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一日東稜大学 「食の安全性」と「生物の進化」 ☆ ☆ いのちをいただく ☆ ☆ 2008年11月14日 鹿児島大学農学部獣医学科
☆ ☆ いのちをいただく ☆ ☆ 一日東稜大学 2008年11月14日 鹿児島大学農学部獣医学科 獣医公衆衛生学教授 岡本嘉六
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宇宙 ⇒ 銀河系 ⇒ 太陽系 ⇒ 地球 ⇒ 日本 ⇒ 熊本 ⇒ そこに生きる自分は?
生物の多様性と進化 「何処から来て、何処へ行くのか?」 この答えを出すために生きている・・・ カオス(古典ギリシア語:Χάος、英語:Chaos)とは、ギリシア神話に登場する原初神である。英語の読み方で、ケイオスとも言う。 この世が始まったとき最初に無の空間に誕生した神で、混沌を神格化したもの。一人でガイア(大地)、タルタロス(奈落)、エロース(愛)、エレボス(暗黒)、ニュクス(夜)といった神々を生んだ。 宇宙 ⇒ 銀河系 ⇒ 太陽系 ⇒ 地球 ⇒ 日本 ⇒ 熊本 ⇒ そこに生きる自分は? 宇宙 銀河系 この問に答えるため、人類は宗教と科学という二つの手法をあみ出した。近年の生命科学の進歩は目覚しく、遺伝子を解析すれば全てが解けるかのような錯覚もあるが・・・。 そもそも、いのちを科学するとは、どういうことか?
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地球の誕生: 約46億年前 原始大気と原始海洋の誕生 最初の生命体(原核生物) 35億年前の最古の化石 緑藻類などの真核生物 10億年前
地球の誕生: 約46億年前 原始大気と原始海洋の誕生 最初の生命体(原核生物) 35億年前の最古の化石 緑藻類などの真核生物 10億年前 アオミドロ 1991年5月普賢岳の噴火 なし 生物の光合成 石灰岩CaCO3 地下有機物(化石燃料) 0.03% ただし増加中 二酸化炭素 CO2 酸素 O2 原始大気 大量 起源 原始地球から脱ガス その後 縞状鉄鉱などの酸化物 その後は大気中に蓄積 成層圏のオゾンO3層 現在 21%
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大気と水に恵まれた地球で生命が誕生し進化してきた
大気中ガス濃度 炭酸ガス CO2 酸素 O2 光合成を行うラン藻類(シアノバクテリア) 27 46 35 10 緑藻類などの真核生物 5.1 脊椎動物の出現 脊椎動物の上陸 3.7 人類の出現 500万年前 陸上植物の出現 4.4 ほ乳類の出現 2.1 地球誕生 原始生物 地球にも寿命があり、地殻活動などの環境変化により絶滅した種もいる。人類は? ダーウィンの著書 1859年 「種の起源」 進化論 ミラーの実験 「化学進化」 原始大気と放電でアミノ酸ができる パスツールの実験 1862年 「生物は生物からしか生まれない」
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生物の系統発生図 植物界 菌界 動物界 光合成 吸収 消化 プロティスタ モネラ 真核生物、多細胞 真核生物、単細胞 原核生物、単細胞
様々な生物が相互に依存しながら生態系を形成しており、そのバランスが崩れてきたことが、地球環境問題の核心である。 生物の系統発生図を念頭におき、人間が生きるために必須の大気、水、食料などに関わる諸問題を考えることが大切である。 光合成 吸収 消化 真核生物、多細胞 プロティスタ 真核生物、単細胞 モネラ 原核生物、単細胞 生物の系統発生図
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エネルギー(生態)ピラミッド エネルギー(生態)ピラミッド 菌界 動物界 植物界 太陽
微生物の菌類・細菌類などが中心。生産者や消費者の遺体や排出物の有機物を無機物に分解し、もとの環境に返す。 一次消費者を食べる生物 肉食動物 二次消費者 菌界 動物界 生産者を直接食べる生物 草食動物 分解者 一次消費者 自分で栄養素を作る 光合成植物 植物界 生産者 大地・大気・水 エネルギー(生態)ピラミッド エネルギー(生態)ピラミッド
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人類の進化 約5000年前、世界各地に文明が発生する。 年代 (万年前) 分類 概要 発見年/発見場所 類人猿 猿人 原人 旧人 新人
2000 500 130 100 50 40~25 15~4 4 プロコンスル プロコンスル 類猿人からの分化 ホモ・エレクトス ジャワ原人 北京原人 ホモ・サピエンス ネアンデルタール人 クロマニヨン人 1948年/ビクトリア湖ルシンガ島 ミトコンドリアDNAの分析 大脳の発達(850ml) 「言語の発達・火の使用」 1888年/ジャワ島/石器と火の使用 1929年/中国・周口店/石器と火の使用 古代ホモ・サピエンス 1856年/ドイツ・ネアンデル谷/中期旧石器時代 1868年/フランス/後期旧石器時代 猿人 原人 大脳の発達(850ml) 「言語の発達・火の使用」 石器 旧人 新人 プロコンスル: チンパンジーと人類の共通の祖先 110万年前アフリカを出発した原人は、地球各地に広く生活の場を求めて広がっていった。 ユーフラテス川沿岸で1万2000年前の定住村落遺跡の発掘から、150種を超える植物の種子が発見された。9500年前ころ農耕は西アジア各地に広がった。 約5000年前、世界各地に文明が発生する。
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農業以前の古代人は、どのように食料を得ていたか?
現在の食料採集民58民族の調査結果 小学館 「体系 日本の歴史①」より 現在の採集民とは違うだろうが・・・ 古代人が食料を得るためのリスク 1. 採集時に人間を餌とする猛獣と遭遇 2. 有毒生物を見分ける 3. 獲物から有害物質を取除く(調理) 試行錯誤の中で、多くの犠牲者が出たことだろうが、それを一つずつ解決し、そのことを伝承することで、安全性を高めていった! 古代人がいなければ、 現在のあなたもいない! あなたは、古代人の知恵を持っているか?
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縄文時代 (約16,500年前 ~約3,000年前 )の食生活 採取 狩り 魚とり クリ、ドングリ(ブナ科の実の総称、日本では約20種類)、
クルミ、トチなどの堅果類(けんかるい=堅い皮をもつ果実の仲間) 根菜(こんさい=根っこの部分を食べる野菜)類 ヤマモモなどの果実やエゴマやシソなどの種子 シカやイノシシなどの大型のほ乳類 タヌキやウサギなどの小型ほ乳類 鳥類、イルカなどの海性ほ乳類 狩り クリやクルミはそのまま食べられるが、ドングリやトチは渋くて食べられない。灰汁抜(あくぬ)きという技法が考え出された。 浅いくぼみのある大きめの石皿と丸い磨石でドングリを磨り潰し、固まり易くするためにイノシシの肉や血、野鳥の卵などをいれて固めて焼いた=縄文クッキー 魚とり 鹿児島県上野原縄文の森 縄文時代後期の山ノ中遺跡(鹿児島市西別府町)から出土した土器・ 石皿・石斧等
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灰汁抜(あくぬ)き: 安全に食べる人間の知恵
灰汁抜(あくぬ)き: 安全に食べる人間の知恵 山菜の代表であるワラビは、日本の食生活になじみの深い植物である。若芽だけでなく根茎からデンプンを採り、ワラビ粉としても利用されてきた。 ところが、牧草が不足している場合に牛がワラビを食べると中毒し、死亡することが知られている。1960年代に全国の新しく造成された牧野で牛の急性ワラビ中毒の発生し、その数は1969年頃には年間600頭に達した。 「安全な食料」と「危険な食料」があるのではなく、「安全に食べる」知恵があるかないかが問題。 膀胱肉眼所見 (秋田県中央家畜保健衛生所提供) 1983年にワラビから発がん物質プタキロシドが分離され,この物質がラットの腸や膀胱に腫瘍を作り、子牛に投与すると急性ワラビ中毒を起こすことが確認された。その他に、モルモットに出血性膀胱炎を起こすブラキシンC 、馬などの単胃動物にチアミン(ビタミンB1)欠乏を起こすチアミナーゼというビタミン分解酵素も含まれている。
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食品によるノロウイルス感染が増加しているが、ここでは省いた。
日本における食中毒の原因物質 患者数 死者数 細菌 化学物質 自然毒 細菌 化学物質 自然毒 計 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 平均 41,025 10,926 11,471 27,741 32,417 15,753 17,533 16,551 13,078 16,678 9,666 12,964 18,817 47 216 134 167 112 154 218 299 111 172 93 162 228 305 524 377 448 327 372 308 433 285 511 355 373 11 2 1 4 3 4 6 5 3 1 7 15 8 6 7 4 18 5 3.2 4.6 7.8 食品によるノロウイルス感染が増加しているが、ここでは省いた。
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原因物質別にみた食中毒による死者数の推移
20 :総数 18 :細菌 16 :自然毒 14 化学物質による死亡者はいない 年間死亡数 12 10 8 6 4 2 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 原因物質別にみた食中毒による死者数の推移
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飲食店等でフグ料理を提供するには、通常の調理士免許だけでなく、フグ調理の免許を必要とする。
25 20 累積死亡者数 15 10 5 卵 フグ 貝類 不明 キノコ その他 野菜及び その加工品 複合調理食品 原因食品別にみた食中毒死亡者数 (1996~2002)
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自然毒事故は、市販のものではなく、自分で採ってきたものを家庭で調理して起きている!
40 30 累積死亡者数 20 10 家庭 病院 学校 旅館 飲食店 事業所 その他 老人ホーム 食事場所別にみた食中毒死亡者数 (1996~2002)
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あら何ともなや 昨日は過ぎて 河豚汁(フクトシル)
てっぽう その毒に「当たる」ことがあることから、昔からさまざまな言い伝えがある。このため関西では「滅多に当たらないが、当たれば命が危ない(昔の鉄砲は命中率が悪かった)」という意味で「てっぽう」という。「てっさ」、「てっちり」という料理名はここから来ている。 がんば 長崎県島原地方でフグを指す方言「がんば」は、「がんば置いてでん食わんば(棺桶を置いてでも食べなくちゃ)」の略とされている。 町人出の俳人一茶 フグ食わぬ 奴には見せな 不二の山 出自が侍の芭蕉 あら何ともなや 昨日は過ぎて 河豚汁(フクトシル) てっさ (フグ刺し)
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フグ科のほとんどの種類は、内臓や血液にフグ毒(テトロドトキシン)をもつが・・・
クサフグ トラフグ コモンフグ フグ科のほとんどの種類は、内臓や血液にフグ毒(テトロドトキシン)をもつが・・・ 「トラフグ」は最高級品 マフグ シマフグ ホシフグ アカメフグ
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日本の沿岸域、日本海、渤海、黄海及び東シナ海で漁獲されたもの(東京都ふぐの取扱い規制条例施行規則 )
科 名 種 類(種 名) 筋肉(骨を含む) 皮(ヒレを含む) 精 巣 クサフグ コモンフグ ヒガンフグ ショウサイフグ マフグ メフグ アカメフグ トラフグ カラス シマフグ ゴマフグ カナフグ シロサバフグ クロサバフグ ヨリトフグ サンサイフグ ナシフグ イシガキフグ ハリセンボン ヒトヅラハリセンボン ネズミフグ ハコフグ ○ - ○ - ○ ○: 可食 ー: 不可食 日本の沿岸域、日本海、渤海、黄海及び東シナ海で漁獲されたもの(東京都ふぐの取扱い規制条例施行規則 ) 日本の沿岸域等で漁獲されたもの。ただし、岩手県越喜来湾及び釜石湾並びに宮城県雄勝湾で漁獲されたものを除く 有明海及び橘湾で漁獲され、長崎県が定める要領に基づき処理されたもの フグ科 ハリセンボン科 ハコフグ科
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時期による変化(有毒個体数の割合 %) フグの種類、生息地、季節によって 毒の強さが異なり、個体差も大きい。 無卵期(7-11月)
時期による変化(有毒個体数の割合 %) 無卵期(7-11月) 抱卵期(12-4月) 産卵期(5-6月) トラフグ 卵巣 精巣 肝臓 6 9 80 44 45 38 ショウサイフグ 卵巣 精巣 肝臓 50 18 89 54 100 62 フグの種類、生息地、季節によって 毒の強さが異なり、個体差も大きい。
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テトロドトキシンを持つ仲間達 ヒョウモンダコ ツムギハゼ 誰が? 何のために? 毒を作るか? ハナムシロガイ フグは何故死なないか?
このように多種の魚介類が同一の毒を持っているということは、テトロドトキシンを産生する生物が別におり、それを食べることで毒化したと考えられた。 ツムギハゼ 誰が? 何のために? 毒を作るか? フグは何故死なないか? ハナムシロガイ ヒョウモンダコ 大阪湾にも生息している体長10cmほどの小型のタコで、興奮すると美しく光る青い斑紋が現われる。手を伸ばして咬まれると、神経毒のテトロドトキシンを持っており、重症の場合には死亡することもある。 スベスベマンジュウガニ
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Vibrio alginolyticus, V.damsela, Staphylococcus
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巻き貝(キンシバイ)による食中毒について
平成20年7月16日 厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長 巻き貝(キンシバイ)による食中毒について 天草市内で、巻き貝(キンシバイ)による動物性自然毒(テトロドトキシン)に起因すると思われる食中毒が発生しました。 一般の方々が市場等で手に入れることは、まずないと思われますし、巻き貝の毒化は極めてまれな例ではありますが、十分に注意してください。なお、あさり等の二枚貝については、定期的に毒性の検査を行っており、貝毒は検出されておりません。 テトロドトキシンはフグ毒として知られているが、実は、細菌が産生する毒素であり、食物連鎖を通してアカハライモリ、ツムギハゼ、ヒョウモンダコ、スベスベマンジュウガニ、トゲモミジガイ等の毒化が知られていた。今回判明した貝類は? 新たに判明した巻貝類の毒化は、地球温暖化による生態系の変化を反映するものかも知れない。細菌の増殖は温度、酸素、栄養素によって左右されるが、海水温の上昇によって細菌の生息範囲が変化したことによるのかも知れない。
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食文化 テトロドトキシンが最も多く含まれる卵巣は、法律で食用とすることが禁じられている。その例外として・・・
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河豚の卵巣の糠漬け (石川県の郷土料理) 河豚(フグ)の卵巣には、肝などと同様に致死性の高い毒素テトロドトキシンを多く含んでおり、当然そのままでは食用には向かない。しかし、石川県白山市の旧美川町地域、金沢市の金石、大野地区では、その卵巣を1年間塩漬けし、更に2年以上のあいだ糠漬けにするという大変に時間をかけた製法により、毒素を消失させ珍味として販売されている。 糠に含まれるある種の酵素が醗酵する際に毒素を分解するのではないかという説があるが、正確な理由はまだ明らかにされていない。味は濃厚で、御飯の友や酒の肴として重宝されている。 食品衛生法により食用を禁止され、廃棄しなければならない部位を、このような加工法で食品として製造しているのは、日本全国でこの美川、金石、大野地方のみである。なお、河豚の卵巣の糠漬けの製造は、ふぐ加工に関する資格免許を持つ業者にのみ許されており、出来上がった糠漬けは、石川県予防医学協会による毒性検査を受け、毒素が消失したことを確認した後に出荷される。
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自然毒の脅威との戦いが人類史の一側面 文化(Culture;耕す) ボツリヌス毒 破傷風毒 ジフテリア毒 パリトキシン テトロドトキシン
50%致死量 μg/kg mouse 産生・保有 ボツリヌス毒 破傷風毒 ジフテリア毒 パリトキシン テトロドトキシン サキシトキシン 0.0001 0.3 0.6 8.7 10 細菌 イソギンチャク類 フグ、ヒョウモンダコ 二枚貝 文化(Culture;耕す) 人間が改良を加えてきた物心両面の成果、とくに西洋では精神的生活に関わるものを「文化」とし、「文明」と区別する。危害を取り除いて<安全に食べる>ことが文化であり、「ナチュラル=非文化」は危険です。 青酸カリ 10,000 ギンナン中毒: 国内で過去約80人の患者が学会報告され、うち約30人が死亡 ボツリヌス毒の1億倍食べないと死なない 青酸配糖体:アミグダリン(ウメ、アンズ、モモ)、ドーリン(イネ科) ファゼオルナチン(アオイマメ)、リナマリン(キャサバ) 青酸配糖体を含む生薬: キョウニン(杏仁)、トウニン、ショウキョウ
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テトロドトキシンも、癌患者などの鎮痛剤として用いられている。
閾値がない 化学物質 栄養素 ▲ 閾値がある 化学物質 健康への悪影響 ● ● NOAEL 無有害作用濃度 LOAEL 最小有害作用濃度 用量(摂取量) 化学物質の用量・反応関係 全てのものは毒である。毒でないものはない。適正な用量が毒と薬を分ける。パラケルサス PARACELSUS( ) テトロドトキシンも、癌患者などの鎮痛剤として用いられている。 WHO: Hazardous chemicals in human and environmental health - A resource book for school, college and university students. 2000
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閾値がある化学物質の安全基準 無有害作用濃度 一日摂取許容量(ADI )= 100 健康への悪影響 ADI ● 一日摂取許容量 NOAEL
LOAEL 最小有害作用濃度 安全係数 (10倍) 不確実係数 (10倍) 用量(摂取量) 閾値がある化学物質の安全基準
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一日摂取許容量(ADI ) 許容残留量(MRL)
食品E 食品B 食品C 食品F 動物の生涯に亘る投与試験から求められた一日摂取許容量(ADI)は、ヒトが生涯に亘って摂取しても健康に影響しない量である。 当該の有害物質が含まれる全ての食品について、摂取量を加味しながら、それぞれの食品について許容残留量(MRL)が設定される。
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実際の残留量 一過性の超過は健康に影響せず
食品A 食品D 食品A 食品D 食品B 食品E 食品E 食品B 食品C 食品C 食品F 食品F それぞれの食品の実際の残留分析値はMRLを大幅に下回っている。 仮に、特定食品Bの残留値がMRLを超えても、総体としてはADIの範囲内にある。しかも、一過性のことであり、一生涯を通しての摂取を想定したADIであるから、短期間の暴露は健康に全く影響しない。 分かりやすい安全性の考え方 (リンク) 一日摂取許容量と許容残留量 (リンク)
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食品による健康障害の発生は、食中毒だけではない。飽食による健康障害の発生頻度(10万人当り死亡率)は、食中毒をはるかに上回っており、「安全に食べる」ことの重要性が指摘されている。
食品の安全性について過度の不安を持つことは的を得ていない。楽しく食事をし、適度の運動をすることがメタボを防ぐポイントである。
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日本における食中毒の発生状況の推移 患者数 事故数 死者数
堺市学校給食事故以降、食中毒の届出は、それまでの複数名から一人のみの発生に変更された。これによって、事故数は見かけ上増加した。 患者数 50,000 40,500 事故数 40,000 3,500 30,500 3,000 30,000 死者数 2,500 20,500 21名 5 10 15 20 25 18名 2,000 20,000 15名 1,500 1,000 500 1981 1984 1996 2002 2007 日本における食中毒の発生状況の推移
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食中毒患者数および死者数の年齢別割合 死者数 人口 患者数 20 40 60 80 100% 15歳 50歳 70歳 :0~4 :5~9
20 40 60 80 100% 食中毒患者数および死者数の年齢別割合 :0~4 :5~9 :10~14 :15~19 :20~29 :30~39 :40~49 :50~59 :60~69 :70~
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年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数 累積死亡者数 年齢 (1996~2002) 4 2 0~4 5~9 10~14 15~19 20~29
累積死亡者数 0~4 5~9 10~14 15~19 20~29 ハイリスク者への特別対策 12 :動物性自然毒 :植物性自然毒 :大腸菌 :サルモネラ :ぶどう球菌 :腸炎ビブリオ 10 衛生教育 8 6 4 2 30~39 40~49 50~59 60~69 70~ 年齢 年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数 (1996~2002)
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日本における人口構成の変化 昭 和 25 年(1950) 平 成 12 年(2000) :女性 :男性 85~ 80~84 75~79
年齢 昭 和 25 年(1950) 総人口: 84,114,574 平 成 12 年(2000) 総人口: 126,925,843 :女性 :男性 85~ 80~84 75~79 70~74 65~69 60~64 55~59 50~54 45~49 40~44 35~39 30~34 25~29 20~24 15~19 10~14 5~9 0~4 600 400 200 200 400 600 万人 日本における人口構成の変化
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● 国際的食料事情 新世紀の発展目標に関する報告 2005 目標 1: 極度の貧困と飢餓の克服 目標 2: 一般的な初等教育の達成
● 国際的食料事情 新世紀の発展目標に関する報告 2005 国際連合 目標 1: 極度の貧困と飢餓の克服 目標 2: 一般的な初等教育の達成 目標 3: 男女平等の推進と女性への公的権限の付与 目標 4 : 小児死亡率の低減 目標 5 : 母体の健康増進 目標 6 : HIV/AIDS, マラリアおよびその他の疾病の克服 目標 7 : 環境の持続性を確保 目標 8: 発展のための地球的規模での提携の推進
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The Millennium Development Goals Report 2005 United Nations
新世紀の発展目標に関する報告 2005 国際連合 サハラ以南のアフリカ サハラ以南のアフリカ 南アジア 東南アジア 東アジア ラテンアメリカとカリブ海沿岸 西アジア 北アフリカ 発展途上地域 体重が足りない5歳以下の子供の割合(%) 目標 1. 極度の貧困と飢餓の 克服 世界の貧困率は低下しており、それはアジアがもたらした。しかし、サハラ以南のアフリカだけで100万人以上が貧困に喘いでおり、しかも貧困が更なる貧困を生んでいる。 飢餓対策は進展してきたが、農業生産高の成長が遅く、ある地域では増大する人口が後戻りさせている。1990年以降、サハラ以南のアフリカと南アジアにおいて数100万人が恒常的な飢餓状態にあり、それらの地域では5歳以下の子供達の半数が栄養失調に陥っている。 Goal 1. Eradicate extreme poverty & hunger Global poverty rates are falling, led by Asia. But millions more people have sunk deep into poverty in sub-Saharan Africa, where the poor are getting poorer. Progress has been made against hunger, but slow growth of agricultural output and expanding populations have led to setbacks in some regions. Since 1990, millions more people are chronically hungry in sub-Saharan Africa and in Southern Asia, where half the children under age 5 are malnourished. 南アジア 東南アジア 東アジア ラテンアメリカとカリブ海沿岸 西アジア 2015年の目標 北アフリカ 不十分な食事で生活している人口の割合(%) 発展途上地域
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Dietary Energy Consumption (2000 - 2002)
1日当りカロリー摂取量 ( ) Dietary Energy Consumption ( ) 92.8 127.0 169.0 196.6 2001-3 206.2 サハラ以南のアフリカにおける栄養不足人口(100万人)
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カロリー供給量の食品別割合の比較 (2002年) 穀類 砂糖類 芋・豆・野菜 肉類 卵類 乳製品 魚介類 その他 インド 中国 エジプト
日本 イギリス ドイツ フランス 米国 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 1人1日当たりKcal カロリー供給量の食品別割合の比較 (2002年) (総務省統計局)
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世界人口の推移と予測 牛肉 豚肉 鶏肉 鶏卵 大豆油 菜種油
食品1kgを生産するために必要な穀物量 (農水省試算) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 1950 1960 1970 1980 1990 2000 世界 先進国 発展途上国 世界人口の推移と予測 (総務省統計局) 億人 牛肉 豚肉 鶏肉 鶏卵 大豆油 菜種油 11 kg 7 kg 4 kg 3 kg 5 kg 2 kg 2010 2020 2030 2040 2050 食肉については、可食部の生産に必要なとうもろこし量。 油については、各原料の量。 食事内容が改善され、動物性蛋白や油脂の摂取量が増えると、そのまま食べる穀物量は相対的に少なくなる。かつては穀物輸出国であった中国が輸入国に転じた理由は、経済的発展による食事内容の改善であった(日本も同様)。 飼料摂取量 飼料要求率= 増体量 鶏肉の飼料要求率=約2
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地球環境問題 人類のエネルギー消費量の推移 世界の石油換算エネルギー消費量 折れ線グラフ(100万バーレル/日) 100 50 75 25
80 50 60 20 人口 (億人) 一人当たり消費量 棒グラフ(1000キロカロリー/日) 技術人 250 地球環境問題 200 輸送 150 産業人 高度農業人 初期農業人 農業・工業 100 原始人 狩猟人 50 家庭・商業 食料 紀元 100万 10万 5000 1000 1000 1600 1700 1800 1900 2000 人類のエネルギー消費量の推移
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(World Health Organization、WHO)
世界保健機関憲章 (World Health Organization、WHO) この憲章の当事国は、国際連合憲章に従い、次の諸原則がすべての人民の幸福と円満な関係と安全の基礎であることを宣言する。 健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。 到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的もしくは社会条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである。 すべての人民の健康は、平和と安全を達成する基礎であり、個人と国家の完全な協力に依存する。 ある国が健康の増進と保護を達成することは、すべての国に対して価値を有する。 健康の増進と疾病特に伝染病の抑制が諸国間において不均等に達成することは、共通の危険である。 児童の健全な発育は、基本的重要性を有し、変化する全般的環境の中で調和して生活する能力は、このような発育に欠くことができないものである。
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世界観 宗教 科学 生命観 科学と宗教は 車の両輪 生 き る 仏教 キリスト教 自然科学 イスラム教 社会科学 人文科学
仏陀釈迦牟尼の教え キリスト教 イエスの教え 自然科学 生物学、医学、農学、工学、・・・ 宗教 科学 イスラム教 マホメットの教え 社会科学 法学、経済学、・・・ 人文科学 歴史、心理学、文学、・・・ 現実によって動く心の世界の解明と導き 2000年変わらぬ世界 生命観 現実にある事象の解析と解決方法の提示 日進月歩の世界
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新興感染症: 生物の進化は現在も進行中 時間がもっとあれば、これについても話したいのですが・・・・
新興感染症: 生物の進化は現在も進行中 時間がもっとあれば、これについても話したいのですが・・・・ とりあえず、スライドだけ用意しておきます。
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リスクは? 現在、ヒトインフルエンザで、何人死亡しているか、知っていますか?
現在、ヒトインフルエンザで、何人死亡しているか、知っていますか? リスクは、総体的に評価するものであって、個々の健康危害要因を「危険か 安全か」という二者択一の物差しで計るものではない。 現段階で、鳥インフルエンザがヒトの健康に及ぼす影響は、ヒトインフルエンザに比べて微々たるものである。 ニワトリが大量死することで、食料が減ることの影響が大きい。
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WHOによるH5N1感染確定症例数 (2007年10月2日)
2003 2004 2005 2006 2007 合計 アゼルバイジャン 8 5 カンボジア 4 2 1 7 中 国 13 3 25 16 ジブチ エジプト 18 10 20 38 15 インドネシア 55 45 32 28 107 86 イラク ラオス人民主共和国 ナイジェリア タ イ 17 12 トルコ ベトナム 29 61 19 100 46 合 計 98 43 115 79 66 329 201 確定症例数、死亡例数、致命率=61% (201/329) WHO HPより
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インドネシアは、当初の流行国 ベトナムを上回る
インドネシアは、当初の流行国 ベトナムを上回る 100 患者数(人)・致命率(%) 80 60 40 20 中 国 タ イ 中 国 タ イ エジプト ベトナム エジプト ベトナム インドネシア インドネシア 患者数 致命率 :2003 :2004 :2005 :2006 :2007 :計
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船が主な交通機関であった時代に、僅か7ヶ月で世界中に広がった。
1890 1900 1910 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 世界での発病者5億人、死亡者2000万人以上 日本での発病者2400万人、死亡者40万人 H2N8 H3N8 1918:スペイン風邪 H1N1 1930:豚からウイルス分離 両ウイルスともH1N1: 豚から感染した 1933:ヒトからウイルス分離 1957:アジア風邪 H2N2 船が主な交通機関であった時代に、僅か7ヶ月で世界中に広がった。 大型ジェット機時代なら・・・ 1968:香港風邪 H3N2 1977:ソ連風邪 H1N1 1997:香港で鳥インフルエンザH5N1がヒトに感染 H9N2(香港2名1999)、H7N2(米国1名2002)、H7N7(オランダ89名2003)、H7N2(米国1名2003)、 H9N2(香港1名2003)、H7N3(カナダ2名2004)、 H10N7(エジプト3名2004)
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インフルエンザ時計 (”Current WHO phase of pandemic alert”を改編)
世界流行 新型ウイルスが人に感染するようになった 動物の新型ウイルスはみられるが、 人の感染例はない 世 6 5 界 5:かなりの 「人―人感染」が発生している証拠がある 流 行 4 世 1 人への感染リスクは低い へ 界 の 警 4:「人―人感染」が増加している証拠がある 流 人への感染リスクが高い 3 戒 体 2 行 制 3:「人―人感染」がないかまたは極めてまれ 間 期 期 1回り20年? インフルエンザ時計 (”Current WHO phase of pandemic alert”を改編)
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1.豚が同時感染して 新型誕生 2.人間が同時感染して 新型誕生 :鳥インフルエンザ・ウイルス :豚と人間に共通の インフルエンザ・ウイルス
インフルエンザ・ウイルス :新型の汎流行ウイルス 呼吸器感染 経口感染 呼吸器感染 1.豚が同時感染して 新型誕生 2.人間が同時感染して 新型誕生 呼吸器感染 呼吸器感染
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第3段階における戦略 1.鶏におけるH5N1流行の制圧 2.既存のインフルエンザ・ワクチンの接種拡大 鶏の発生とヒトの感染
発展途上国への資材と技術の支援 2.既存のインフルエンザ・ワクチンの接種拡大 ヒト体内での新型ウイルス誕生防止 3.汎流行株ワクチンの開発 先進国の責任 4.ワクチン生産体制の確立 発展途上国における工場建設 =先進国の支援 5.隔離病院の建設 鶏の発生とヒトの感染 先進国の支援
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第4段階における戦略 1.ヒトーヒト感染ウイルスの封じ込め 2.汎流行株ワクチンの改良 発生地域周辺への汎流行株ワクチン接種
新たなH5N1ウイルスを基に汎流行株の予測を修正 汎流行株ワクチン 接種地帯 第4段階のH5N1は、まだ世界流行するほどの感染力を持っていない。さらに変異して汎流行株へと進化するのを止めることが最大の目標。 ヒトーヒト感染 発生地
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包囲網が破られた場合 こうした事態が起きないように、先進国の万全の支援が待たれている! ● 発生地域周辺への汎流行株ワクチンが不足
● 発生地域周辺への汎流行株ワクチンが不足 ● 汎流行株ワクチンの効力が低かった ● 治安の悪化により、潜伏期患者が接種地帯の外に出た ● 支援者が感染して接種地帯の外に持ち出した 汎流行株ワクチン 接種地帯 こうした事態が起きないように、先進国の万全の支援が待たれている! ヒトーヒト感染 発生地
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第5段階における戦略 1.ヒトーヒト感染ウイルスの封じ込め 2.汎流行株ワクチンの改良 3.非汚染国における 侵入防止策の強化
侵入防止策の強化 この段階では、まだ、非汚染国で汎流行ワクチンを接種する必要はない。支援に出向くヒトのみ。
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第6段階(世界流行)における戦略 全てのヒトに汎流行株ワクチンを接種
こうした事態が起きないように、今、総力を挙げて発展途上国を支援する必要がある!
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