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ドイツのコーポレート・ガバナンス(2)ライン型資本主義の将来
経営学総論(風間信隆) ドイツのコーポレート・ガバナンス(2)ライン型資本主義の将来
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なぜドイツを問題にするのか 1.ドイツと日本の関係-戦前と戦後 2.資本主義の多様性 :アングロサクソン・モデルが唯一最善の道なのか? 3. 日本の今後の針路を考える
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ライナー・ツーゲヘア著 風間信隆 監訳 風間信隆・松田 健・清水一之訳 ライン型資本主義の将来 -資本市場・共同決定・企業統治- 日本語版への序文 緒言 Ⅰ 序章 Ⅱ ドイツ大企業の投資行動 Ⅲ 資本市場が投資行動に及ぼす影響 Ⅳ 投資行動に及ぼす共同決定の影響 Ⅴ 事例研究:シーメンス社とフェーバ社 Ⅵ 結論 参考文献 付属資料1 付属資料2 監訳者あとがき 索引 Rainer Zugehör, Die Zukunft des rheinischen Kapitalismus, Unternehemn zwischen Kapitalmarkt und mitbestimmung, Leske+Budrich, Opladen,2003.
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資本主義の多様性 アングロサクソン生産モデル ドイツ的生産モデル 資本市場のコントロール 機関による内的コントロール 自由主義的市場経済
調整された市場経済 市場志向的生産体制 関係志向的生産体制 ラディカル・イノベーション インクレメンタル・イノベーション (積み重ねのイノベーション)
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ドイツ的生産モデルと「高品質・高付加価値製品」
協調的労使関係 労働者・労働組合 共同決定 経営者 内的コントロール 長い目で見た企業の利益 銀行 国家 「我慢強い投資家」 間接金融 福祉国家
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図‐1 ドイツ的生産体制のモデル形成(Hall/Soskice, 2001;Soskice,1999)
職業教育 労使関係 (とくに共同決定) 企業財務 (とくに資本市場) 企業間ネットワーク 制度補完性が企業パフォーマンスに及ぼす影響 企業のパフォーマンスと戦略 市場志向的生産体制 関係志向的生産体制 自由主義的市場経済 調整された市場経済 出所:ツーゲヘア著『ライン型資本主義の将来』文眞堂刊,7頁。
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労使関係 企業財務 B A A C C 図-2 ある生産モデルの制度と企業との関係 企業行動と戦略 (とくに共同決定) (とくに資本市場)
図-2 ある生産モデルの制度と企業との関係 労使関係 (とくに共同決定) 企業財務 (とくに資本市場) B A A 3) C C 企業行動と戦略
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資本市場の影響 投資行動 共同決定 投資行動 1) ドイツ大企業の企業戦略と構造(例えば,投資行動)は1990年代にどのように展開したのか?
1) ドイツ大企業の企業戦略と構造(例えば,投資行動)は1990年代にどのように展開したのか? 2)1990年代末,資本市場と共同決定はドイツ大企業の投資行動にどのような影響を与えたのか? 3)ドイツ的企業統治システムにおいて,資本市場のプレイヤーと共同決定のプレイヤーは,いかなる関係にあったのか? 4)ドイツ的生産モデルにおいて,資本市場,共同決定そして投資行動の相互関係の強さはいかなる程度であったのか? 1) 投資行動に与える資本市場の影響 資本市場の影響 投資行動 2) 投資行動に与える共同決定の影響 共同決定 投資行動 資本市場の影響 3) 株主,労働者そして投資行動の間の関係の定性的分析 株主 労働者代表 投資行動
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++ =原則的に重要;+=重要ではあるが原則的ではない; -=重要ではないが,完全に影響力を持たないわけではない。
パート Ⅱ ドイツ大企業の投資行動 表-7.ドイツ大企業の投資行動の展開 アングロ・サクソン 企業 ドイツ企業 1990年代中旬まで 1990年代中旬以降の展開 事業再編 ++ - + 多角化 投資政策の時間軸 投資総額 ++ =原則的に重要;+=重要ではあるが原則的ではない; -=重要ではないが,完全に影響力を持たないわけではない。
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パートⅢ 資本市場が投資行動に及ぼす影響 表-8 さまざまな株主グループの行動特性
パートⅢ 資本市場が投資行動に及ぼす影響 表-8 さまざまな株主グループの行動特性 株主グループ 「退出」 「発言」 「忠誠」 小株主 (分散所有) 機関投資家 ++ + - 個人株主 従業員株主 ++ 大株主 企業 銀行 国家 注)++は非常に重要,+は非常に重要とは言えないが重要,-は重要ではないが,全く影響力がないわけではない。
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「ドイツ株式会社」と「確実性と安定性」連合
企業 協調関係 戦略的株主 安定株主 銀行 国家 企業
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図-4 新たな所有者:機関投資家 ドイツの機関投資家の投資総額 単位10億DM( ) 出所:BVI(1998b)
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ドイツにおける資本結合関係(1996年) 出所:
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ドイツにおける資本結合関係(1998年) 出所:
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ドイツにおける資本結合関係(2000年) 出所:
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ドイツにおける資本結合関係(2002年) 出所:
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ドイツにおける資本結合関係(2004年) 出所:
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ドイツにおける資本結合関係(2006年) 出所:
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エージェンシー理論による仮説設定 資本市場と多角化・事業再編 仮説 1 資本市場と研究・開発費 仮説 2 資本市場と投資総額 仮説 3
仮説 1 企業において株主利害がより強く顧慮されるようになればなるほど,企業はますます多角化しないようになるか,あるいは(多角化した)企業においてますます徹底して脱多角化ないしは事業再編が推進される。 資本市場と研究・開発費 仮説 2 企業において株主利害がより強く顧慮されるようになればなるほど,ますます企業における研究・開発投資は増加する傾向がある。 資本市場と投資総額 仮説 3 企業において株主利害がより強く顧慮されるようになればなるほど,企業の投資額ないし設備投資額はますます少なくなる傾向がある。 上場大企業について証明 証明されなかった 証明されなかった
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企業共同決定の強さ 図‐6 企業共同決定の2本柱 監査役会の労働者代表のポジション 監査役会の労働者代表の権限 (構造) (内容)
パートⅣ 投資行動に及ぼす共同決定の影響 図‐6 企業共同決定の2本柱 「企業の共同決定」概念の操作化 企業共同決定の強さ 監査役会の労働者代表のポジション (構造) 監査役会副会長 人事・労務担当役員 各種委員会構成 監査役会の労働者代表の権限 (内容) 監査役会の保持する事前同意義務
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所有権理論による仮説設定 共同決定と多角化・事業再編 仮説 1 共同決定と投資総額 仮説 2 共同決定と研究・開発費 仮説 3
パートⅣ 投資行動に及ぼす共同決定の影響 所有権理論による仮説設定 共同決定と多角化・事業再編 仮説 1 ある企業において共同決定の影響力が強ければ強いほど,企業はより広範に多角化しているか,収益性の高い事業部門への集中を選好する出資者の要求に反して多角化はより徹底して防衛される。 共同決定と投資総額 仮説 2 ある企業の意思決定に及ぼす共同決定の影響力が強ければ強いほど,投資水準の減少確率はより高くなる(企業は「解体」される)。 共同決定と研究・開発費 仮説 3 ある企業における共同決定の影響力が強ければ強いほど,ますます企業政策の時間軸は短くなるし,ますます長期的投資,特に研究・開発への投資は行われなくなる。
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仮設 1に関する実証的測定結果 :共同決定の強さと事業再編の程度との関連は,所有権理論の予想に反して,有意ではないにしても,正の相関を示している。こうして,共同決定の強さが企業の資本市場志向的なリストラに及ぼす影響に関して,正でも負でもその影響力は証明されえない。より大きな労働者代表の影響力によって企業の事業再編は組織的に阻止される,とする所有権理論の主張はここでは証明されえない。 仮設 2に関する実証的測定結果 :企業の共同決定の包括的な規則は資本市場志向的な事業再編を決して妨げていない。所有権理論の主張とは異なり,労働者代表は企業を株主の意思に反して解体するのはなく,むしろ固定資産の減少を伴う,株主が推進する企業の事業再編を一緒になって進めている。 仮設 3に関する実証的測定結果 :投資政策の時間軸の発展動向は,研究・開発投資の発展動向に反映されるという仮定の下で,労働者代表がその行動において短期的志向を有するという,所有権理論の主張は証明されえない。それどころか,投資政策への労働者代表の大きな影響が投資計画の時間軸を拡げるという命題が引き出されうる。
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