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原発と放射線の安全性 コープさが生協 「原発と放射線の安全性」学習会 村上 明

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1 原発と放射線の安全性 コープさが生協 「原発と放射線の安全性」学習会 村上 明
10/17/201109/10,12/2011 09/10,12/2011 09/10,12/2011 原発と放射線の安全性  コープさが生協  「原発と放射線の安全性」学習会     村上 明                                    2011年10月17日                                 コープさが生協第4支所                                         (唐津市) コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性 10/17/2011 原発・放射線学習会 原発・放射線学習会 原発・放射線学習会 1 1

2 事前に寄せられた質問 玄海原発の事故発生時の対応と心構えを教えて下さい。 放射能漏れの事故の時のヨウ素剤など の服用方法について。
  の服用方法について。 事故による地元で風評被害が起きた時   の対応はどうすれば良いでしょうか。     (回答は最後にします。) 10/17/2011 コープさが生協原発・放射線.学習会     原発と放射線の安全性   

3 講師のバックグラウンド 専門は物理学。 (原子力工学や放射線防護学は専門外。) 原子核・素粒子実験の研究 ・・・ 2007年まで45年間。
 専門は物理学。     (原子力工学や放射線防護学は専門外。)  原子核・素粒子実験の研究 ・・・ 2007年まで45年間。  米国やつくば市の大型高エネルギー加速器で素粒子     の国際共同実験。(1982年~2007年)  この間、放射線測定の経験。  工学系学生を対象に原子力工学関係の講義の担当経    験。 (10数年)) 10/17/2011  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性    

4 Ⅰ.原子力とは (1) 原子力の世界 原子力エネルギー と放射能、放射線 は原子核の世界 の出来事。
Ⅰ.原子力とは (1)   原子力の世界 原子核  原子力エネルギー  と放射能、放射線  は原子核の世界   の出来事。  原子核: 半径は  約1兆分の1cm。   原子の約1万分    の1、細胞の約10  億分の1。  原子核の世界で   は日常の世界とは  全く異なる力とルー  ルが働いている。  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     4 10/17/2011

5 Ⅰ.原子力とは (2) 原子力エネルギー 使用済み核燃料からこのプルトニウムを取り出し、再び核燃料
Ⅰ.原子力とは (2)   原子力エネルギー 原子核を核分裂させると非常に大きなエネルギーが放出される。 原子力エネルギー: 原子炉の中でウランの原子核を核分裂させて                 エネルギーを取り出し、それで電気を作る。     普通の原子炉では核燃料として天然ウランを濃縮して使う。    濃縮したウラン核燃料  ・ ウラン235(3 ~ 5 %)  原子炉で核分裂させやすい。→ 核燃料  ・ ウラン238(95 ~97 %)  普通の原子炉では殆ど核分裂しない。大                     部分は核燃料廃棄物となり、一部は中 性子を吸収してプルトニウムになる。   使用済み核燃料からこのプルトニウムを取り出し、再び核燃料     として使うのがプルサーマル。  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

6 Ⅰ.原子力とは(3) 核分裂と放射性物質 原子炉内でのウランの核分裂 放射性物質の生成 中性子がウラン235に当たると
Ⅰ.原子力とは(3)   核分裂と放射性物質 原子炉内でのウランの核分裂  ウランの核分裂   中性子がウラン235に当たると    核分裂が起こりエネルギーが発   生するが、同時に核分裂生成物   が出来る。  核分裂生成物は放射能を持つ。 放射性物質の生成 放射能: 放射線を出す能力。       または、放射線を出す物質        (= 放射性物質)。 10/17/2011  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性    

7 Ⅰ.原子力とは(4)   核分裂連鎖反応 ウランの核分裂で発生した中性子が別のウランに当たりウランの核分裂をつぎつぎと引き起こす。   ⇒ 核分裂連鎖反応 ⇒ 莫大なエネルギーを発生 エネルギー発生を安定に保つために、制御棒で中性子を吸収して   核分裂連鎖反応の勢いをコントロールする。 10/17/2011  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性    

8 Ⅰ.原子力とは (5) 原子力発電の特徴 莫大なエネルギーを発生する。
10/17/201109/10,12/2011 09/10,12/2011 09/10,12/2011 Ⅰ.原子力とは (5)  原子力発電の特徴           莫大なエネルギーを発生する。   原子力発電(原子力エネルギー)は、同じ質量の燃料で比べると、火力発電(化学エネルギー)の100万倍~1000万倍のエネルギーを発生する。 莫大な量の放射性物質を生じる。    運転中の原子炉内には莫大な量の放射性物質が蓄積される。    運転停止後も大量の放射性物質が蓄積され放射性廃棄物を残す。 問題点:    ◆ 使用済み核燃料の再処理の問題 ・・・ プルサーマル、再処理工場。      ◆ 高レベル放射性廃棄物の問題 ・・・   処分場、長期間管理。   ◆ 核燃料サイクルの問題 ・・・        高速増殖炉、プルサーマル。  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011 原発・放射線学習会 原発・放射線学習会 原発・放射線学習会 8 8

9 Ⅱ.原子力発電のしくみ(1) 原子力発電: 原子炉内でウランを核分裂させ発生するエネルギー で蒸気を作り発電する。
Ⅱ.原子力発電のしくみ(1)    原子力発電: 原子炉内でウランを核分裂させ発生するエネルギー で蒸気を作り発電する。 原子炉には大きく分けて、次の二つのタイプがある。    1.加圧水型軽水炉(PWR):    (例) 玄海原発 2.沸騰水型軽水炉(BWR):   (例) 福島原発 原子炉内の主要な要素      核燃料棒(右図 赤色)          制御棒 (右図 緑色)      冷却水 (右図 青色)  原子炉の構造図 →  拡大図 → 次ページ (電気事業連合会HPより)  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

10 Ⅱ.原子力発電のしくみ(1)-つづき コープさが生協「原発・放射線」学習会 原発と放射線の安全性 10/17/2011
(電気事業連合会HPより)  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

11 Ⅱ.原子力発電のしくみ(2) 加圧水型原子炉(PWR) (玄海原発) コープさが生協「原発・放射線」学習会 原発と放射線の安全性
Ⅱ.原子力発電のしくみ(2)   加圧水型原子炉(PWR) (玄海原発) (電気事業連合会HPより)  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

12 Ⅱ.原子力発電のしくみ(3) 沸騰水型原子炉(BWR) (福島原発) コープさが生協「原発・放射線」学習会 原発と放射線の安全性
Ⅱ.原子力発電のしくみ(3)  沸騰水型原子炉(BWR) (福島原発) (電気事業連合会HPより)  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

13 Ⅱ.原子力発電のしくみ(4) 原子力発電のしくみのまとめ 核燃料棒の中でウランを核分裂させ、制御棒で
 原子力発電のしくみのまとめ  核燃料棒の中でウランを核分裂させ、制御棒で   その核分裂連鎖反応の勢いをコントロールする。  核分裂で発生した熱により核燃料棒は高温になる。  原子炉内の冷却水は高温の核燃料棒を冷やすと同時に、その熱で  水を蒸気に換えタービンを回す役割をする。  制御棒を全部挿入し核分裂連鎖反応を止め、原子炉の運転を停止  した後も、大量に出来た核分裂生成物(放射性物質)は核燃料棒の  中で放射線を出しながら崩壊熱(後で説明)を発生し続ける。  その崩壊熱を取り除くために、原子炉停止後も冷却水で核燃料棒を  冷やし続けなければならない。  原子炉を冷却するために海から冷たい水を取り海に熱水を捨てる。 コープさが生協原発・放射線.学習会    原発と放射線の安全性     10/17/2011

14 Ⅲ.放射能と放射線(1) 半減期 放射性物質・・・ 放射線を 出す物質。放射能とも言う。 放射能 ・・・ 時間と共に 放射線を出す能力は弱ま
Ⅲ.放射能と放射線(1) 半減期 放射性物質・・・ 放射線を   出す物質。放射能とも言う。 放射能 ・・・ 時間と共に   放射線を出す能力は弱ま   るがその弱まり方は放射   能(放射性物質)の種類   によって異なる。       →  半減期  放射能の減り方 → 右図  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

15 Ⅲ.放射能と放射線(2) ベクレル 放射能の半減期・・・ ある放射性物質の量が最初の半分になるま での時間。
Ⅲ.放射能と放射線(2)  ベクレル  放射能の半減期・・・ ある放射性物質の量が最初の半分になるま               での時間。     ウラン238:      45億年     セシウム137:    30年     プルトニウム239:  2.4万年     ヨウ素131:       8日 放射性物質(放射能)の量を表す単位 ベクレル(Bq):     ・  ある放射性物質が1秒間に1個の(原子核が崩壊して)放射線を 出すときその放射性物質(放射能)の量を「1ベクレル」という。   ・ 対象とする物質の中に放射性物質がどのくらい含まれているかを  知る目安となる。 放射能と放射線の関係 ・・・ 放射性物質(放射能) から放出されるのが放射線。3種類の放射線があるが、どの放射性物質(放射能)からどんな放射線が出て来るかは決まっている。    コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011 15

16 Ⅲ.放射能と放射線(3) 放射線の種類と性質
Ⅲ.放射能と放射線(3) 放射線の種類と性質  放射線とは放射性物質などの原子核が壊れる時にそこから放出される高速の粒子やエネルギーの高い電磁波のことを言う。 放射線の種類と性質    1.アルファー線 ・・・ 生体への影響は大きいが透過力が弱く、紙                  1枚で止まる。空気中でも数cmで止まる。     2.ベーター線 ・・・  生体への影響は中くらいで、薄い(約数mm)                  アルミニウムなどの金属板で止まる。     3.ガンマ線 ・・・   生体への影響は小さいが透過力が強く、約                  数cm~数十cmの鉛板、鉄板で止まる。                  (その他、中性子線やX線も放射線の仲間。                 中性子は核分裂で放出される。)  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011 16

17 Ⅲ.放射能と放射線(4) 崩壊熱とは ◆ 半減期も絶対に変えられない。 残念ながら
Ⅲ.放射能と放射線(4) 崩壊熱とは 原子炉運転中は、ウランの核分裂により核燃料棒の内部に大量の熱と核分裂生成物(放射性物質)が生じる。 原子炉の運転を停止した後でも、核燃料棒の内部に残っている大量の核分裂生成物は、その半減期にしたがって放射線を出して崩壊し別の原子核になる(放射性崩壊)が、この時に崩壊熱を発生する。 従って、運転停止中の原子炉内の核燃料棒や原子炉の外に出している使用済み核燃料棒も、長期間にわたり放射線と崩壊熱を出し続ける。                   ◆  放射性崩壊は絶対に止められない。                ◆  半減期も絶対に変えられない。   残念ながら  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

18 Ⅳ.原発の安全性の考え方(1) 原発の安全性の主要な問題点、検討事項 2) 平常時の安全性 1) 運転中の原子炉破壊大事故に対する安全性
1) 運転中の原子炉破壊大事故に対する安全性                 ・人為ミスによる事故 ・・・ (例) 1979年スリーマイル島原発2号機。                     (例) 1986年チェルノブイリ原発4号機。    ・自然災害による事故 ・・・ (例) 2011年福島原発1~3号機。    ・原子炉の老朽化による事故 ・・・ 脆性遷移温度の上昇問題など。   *原子炉破壊大事故の発生確率 は     (運転している原子炉の数) × (原子炉を運転する年数)     に比例して増大する。  2) 平常時の安全性     ・使用済み核燃料 ・・・ 再処理、プルサーマル、中間施設、廃炉等。     ・高レベル放射性廃棄物 ・・・ 処分場、長期間管理等。     コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

19 Ⅳ.原発の安全性の考え方(2) 2005年プルサーマル公開討論会での推進派学者の発言
2005年プルサーマル公開討論会での推進派学者の発言       「それ(原子炉の溶融事故)は、技術的には発生しないシナリオです。軽水炉ではチェルノブイリのようなことは起きません。 ・・・そのようなことが起こることは、原子力の専門家は誰も思っていないわけです。」、 「格納容器の破壊事故など物理的・技術的に起こりえない、考えられない。」  (2005年12月25日「佐賀県主催プルサーマル公開討論会」、佐賀県HPより)         ・ この討論会に九電が参加者の半数近くを動員し、参加者アンケートに積極的に    回答するよう指示。アンケート結果は原発の安全性に肯定的な意見が約65%を占   め、佐賀県知事はこの結果などを参考に、06年3月に計画への同意を表明した。   (読売新聞YOMIURI ONLINE 2011年7月29日の記事より) 発生確率が非常に低くても科学的に起こりうる可能性のある全てのことを想定して対策をとることが必要である。   ⇒ 「起こり得ない事故」、「想定不適当事故」も確率論的に考えて安  全評価をするのが科学的な考え方である。       注目  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

20 Ⅳ.原発の安全性の考え方(3) 安全性の確率論的な考え方が必要。 重要 確率論的安全評価の考え
      ただし、「事故の起きる確率」だけを考えるのではなく       (事故の起きる確率) ×(事故による被害の大きさ)      でリスクまたは安全性を判断することが重要。  確率論的安全評価の考え   原子力発電所等で起こり得る重大な事故の原因となりうるあらゆる事象を考慮し、それぞれの発生確率を確率論により推定し、シミュレーションモデルを用いて原子力発電所等の安全性を定量的・総合的に評価する手法。 ただし、推定やシミュレーションには必ず仮定が入っているので、その推定や仮定が正しいか(or妥当か)どうかは必ず検証されなければならない。 重要  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

21 Ⅳ.原発の安全性の考え方(4) 玄海原発2,3号機の再稼働問題をどう考えるか? 政府説明による浜岡原発と玄海原発の違い
  1) 30年以内に震度6強以上の地震が起きる確率        浜岡  84.0%   玄海 0.0%   福島 0.0%   2) 浜岡は首都圏に近く、主要な交通網が通っている。      *但し、確率が0.0%は完全に0%と同じではないことに注意。   ⇒ これに対し二通りの考え方 考え方A) 大地震発生の確率が0.0%と言えども完全に0%ではないのだから、     過酷事故が起きた場合の被害の甚大さを考えて原発の再稼働はさ        せない。 考え方B) 浜岡原発より事故の発生確率も被害の規模も小さいので経済的側面        を考えて再稼働も止むなしとする。      → どちらを選ぶかは佐賀県民が決めるべきこと。  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

22 Ⅳ.原発の安全性の考え方(5) 玄海原発1号機の老朽化(脆性遷移温度)問題について
  ◆ 玄海1号機(運転開始1975年)原子炉圧力容器が中性子照射で劣  化の危険性。   ◆ 脆性遷移温度上昇 ・・・ 原子炉内での中性子による照射が長年     続くと、圧力容器が脆くなる温度が上がり、破壊されやすくなる。 問題点の指摘: 専門家は脆性遷移温度上昇の問題点を指摘。 九電と政府: 「安全性に問題はない。」            「適正に検査している。検証しても結果は同じ。」 他機関での科学的な検証と再現性実験が必要不可欠。    コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

23 Ⅳ.原発の安全性の考え方(6) プルサーマルとは? ① 使用済み核燃料を再処理して プルトニウムを取りだしウラン 238と混ぜて、
① 使用済み核燃料を再処理して    プルトニウムを取りだしウラン    238と混ぜて、 ② MOX(ウラン・プルトニウム混   合酸化物)燃料に加工し、 ③ 再び軽水型原子炉で燃やす。 本来はウラン燃料を燃やすように   設計されている軽水型原子炉で   MOX燃料を燃やすために安全上   の問題が懸念されている。 この問題については、時間的余裕があれば、予備のスライドで触れる予定。  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

24 Ⅴ.放射線の人体への影響(1) 放射線の生体への影響 a. 身体的影響と遺伝的影響 b. 確定的影響と確率的影響
 Sv(シーベルト):放射線を浴びた人体が受ける影響の大きさを表す単位。 放射線被曝による確率的影響について    放射線被曝が100mSv(ミリシーベルト)の時、がんによる死亡者数は確率的に約0.5%増加するとされている。余分な放射線被曝がない場合、日本人の約30%はがんで死亡している。1000人が100mSvの被曝をした場合、確率的にはがんで死亡する人が約5人増え、その1000人のうちの約305人が「がん」で死亡することになる。           放射線被曝が100mSv以下の場合、統計学的には、放射線被曝による影響と喫煙などの生活習慣の影響との区別が難しくなる。  被曝放射線量とリスク    約(100~200)mSv 以上 ・・・ がんの発生確率が被曝線量に比例して増える。                        (科学的に実証済み)    約(100~200)mSv 以下 ・・・ 科学的に確定したデータはないのではっきりとは                      わかっていない。  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

25 Ⅴ.放射線の人体への影響(2) 低線量放射線の人体への影響 (低線量:約100mSv以下の線量) 100mSv以下ではどのくらいの影響
があるか、科学的にはっきりした事 は分かっていない。 【右図の説明】 LNT仮説(しきい値なし直線仮説)    ・・・影響は線量に比例するという    考え。ICRPが採用。日本も準拠。 しきい値仮説・・・一定の線量以下な    ら影響なしという考え。 ホルミシス効果仮説・・・微弱線量は    かえって健康によいという考え。  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

26 Ⅴ.放射線の人体への影響(3) 重要 低線量被曝領域(約100mSv 以下の領域)での影響
                  (医療と自然放射線被曝は除く。)              (ICRP: 1mSvは5年間での平均でひとつの目安)   * 線量限度は安全か危険かの分かれ目の基準ではない。     また、そこまで被曝してよいという意味ではないので不必要な被     曝は避けるべきである。                  →  必要な被曝、不必要な被曝の区別は? 重要  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

27 Ⅴ.放射線の人体への影響(4) 自然から受ける一人当たりの年間放射線量 (単位:ミリシーベルト/年)
自然から受ける一人当たりの年間放射線量 (単位:ミリシーベルト/年)           日本平均(mSv/y) 世界平均(mSv/y)   1) 宇宙から       0.3          0.39 2) 大地から         0.4          0.48   3) 空気中(呼吸)から        1.26 4) 食物などから           0.29     合計            1.5*         2.4      (*ただし日本国内では県によって最大約0.4mSv/yのばらつきがある。) 内部被曝 ・・・ 体の中にある放射性物質から出てくる放射線によ              る被曝。上の3)と4)が内部被曝の主な要因。  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

28 Ⅴ.放射線の人体への影響(5)  日常生活での人工的な放射線被曝      CTスキャン(1回)                       6.9  mSv      胃のX線集団検診(1回)                      0.6  mSv       東京-NY間航空機旅行(1往復)                 mSv 胸部X線集団検診(1回)                      0.05 mSv    (参考)      国内自然放射線の県別平均値の差の最大値(年間)     0.4 mSv/y      ICRP勧告の基準       緊急時 年間    20~100 mSv/y                        平常時 年間        1 mSv/y           「線量率」と「積算線量」の区別          時々、マスコミ等で「線量率」や「積算線量」を共に「線量」         と表現している場合があるが、はっきりと区別して情報を          把握することが大切。 ちょっと一言  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

29 Ⅴ.放射線の人体への影響(6) 放射線被曝による発がんリスク → リスクと便益のバランスで考える。 具体例 → 次スライド
100~200mSvを一度に被曝した場合のがん発生率は、被曝していない場合より1.08倍高い。   日常生活による発がんリスク  (→ 参照 「スライド資料2」 )    ・受動喫煙による発がんの確率   1.02倍~1.03倍    ・野菜不足                1.06倍 100mSv以下の放射線を一度に被曝した場合の発がんリスクは日常生活における発がんリスクと同レベル。 ただし、不必要な放射線被曝は極力避ける事が大前提。 必要な被曝と不必要な被曝の区別はどう考えるか?     → リスクと便益のバランスで考える。 具体例 → 次スライド   コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

30 Ⅴ.放射線の人体への影響(7) 必要な放射線被曝の例 宇宙飛行士、国際線乗務員、放射線科医師、放射線治療患者、他 不必要な放射線被ばくの例
   宇宙飛行士、国際線乗務員、放射線科医師、放射線治療患者、他 不必要な放射線被ばくの例     放射性物質検査薬の過剰投与(甲府市立病院の例)、他 必要か不必要かは人によって異なる例   1) 私が持っている実験サンプルの「ウランガラス」、有機カリ肥料。   2) 放射能レベルが基準値以下の食品の購入、海水浴場の利用。   3) 子どもに持たせる携帯電話注)。      注) 携帯電話の電磁波 ・・・ 2011年5月国際がん研究機関(         IARC)が携帯電話の電磁波を「発がん性の可能性がある」      グループに分類した。ただし、携帯電話の電磁波は放射線         ではない。(ガンマ線も電磁波ではあるが性質が異なる。)  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     30 10/17/2011

31 Ⅴ.放射線の人体への影響(8) 放射線被曝のリスクとその不安の影響 ・ 被ばくした本人の精神的ストレスなどによるリスク ・・・
    ・ 被ばくした本人の精神的ストレスなどによるリスク ・・・ チェルノブイリ原発事故での親の不安と子どもの健康に関する調査  ● 調査対象   Aグループ  原発近くに住み事故時妊娠中で、事故後避難した母親         から生まれた子ども138人。   Bグループ  事故以前から避難先に住み、事故時は妊娠中であっ          たが被曝しなかった母親から生まれた子ども122人。  ● 調査結果    ① Aグループに言語障害、情緒障害、社会適応性障害の子ども     が多い。また、知能指数の低い子どもが多い。    ② 親の不安が強いと子どもの情緒障害の頻度が高い。        (引用資料   ポイント 放射線被曝以外の他のリスク要因(精神的ストレスなど)を考えておく必要がある。  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     31 10/17/2011

32 資料(1)健康な子どもが生まれる確率 0 97 99.7 日本放射線科専門医会・医会(JCR) ホームページより抜粋
                   (              健康な子どもが生まれる確率                       ICRP Pub.84 「妊娠と医療放射線」(2000年)より      胎児の被ばく線量  子どもが形態異常を持たない  子どもががんにならない     (mSv)          確率 (%)              確率 (%)                                                        (年齢 0~19歳)      0              97                 99.7       0.5            97                 99.7       1              97                 99.7       2.5            97                 99.7       5              97                 99.7      10              97                 99.6      50              97                 99.4     100              97                 99.1                                   (注:オレンジ色太字強調は村上)  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

33 資料(2) WHOの発がん性リスク分類 グループ 発がん性リスク 主な物質 1 発がん性がある たばこ、紫外線、放射線、ウイルス、
 グループ  発がん性リスク        主な物質    1    発がん性がある   たばこ、紫外線、放射線、ウイルス、   2A    ある可能性が高い  ディーゼルエンジンの排ガス、   2B    可能性がある     携帯電話の電磁波、車の排ガス、   3     あるかどうか不明   カフェイン、髪の染料、タンニン、茶、    4     ない可能性が高い  ナイロンの原料  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011 33

34 ま と め 原発の安全性に関しては、「起こりえない事故」、「想定不適当事故」も確率論的に考え、「確率論的安全評価」手法に基づき、
        ま と め 原発の安全性に関しては、「起こりえない事故」、「想定不適当事故」も確率論的に考え、「確率論的安全評価」手法に基づき、     (事故の起きる確率)×(事故による被害の大きさ)   で安全評価をすることが重要である。 原発の安全性に関する実験データや測定結果には科学的な検証と再現性のチェックが不可欠である。 放射線被曝の線量限度は安全か危険かの境界値ではない。 放射線被曝の安全性については、正しい理解と他のリスク要因も考えに入れるなど冷静な判断が重要である。 安全 or 危険の二者択一的な考え方は非科学的である。 自分に適した基準を自分が設定し、安全かどうかはそれにしたがって判断する態度が望ましい。   コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

35 フリートークテーマ(1) Q1) 「健康な子どもが生まれる確率」のICRPデータ(スライド資料(1) を見てどう考えますか。 注)このデーターをホームペー ジに掲載した放射線科女性医師 は後輩の女性医師に安心してこの分野の職業に進んで下さい と薦めています。 Q2) 玄海原発の再稼働について、浜岡原発の安全性と比較しながら あなたはどう考えますか。 政府: ① 30年以内に震度6強以上の地震が発生する確率は浜 岡原発が84.0%、玄海原発が0.0%。 ② 浜岡原発は首都圏に近く、経済的な影響も大きい。 佐賀県知事(当初): 違いが分からない。福島原発も地震の 確率は0.0%だったのに事故が起きた。  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

36 フリートークテーマ(2) Q3) 放射線の人体への影響について 1) 「私は子どもを産めなくなる?」と恐れている女の子に対するま わりの大人の影響をどう考えますか? 2) 放射線被曝によるがん発生確率と喫煙によるがん発生確率を 比較してどう考えますか? Q4) 原発の安全性について 原発事故の確率を完全にゼロにすることは出来ませんが、その場合 どういう選択をしますか? Q5) 福島産直送品販売の「ふくしま応援ショップ」が、「福島からのトラ ックは放射能をばらまく。」、 「地域の汚染が広がる。」などの抗議 のため、出店を断念しました。 これについて、どう考えますか。  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

37 事前質問への回答 Q) 玄海原発の事故発生時の対応と心構えを教えて下さい。 放射性物質の放出状況を確実な情報を元に判断する。風向きを調
べ原発の風下になる場合は、家の窓などを締め外気を遮断する。    また、放射線測定器を入手可能であれば、まわりの大気中の放射    線量をチェックする。外に出るときは、濡れた布でマスクをし、放射   性物質を吸い込まない様にする。  Q) 放射能漏れの事故の時のヨウ素剤などの服用方法について。 A) 被曝(放射性ヨウ素の体内への取り込み)直前に服用するのが最    も効果的であるが、被曝3時間後でも50%くらいの効果がある。 Q) 事故による地元で風評被害が起きた時の対応はどうすれば良い     でしょうか。 A)  徹底した情報公開と分かりやすく十分な科学的説明。  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011

38 予備-1 県別の空間線量率実測値 単位はμSv /h (マイクロシーベルト毎時)と mSv/y(ミリシーベルト毎年)
予備-1 県別の空間線量率実測値 単位はμSv /h (マイクロシーベルト毎時)と mSv/y(ミリシーベルト毎年)      μSv /h   mSv/y μSv /h   mSv/y 岩手   0.028   0.25  広島   宮城  0.031   0.27        山口 福島         岡山 千葉        長崎 東京         佐賀 2011年6月16日測定の大気中の放射線量(同年 6月17日朝日新聞より)   千葉県市原  0.043 μSv /h     新宿      μSv /h   川崎  μSv /h さいたま   0.052 μSv /h  コープさが生協「原発・放射線」学習会       原発と放射線の安全性     10/17/2011 38

39 予備-2 プルサーマルの問題点 プルサーマルの安全性は保証されているか?
予備-2  プルサーマルの問題点  プルサーマルの安全性は保証されているか?   MOX燃料の問題:      プルサーマルでは、本来はウラン燃料を燃やすための軽水炉(玄海原発は、加圧水型軽水炉)でMOX燃料をウラン燃料の代替として使用するため、次のような問題点が生じる。   ① ウラン核燃料と比べMOX燃料は制御棒の効き方が低下し、溶   融温度が低い。   ⇒ 原子炉事故につながりやすい?   ② 玄海原発のMOX燃料は外国と比べプルトニウムの割合(富化  度)が高い(9%)。   ⇒  まだ安全性が実証されていない?   コープさが生協原発・放射線.学習会     原発と放射線の安全性    10/17/2011

40 予備-3 プルサーマルの安全余裕度 安全余裕度が主要な争点
予備-3 プルサーマルの安全余裕度 安全余裕度が主要な争点 推進側学者:    「プルサーマルはウラン燃料をMOX燃料に替えただけで安全性は基本的には現行と同じである。」、   「技術的に十分な解析、実験、実績、経験に基づき判断をしている。」     「設計に余裕があり安全だ。技術的に安全性は確認されている。海外の原発で安全に使用されている。」 反対・慎重派:    「安全の余裕度が少ない。」、「実証されていない。」、「大事故は無視されている。」 コープさが生協原発・放射線.学習会     原発と放射線の安全性    10/17/2011


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