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通訳翻訳論第十一回 通訳者の生活と仕事.

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1 通訳翻訳論第十一回 通訳者の生活と仕事

2 本日の概要 通訳者になるまで 職業としての通訳 通訳者の生活 さまざまなケース 通訳を大学院で学ぶ 通訳という仕事 通訳者に要求されるレベル
通訳訓練の重要さ 通訳者の生活 繁忙期の通訳者 通訳者の日常 普段の勉強

3 通訳者になるまで(1) もっとも一般的なケース 語学系の学部を卒業後、一般企業に就職。仕事をしながら夜間や週末に通訳スクールに通い、スキルを身につける。 スクール上級クラス程度まで進んだところで退職し、派遣などで社内通訳者となる。社内通訳者とならず、スポットの一般通訳(展示会やアテンドなどの逐次通訳業務が主)を開始することも多い。 社内・一般通訳で経験を積みながらスクールの同時通訳科で学び、会議デビューの準備を進める。スクール講師などの紹介で会議デビューを果たすが、しばらくは仕事をしながらもスクールで研鑽を積む。

4 通訳者になるまで(2) 大学卒業後すぐに通訳・翻訳を仕事とする場合 大学時代に通訳スクール通学を開始する。多くの場合、語学検定最上級(通訳ガイド試験、英検一級合格など)は大学時代に取得している。学生時代に留学を経験。卒業後は企業の語学スタッフとして就職し(国際業務部門など)、社内業務のかたわら翻訳や簡単な通訳の経験を積む(通訳専業ではない)。その後、派遣などを通して社内通訳者となり、通訳スクールで同時通訳のスキルを学んでフリーランスの会議通訳者を目指す。

5 通訳者になるまで(3) 就職してから外国語を学び始めて通訳者に 中国語の通訳者には少なくないケース。 大学では外国語以外を専攻(社会学、法学、経済学、芸術、理化学など様々)し、二十代半ば過ぎから、最初は趣味として中国語を学び始め、趣味が昂じて退職→留学→帰国→働きながら通訳スクール通学と着実な努力でステップ・アップ。その後、社内通訳または一般通訳を経てフリーランスの会議通訳者に。

6 通訳者になるまで(4) 退職、結婚後に通訳者を目指す 女性通訳者の場合、夫の海外駐在に同行して外国に数年間滞在したことがある者も多い。特に子供のいない若い時期に比較的長期間にわたって海外駐在した場合は現地の語学学校から大学まで卒業し、時には簡単な翻訳や通訳のアルバイト経験を持っている主婦もいる。こうした主婦層が帰国後に子育てをしながら通訳スクールに学びに来るケースもよく見られる。

7 通訳者になるまで(5) 大学院で通訳翻訳を学んで会議通訳者に 今後ますます増えると思われるルート。現状では大学院で通訳を学ぶためにはかなり高度な語学力が必要なため、学部を卒業してすぐに入学するのは難しい。教授陣は最前線で活躍している(または活躍していた)会議通訳者であり、さらに通訳・翻訳理論について講義できることも求められている。国内、国外の通訳学大学院で学び、学位取得後は会議通訳者として稼働するかたわら、通訳教育に携わることが多い。

8 通訳者になるまで(私の場合) 大学の専攻:中国哲学・文学 中国語学習 就職:総合商社(語学スタッフ兼事務職)約6年
いわゆる「漢文」で、現代中国語はほとんど無関係 中国語学習 大学三年から民間の専門学校で二年、卒業後は香港中文大学で一年八ヶ月 就職:総合商社(語学スタッフ兼事務職)約6年 通訳スクール:働きながら同時通訳コース終了 会議通訳デビュー:1990年秋(通訳歴15年) いちおう「日本の通訳者100人」のうちの一人らしいです。 こういう人がなぜ大学で講義しているんだろう?

9 通訳を学べる大学・大学院(国内) 東京外国語大学大学院 大阪外国語大学大学院※ 神戸市外国語大学大学院 神戸女学院大学大学院
大東文化大学大学院(経済) ※ 立教大学大学院(独立研究科) 青山学院大学 国際基督教大学     など ※英語のほかに中国語などもあり。

10 通訳を学べる大学・大学院(国外) バース大学(イギリス) ESIT(フランス) モントレー通訳翻訳学大学院(アメリカ) 私立輔仁大学(台湾)
語言文化大学(中国) クイーンズランド大学(オーストラリア) モナシュ大学(オーストラリア) ウェスタン・シドニー大学(オーストラリア)

11 職業としての通訳   会議通訳は現代の職業のなかで最も刺激的な面白い仕事である。通訳者は外国に旅行し様々な分野の専門家と個人的な接触を持ち、しかも一般の人々には見学が許されていない場所にも行くことができる。   通訳は非常な緊張と集中力を要求される職業なので通常労働時間が比較的短く、余暇生活を楽しむゆとりもある。また、会議のたびに現代の最も進んだ学術や技術を勉強する機会が得られるばかりか、普通の職業よりも高い報酬が約束されている。

12 会議通訳者に要求されるレベル   通訳者として仕事を開始するのは容易なことでなない。就業してから周囲の先輩たちに指導を受けながら成長していく他の職業と違い、通訳者は最初の仕事から完全なプロであること要求され、しかもプロとして通用する基準が非常に高い。また、通訳者は最初から自分自身の実力だけに頼って仕事をこなさなければならず、他人の手助けは期待できない。 最初の仕事でもしも大失敗をしてしまったら、次の仕事はもうないものと思ったほうがよい。

13 通訳訓練の重要さ   通訳者として仕事を始める以前に徹底的な訓練を受けることが絶対に必要である。十分な訓練を積んでいても、会議の席に臨んで緊張したり、あがったりしていては普段の実力が発揮できず、どんなに高水準の通訳技術があっても、パートナーの協力があっても、それを補うことはできない。会議の雰囲気に慣れておくために、実際に仕事をしなくても機会があれば国際会議を傍聴したり、先輩通訳者に頼んで見学させてもらったりすることも通訳者にとって有効な学習の手段である。そして、ごく簡単な開会の挨拶や、内容の難しくない原稿のある発言を少しづつ担当させてもらえれば、徐々に仕事の感触をつかむことができるようになろう。

14 通訳者の生活 ある年の秋、私の生活 ・科学教育に関する国際セミナー二日間 ・経済関連の会議が一日 ・品質管理国際セミナー四日間 ・博物館や美術館の運営管理と展示に関する随行四日間…… 会議通訳者の嘆き 通訳者の上手な使い方 第一線で活躍する英日会議通訳者

15 通訳者のエッセイ、ブログ 普段の勉強について 中国語通訳関連 通訳ソーウツ日記 通訳クラブ(会議通訳者の仕事と生活)
ある英語通訳者のトレーニング記録 通訳学校英語学習日記 中国語通訳関連 情報収集 ある中国語通訳者の雑文集

16 期末試験の問題 以下の三題から一題を選択して800字以上、1000字以下で論じなさい。 異言語間コミュニケーションに関連する問題 翻訳・通訳の可能性と不可能性、必要性と不必要性について、具体例を示して論述しなさい。 社会や文化、コミュニティ・サービスに関連する問題 外国人など言語的弱者への翻訳通訳サービス提供における行政のあるべき姿、また翻訳者・通訳者の役割について、あなたの考えるところを自由に述べてください。 言語教育に関連する問題 翻訳・通訳の教育訓練はいかに行われるべきでしょうか。外国語教育と通訳訓練の相違点や共通点にも着目しつつ、これからの翻訳通訳教育と外国語教育の望ましいあり方について提案してください。


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