から 「四つの領域」 目標設定のための分析と評価の視点 a ) 「環境(参加とできる状況づくり)」
a ) 「環境(参加とできる状況づくり)」 b ) 「スキル(知識技・術)」 c ) 「意欲・主体性(自己選択・自己決定)」 d ) 「社会性(ひと・もの・ことへもかかわり)」 「四つの領域」

31 「個別の指導計画」の作成 ~長期目標から行動目標への流れ~ 短期目標 ●【三者の願い】 【本人の願い】 児童生徒との話し合い
保護者との話し合い 日頃の行動観察 より 【指導者や社会の願い】 本人の意思で社会参加しながら自立するという観点 より 家庭訪問 懇談会 日頃の話し合い より 【保護者の願い】 ●【長期目標】 【四つの生きる力の視座でみた「社会参加・自立の姿」】  【生命として生きる力】  【生きて生活する力】  【生きて働く力】  【ともに生きる力】 ●【四つの領域の視点で実態把握と分析】 行動 心理 他者 自己 【環境】 【スキル】 【意欲・主体性】 【社会性】 ●【右回りスパイラル構造仮説】 短期目標

32 「生きる力」の視座からカリキュラム編成①
三者の願い 「四つの生きる力」の視座でみた 長 期 目 標 さて,その「個別の包括支援プラン」に基づくカリキュラム編成とその運用システムに話を進めます。 京都市の総合制・地域制の4校では,昨年4月より,「個」のニーズから出発するカリキュラム編成で授業を行っております。ここに至るまでには,いくつもの試行を繰り返してまいりました。 カリキュラムを編成する前に,「四つの生きる力」の視座で「本人・保護者・指導者や社会のニーズ」の3者の願いついての分析を行い「長期目標」を立てます。そこから,より具体的な行動目標にするために、環境・スキル・意欲主体性・社会性という「四つの領域」の観点で分析を行い「短期目標」を立てます。この分析の方法について,今日この後ご講演いただきます上越教育大学教授の藤原先生に大きな示唆を頂きました。右回りスパイラル構造仮説と呼ぶものであります。 このようにして,具体的な行動目標としての「短期目標」を導き出しました。  カリキュラムとして「まとまりのあるもの」にしていくためには、「基準となるもの」と「編成していくための枠組みや手順」が必要となります。 平成14年度から,その基準となるカリキュラムのデータベースづくりとカリキュラム編成の方法についての試行を行ってきました。 「四つの領域」の視点で実態把握と分析 行動 ★【環境】 【スキル】 他者 自己 【社会性】 【意欲・主体性】 心理 ★右回りスパイラル構造仮説 「短期目標」の設定

33 「個別の包括支援プラン」に基づく カリキュラム編成の手順
「個別の包括支援プラン」に基づく カリキュラム編成の手順 本人・保護者・指導者などの願い 三者の願い 現在の姿 この表は「個別の包括支援プラン」に基づくカリキュラム編成の手順です。   平成14年度から、このような方法でカリキュラムを編成することが可能かどうかを、実際に試行しながら,地域制4校の養護学校のカリキュラムを再編前に作成し試行実践してきました。 考え方を整理しますと「カリキュラムベース」とは「四つの生きる力」の視点と発達の視点から導き出された「学習内容の要素の一覧表」でありデータベースであります。 ユニットとは,短期目標とカリキュラムベースとを照合しまとまりのある学習活動にしたものであります。 ●導き出された「短期目標」を「カリキュラムベース」を利用して、   目標を達するために適した学習内容を選び出します。 ●そして,「中心となる課題によってまとまりのある学習活動にし   たもの」を「ユニット」として構成します。 ●さらに,学習内容を集約する作業を通して   学部や学年,グループ別の「カリキュラム作成方針」を立て,    「ユニットの一覧」と「学習集団」を決定していきます。 ●そして,一人一人の「個別のカリキュラム表」にまとめていくと   いうのが一連の流れであります。 4つの領域 と 右回りスパイラル構造仮説 長期目標 短期目標 「四つの生きる力」の視座 カリキュラムベース ユニットの編成 カリキュラムベースマップ 個別のカリキュラム表 実行プログラム= 授業   評価

34 目標達成するための授業への流れ 目標達成するための授業への流れ

35 発達からみた学習内容の系 活動の把握とルールや法則性の理解 探索行動と認知 発達 身体の動きと感覚・知覚 3要素の配分イメージ

36 機能からみた学習内容の系 生きて働く力 生きて生活する力 生命として生きる力 学習内容の進展

37 「生きる力」の視座からカリキュラム編成②
平成15年度に「短期目標」からカリキュラムベースとして集約 機能からみた学習内容の系 Ⅰ 群 生命として生きる力 Ⅱ 群 ユニット ■■■■■  カリキュラム編成の基準のとなるカリキュラムベースについてもう少し詳しく説明します。  「短期目標」を  縦軸に 「四つの生きる力」の視座からまとめた機能から         みた学習内容の系と,  横軸に,発達から見た学習内容の系の   2つの軸のマトリックスで分類したものを,「カリキュラムベース」と呼んでいます。  またこの度,学習指導要領に示されている各教科の内容もこの考えで分類し併せて記載しました。 そして,先ほど説明しました「短期目標」が集中している固まりを見つけ出し、中心となる学習活動を導き出したものがユニットとなります。   平成14年からこのような方法で,3者の願いから出発する「個別の包括支援プラン」を用いて、導き出された学習内容の要素を蓄積し「カリキュラムベース」を作成してきました。  この度「経営の手引き(応用編)」に全てを載せておりますので,後ほど,手にとってご覧頂けたら幸いです。 生命として生きる力 ・生きて生活する力 「4つの生き力」の視座 ■■■■■ ■■■ ■■■ Ⅲ 群 ■■■■ 生きて生活する力 Ⅳ 群 生きて働く力 第1段階 第2段階 第3段階 第4段階 ■■=短期目標 発達からみた学習内容の系

38 カリキュラムベースの例 機能からみた学習内容の系 「四つの生き力」の視座 発達からみた学習内容の系 学習内容要素一覧(活動による表記)
これが,カリキュラムベースの一例です。 縦軸に「四つの生きる力」の視座による機能からみた学習内容 の系の4群 横軸に発達からみた学習内容の系(4段階)によって分類され た「学習内容の要素となる活動の」一覧表の例です。 発達からみた学習内容の系

39 カリキュラム編成とケース会議の役割 ●カリキュラムづくりに保護者が参画 ユニット一覧表の提示 ケース会議 本人・保護者のニーズ
 今まで,カリキュラム編成の手順の概要について、ご説明してきました。   カリキュラムを編成していく上で,特に大切にしていることは,カリキュラムを作成する過程の中に保護者が幾度も参加していることです。 ケース会議はその様な機能を持っております。  例えば,「ユニットの一覧表」を見せて,本人・保護者のニーズと合っているのかを確認します。   保護者や本人がカリキュラムづくりに参画することによって,目標と評価の共有化が図られ,授業そのものの質の向上につながっていくと考えています。 アカウンタビリティー インフォームドコンセント ケース会議 本人・保護者のニーズ 授業の質の向上 目標と評価の共有化

40 個別週予定の例 そして,最終的にこのような個別の週予定表として各家庭に配布されます。

41 学校経営システムの研究 Ⅲ.学校経営システムに関する研究 機能の分化 マネジメント部門 ティーチング部門 組織の 基礎構造改革 サポート部門
 マネジメント部門 次に学校経営システムについてご説明します。 障害種別を超えた総合制・地域制養護学校への転換は,従前の教育システムからの教育改革であります。 個のニーズから出発するカリキュラム編成と学習集団の編成,そして多様なニーズに柔軟に対応できる指導を可能にしていくためには,従前の組織から,学校の組織全体を機能分化する必要がありました。 そこで,平成14年度に学校経営システムの基本的な考え方を,「機能」に視点をおいてまとめ,再編の前の年から、できる条件の所から試行実施してきました。 教育の質を高めるための教育課程の管理とともに,「学校の外に対する支援」と「校内に対する支援」が連動するように支援部を設け,サポート機能を充実させてきました。 具体的には,マネジメント部門,ティーチング部門,サポート部門の3の機能で組織された運営システムとして、「組織改革」を行いました。   組織としては,総務部,指導部,支援部とし、担任は分掌を持たずに指導に専念するようになりました。 ●組織マネジメントとクライシスマネジメント 機能の分化  ティーチング部門 ●実行プログラムにおける授業実践 組織の 基礎構造改革  サポート部門 ●計画のための支援と指導のための支援

42 組織マネジメントの考え方 教育環境 組織の機能分化・支援体制・研修システム・組織マネジメント 地域や本人・保護者のニーズ 専門性
学 校 経 営 ビ ジ ョ ン 総合制・地域制養護学校の基本理念 専門性 インフォームドコンセント  とアカウンタビリティー 人材確保と育成 研修         システム      教育課程の編成     創造と評価 個別の 個別の包括支援 プラン 教育環境 学習環境・IT活用など 地域に開かれた   養護学校 プラットフォーム構想 組織の機能分化・支援体制・研修システム・組織マネジメント

43 経営システムの基本的な考え方 マネジメント 機能の強化 ・個に視点をあてた「個別の包括支援プラン」 をツールとした組織運営システム
総合制・地域制養護学校に求められる機能 ・個に視点をあてた「個別の包括支援プラン」 をツールとした組織運営システム 経営システムの基本的な考え方ですが, 「個別の包括支援プラン」をツールとした組織運営システムが機能するための「3つの視点」をあげてみました。 1つは、「指導の充実」を図る視点 ・個から出発するカリキュラム運営が可能となるシステム ・必要な時に必要な指導と支援が可能となるシステム ・PDCAサイクルによる指導システムを  作ること 2つ目には「専門性の向上」を図る視点 ・校内支援と校外支援が可能となるシステム ・コーディネーターを配置し「計画段階の支援」と「指導に対    する支援」システム ・専門性を高めるための研修システム を充実すること 3つ目には「マネジメント機能の強化」を図る視点です ・校長のリーダーシップの下、経営方針が明確になるシステ    ム ・人材育成のための研修システム ・教育課程の管理も含め,危機管理と責任分担が明確にな    る システム   などであります。 ・個から出発するカリキュラム運営 ・必要な時に,必要な指導と支援 ・P・D・C・Aによる指導システム 指導の充実 授業改善 ・校内支援と地域支援 ・コーディネータの役割と配置 ・研修システムの充実 専門性の向上 マネジメント 機能の強化 ・経営方針の明確化 ・人材養成システム ・クライシスマネジメントの強化

44 カリキュラム運営のP・D・C・Aと組織運用
PLAN   DO  CHEACK  ACTION 学部長 カリキュラム マネージャー 枠組 編成方針 運営の チェック ユニット表やカリキ ュラムベースの更新 学年主任 授業の チェック カリキュラム コーディネータ ユニット 作成 ユニット 更新 (21)カリキュラム運営は,具体的にはこのようなPDCAに基づく組織で運用しております。マネージャーは学部長であり,カリキュラムマネージャーとして,カリキュラム全体の枠組みや編成方針を定めます。コーディネーターは学年主任が担い,個別の包括支援プランの作成過程においてスタッフ間のコーディネートを行います。また,カリキュラム編成においてはユニットの編成を行います。ティーチングコーディネーターやティーチングスタッフは担任や専任であり,個別の包括支援プランの作成,実行プランの作成とそれに基づく授業計画並びに授業実施を担います。サポートスタッフは支援部のスタッフであり個別の包括支援プラン作成や授業作りにあたって専門的な見地からの支援を行います。コーディネーターはチェック機能を持ち,評価に基づいてユニットの更新を,マネージャーはカリキュラム全体の見直しを行います。 担任・専任 授業の見直し 個別の包括支援 プランの更新 ティーチング コーディネータ ・スタッフ 実行プラン 作成 授業の 実施 支援担当 専門的な立場からの助言 専門性の強化 支援のあり方に ついての更新 サポートスタッフ 企画支援

45 組織運営システムにかかわる機能

46                                                                                                                                                                                                                                    校務を分担する組織の機能概念図

47 個別の包括支援プランの運用

48 経営システムの検証 35項目についてアンケート調査を実施 対象 : 総合制・地域制4校の教頭・副教頭・学部長・学年主任 A~Dの4段階で評価
対象 : 総合制・地域制4校の教頭・副教頭・学部長・学年主任 A~Dの4段階で評価  このシステムが,機能に沿って、円滑に運用されているかどうかを,検証するために,地域制4校の教頭・副教頭・学部長・学年主任を対象にアンケート調査をしました。 ・調査は,35項目で,総務部,指導部,支援部ごとに4段階で   自己評価してもらいました。 ・調査の項目内容については、報告冊子の91ページ~のせております   ので、後ほどご覧ください。  ここでは,「特に評価が高かった項目」(赤の矢印のところです)と  「特に評価が低かった項目」(青の矢印のところです)について報告い   たします。 また,各校においては,京都市の学校評価システムによる各校独自の自己評価により分析がされ,改善に活かされています。 報告冊子:第Ⅱ章第2節参照

49 アンケート調査からの考察 評価が高い項目について・・・肯定的評価の増加 導入4年の実績、再編2年 マネジメントに関すること 機能が強化
                    導入4年の実績、再編2年 マネジメントに関すること ・2人教頭制や副教頭・学部長の配置により学校経営  機能が強化 まず,「特に評価が高い項目」ですが マネジメントに関する項目では, ・2人教頭制・や学部長の配置により学校経営機能が強化されたこと ティーチングに関する項目では ・サポート機能の充実により指導が充実できたこと ・機能分化により担任が指導に専念できるようになったこと サポートに関する項目では ・看護師の2名配置により保健管理体制が充実したこと ・経営システムの構築により相談センター業務が充実してきたこと と捉えていることが、うかがえます。 ティーチングに関すること ・サポート機能の充実により指導が充実 ・機能分化により担任が指導に専念 サポートに関すること ・看護師の2名配置により保健管理体制が充実 ・経営システムの構築により相談センター業務が充実

50 組織機能の分化と研修システム ・学校課題の分析 ・ビジョンの具体化 ・人材・環境・管理 組織運営の機能分化 マネージメント部門
・個に応じた指導実践 ・評価とプログラム作成 サ ポ ー ト部門 ティーチング部門  ・個に応じた指導実践 ・評価とプログラム作成 ◇マネジメント研修       ◇実践研修 ◇コーディネータ研修     ◇基礎研修 ◇専門研修           ◇その他の派遣研修

51 Ⅳ.キャリアシステムに関する研究 専門性の共有化と研修のためのネットワーク 幼・小・中学校 地域の育成学級 地域の普通学級 盲 学 校
    専門性の共有化 B養護学校の専門性 総合制・地域制養護学校 支援と相談 幼・小・中学校 地域の育成学級 地域の普通学級 A養護学校の専門性 (22)なお,専門性の向上と人材育成に関しましてキャリアシステムに関する研究を行いました。京都市におきましては,特定個人の職人芸的な専門性で支えられるのではなく,学校総体としての,あるいはネットワーク総体としての専門性を高めることを目指し,総合養護学校7校を中心に,この図にありますように専門性の共有化と研修のためのネットワークを構築いたしました。また,カリキュラム運営における機能分化でありますところの,マネージャー,コーディネーター,ティーチングスタッフそれぞれのポジションに応じた研修プログラムを作成しました。 C養護学校の専門性 弱視通級教室 ことばときこえの教室 連携と相談 連携と相談 ■関係諸機関 ■スーパーバイザー  ・大学,研究機関  ・福祉,労働機関  ・医療機関  etc. 盲 学 校 聾 学 校

52 専門性の向上のための研修プログラムの一例

53 機能の分化による学校運営 まとめ ・一人一人の子どもへの指導の質を高める ・学校全体の課題が見えやすくなる ・業務内容が明確になる
・研修の充実と専門性の向上が求められている 逆に,評価が低い項目については ・「個別の包括支援プラン」の運用面での調整の円滑化が必要 ・「個別の包括支援プラン」に基づく実践の評価・更新のあり方  についてさらに検討が必要であること ・効率的なケース会議の運営が必要であること ・コーディネーターの養成と研修システム充実が必要であること ・授業者の授業企画力と指導力を高める研修の充実が必要 等が、課題だと感じていることが、うかがえます。  全体のまとめとして マネジメントに関わることに関しては, ・一人一人の子どもへの指導の質が高まる ・学校全体の課題が見えやすくなる ・業務内容が明確になる 等,高い評価になっている,反面 「運用面」に関しては, ・「個別の包括支援プラン」に基づく評価・更新の在り方や,調整の方法,ケース会議の運営のあり方等、 まだまだ、課題が見られます。 特に,コーディネーターの役割が大きく,より一層の 専門性の向上が求められていると思います。 ・各部門毎の専門性の向上に向けた研修の充実が必要と考えます。

54 Ⅱ.センター機能に関する研究 面(地域ぐるみ)としての支援機能 支援ネットワーク 総合制養護 地域ぐるみでの支援 総合育成支援教育
学校の枠を超える 支援ネットワーク 地域が学びの場 地域ぐるみでの支援 最後に,センター機能に関する研究に関して説明します 養護学校におけるセンター機能を考える発想として,私たちは 養護学校での指導と相談支援機能とを、別の次元で考えるのではなく、同じ視点と機能システムで、捉えようとしています。 障害種別という枠を超えた「個のニーズ」を視点とした教育を推進していくためには,学校だけで完結する教育システムではなく, 地域の小・中・高等学校という枠も超え,よりインクルーシブな教育環境をめざす機能システムが必要であります。 さらに,地域ぐるみで支援し,「地域が学びの場」になっていくための、支援ネットワーク、が必要であります。  このように,学校と家庭や地域生活との連続性をもつことで本当の意味の「生きる力」を育めるのではないかと考えています。 障害のある子どもの生涯にわたる支援をめざすことは,このような「面」としての支援機能を構築していくことと考えています。 小学校・中学校・高等学校 と養護学校の枠を超える 総合育成支援教育 センター機能 障害種別の 枠を超える 総合制養護

55 ・「四つの生きる力」 ・障害種別の枠をこえる ・場や組織をこえる
個別の包括支援プランを活かした地域における支援センター 基本理念 ・「四つの生きる力」   ・障害種別の枠をこえる   ・場や組織をこえる       ●ツールとしての個別の包括支援プランの作成   ●個別の包括支援プランに基づくカリキュラム編成    内部へ 支援システム ●地域における特別支援教育センター機能      外部へ ●運営システム

56 地域の特別支援教育センターとしての役割 国の動向 ●平成15年3月「今後の特別支援教育のあり方について (最終報告)」(調査協力者会議)
地域の特別支援教育センターとしての役割について少し触れます。 始めに,もう既にご存じのように 平成15年3月に「今後の特別支援教育の在り方についての(最終報告)」が出され, ・「特殊教育」から「特別支援教育」への転換 ・「特別支援教育コーディネーター」の設置 ・「個別の教育支援計画」の策定 以降,16年1月には「LD等の児童生徒に対する支援体制整備のためのガイドライン(試案)」が文部科学省 そして,昨年12月に「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(中間報告)」が中央教育審議会から出されました。 国レベルにおきましても,「考え方の整理」から、現在は、「制度面の整備」に移ってきております。  養護学校の地域における特別支援教育相談センターとしての役割と機能について検討し,現状の枠の中で出来るところから具体化することが求められております。 その意味で,「特別支援教育は既に始まっている」と認識する必要があると考えております。 ・「特殊教育」から「特別支援教育」への転換 ・「特別支援教育コーディネーター」の設置 ・「個別の教育支援計画」の策定 ●平成16年1月「小・中学校におけるLD,ADHD,高機能 自閉症の児童生徒に対する支援体制の整備のための ガイドライン(試案)」(文部科学省) ●平成17年12月「特別支援教育を推進するための制度の 在り方について(最終報告)」(中央教育審議会) 養護学校の地域の特別支援教育センターとしての役割

57 京都市における総合養護学校のセンター機能
特別支援教育はもう始まっている!! 市の取組 ●平成14年6月に「養護育成教育相談センター」を開設 ●平成16年7月に更に、「総合育成支援教育相談センター」  に名称変更, 「愛称:育(はぐくみ)支援センター」となる 京都市の養護学校におけるセンター機能の取組みについて 京都市の養護学校では,平成14年6月に「養護育成教育相談センター」を開設し,今年度より小中学校でのLD等特別支援委員会の設置やLD等特別支援主任の設置など整備が進んだことと総合養護学校に再編されたことも踏まえ,昨年7月に「総合育成支援教育相談センター」に名称を変更し,愛称を「育(はぐくみ)支援センター」と呼びやすくしました。 国のいうセンター的機能,即ち,サービスとしてでなく,学校の基礎構造改革を伴う、学校の業務として位置づけたセンターとし,本来の養護学校の指導業務も確立し,しかも地域と連携するシステムを確立したと言うことです。 先ほど申しました,京都市の総合養護学校のセンター機能の基本理念の実現に向けて, 一つは「個別の包括支援プラン」を基本に据えたセンター機能と,もう一つは,学校経営システムと関連づけられた機能の運用を通して,実践を行っています。 それは,学校の中に向けた支援と外に向けた支援を連関させることであります。 地域制の4校におきましては,「LD等の児童生徒に関する支援を含む,総合的な地域支援システム」をとっております。 ●「個別の包括支援プラン」を基本に据えた センター機能の活用 ●学校経営システムと関連づけられた機能の運用  ‥本来業務に位置づける cf.「地域支援コーディネータ」 ●LD等の児童生徒に関する支援を含む,総合的な 地域支援システムの構築‥‥「学校サポートチーム」 地域制の総合養護学校(北・東・西・呉竹)

58 センター機能と支援システム 校内LD等教育支援委員会 地域の学校への支援システムの例
「個別の包括支援プラン」 をツールとしたP・D・C・Aのサイクルで指導 担任等 地域の小・中学校 相談・支援 校内LD等教育支援委員会 保護者 LD等教育支援主任 これは,地域制養護学校4校(北・東・西・呉竹)の「育み支援センター」と地域の小・中学校への相談と支援の流れを図にしたものです。 ・特別支援コーディネータを京都市では 「LD等教育主任」と呼びますが,この人が,地域の学校の窓口になり,養護学校の方は「地域支援コーディネーター」と読み替えますが,これにが当たります。 ・ 育支援センターには,児童精神科医師と発達心理の学識経験者と   元校長による巡回指導員と 教育委員会と 総合養護学校支援部の   5者からなる 「学校サポートチーム」が設けられています。 ・外部との連携による専門的な見地から、支援のあり方についての指   導助言が受けられるよう,支援システム上の機能強化が図られました。 相談・支援 相談・支援 総合制・地域制養護学校 総合制養護 関係機関 連携・協力 (白河・鳴滝・桃陽) 育(はぐみ)支援センター 医 療 育(はぐみ)支援センター 学校サポートチーム 福 祉 職業学科 病弱教育 地域支援コーディネーター

59 総合養護学校の専門性を活かした支援システム
相  談 総合育成特別支援教育相談センター 総合養護学校の専門性を活用した支援の方法を,簡単にいいますと,地域の小中学校から受けた相談を総合養護学校の「個別の包括支援プラン」を活用し,支援のノウハウを「サポート・パッケージ」として地域の小中学校に提供しようとするシステムです。 直接,総合養護学校の教員が出向いて指導支援することもありますが,基本は,地域の小中学校が,自立して自校の校内委員会等を活用して,校内の教育的ニーズを持つ子供への支援を実施するための援助を行うこととしています。そのことで,地域の学校が支援のためのノウハウを持ち機能していくことになります。 保護者へのサポートに於いても同様のことが言えます。 このように, 「個別の包括支援プラン」をツールとして 点から面としての支援に輪を広げていくことがねらいであります。 個別の包括支援プラン P・D・C・Aによる 支援内容・方法等の分析・プランニング・評価・更新 支援の実施 地域の学校における サポート・パッケージ

60 育支援センターにおける相談件数 平成16年度 京都市立総合養護学校(地域制)
平成16年度 京都市立総合養護学校(地域制) 育支援センターにおける相談件数 (16)再編初年度の平成16年度におきましては,地域制養護学校4校の育支援センターにおきまして計1026件の相談・支援を受けております。このうち,LD・ADHD等軽度発達障害にからむものは明確な規定ができないのですが,その他の教育相談のうちの3割強を占めており,今年度は増加している傾向にあります。

61 障害のある子どもの「生きる力」と 保護者への生涯にわたる「支援」
障害のある子どもの「生きる力」と      保護者への生涯にわたる「支援」    ★ 「 個 別 の 包括支援プラン 」   サポート 生涯にわたる支援 始めの図に戻ります。 「障害のある子どもの生きる力と保護者への生涯にわたる支援」を行うためには,  組織として協働性のあるシステムをマネジメントするとともに,  学校だけで完結するものでなく  地域も巻き込んだ仕組み  がどうしても必要となります。   カリキュラム   マネージメント 総合制・地域制の教育課程 内と外に向けた連関 総合育成支援教育相談センター

62 「四つの生きる力」を育む視座 (1)学校全体で育む視座 (2)学校のある地域社会で育む視座 (3)学校を含む社会全体で育む視座
WHOの言う新しい障害観から障害のある子どもの生きる力を「四つの生きる力」として定義し,カリキュラム開発をする中で 見えてきたことは, 学校全体で育み,地域が学習の場となり,社会全体で障害のある子どもを育んでいく視座を持ち,情報を発信していくことであります。  そのために,「個別の包括支援プラン」に基づく、授業実践の中で、日々の子どもの変化をキチッと捉えていく目と取り組みを充実させていくことがベースであると考えております。  あすは,各総合養護学校での授業公開がございます。忌憚のないご意見ご指導をよろしくお願いいたします。 最後になりましたが,文部科学省及び京都市教育委員会の皆様方,そして,私たちの研究を支えて頂きました運営指導委員会の皆様方,心よりお礼申し上げます。 そして,この後ご講演頂きます,上越教育大学教授の藤原先生ありがとうございます。   以上で私からの提案はおわります。 長時間のご静聴ありがとうございました。 (2)学校のある地域社会で育む視座 (3)学校を含む社会全体で育む視座

63 ●総合制導入における成果 ・子供の生活と 保護者の意識の変革 ・指導者の意識の変革
   保護者の意識の変革 ・指導者の意識の変革     ・授業の改善          ・外部機関との連携による        機能の向上      ・学校組織運営の改善 (23)最後に,新しいシステムの導入4年,再編2年の成果について簡単にまとめます。 障害種別の枠を超えた教育課程のあり方に関する研究から出発して,養護学校の機能全体を見直し,新しいカリキュラム,地域支援システム,マネジメントシステムを構築してまいりました。この教育改革を通して京都市では様々な成果を上げることができました。特筆される事項として,指導者の意識の変革,授業の改善,外部組織との連携による機能の向上,学校組織運営の改善が挙げられます。

64 指導者の意識の変革・授業の改善 子供から出発する教育課程 「はじめに子供ありき」 ・ニーズに応じた多様な授業形態と学習集団
       「はじめに子供ありき」 ・ニーズに応じた多様な授業形態と学習集団   「複数の障害に対応」「特定の障害に対応」 ・評価可能な具体的な行動目標        「目標と評価の一体化」 ・現在及び将来の生活に即した目標設定        「継続性(系統性)と連続性」 (24)指導者の意識変革と授業改善ですが,ケース会議等を経て保護者と討議し,話し合った内容を具体的な教育目標に変え,指導内容を明示するといったプロセスを経て授業していくのがあたりまえのものになってきました。また,先にこちらの都合で学習集団があるのではなく,個別の包括支援プランとカリキュラムベースにより,多様な学習集団・授業ができ,その結果,個々の児童生徒において履修を選択できる幅も広がってまいりました。目標設定や評価については,何のためにしているのかわからない,何をもって達成したといえるのかわからないような曖昧なものが排除されるようになりした。これらのことは,保護者の意識にも変革を与え,家庭や地域での取組とつながるよう学校への積極的なはたらきかけがなされるようになってきました。 → 保護者の参画・意識改革

65 学校機能の向上と組織運営の改善 支援事業の活用,研究者,専門職との 連携による支援の充実 会議の精選と必要なケース会議時間の確保
              連携による支援の充実 会議の精選と必要なケース会議時間の確保 職務の明確化  (インフォームド・コンセントとアカウンタヴィリティ) (25)学校の機能の向上と組織運営の改善です。発達支援センターの児童精神科医や大学の発達心理学者等の専門家を招いたLD・ADHD等サポートチームによる相談・支援の実施,地域リハビリテーション支援事業や居宅支援事業などを活用した専門職やガイドヘルパー等との連携による地域生活に密着した支援など,学校内外に対する支援機能が向上しました。学校組織運営においては,機能分化を進めることにより,意思決定の効率化や責任の明確化がなされました。これにより,学校現場でありがちな個人の力量に頼り,特定の個人に仕事が集中するような状態を改善しております。まとめますと,学校全体の課題がみえやすくなった。多くの人々の学校運営参画が可能になった。そして,学校総体としての専門性が向上したと考えます。

66 これからの総合養護学校 目指すもの 学校運営協議会 コミュニティ・スクール

67 ★学校を開く…見えるようにする ★学校を開く…家庭・地域との連続性 ★学校を開く…新たな地域の創造 ★学校を開く…双方向の支援

68 地域での生活を橋渡しする人 障害のある子どもの 居住地での生活を支える 西総合養護学校 右京区(京北町を含む) 西京区 通学区 個人
小・中60+α学区 障害のある子どもの 居住地での生活を支える 右京区(京北町を含む) 西京区 通学区 個人 大枝学区 (学校設置) 個人 桂坂学区 (学校設置) 南区久世中学区 西総合養護学校 地域での生活を橋渡しする人

69 西総合養護学校の 学校運営協議会のねらい(全国初)
  ノーマライゼーション理念の実現にむけ  「連携・協働」と「双方向の援助」の視点から 「新たな地域づくり」を目指す ○第三者評価(学校評価)プロジェクト     …西総合養護学校の教育活動への評価 ○地域の教育力(ボランティア養成)プロジェクト     …学校との共同事業の実施 ○地域とともに(地域活動推進)プロジェクト     …障害のある子どの支援のためのネットワークづくり

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73 完 未来は想像するものでなく 創 造 す る も の 総合制・地域制の養護学校における 平成12・13・14・15・16・17年度
文部科学省教育研究開発学校指定 未来は想像するものでなく 創 造 す る も の   総合制・地域制の養護学校における               教育課程はどうあるべきか ~障害種別の枠を超えた教育課程のあり方に関する研究~    完 (25)京都市立総合養護学校長会長の朝野浩が申しますように未来は想像するものではなく創造するものであるということを改めて実感しております。文部科学省を始め,ご支援いただきました方々に深く感謝申し上げ報告を終わります。ご静聴ありがとうございました。 ■京都市立北総合養護学校 ■京都市立白河総合養護学校 ■京都市立東総合養護学校 ■京都市立鳴滝総合養護学校 ■京都市立西総合養護学校 ■京都市立呉竹総合養護学校 ■京都市立桃陽総合養護学校 提 案: 企画委員会委員長 朝 野  浩


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