中学校国語科の 学習指導の方向性 ～新学習指導要領全面実施に向けて～

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1 中学校国語科の 学習指導の方向性 ～新学習指導要領全面実施に向けて～
平成２３年２月２０日 岐阜県教育研究会中学校国語研究部会 文部科学省教科調査官　　冨　山　哲　也

2 主に児童生徒が見通しをもって学習を進める授業
ガイドツアー型授業 マイツアー型授業 バランスが大切 主に教師の指示で 学習内容が進む授業 主に児童生徒が見通しをもって学習を進める授業 教え上手 学ばせ上手

3 言 語 活 動 〔単元を貫く課題解決的な活動〕 指導事項と言語活動例の関係 指導事項 ア 指導事項 イ 指導事項 ウ 指導事項 エ 指導事項
オ 指導と評価の重点化を図る 指導事項 ア イ ウ エ オ 課題 設定 言　　　語　　活　　動 〔単元を貫く課題解決的な活動〕 課題 解決 学習過程 3

4 学習の見通し（熊本県）

5 学校図書館の利用者を増やすための方策を話し合う。
話すこと・聞くことの授業例 第２学年 話題設定や取材 話すこと (話の準備)　(話す) 聞くこと 話し合うこと ア　社会生活の中から話題を決め，材料を多様な方法で集める。 イ　異なる立場や考えを想定して，中心的な部分と付加的な部分，論理的な構成や展開を考えて話す。 ウ　資料や機器などを効果的に活用して話す。 エ　論理的な構成や展開などに注意して聞き，自分の考えと比較する。 オ　相手の立場や考えを尊重し，目的に沿って話し合い，互いの発言を検討して自分の考えを広げる。 イ　社会生活の中の話題について，司会や提案者などを立てて討論を行うこと。 学校図書館の利用者を増やすための方策を話し合う。 公共図書館の工夫などを取材する。 一番よいと考えるアイデアについて，提案し合う。 図，写真，数値などを効果的に用いる。 採用できそうなアイデアかどうか，検討し合う。 学級全体でアイデアを絞る話合いをする。 5

6 学校図書館の利用者を増やすための方策を話し合う。
話すこと・聞くことの授業例 第２学年 話題設定や取材 話すこと (話の準備)　(話す) 聞くこと 話し合うこと ア　社会生活の中から話題を決め，材料を多様な方法で集める。 イ　異なる立場や考えを想定して，中心的な部分と付加的な部分，論理的な構成や展開を考えて話す。 ウ　資料や機器などを効果的に活用して話す。 エ　論理的な構成や展開などに注意して聞き，自分の考えと比較する。 オ　相手の立場や考えを尊重し，目的に沿って話し合い，互いの発言を検討して自分の考えを広げる。 イ　社会生活の中の話題について，司会や提案者などを立てて討論を行う。 学校図書館の利用者を増やすための方策を話し合う。 一番よいと考えるアイデアについて，提案し合う。 採用できそうなアイデアかどうか，検討し合う。 提示 省略 既習 6

7 ボードを使った発言（神奈川県）

8 英語のスピーチ（愛知県） 8

9 書くことの授業例 第１学年 好きな歌詞を味わって文章を書く。 課題設定や取材 構成 記述 推敲 交流
ア　日常生活の中から課題を決め，材料を集めながら自分の考えをまとめる。 イ　材料を分類するなどして整理し，段落の役割を考えて文章を構成する。 ウ　自分の考えや気持ちを根拠を明確にして書く。 エ　表記や語句の用法，叙述の仕方などを確かめて，読みやすく分かりやすい文章にする。 オ　題材のとらえ方や材料の用い方，根拠の明確さなどについて意見を述べたり，参考にしたりする。 ア　関心のある芸術的な作品などについて、鑑賞したことを文章に書くこと。 好きな歌詞を味わって文章を書く。 身の回りの歌詞を選び、観点を決めて味わう。 文章に表したい内容を絞って構成を考える。 歌詞を引用しながら、自分の気持ちを書く。 気持ちを表す表現が適切かどうか見直す。 引用の仕方と気持ちの表現の仕方について、交流する。 9

10 書くことの授業例 第１学年 好きな歌詞を味わって文章を書く。 課題設定や取材 構成 記述 推敲 交流
ア　日常生活の中から課題を決め，材料を集めながら自分の考えをまとめる。 イ　材料を分類するなどして整理し，段落の役割を考えて文章を構成する。 ウ　自分の考えや気持ちを根拠を明確にして書く。 エ　表記や語句の用法，叙述の仕方などを確かめて，読みやすく分かりやすい文章にする。 オ　題材のとらえ方や材料の用い方，根拠の明確さなどについて意見を述べたり，参考にしたりする。 ア　関心のある芸術的な作品などについて、鑑賞したことを文章に書くこと。 好きな歌詞を味わって文章を書く。 身の回りの歌詞を選び、観点を決めて味わう。 歌詞を引用しながら、自分の気持ちを書く。 提示 省略 既習 10

11 いかず 描けず 描けなくて 推敲と交流（埼玉県）

12 各学年の「読むこと」の言語活動例 読むこと 主として文学的な文章を対象に ア 様々な種類の文章を音読したり朗読したりすること。
　語句の 　意味の　　 　理解 　文章の 　解釈 自分の考えの形成 (形式について)(内容について) 読書と情報活用 第１学年 ア　様々な種類の文章を音読したり朗読したりすること。 第２学年 ア　詩歌や物語などを読み、内容や表現の仕方について 　　　感想を交流すること。 第３学年 　ア　物語や小説などを読んで批評すること。 「蜘蛛の糸」と，指導事項・言語活動を組み合わせると、どんな指導ができるでしょうか？ 12

13 単元構想表の活用例 第 １ 学年 蜘蛛の糸 「蜘蛛の糸」の気に入った部分を朗読する 単元（教材）名 ◎○ 学 習 活 動 評価規準 ア イ
第　１　学年 単元（教材）名 言語活動例 ｱ･ｲ･ｳ 指導事項 ◎○ 学　　　習　　　活　　　動 評価規準 ア イ ウ エ オ カ 事項 蜘蛛の糸 「蜘蛛の糸」の気に入った部分を朗読する 朗読する部分の語句の意味を理解する。 文章の展開をとらえ，選んだ部分の描写を基に、場面を想像する。 ○ 表現の特徴を考えて，朗読の工夫をしている。 ◎ 表現の特徴に基づいて読み方を決め、朗読する。 内容に基づいて読み方を決め、朗読する。 重要な語句の意味を調べ、理解している。 (1)イ(ｲ)　語句の文脈上の意味について理解する。 13

14 「蜘蛛の糸」の〔三〕の部分の意味を考える。
「蜘蛛の糸」を基に考えを述べる 第２学年 語句の意味の理解 文章の 解釈 自分の考えの形成 (形式)　　　　(内容) 読書と 情報活用 ア　抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと。 イ　文章全体と部分との関係，例示や描写の効果，登場人物の言動の意味などを考え，内容の理解に役立てること。 ウ　文章の構成や展開，表現の仕方について，根拠を明確にして自分の考えをまとめること。 エ　文章に表れているものの見方や考え方について，知識や体験と関連付けて自分の考えをもつこと。 オ　多様な方法で選んだ本や文章などから適切な情報を得て，自分の考えをまとめること。 学習課題の 設定は、単元の 最初に ア　詩歌や物語などを読み，内容や表現の仕方について感想を交流すること。 「蜘蛛の糸」の〔三〕の部分の意味を考える。 文章の中の特徴的な言葉の意味を考える。 文章の構成や描写、人物について整理しながら読む。 〔三〕の部分があった方がよいか、ない方がよいか、表現や内容に触れながら、自分の考えを述べる。 （芥川龍之介の他の文章を探して読む。） 14

15

16 「蜘蛛の糸」と「杜子春」の違いと共通点をまとめる。
「蜘蛛の糸」を批評する 第３学年 語句の意味の理解 文章の 解釈 自分の考えの形成 (形式)　　　　(内容) 読書と 情報活用 ア　文脈の中における語句の効果的な使い方など，表現上の工夫に注意して読む。 イ　論理の展開の仕方，場面や登場人物の設定の仕方をとらえ，内容の理解に役立てる。 ウ　文章を読み比べるなどして，構成や展開，表現の仕方について評価する。 エ　文章を読んで，人間，社会，自然などについて考え，自分の意見をもつ。 オ　目的に応じて本や文章などを読み，知識を広げたり，自分の考えを深めたりする。 ア　物語や小説などを読んで批評する。 「蜘蛛の糸」と「杜子春」の違いと共通点をまとめる。 印象に残る語句などに注目し、その効果を考える。 話の展開や人物などについて、特徴を考える。 表現や内容について複数の観点を設けて読み比べ、共通点や違いについて自分の考えを持つ。 芥川の他の作品や児童文学に触れる。 16

17 小ホワイトボードの活用（山形県）

18 課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等
観点別学習状況の評価の在り方① 新学習指導要領を踏まえた観点の設定 ○　各教科の内容等に即して思考・判断したことについて，その内容を言語活動を中心とする表現に係る活動と一体的に評価する観点として「思考・判断・表現」を設定　　　 ○　従来の「技能・表現」の観点の「表現」との混同を避けるため，「技能」に改める 新しい観点 「関心・意欲・態度」 「思考・判断・表現」 「技能」 「知識・理解」 ※　各教科の評価の観点は上に示した観点を基本としつつ教科の特性に応じて設定 学力の３つの要素との整理 基礎的・基本的な知識・技能 「技能」 及び 「知識・理解」 で評価 　これから、具体的な内容について報告等で示された内容についてご説明する。 　まず、各教科における児童生徒の学習状況を分析的にとらえる観点別学習状況評価について説明する。 　観点別学習状況の評価は、きめの細かい学習指導と児童生徒一人一人の学習内容の定着を図るため、日常的に実施されるべきもの。 　現在の学習指導要領に対応した観点については、平成１２年に教育課程審議会において、概ね、「関心・意欲・態度」、「思考・判断」、「技能・表現」、「知識・理解」に対応した観点をご提言いただき、多くの学校において活用。 　今回の検討に当たっては、新しい学習指導要領においては、思考力・判断力・表現力等を育成するため，基礎的・基本的な知識・技能を活用する学習活動を重視するとともに，言語活動の充実が求められたことから，各教科の内容等に即して思考・判断したことについて、その内容を言語活動を中心とする表現に係る活動と一体的に評価する観点として「思考・判断・表現」を設定するとともに、 　「思考・判断・表現」の観点における「表現」と、従来の「表現・技能」の観点の「表現」との混同を避けるために、「技能・表現」を「技能」に改めることが適当であるとされたところ。　　 　新しい学習指導要領に基づく観点については、「関心・意欲・態度」、「思考・判断・表現」、「技能」、「知識・理解」として、各教科の評価の観点については４観点を基本としつつ教科の特性に応じて、中教審においてご検討いただいた。 　また、先ほど申し上げたように、指導と評価の一体化を進める上で、学校教育法の改正を踏まえ、新しい学習指導要領において明確にされた学力の要素と評価の観点との関係を明確にしている。（次ページを簡単に説明） 　すなわち、新しい学習指導要領の下における評価の観点については、基本的には、基礎的・基本的な知識・技能については、「知識・理解」や「技能」において、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等については、「思考・判断・表現」において、主として学習に取り組む態度については、「関心・意欲・態度」においてそれぞれ評価を行うこととして整理。 課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等 「思考・判断・表現」 で評価 主体的に学習に取り組む態度 「関心・意欲・態度」 で評価 18

19 観点別学習状況の評価の在り方② 「思考・判断・表現」
　それぞれの教科の知識・技能を活用して課題を解決すること等のために必要な思考力・判断力・表現力等を児童生徒が身に付けているかどうかを評価 ○　新しい学習指導要領において，思考力・判断力・表現力等を育成するため，基礎的・基本的な知識・技能を活用する学習活動を重視するとともに，言語活動の充実が求められたことから，新たに設定 ○　言語活動を中心とした表現に係る活動や児童生徒の作品等と一体的に行うことを明確化 ○　自ら取り組む課題を多面的に考察 ，観察・実験の分析や解釈を通じ規則性を見いだすなどの基礎的・基本的な知識・技能を活用しつつ，各教科の内容等に即して思考・判断したことを，説明，論述，討論といった言語活動等を通じて評価 　それぞれの観点についてご説明する。 　「思考・判断・表現」については、それぞれの教科の知識・技能を活用して課題を解決すること等のために必要な思考力・判断力・表現力等を児童生徒が身につけているかどうかを評価する観点である。 　先ほどご説明したように、新しい学習指導要領において、基礎的・基本的な知識・技能を活用する学習活動を重視するとともに、論理や思考の基盤でもある言語の果たす役割を踏まえ、言語活動を充実することとしており、現在の観点である「思考・判断」とあわせて言語活動を中心とした表現に係る活動や児童生徒の作品等と一体的に行うことを明確にしたもの。 　具体的には、単に文章、表や図に整理して記録するというものではなく、例えば自ら取り組む課題を多面的に考察 ，観察・実験の分析や解釈を通じ規則性を見いだすなどの基礎的・基本的な知識・技能を活用しつつ，各教科の内容等に即して思考・判断したことを，説明，論述，討論の形で表現しているかを評価するもの。 　なお、新しい学習指導要領において充実が求められている論述，発表や討論，観察・実験とレポートの作成といったこの観点で評価する資質や能力の育成を目指した学習指導と対になってこそ意義を持つものであり、そのような学習指導を積極的に進めて頂きたい。 　なお、先ほど来、言語活動を中心とした表現に係る活動や児童生徒の作品等と一体的に行うことを申し上げているが、これは最終的な成果物のみから評価を行うとの趣旨ではなく、適切に思考・判断しているが，結果的に作品化などにおいて表現できない場合など，例えば、　図画工作における作品制作に当たって，秀逸な発想や構想はあるが，技能がないため作品につながらなかった場合でも，途中段階において発想や構想を文章などで書かせることによって発想や構想の能力を評価するなど、その過程を含めて評価することが重要であることにも留意願いたい。 ○　論述，発表や討論，観察・実験とレポートの作成といった新しい学習指導要領において充実が求められている学習活動を積極的に取り入れ，学習指導の目標に照らして実現状況を評価 ○　思考・判断の結果だけではなく，その過程を含めて評価 19

20 観点別学習状況の評価の在り方③ 「技能」 各教科において習得すべき技能を児童生徒が身に付けているかどうかを評価 「知識・理解」
各教科の内容等に即して思考・判断したことについて，その内容を言語活動を中心とする表現に係る活動と一体的に評価する観点として「思考・判断・表現」を設定 従来の「技能・表現」の観点の「表現」との混同を避けるため，「技能」に改める ※　教科によって違いはあるものの，基本的には，現在の「技能・表現」で評価している内容は引き続き「技能」で評価 ［理科］ 観察・実験の過程や結果を的確に記録し整理すること ［算数・数学］ 式やグラフに表すこと 　次に、基礎的・基本的な知識や技能に関する観点について説明する。 　まず、「技能」については、各教科において習得すべき技能を評価するものであるが、先ほどご説明したように、「思考・判断・表現」の観点における「表現」と、従来の「表現・技能」の観点の「表現」との混同を避けるために、「技能・表現」を「技能」に改めたところ。 　従来の「技能・表現」においても、算数・数学において（　　　）を式やグラフ等に表すことや、理科において観察・事件の過程や結果を的確に記録し整理するなどの従来「表現」として考えられたものを「技能」として評価することとが適当であるとされたものである。このように、基本的には、現在の「技能・表現」で評価している内容は引き続き「技能」で評価していくことが適当。 　なお、例えば、中学校理科において，今まで「技能・表現」で評価を行っていた，創意工夫を伴う報告書の作成や発表などについての評価については，「思考・判断・表現」において行うこととしており、各教科において育む資質や能力を指導の三要素にどのように対応するかによって、見直しを行っている場合がある。（教科によって追加の例があれば説明。） 　また、「知識・理解」については、各教科において習得すべき知識や重要な概念等について評価を行うものである。本観点に対応する資質や能力の基本的な考え方については、現在のものと変わるものではない。 　なお、両観点については、基礎的・基本的な知識・技能に対応するものであり、両者を一体化した方が良いのではないかとの議論も中教審で行われたが、最終的には、例えば、二次方程式は解けるが、その意味を理解できていないなど、「わかる」が「できない」場合があるとの指摘もあり、そのような児童生徒を指導し評価を行っていくためにはわけた方が良いとのことから、中教審においてもわけてお示し頂いた。 「知識・理解」 各教科において習得すべき知識や重要な概念等を児童生徒が身に付けているかどうかを評価 20

21 観点別学習状況の評価の在り方④ 「関心・意欲・態度」
各教科が対象としている学習内容に関心をもち，自ら課題に取り組もうとする意欲や態度を児童生徒が身に付けているかどうかを評価 ○　学力の３つの要素の１つ ○　我が国の児童生徒の学習意欲に課題（全国学力・学習状況調査等により指摘） ○　他の観点に係る資質や能力の定着に密着に関係 　→　「関心・意欲・態度」について学習評価を行い，それを指導の充実に生かしていくことは引き続き重要 授業や面談における発言や行動等 ワークシートやレポートの作成，発表 　最後に関心、意欲、態度について説明する。 　本観点については、各教科が対象としている学習内容に関心を持ち、自ら課題に取り組もうとする意欲や態度を児童生徒が身につけているかどうかを評価するものである。 　重要なことは、本観点が評価しようとしているものは「各教科が対象としている学習内容」についての関心等であり、指導において育むものであり、単に一般的に学習に取り組む態度が良い、若しくは悪いなどの評価を行うものではないことに留意することが重要。 　本観点については、学力の三つの要素の一つであるとともに、国際的、全国的な学力調査についても児童生徒の課題があることが示されていること、また、学習内容に対して関心等を持つことによって、思考力等や基礎的・基本的な知識・技能の習得につながるなど他の観点に密着に関係するものであり、本観点について学習評価を行い、それを指導の充実に生かしていくことは重要であることから、引き続き適切に評価を行うことが求められているところ。 　評価にあたって、授業や面談における発言や行動等、ワークシートやレポートの作成や発表などにより、本観点について評価を行うことが考えられる。また、既に学校においては見られないと思うが、授業中の挙手や発言の回数といった表面的な状況のみに着目することにならないよう留意することが必要である。 　なお、本観点については、教員より必ずしも分かりやすい形で表れないこと、そのため説明責任を果たす観点から教員に負担感があることが指摘されている。そのため、評価方法や評価時期等の工夫を一層進めることが重要。 　例えば、評価時期については、単元において習得させる内容が異なる場合も多い「知識・理解」や「技能」に係る資質や能力とは異なり，「関心・意欲・態度」については，連続する単元において同様の資質や能力を育む場合には，単元を超えた評価を行うことが適切な場合があると考える。 ※　授業中の挙手や発言の回数といった表面的な状況のみに着目することにならないよう留意 21

22 基礎的・基本的な知識・技能と，「思考・判断・表現」とを合わせて評価する観点
国語科の新しい学習評価との関連 関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技　　能 知識・理解 基本の４観点 国語への 関心・意欲・態度 話す・聞く 能力 書く能力 読む能力 言語についての 知識・理解・技能 話すこと・ 聞くこと 書くこと 読むこと 伝統的な言語文化と国語の特質に 関する事項 基礎的・基本的な知識・技能と，「思考・判断・表現」とを合わせて評価する観点 22

23 基礎的・基本的な知識・技能と，「思考・判断・表現」とを合わせて評価する観点
国語科の新しい学習評価との関連 基礎的・基本的な知識・技能と，「思考・判断・表現」とを合わせて評価する観点 話す・聞く 能力 書く能力 読む能力 （例）書いた文章を読み返し，語句や文の使い方に注意し，読みやすく分かりやすい　 　　　文章にしている。 （例）書いた手紙を読み返し，相手と目的に応じた語句や文の使い方に注意し，読 　　　みやすく分かりやすい文章にしている。 言語活動を通して指導することの重要性 23

24 指導事項と言語活動例から評価規準を作る 言語活動例 指導事項 様々な考えができる事柄について立場を決めて意見を述べる文章を書く。
表現の仕方を工夫して詩をつくる。 　自分の立場及び伝えたい事実や事柄を明確にして、文章の構成を工夫している。 （第２学年「書くこと」イ） ・どんなことを明確にするのか？ ・何を重視して構成を考えるのか？ ・そのために、どんな構成にするのか？ →これまでの学習で得られた知識の想起。 →新たに身に付ける知識や技能

25 指導事項と言語活動例から評価規準を作る 言語活動例 指導事項 様々な考えができる事柄について立場を決めて意見を述べる文章を書く。
表現の仕方を工夫して詩をつくる。 　自分の立場及び伝えたい事実や事柄を明確にして、文章の構成を工夫している。 （第２学年「書くこと」イ） 　自分の立場や意見を明らかにして、それを表明する部分を文章のどこに置くかについて考えている。 　感動の中心を明らかにして、詩の構成を工夫している。 ・どんなことを明確にするのか？ ・何を重視して構成を考えるのか？ ・そのために、どんな構成にするのか？ →これまでの学習で得られた知識の想起。 →新たに身に付ける知識や技能

26 他の人の俳句を読み、句の表現や内容について意見を述べたり助言をしたりしている。
評価の実際　ー考えてみましょうー （中学校第２学年　「書くこと」オの指導） 　書いた文章を互いに読み合い、文章の構成や材料の活用の仕方について意見を述べたり助言をしたりして、自分の考えを広げること。 オノマトペを用いて俳句をつくる言語活動 ＜評価規準＞ 他の人の俳句を読み、句の表現や内容について意見を述べたり助言をしたりしている。 26

27 ぼやぼやと 蛍の光 短命か （夏の川辺にほのかな光を出す蛍。しかしその光を出す時間は短く、見ている人を悲しい気持ちにさせる。）
他の人の俳句を読み、句の内容や表現について意見を述べたり助言をしたりしている。 ぼやぼやと　蛍の光　短命か （夏の川辺にほのかな光を出す蛍。しかしその光を出す時間は短く、見ている人を悲しい気持ちにさせる。） 評価の実際 「ぼやぼや」の意味が伝わりにくいため，「ぽつぽつ」に変えて、短さを強調してはどうか。　① 悲しい気持ちがよく伝わってきた。　② 「ぼやぼや」という表現はよく分からなかった。　③ 「短命か」の「か」には、「なのか？」ではなくて「なのに」の意味が込められていると思う。④ 27

28 さむざむと 星冴える夜は 寂しけり （寒々とした冬の夜は、気温が低いだけでなく気持ちの面でも寒く、寂しくなる。）
他の人の俳句を読み、句の内容や表現について意見を述べたり助言をしたりしている。 さむざむと　星冴える夜は　　 　　　　　　　　　　　　　寂しけり （寒々とした冬の夜は、気温が低いだけでなく気持ちの面でも寒く、寂しくなる。） 評価の実際 「さむざむと」と書いてあることで、冬の夜の寒さを強調しているなと思った。気持ちの寂しさと冬の寒さが書いてあることで、ひっそりとした情景が伝わった。　⑤ 「さむざむと」を変えた方が、完成度が増すと思う。　⑥ 「さむざむと」と「寂しけり」が合っていると思う。　⑦ 「星冴える」と「さむざむと」が、よく合っていて、冬の身を切るような寒さが伝わってくる。⑧ 28

29 他の人の俳句を読み、句の内容や表現について意見を述べたり助言をしたりしている。
ゲレンデで　ヒョウン風切る 　　　　　　　　　　Ｆ１（エフワン）カー （スキー板を履いてゲレンデを勢いよく滑っていると、まるでＦ１カーに乗ったドライバーになったような気分になる。） 評価の実際 スキーとＦ１カーをかけているのは、良いなと思った。　⑨ ヒョウンを変えた方がいいと思った。　⑩ 「ヒョウン」の擬態語を、スピード感をます形で「ヒョッウン」と表記してみては。　⑪ 確かにゲレンデで滑るスキーは速くてスリルもあり、「雪上のＦ１カー」だと言えるなと思った。⑫ 29

30 楽しくて力が付く国語の授業を おわり 30