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Published byきゅうた そや Modified 約 7 年前
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利用規約 役に立つ薬の情報~専門薬学 : http://kusuri-jouhou.com/
提供している資料は「同じ会社内、施設内での研修」や「高校生・大学生のプレゼンテーション参考資料」、「市民向けの教材をボランティアで作成するため」などを想定しています。つまり、当サイトの資料の利用は「教育に対して、無償で貢献するために使用すること」が大前提です。 そのため、社外や施設外の研修にこのサイトの資料を利用することは基本的にできません。例えば、製薬企業や医薬品卸が医療機関へ行う得意先研修としての利用は禁止します。 得意先から金銭を受け取っていなくても、間接的な営業支援となり、売上に貢献します。当サイト内の資料を使用することによる利益獲得は禁止です。営利目的で使用する場合、有償にて承っています。 なお、このサイトで提供するパワーポイントはノート部分に原稿を載せてあります。参考にして頂ければと思います。 利用規約 役に立つ薬の情報~専門薬学 : 役に立つ薬の情報~専門薬学
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ヒューマンエラー ヒューマンエラーに関する研修 役に立つ薬の情報~専門薬学
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ヒューマンエラーとは ヒューマンエラーの定義 望まない結果を生じた、人間の行為 システムの許容範囲を超えた、人間の行為
望まない結果を生じる要因 人間による判断ミスや決定ミス システムの許容範囲を超えるとは 例) 自動車で信号を直進したい ヒューマンエラーの定義について紹介します。ヒューマンエラーとは、「望まない結果を生じた人間の行為」や「システムの許容範囲を超えた人間の行為」などを指します。 最初に挙げた「望まない結果を生じる要因」としては、人間による判断ミスや決定ミスがあります。「システムの許容範囲を超える」に関しては理解が難しいので、例を挙げたいと思います。 例えば、自動車で信号を直進する場面を想像して下さい。この時、赤信号を無視した場合であれば違反となります。それに対し、青信号を直進する場合であれば、違反ではありません。 このように、周りの環境によってエラーを犯しているかどうかが左右されます。これが、「システムの許容範囲を超える」ことによるエラーの一例です。 赤信号を無視すると、違反となる(エラーを犯している) 青信号では、違反でない(エラーを犯していない) 周りの環境によって左右される 役に立つ薬の情報~専門薬学
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ヒューマンエラーと環境 人間は間違いを起こしやすい ヒューマンエラーの多くは人為的ミス ただし、エラーの要因を取り除くことはより重要
人を責めるのではなく、改善すべきはプロセスである ヒューマンエラーの発生は、 条件や環境に大きく依存 労働環境 : 夜勤など ヒューマンエラーと環境についてです。 ヒューマンエラーの多くは人為的ミスによるものです。ただし、これらエラーの要因を取り除くことはより重要となっています。 エラーを犯した人を責めるのではありません。改善すべきは、エラーを犯すまでのプロセスです。 ヒューマンエラーの発生は、条件や環境に大きく依存しています。例えば、「夜勤などの労働環境」や「技術・知識を必要とする高い専門性」などが関係しています。 これらを踏まえ、「人間は間違いを起こしやすい」という事を認識していただければと思います。 高い専門性 : 技術・知識 人間は間違いを起こしやすい 役に立つ薬の情報~専門薬学
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医療現場とヒューマンエラー 医療現場はヒューマンエラーが起こりやすい 認知力の低下 個別対応 夜勤などの労働環境 患者さんごとの対応
慣れによる錯誤 常に変化する現場 計画 知覚・判断 実行 医療現場とヒューマンエラーについて、もう少し確認していこうと思います。 医療行為に限らず、一連の行動は「計画 → 知覚・判断 → 実行」というプロセスをたどります。 計画の段階では、多用な情報を処理しなければいけません。例えば、医療と一言で言っても、類似した薬や方法が多数存在します。これら多くの情報が混在するほど、情報の伝達不足へと繋がります。 また、物事を知覚するとき、認知力が低下している場合もあります。夜勤などの労働環境や慣れによる錯誤がこれに当たります。 判断する場面では、高い専門性が要求されます。医療器具は多岐にわたり、これらを使用する技術・知識の不足が懸念されます。 計画を実行に移す時、個別対応が基本となります。そのため、患者さんごとの対応を行う必要があります。それに加えて、現場は常に変化しているため、その時々によって対応も変化させなければいけません。 このように、医療現場はヒューマンエラーが起こりやすいです。 多用な情報 高い専門性 類似した薬・方法 技術・知識の不足 情報の伝達不足 種類の多い医療器具 役に立つ薬の情報~専門薬学
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日本医療機能評価機構 「医療事故情報収集等事業」
経験年数別のヒヤリハット件数 2 4 8 6 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 (ヒヤリハット件数) (経験年数) 1 3 5 9 7 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 5,000 スライドには一年間での経験年数別のヒヤリハット件数を示しています。 ヒヤリハット件数に着目すると、経験年数ゼロで最もヒヤリハット件数が多く、経験年数が上がるにつれてヒヤリハット件数も少なくなっていることが分かります。 ベテランになるほどヒヤリハット件数が少なくなる傾向にありますが、ベテランであっても200~500 件程度のヒヤリハットが毎年発生していることに注意が必要です。 役に立つ薬の情報~専門薬学 日本医療機能評価機構 「医療事故情報収集等事業」
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日本医療機能評価機構 「医療事故情報収集等事業」
エラーの発生要因 当事者の行動 ヒューマンファクター 確認を怠った 48.9 % 観察を怠った 17.6 % 報告の遅れ 2.0 % 連携不足 11.8 % 記録の不備 2.2 % 患者への説明不足 8.7 % 判断の誤り 知識不足 15.2 % 技術不足 10.9 % 勤務状況が繁忙 38.1 % いつもと異なる 心理条件下 (緊張、気を取られていたなど) 14.2 % いつもと異なる肉体的条件下 (過労、睡眠不足など) 2.5 % その他 19.2 % エラーの発生要因について紹介します。 当事者の行動として最も多いものに、「確認を怠った」があります。医療行為を行う前にしっかり確認することが必要となります。 また、二番目に多い要因としては「観察を怠った」があります。医療行為前の確認だけでなく、行為後の経過観察も重要であることが分かります。 三番目に連携不足があります。連携不足としては「医師と看護師」の連携も考えられますが、「看護師同士の連携不足」が最も多いと言われています。 また、これらエラーを起こすヒューマンファクターとしては、主に「知識・技術の不足」と「勤務状況・心理条件」の二つに分けられます。 特に、「勤務状況」や「緊張・気をとられていたなどの心理条件」を合わせると半数以上となります。そのため、エラーを減らすには心理的に余裕を持たせることが最も重要であることが分かります。 なお、 「知識・技術の不足」はヒューマンファクターの1/4 を占めます。経験年数が浅いほどヒヤリハット件数が多いことを示しましたが、知識・技術が不足している段階ではベテランによるフォローが必要です。 役に立つ薬の情報~専門薬学 日本医療機能評価機構 「医療事故情報収集等事業」
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日本医療機能評価機構 「医療事故情報収集等事業」
エラーの概要 エラーの内訳 影響度 軽微な治療 または処置不要 93.2 % 濃厚な治療 4.0 % 死亡・重篤な状況 2.8 % 薬剤 44.0 % ドレーン チューブ 13.8 % 治療・処置 4.3 % 検査 7.5 % 医療機器等 3.2 % 療養上の世話 18.9 % その他 8.3 % エラーの内訳を確認しますと、その多くが薬剤によるものであることが分かります。そのため、気をつけるべき点として、「誤薬」が挙げられます。 また、「療養上の世話」や「ドレーンチューブ」など、実際に患者さんと接する場面でエラーが起こりやすいことも分かります。 これらエラーの影響度を見てみますと、ほとんどが「軽微な治療、または処置不要」であることが分かります。 しかしながら、「濃厚な治療」や「死亡・重篤な状況」に陥る可能性があることも忘れてはいけません。 役に立つ薬の情報~専門薬学 日本医療機能評価機構 「医療事故情報収集等事業」
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1 29 300 ハインリッヒの法則 重大な事故が起こるまでの構図 重大な事故 (死亡事故など) 軽微・中等度の事故 ヒヤリハット
重大な事故が起こるまでの構図として有名なものに「ハインリッヒの法則」があります。 これは、死亡事故などの重大な事故が1 回起こったとき、それまでに軽微・中等度の事故が29 件、ヒヤリハットが300 件起こっているという法則です。 ヒヤリハット自体は大きな事故に繋がらなかったエラーです。しかし、このヒヤリハットが積み重なっていくと三角形の頂点、つまり重大な事故へと繋がります。 ヒヤリハットなどのエラーを含め、ヒューマンエラー自体を減らすことが死亡事故など、重大な事故の防止となります。 ヒヤリハット 300 役に立つ薬の情報~専門薬学
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人間の特性が悪い方面で表れないシステムが重要
ヒヤリハットを減らすために 人間はミスを犯す特性がある これらの特性を変えることは困難 ミスをしない人間はいない 人間の特性 不注意(うっかり・ぼんやり) 錯誤 (思い込み) ヒヤリハットを減らすために、人間の特性について考えていこうと思います。 そもそも、人間はミスを犯す特性があります。これらの特性を変えることは困難であり、ミスをしない人間はいません。 人間の特性としては、うっかり・ぼんやりなどの不注意、思い込みとしての錯誤、慣れや横着による省略行為、先を急ぐ・パニックでの焦りなどがあります。 これら、人間の特性が悪い方面で表れないシステムが重要となります。 省略行為(慣れ、横着 ) 焦り(先を急ぐ、パニック) 人間の特性が悪い方面で表れないシステムが重要 役に立つ薬の情報~専門薬学
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「作業数」と「エラーする確率」が減れば、エラー数が減少
エラーの背景 初心者のエラー 初心者はベテランよりもストレスの影響が大きい ストレスの大きい場面では、上司のもとで作業を行う ベテランのエラー 慣れが生じさせる不注意 無意識のうちにエラーを犯す エラーの背景について紹介します。 初心者のエラーについてですが、初心者はベテランよりもストレスの影響が大きいと言われています。そのため、ストレスの大きい場面では、上司のもとで作業を行う必要があります。 それに対し、ベテランのエラーの多くは慣れが生じさせる不注意によるものです。無意識のうちにエラーを犯すので、どの時点でミスをしたか分かりにくいのが特徴です。 これらエラーの発生件数は「作業数」と「エラーする確率」が大きく関係しています。つまり、「作業数」か「エラーする確率」を減らすことができれば、エラー数を減少させることができます。 次のスライドから、具体的な対策についていくつか例を挙げていきます。 エラー発生件数 = 作業数 × エラーする確率 「作業数」と「エラーする確率」が減れば、エラー数が減少 役に立つ薬の情報~専門薬学
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① 作業数を減らす・なくす 例) 溶解液が付いてある医薬品 薬剤の溶解作業が増える 溶解したか分からなくなる (溶解液だけを投与の恐れ)
溶解作業がなくなる 先ほど紹介しました通り、エラーを少なくさせるためには作業数を減らすことが大切になります。 医療を行う上で薬は必要不可欠ですが、作業を減らすことができる薬の例として、溶解液が付いてある医薬品があります。 医薬品に溶解液が付いてある例としては注射薬や点眼薬があります。最初から薬剤が溶けていれば良いのですが、溶解液が付いてある医薬品では薬の溶解作業が増えてしまいます。さらに、溶解液に薬剤をきちんと溶かしたかどうかが分からなくなる事があります。つまり、溶解液だけを投与する恐れが出てきます。 そこで、初めから薬剤が溶けて水溶液となっている薬を使用するようにします。これによって溶解作業がなくなり、その分だけ時間を有効活用できるようになります。また、溶解液のみの投与を回避できるため、誤投与の減少にも繋がります。 時間の有効活用 溶解液のみの投与を回避 誤投与の減少
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② 認知能の向上 名称・外観が似ている医薬品を排除 ノルバスク ノルバデックス ラシックス アダラート 薬品棚の配置工夫 規格の違う医薬品
次に認知能の向上について紹介します。認知能を向上させることで、エラーする確率を減らすことができます。 一つ目に、名称・外観が似ている医薬品を排除することがあります。スライドにあります「ノルバスク」と「ノルバデックス」は名前が似ています。「ラシックス」と「アダーラト」であれば、見た目が似ています。 これら似ている医薬品を排除し、どちらか一方だけにすればエラーする確率を減らすことができます。 二つ目に、薬品棚の配置工夫があります。スライドの写真には例としてガスター錠の10 mg と20 mg を載せていますが、この配置を工夫します。 具体的には、これら規格の違う医薬品は隣に配置しないが、同じ列に配置することがあります。そして、「規格違いあり」など、棚にラベルを付けて注意喚起することも重要です。 隣に配置しない 同じ列に配置 棚にラベルを付ける 役に立つ薬の情報~専門薬学
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③ 危険の予知・認知をさせる イラスト中に含まれる危険を予知する KYT(危険予知トレーニング) ・ イラストKYT
危険の予知・認知をさせることも大切です。 危険予知トレーニングの有名なものとして、危険(Kiken)、予知(Yochi)、トレーニング(Training)の頭文字を取ってKYT と呼ぶものがあります。 このKYT の中で、スライドにはイラストKYT を載せています。 イラストKYT では、イラストの中に含まれる危険因子について、あらかじめ予知・認知させるトレーニングです。 このイラストであれば、「点滴の台を安定させないと、倒れてしまう恐れがある」、「ベッドの柵が短く、子どもが床へ転倒するかもしれない」、「看護師の持っているお茶が多く、こぼしてしまう危険が高い」などがあります。 このように、イラスト中に含まれる危険を予知することで、危険予知のトレーニングを行うことができます。 イラスト中に含まれる危険を予知する 役に立つ薬の情報~専門薬学
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④ 状況確認 指を差して呼称する 指差呼称 よし! よし! 役に立つ薬の情報~専門薬学
エラーを減らすために、状況確認を行うことも重要です。状況確認として有用なものに、指差呼称があります。 スライドには二人の看護師を載せていますが、それぞれ指を刺しながら声を出して確認しているのが分かります。 このように、「声を出す」、「指を刺す」を同時に行って確認することで、エラー数を大幅に減らすことができます。 指を差して呼称する 役に立つ薬の情報~専門薬学
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⑤ エラーの検出 ダブルチェック 二人以上の人間によるチェック ドリル式 : 二人同時にチェック
リチェック式 : チェック後、時間を置いて再度チェック 権力勾配など、互いに独立している事が望ましい チェックリスト チェックリストを使用することで、 エラーのために対策を行ったとしても、ゼロにすることはできません。そのため、エラーを検出する必要があります。 方法を二つ紹介しますが、一つ目に二人以上の人間によるチェックとして「ダブルチェック」があります。 ダブルチェックには二人同時にチェックする「ドリル式」とチェックした後に時間を置いて再度チェックする「リチェック式」があります。 ダブルチェックでは、「あの先輩がチェックしているから大丈夫」などの思い込みや「間違っているのでは?」と先輩に声をかけづらい状況を作らないことが重要です。 新人とベテランの間で権力勾配が強いと、ダブルチェックの機能が弱くなってしまいます。そのため、権力勾配などを含めて、互いに独立していることが望ましいです。 また、エラー検出の二つ目としてチェックリストがあります。 チェックリストを使用することで、「チェック項目の見過ごしを防ぐことができる」、「認知負担を軽減できる」などの利点があります。 チェック項目の見過ごしを防げる 認知負担を軽減できる 役に立つ薬の情報~専門薬学
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⑥ エラー発生へ備える 緊急体制を整える アレルギーの既往歴を見逃した アナフィラキシーショック 用意しておくべき医薬品 アドレナリン注射
ステロイド薬注射 気管支拡張薬 抗ヒスタミン薬 など 組織での対応 実際にエラーが発生した場合に対して、備える必要があります。その一つに緊急体制を整えることがあります。 例えば、アレルギーの既往歴を見逃したことによってアナフィラキシーショックが起こったとします。このとき、用意しておくべき医薬品としては「アドレナリン注射」、「ステロイド薬注射」、「気管支拡張薬」、「抗ヒスタミン薬」などがあります。 これらを予め用意しておくことで、不測の事態が起こったときに迅速な対応を行うことができます。 また、組織での対応も重要です。訴訟・損害賠償への備えとしては、賠償責任保険などがあります。事故発生時の対応を決めておくことも必要となります。 訴訟・賠償への備え 賠償責任保険 など 事故発生時の対応を決めておく 役に立つ薬の情報~専門薬学
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まとめ ミスを減らすための 環境・システムが重要 人間の特性 人間はもともとミスを起こしやすい ヒューマンエラーを少なくするために
これまでの内容をまとめます。 人間の特性として、「人間はもともとミスを起こしやすい」という事を認識することが必要です。 これらの特性を踏まえた上で、ヒューマンエラーを少なくするために「ミスを減らすための環境・システム」が重要となります。 ミスをした人を責めるのではなく、日々の改善が大切となります。 ミスをした人を責めるのではない 日々の改善が大切となる 役に立つ薬の情報~専門薬学
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