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マクロ経済学(Ⅱ) ゴ イツリョウ 担当: 呉 逸良 マクロ経済学(Ⅱ)
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教科書等 吉川洋『マクロ経済学・現代経済学入門』第2版 岩波書店 2001 \2800+税 参考書:
吉川洋『マクロ経済学・現代経済学入門』第2版 岩波書店 2001 \2800+税 参考書: 中谷巌 『入門マクロ経済学』第4版 日本評論社 2004 \3000+税 大竹文雄 『スタディガイド 入門マクロ経済学』第3版 日本評論社 2004 \1900+税 伊藤元重 『マクロ経済学』第1版 日本評論社 2004年 ジョセフ・E. スティグリッツ 『スティグリッツ マクロ経済学』 東洋経済新報社 N.グレゴリー マンキュー 『マンキュー マクロ経済学 入門篇 』 東洋経済新報社 マクロ経済学(Ⅱ)
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講 義 範 囲 教科書: 吉川洋『マクロ経済学・現代経済学入門』第2版 岩波書店 2001 \2800+税
吉川洋『マクロ経済学・現代経済学入門』第2版 岩波書店 2001 \2800+税 第5章 オープンエコノミーのマクロ経済学 国際収支統計,為替レート, マンデル=フレミング・モデルなど 第6章 失業とインフレーション/デフレーション 失業率,インフレとデフレ,フィリップス曲線など 第7章 新古典派マクロ経済学 新古典派経済学,貨幣数量説,マネタリズムなど マクロ経済学(Ⅱ)
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マクロ経済学体系のフローチャート 海外部門 財 市 場 (IS曲線) IS・LM モデル 総需要 曲 線 所 得 と 物価水準 の 決 定
総需要 曲 線 所 得 と 物価水準 の 決 定 インフレと 失業の分析 貨幣市場 (LM曲線) 労 働 市 場 総供給 曲 線 経済成長 理 論 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 閉鎖経済(closed economy) 開放経済(open economy)
国民経済計算の支出面から見て:Y=C+I+G 支出(需要): Y 消費:C 投資:I 政府支出:G 開放経済(open economy) (1)財・サービス(フロー)輸出(X)と輸入(M)も考慮に入れる。 Y=C+I+G+(X-M) (2)財・サービスの経常収支(X-M)が均衡していなければ,国際的な資本移動(フロー)が発生する。 (3)経常収支の不均衡(フロー)が継続すれば,その国対外純資産(ストック)が変化していく。 (4)自国(外国)の通貨は原則として外国(自国)では通用しない。国際取引では通貨の転換が必要である。2国通貨の交換比率を為替レート(exchange rate)という。 純 輸 出 (対外純資産の蓄積) X-M > 0 のとき,対外資産(ストック)が増加 X-M < 0 のとき,対外資産(ストック)が減少 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 国際収支統計
定義:国際収支(balance of payments)統計は,一定期間における一国のあらゆる対外経済取引を体系的に記録した統計である。 取引は居住者と非居住者との間で行われたもので,(1)財貨・サービス・所得の取引,(2)対外資産・負債の増減に関する取引,(3)移転取引に分類できる。 取引そのものは,経済価値の創出・変換・交換・移転または消滅を反映するものであり,財貨・金融資産の所有権の移転,サービスの提供,または労働および資本の提供を伴うフローとして定義されている。 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 国際収支統計
方法:わが国の国際収支統計で使用されている計上方法は,国際通貨基金(IMF)による「国際収支マニュアル第5版」に基づいている。IMFは,IMF協定第8条第5項に基づいて,加盟国に対し国際収支統計に関する情報の提供を求めている。この国際収支統計作成の際の国際的な標準ルールを示すとともに,IMFへの報告のための様式のガイドラインを提示したものが,「国際収支マニュアル第5版1993 (BPM5) 」である。 注) 2001年のIMF国際収支統計委員会において,IMFが国際収支マニュアル第5版の改訂を提案された。フロー中心の統計からポジション中心の統計へ変化,名称も国際収支マニュアル(BPM)から国際勘定マニュアル(IASM)に変更する。 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 国際収支統計 国際収支表 作成部署: 財務省,日本銀行国際局国際収支統計担当
国際収支表 作成部署: 財務省,日本銀行国際局国際収支統計担当 解釈: 経常収支 貿易・サービス収支 貿易収支 「財貨」の国際間取引(輸出入)をFOB(Free On Board)価格で計上する項目 サービス収支 輸送,旅行およびその他のサービス(輸送、旅行に属さないサービス)国際間取引を計上します項目 所得収支 「雇用者報酬」、「投資収益」の受取・支払を計上する項目 経常移転収支 実物資産(財貨・サービス)あるいは金融資産などの無償取引(経済的価値の一方的な受払)を、国際収支表に複式計上方式で記録するための見合い項目 資本収支 投資収支 居住者と非居住者との間で行われた金融資産負債の取引を計上する項目である。直接投資、証券投資、金融派生商品、その他投資を含んでいる。 その他資本 資本移転、非生産非金融資産(特許権、著作権、商標権、譲渡可能な契約など)を計上する項目 外貨準備増減 通貨当局の管理下にあるすぐに利用可能な対外資産の増減を計上する項目 誤差脱漏 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 国際収支統計 国際収支表 作成部署: 財務省,日本銀行国際局国際収支統計担当 経常収支 +資本収支
国際収支表 作成部署: 財務省,日本銀行国際局国際収支統計担当 データ: (単位:億円) 経常収支 +資本収支 +外貨準備増減 +誤差脱漏 ーーーーーーーーーーー = 0 *外貨準備純減=誤差脱漏=0の場合 経常収支黒字≡資本収支赤字 or 経常収支赤字≡資本収支黒字 暦年 2005 経常収支 182,591 貿易・サービス収支 76,930 貿易収支 103,348 (輸出) 626,319 (輸入) 522,971 サービス収支 -26,418 所得収支 113,817 経常移転収支 -8,157 資本収支 -140,068 投資収支 -134,579 その他資本 -5,490 外貨準備増減 -24,562 誤差脱漏 -17,960 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 国際収支統計 国際収支表 作成部署: 財務省,日本銀行国際局国際収支統計担当
国際収支表 作成部署: 財務省,日本銀行国際局国際収支統計担当 外貨準備純減=誤差脱漏 =0の場合 経常収支黒字≡資本収支赤字 or 経常収支赤字≡資本収支黒字 経常収支黒字であった場合,外国から受け取った外貨は,外国の債券を購入したり,外国に工場を建てるなど,対外投資に使われる(使われなかった分は外貨準備の増加となる)。これが資本収支の赤字になるのである。経常収支が赤字の場合,逆に外国から自国に資本が流入することになる。これが資本収支の黒字になるのである。 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 国際収支統計 国際収支表 作成部署: 財務省,日本銀行国際局国際収支統計担当
国際収支表 作成部署: 財務省,日本銀行国際局国際収支統計担当 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 為替レートと国際通貨制度 国際通貨制度
固定為替相場制(fixed exchange rate)とは,各国通貨間の交換比率を固定する制度である。この制度の下で,中央銀行は自国通貨と外国通貨の需給のアンバランスに対応する分の外貨を,いつでも要求に応じて売ったり,買ったりしなければならない。 変動為替相場制(flexible exchange rate)の下で,為替レートが通貨間の需要と供給が調整されるように外国為替市場で決定される。中央銀行は需給アンバランスの調整義務がない。為替レートが完全に市場メカニズムで決められるとき,そのような制度を「清潔な変動為替相場制」(クリーン・フロートClean Float)と呼ぶ。 しかし,純粋にクリーン・フロートはあまりに見られず,中央銀行はしばしば為替市場の介入を行っている。この場合,「不清潔」あるいは「管理された変動為替相場制」(Dirty or Managed Float)と呼ぶ。 ただし,固定為替相場制下のマクロ経済分析も重要である。 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 為替レートと国際通貨制度 国際通貨制度 260 280 300 320 340 360 380
1971年12月, (スミソニアン体制) 金1オンス=38ドル,1ドル=308円 1944年~(ブレトン・ウッズ体制) 金1オンス=35ドル,1ドル=360円 260 280 300 320 340 360 380 為替レート(円/ドル) 40 80 120 160 200 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 外貨準備(億ドル) 1971年8月,「ニクソンショック」 ドルと金の交換停止 1973年2月,変動相場制(フロート制)へ移行 外貨準備 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 為替レートと国際通貨制度 国際通貨制度 1973年2月,フロート制
1971年12月, スミソニアン体制 1971年8月,ニクソンショック フランス・フラン(フラン/ドル) 左目盛り ドイツ・マルク(マルク/ドル) 左目盛り 英ポンド(ポンド/ドル) 右目盛り マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 為替レートと国際通貨制度 国際通貨制度
データー公表: 日本銀行 1971年8月,ニクソンショック 同年12月, スミソニアン体制へ 1985年9月,「プラザ合意」 先進5カ国(米、英、西徳、仏、日本)は、協調してドル安に進めることを合意した。 1973年2月(フロート制)変動相場制へ 1995年4月19日 東京市場で円が史上最高値79円75銭を記録した。 1944年~,ブレトン・ウッズ体制 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 為替レートと国際通貨制度 固定為替相場制(fixed exchange rate)の重要論点:
(1)固定相場制の下では各国通貨当局が一定のレートの下では外貨を無制限に需要・供給するために,国内のマネーサプライが「内生化」する。 例えば: 国際収支黒字→ (保有外貨↑)ハイパワードマネー↑→マネーサプライ↑ 通貨当局が債券の売りオペーなどを通じて,ハイパワードマネーの増大を不胎化することは短期的には可能である。 (2)固定相場制の下では,自国の通貨が国際通貨として通用する基軸通貨国以外の国が,国際収支の不均衡を長期間続けることは不可能である。 固定相場制下における「ゲームのルール」: 国際収支の赤字が続く国では,経常収支を縮小し資本収支の黒字を増やすために「緊縮的な」マクロ政策が必要である。反対に,国際収支の黒字が続く国では,「拡張的な」マクロ政策が求められる。 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 為替レートの決定―短期と長期 短期: 時々刻々 ~ 月
短期: 時々刻々 ~ 月 中期: 約1四半期 (1~2年間の動きを考察する) 長期: 約1年 (5~20年間の動きを考察する) 購買力平価説(purchasing power parity PPP) 為替レートの長期的な動きを説明する理論であり,貿易財(tradable)についてのみ成立する。国際的な一物一価の法則の考え方である。 例えば:同型の自動車が国際取引される場合 アメリカ:5000ドル/台 日本:100万円/台 5000ドル/台= 100万円/台 為替レート: 1ドル=200円 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 為替レートの決定―短期と長期
購買力平価説(purchasing power parity PPP) 為替レートの長期的な動きを説明する理論であり,貿易財(tradable)についてのみ成立する。国際的な一物一価の法則の考え方である。 非貿易財(nontredable)については,国際的な一物一価が成立する必然性がない。 非貿易財 200万円 貿易財 100万円 日 本 貿易財 5000ドル 非貿易財 10000ドル アメリカ 100万円=5000ドル 為替レート: 1ドル=200円 一般物価 150万円 一般物価 7500ドル 非貿易財についても一物一価が成立する。 マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 為替レートの決定―短期と長期
購買力平価説(purchasing power parity PPP) 為替レートの長期的な動きを説明する理論であり,貿易財(tradable)についてのみ成立する。国際的な一物一価の法則の考え方である。 非貿易財(nontredable)については,国際的な一物一価が成立する必然性がない。 非貿易財 200万円 貿易財 100万円 日 本 貿易財 5000ドル 非貿易財 10000ドル アメリカ 100万円=5000ドル 為替レート: 1ドル=200円 10000ドル 10000ドル 20000ドル 100円 円高が発生 一般物価 150万円 一般物価 7500ドル 15000ドル この場合,非貿易財についても一物一価がまだ成立する。 インフレですべての財 の価格が2倍になった マクロ経済学(Ⅱ)
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貿易財の生産性の向上によって価格が下落した
5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 為替レートの決定―短期と長期 購買力平価説(purchasing power parity PPP) 為替レートの長期的な動きを説明する理論であり,貿易財(tradable)についてのみ成立する。国際的な一物一価の法則の考え方である。 非貿易財(nontredable)については,国際的な一物一価が成立する必然性がない。 非貿易財 200万円 貿易財 100万円 日 本 貿易財 5000ドル 非貿易財 10000ドル アメリカ 100万円=5000ドル 為替レート: 1ドル=200円 50万円 50万円 100円 円高が発生 一般物価 150万円 一般物価 7500ドル 125万円 この場合,非貿易財について一物一価が成立しない。 内外格差: 日本の非貿易財=20000ドル アメリカの非貿易財=100万円 貿易財の生産性の向上によって価格が下落した マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 為替レートの決定―短期と長期
購買力平価説(purchasing power parity PPP) 為替レートの長期的な動きを説明する理論であり,貿易財(tradable)についてのみ成立する。国際的な一物一価の法則の考え方である。 非貿易財(nontredable)については,国際的な一物一価が成立する必然性がない。 インフレーションは為替レートを長期的に変化させる重要な要因であるが,唯一の要因ではない。貿易財の需給変化や生産性の変化も一因である。 「内外価格差」の理由: (1)貿易財の場合,関税,流通コストなど (2)物理的には貿易財であっても,規制により非貿易財になっている (3)非貿易財部門の生産性の内外格差 (4)非貿易財部門の生産性の内外格差がなくても,貿易財の生産性について内外格差があれば,非貿易財の内外価格差が発生する マクロ経済学(Ⅱ)
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5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 為替レートの決定―短期と長期
購買力平価説(purchasing power parity PPP) 為替レートの長期的な動きを説明する理論であり,貿易財(tradable)についてのみ成立する。国際的な一物一価の法則の考え方である。 非貿易財(nontredable)については,国際的な一物一価が成立する必然性がない。 「一般物価水準」を2国で等価するような為替レートの水準は,現実の為替レートが長期的にそこへ収束してくようなアンカーとしての意味は持っていない。長期的なアンカーという意味での為替レートは,あくまでも貿易財について一物一価を成立させるような為替レートである。 「中期」の為替レートについて,次の節でマクロ・モデルを用いて考えよう。 マクロ経済学(Ⅱ)
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