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環境経済論 立命館大学 政策科学部教授 髙尾克樹.

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1 環境経済論 立命館大学 政策科学部教授 髙尾克樹

2 なぜ環境経済学を学ぶか 経済的圧力が環境破壊の主因 貧困と環境の不可分性 環境保護ニーズの高まり (合理的)選択の学問

3 講義の獲得目標 環境破壊の背景にある要因を見出す眼力 環境と開発に関わる基礎的分析スキル 環境対策の経済的手段の理解
木を切るなだけでは森林を守ることはできない。

4 講義の構成   導入 自然環境の経済的価値 環境保護の経済的手段 サステナブル・ディベロップメント

5 評価の方法 定期試験  50% 中間試験  25% 出席     25%  (出席状況のサンプル調査を兼ねた「小演習」をサプライズベースで実施する)

6 イントロダクション 「環境経済学的」アプローチと「環境倫理学」的アプローチ

7 環境倫理アプローチ 個人の内面的規律に着目 環境汚染は環境意識が低いために起こる

8 環境倫理アプローチ (ごみ、地球温暖化、琵琶湖汚染に対して) 大量消費、大量廃棄は消費者の悪癖
牛乳パックは洗って、乾かして、ハサミで開いて、まとめて集積場所へ持参 リサイクル後のティッシュなど、値段が高くても環境によいものを選ぶべき マイカーをやめ自転車に乗り換えよう リンを含んだ合成洗剤を石鹸に転換しよう

9 環境倫理アプローチ 環境を守るには身近な所から変えていくという姿勢は重要 しかし、精神主義に陥りやすい テンションが緩むと破綻する危険

10 政策的アプローチ1:Command and Control
法的規制を中心とした直接規制 環境を守るためには明確なルールと厳格な実施が必要

11 政策的アプローチ1:Command and Control
ペットボトルは使用禁止 リサイクルの義務付け、廃棄の禁止 汚染排出規制 排出削減強制割当て

12 政策的アプローチ1:Command and Control
ルールを明確にできる 過去の規制(SO2規制)などで効果は実証済み 消費者、市民には選択の余地なし 不法投棄、ブラックマーケットなどの温床

13 政策的アプローチ2:環境経済学的アプローチ
汚染者負担の原則 強制ではなくアメとムチにより誘導 効率よく汚染削減可能な企業がより多く削減する

14 政策的アプローチ2:環境経済学的アプローチ
容器のデポジット制度 (ポイ捨て消費者に「税」、回収協力者に「報奨金」) 炭素税と排出権取引 汚染排水料金

15 政策的アプローチ2:環境経済学的アプローチ
柔軟で、消費者の選択の余地を確保 社会全体での環境保護コストを最小化 果たして、本当に機能するのだろうか 経済合理性の追求は非倫理的?

16 3つのアプローチの比較 環境問題に対しては多角的アプローチが必要
政策レベルでは従来の統制型(コマンドアンドコントロール型)から誘導型(環境経済型)への転換が必要 地球温暖化対策など、統制型になじまない課題が増えてきた 消費者には選択の自由が必要

17 環境経済学アプローチの出発点 消費者行動の合理性 「なぜ消費者は捨てるのか」を問いかける
ペットボトルやスーパーの発泡スチロールトレイは安く、衛生的、持ち運び便利で、手にも取れる 逆に「牛乳配達」は割高で、しかもビンを洗うのは面倒で、飲める量も毎日同じ

18 なぜワンウェイ容器は「安い」のか 容器のコスト、つまり原料価格の長期的下落 牛乳配達や廃品回収は人件費が大きい。労働コストは逆に上昇
多くの人が使えば更に安くなる

19 原材料価格の長期的低下

20 なぜワンウェイ容器は便利なのか 容器の技術進歩 軽さ、強度、漏れの防止、耐久性 しかし使用後の廃棄面には技術進歩の動機が存在しない

21 ワンウェイ容器普及の結果 ペットボトル1本あたり36.7円(京都市、99年度高尾ゼミグループ調べ) 廃棄物処理コストは急上昇
ペットボトル入り飲料水の価格128円(南アルプスの天然水2L、京都市内での実売価格) 廃棄物処理コストは急上昇 飲料水メーカー、容器メーカー、消費者は自治体の廃棄物処理事業にタダ乗り

22 解決策 廃棄物の処理費用は排出者である飲料メーカー、容器メーカー、消費者が負担すべき(汚染者負担の原則) 容器への課税
消費者に「真の」コストを認知させ、濫用を防ぐ 容器の使用後の処理技術の革新へ動機付け 更に、デポジット制度を利用すれば、アメとムチの両方の効果

23 ポイント 強制ではなく誘導 企業は新しいルールのもとで競争。企業の活力を環境浄化に生かせる 政府の役割は「ゲームのルール」づくり
選択は消費者と企業にゆだねられる


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