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第6章:熱帯域の不安定について(個別的?)かき混ぜか 6ー1:成層圏内の傾圧不安定(?)で起こっている例
-不安な雲のうかび出て ふたたび明るく晴れるのは- 波数3の2日波、南半球の夏の中間圏界面付近の擾乱 Plumb(1983, J. Atmos. Sci.), Plumb et al. (1987)参照 周期 高度 波数 Wu et al., 1996, J. Atmos. Sci. によるMLS温度衛星データからの、s=3, 2-day wave、これは西方伝播である。 アデレード(35S, 138E)でのレーダー観測で、東方向、北方向の風の成分
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温度 0.046mb シグナルの各高度での時間-緯度断面図 Wu et al., 1996, J. Atmos. Sci. 92年12月-93年3月(南半球夏)、構造が夏半球的で赤道域まで広がっている 振幅の緯度-高度断面図、DAY 502は1月終わり
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Plumb(1983) はこの擾乱を傾圧不安定で説明しようとした。
ここでは大気擾乱の生成メカニズムの1つと考えられる線形不安定を考える。 -大気にとってはかき混ぜ過程みたいなものか? -->物質分布にも絡むであろう - 方程式は準地衡風方程式を用い、基本の場(高さと緯度の関数)が擾乱を成長させるか?を議論してみる。ここで つぎに境界条件をあたえる。 南北には壁をおく事にする。剛体壁で南北風がないとすれば擾乱について、 鉛直方向は、地表ではw=0であろう。ただしPVの式はwを含んでいないので、熱力学の式を変形する。 前に熱力学の式は のような保存の式をもちいる。ここで、 であった。これの線形で流線関数表現では、 これまでたびたびおこなってきたように、東西平均量(基本の場)とそれからのずれを考える。 擾乱についての線形の方程式は以下のようになる。 この式でw=0とおいて、 ここで、 である。 無限遠では が有限というような境界条件をおく(遠いところでw=0が実際的には使われる)。 Ψ’を上の境界条件のもとに解くこと(例えば固有値問題にする)が重要な仕事になる。
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不安定のための必要条件 境界条件を使うと 擾乱について の形を仮定すれば、もとの方程式は を代入して ただし である。境界条件は で、無限では が有限の境界条件をかす 南北は がゼロ。 上式にpsi *をかける となる。不安定の必要条件として(不安定なら c が復素になるからそのときみたすべき式は)、 左辺は実だから 部分積分をして変形する これが不安定の必要条件である。不安定のとき はnot zero だから[]内がゼロにならないといけない。z=0での境界条件が関係しないとき(内部jetの不安定と呼ばれる、中層大気の不安定)、平均のPVの南北微分が符号を変えることが、不安定の必要条件になっている。 鉛直と南北に積分し、
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Plumb(1983)による固有値問題での説明 その時の固有関数として、下図のような構造の波が不安定になっている。波長9400km(波数3程度)、南北には5000kmのsinモードを仮定。Geopotential振幅は80kmあたりが最大になっている。熱フラックスの大きいところは、PVの南北微分が符号を変えているところに対応している(c図)。 東西風の鉛直分布と を示す。Potential Vorticity 勾配が符号を変える。 夏半球の中層大気で東風になっている。
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観測の別例: Harris and Vincent, 1993, JGRでは赤道域 2N,157W, Chrismas島で2日波を解析している。かれらによると、このシグナルはk=3のRossby-重力波と言っている。MFレーダーによる観測 南北風に2日にシグナル
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波数3の2日波と思われるモードのprimitive方程式の計算。Salby, 1981, J. Atmos. Sci.、
計算のためのsolstiseでの基本場 計算された s=3 のRossby重力波、夏半球中間圏あたりに大きな振幅がある。自由振動として計算されたが、風のために不安定になっているのであろう? Intrinsic frequency, 振幅、位相 計算されたエネルギー応答の大きさ(solstice->dash)
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GCMの中の2日波 波数3の擾乱の緯度-高度断面図、RG波のように、赤道で南北風が大きい(b)、夏半球で振幅が大きい UGAMP GCM (T21) の7月1日の東西平均風、Norton and Thuburn, 1996, G. R. L. 約65km(3000K), 85km(7000K)での波数3の構造が見える 2日波の振幅の時間変化、実線が波数3でdottedが4
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6—2 慣性不安定(f−平面、hydro)について
ブシネスク流体で、xー方向には一様と仮定した擾乱についての式は(ただし、基本場のshearは一定) 最終的に、 の形を仮定すると、 熱力学の式をy-微分 のようになる。赤道からすこし離れたところで、 ならば、第3項が負となり、全 体として負になる可能性がある。このとき、不安定になるであろう。 x-方向の運動方程式を z-微分して f をかける。 足すと、 圧力勾配が南北にもよらず、上昇流もなければ、 を用いて、 のような式となり、 ならば、不安定になるであろう。 を用いて、
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そのような例として、例えばHayashi et al. (2001)
赤道域の50kmあたりに鉛直波長10km程度のパンケーキ構造がみえる。これは、慣性不安定でつくられているようである。ただし、第2項の制限がつよい。例えば、f=10-5 N=2x10-2 Λ=10-3 Ly=8000km (半波長4000km)Lz=5km =30m/s/1000km で負の値をもつ。(N2 l2を小さくして、第3項を大きく) 経度 緯度 GCMでの慣性不安定:Hunt, 1981, JAS、15zonal waves,40点南北、54層、モデルで1月の条件である、このモデルは観測に比べ風速が強い 北半球 北半球でシグナルあり、ノイズではないと言っている シグナルは見えるが半年振動に何か寄与をしているかは分かっていない。
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慣性不安定と2日波との関係? Orsolini et al. の例、QJRMS, 1997 1mbあたりの水蒸気分布、15 Jan, 17 Jan, 25 Jan, 92年、南半球はk=3の2日波。北半球は細かいeddyあり PVの緯度経度分布図、1mb(上), 0.68mb(下) 惑星波動の赤道域への伝播-->慣性不安定-->夏の東風で2日波を作りやすいようになっていると書いてあるが? 6ー1節の議論では基本場が不安定の条件を満たす 1mb,平均東西風の時間変化、Dec->Feb、東風の北半球へのpenetration、
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補足1 だからM一定面における傾きは、 絶対(慣性系からの)運動量は 一方温位一定面における傾きは、 絶対渦度なる量は慣性不安定の条件によって重要な量である。 図から、等温位面の傾きが大きいから 図では の状況が示してある いま図のように、1、2にある絶対運動量は 不安定の条件は以下のよう: この図を使って(pをMに、xをyに置き換える)、 M1を2に保存的にもっていくと M2を1に保存的にもっていくと を使って M2, M1を消すと もともともっているzonalな運動エネルギーの変化は だから もともともっているzonalな運動エネルギーが減少することで、南北の変位が増加するであろうから(図のようになっている) さてMは保存量として、 上の不安定の条件をPotential 渦度で表わす
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補足2 だから、温位系での圧力勾配は 温位座標についての質量は のようになる。 静力学平衡の式は温位の式を変形して ここで以下を定義すると、 質量は温位をつかって以下のようになる。 連続の式は 水平方向の運動方程式は 渦度方程式は 図から 極限をとって これを使って、圧力勾配は だから、温位一定のもとで ここでP=potential 渦度は温位座標での質量密度σと関係している を用いて、
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6--3:赤道域のK-H不安定の観測例 Kelvin-Helmholtz 不安定の線形問題を解いてある例がわかりやすい: 赤道レーダ( 0.2S, E)で観測されたK-H不安定、Yamamoto et. al., GRL, 2003, 熱帯圏界面、2001年11月。不安定の条件は満たしているが、結果がごちゃごちゃで私には分からない。上から鉛直流、東西、shear, Ri。せまい範囲でシグナルが強い、ゆっくり時間的にゆれている。 11月 Dash:東西風 dot-dash:シアー これは天気、1992、No. 1の巻頭にのっていたカラー写真をコピーしたものである。Takayabuがとられた。きれいな波状の雲パターンが見える。水平スケールは3000m程度。この波動擾乱はKelvin-Helmholtz不安定によって生じたらしい、1990年12月23日
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K-H不安定が起こったときの大気状況 K-H不安定が起こったときの風と温位の鉛直分布。実線が風で破線が温位である。Takayabu, 1992, J. Met. Soc. Japanより。 地表天気図 (KH書かれたところに発生) 高層天気図(stipple領域はcold frontの西側の冷たい空気を示す)、35Nでの経度-高度図 Richardson数(実線)とshearの鉛直分布(2.5kmあたりにRi<0.25のところがある)
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3つのモードの特徴 線形の方程式(2次元): z=0 z=5000mで鉛直流=0 の境界条件で固有値問題をとく。 線形解析の結果:Takayabu(1992, J. Met. Soc. Japan) 、(基本流が複雑なので数値解に頼らざるを得ない)。 最も成長率の大きい3つの不安定解を求めている。しかし実際の擾乱によく似ている解は2番目のmode らしい。なぜ1番目でないのか私にはわからない。とにかく2番目のmodeについて、波長が1620m(観測では2700m)、位相速度16msー1(観測でも16msー1)、最大振幅の高さは2550m(観測で2560m)、振幅が e - 倍になる時間は340秒である。 第2モードの鉛直分布
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K-H不安定で波の生成+地表の間でDuctのようになり、重力波が水平に伝播している観測例
Ferretti et al. (1988, Met. Atmos. Phys.) 1979, Aprilの地表、850mb, 300mbの場の様子
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圧力偏差のパターンの時間変化、波波している
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固有値問題も解いてある。 200km水平スケールで3時間くらいの周期の波、スケールが大きい? 基本場の状態(10kmくらいの高度でRiの小さいところあり) モードの鉛直構造
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6--4:重力波のbreakingのはなし(Holton, 1982, J. Atmos. Sci.)
重力波: を考える。ここでWKB的に表現すると、 と表される(西風の中で相対的に東の時)。ここで、 を用いると、 のようになる。 は の振幅を表す。 ここで、波が鉛直伝播して、波の振幅が大きくなり( の形になっているので)、対流不安定を起こ すようになるであろう。そのとき、以前に示したように(温位勾配) Lindzen, 1981, J. G. R.から をみたすとき、対流不安定が起きるであろう。左辺の始め2項が平均状態であり、第3項が波にともなう温度勾配を示している。ここで、 重力波に関する熱力学の式から、 と表しておこう。
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だから温度擾乱は 鉛直微分して だから(mの方が効くとする、そんな波がよく観測されている)、対流の起こる高度は をみたすから、 の式で波が壊れる高度、breaking levelを決める。 この考え方の1つの特徴は拡散係数が内部的に決まることであろう。 z>zbでは波のbreakingにより拡散されるであろうから、以下のような形になるであろう。 ここで (c tilde の中にdampingの項が入っている) また前のように(WKB 的に)、 だから のように表されるであろう。
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z>zbで だから、miの2つの式から 拡散係数はz>zbで で前のzbの式を用いると上式は、 zで微分すると、
整理すると ->物質の拡散にもつかう のようになる。(数100kmの波長が仮定) を用いて、運動量フラックスは mi が(対流不安定的に)
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