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惑星大気大循環モデル DCPAM を用いた 地球大気に関する数値実験

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1 惑星大気大循環モデル DCPAM を用いた 地球大気に関する数値実験
北海道大学 理学部 地球惑星科学科 4年 惑星宇宙グループ GFD研究室 学籍番号:   梅内 紫芳

2 目次 研究の目的・動機・概要 惑星大気大循環モデル DCPAM 実験目的・計算設定 計算結果(熱収支) 計算結果(水収支)
計算結果(水蒸気輸送) まとめ・展望 参考文献

3 1-1.目的・動機 生命生存条件 近年,太陽系外で生命を保有する可能性のある惑星が数多く発見されている.
  生命が発生し保持されるために必要な惑星環境 について調べたい      液体の水が存在すること 評価方法: 惑星大気の熱収支・水収支・エネルギー輸送・水蒸気輸送等 惑星の全球的規模で起こる大気の循環運動(大気大循環)が大きく関与 大気大循環の再現手法 GCM (General Circulation Model: 大気大循環モデル) を用いた数値実験 生命生存条件

4 1-2.研究の概要 最終目標 卒業研究のテーマ 現在までの進捗 GCM の一つである DCPAM を用いて,系外惑星の全球気候を再現し,
生命生存可能性について議論する. 卒業研究のテーマ まずは地球大気を想定した条件の下で,DCPAM を用いた数値実験を行い,  熱輸送・熱収支・水蒸気輸送・水収支などについて評価・議論する. 現在までの進捗 DCPAM を用いた地球設定での数値実験を行った. 実験で得られた計算結果を用いて熱収支・水収支・水蒸気輸送の様子をまとめた.

5 2-1.大気大循環モデル 大気大循環モデルの計算の流れ 気温・水蒸気・オゾンなどの物質の輸送 放射・対流・潜熱放出・地面とのエネルギー交換
   風の変化 (← 運動方程式)    気温・水蒸気・オゾンなどの物質の輸送    放射・対流・潜熱放出・地面とのエネルギー交換    大気加熱の計算          大気の内部エネルギーの変化          気体の膨張による仕事 → 空気塊上昇・風速の変化

6 2-2.惑星大気大循環モデル DCPAM とは DCPAM 座標系 離散化
 Dennou-Club Planetary Atmospheric Model 3次元球面上のプリミティブ方程式系に従う大気の大循環を計算する数値モデル   座標系  水平方向: 緯度 ,経度  鉛直方向: ( : 気圧, : 惑星表面気圧) 離散化  水平方向: スペクトル変換法  鉛直方向: 差分法  時間方向: 力学過程 → セミインプリシット法,物理過程 → 陽解法・陰解法

7 2-3.DCPAM の基礎方程式   連続の式: 静水圧の式: 運動方程式: 熱力学の式: 水蒸気の式:

8 3.実験目的・計算設定 今回行った実験の目的 計算設定 地球を想定した条件の下で数値計算を行い,
  大気における熱収支,水収支,水蒸気輸送の様子を調べる. 計算設定  - 空間解像度: T21L         - 時間解像度:     15分             - 積分時間: 年  - 雲水寿命: 秒  - 表面アルベド: 海上 0.1, 陸上 0.3  - 表面気圧: 地球の観測値  - 海氷分布: 地球の観測値  - 海表面温度: 地球の観測値  - 海陸分布: 地球の観測値  - 自転角速度:     × 10-5 rad/s  - 軌道離心率:      - 自転軸傾斜角: °  - 太陽定数: W/m2  - 惑星半径:   km  - 重力加速度: m/s2

9 4-1.熱収支(年平均) 全球平均での正味の加熱 0 W/m2 図中の値は, 左のグラフの各データを格子面積で重み付けして求めた年平均での
大気 SLR SSR OLR OSR 凝結熱 顕熱 234 228 160 41 104 21 全球平均での正味の加熱 0 W/m2 エネルギーフラックス 図中の値は, 左のグラフの各データを格子面積で重み付けして求めた年平均での 全球平均値(絶対値). OLR: 大気上端外向き長波放射 OSR: 大気上端外向き短波放射 SLR: 大気下端外向き長波放射 SSR: 大気下端外向き短波放射 緯度 ※ 大気での正味の加熱が知りたいので, グラフの正負と図中の矢印の向きは必ずしも一致しない.

10 4-2.熱収支の季節変化 放射の特徴 長波放射 極小値: 赤道付近 極大値: 緯度±30°付近 極向きに小さくなっていく. 短波放射
3-5月 6-8月 放射の特徴 長波放射 極小値: 赤道付近 極大値: 緯度±30°付近 極向きに小さくなっていく. 短波放射 夏季 > 冬季 (中緯度域) 極向きに小さくなっていく. 9-11月 12-2月

11 5-1.水収支(年平均) 全球平均での 正味の水蒸気増加 0 W/m2 図中の値は,
大気 降水 104 蒸発散 全球平均での 正味の水蒸気増加 0 W/m2 降水 蒸発散 エネルギーフラックス 図中の値は, 左のグラフの各データを格子面積で重み付けして求めた年平均での 全球平均値(絶対値). 蒸発散-降水 ※ 大気での正味の加熱が知りたいので, グラフの正負と図中の矢印の向きは必ずしも一致しない. 緯度

12 5-2.水収支の季節変化 降水 極大値: 緯度10°,±50°付近 蒸発 極小値: 赤道付近, 極大値: 緯度±20°付近
3-5月 6-8月 9-11月 12-2月 降水 極大値: 緯度10°,±50°付近 蒸発 極小値: 赤道付近, 極大値: 緯度±20°付近 中緯度: 夏季 蒸発量 > 降水量 赤道付近: 年中 降水量 > 蒸発量

13 6.水蒸気輸送 水蒸気輸送の様子は図の矢印の向き? 比湿,鉛直速度,降水,南北風の 緯度分布を見る. 図からわかること(次ページ)
赤道付近は中・高緯度に比べ水蒸気が多い. 赤道付近で上昇流,中緯度域で下降流が分布. 赤道付近で最も降水が多く,緯度±50°付近で も多い. 緯度±40°付近を境に,赤道向きの風と極向き の風が存在する. エネルギーフラックス 緯度

14 6.水蒸気輸送 鉛直速度 比湿 南北風 降水

15 6.水蒸気輸送 赤道付近で生じた大気中の水蒸気 → 上昇流による輸送の後,降水となる.
  → 上昇流による輸送の後,降水となる. 中緯度の大気中の水蒸気(下降流域に相当)             → 南北風により一部は赤道付近で収束,一部は高緯度へ輸送される.     赤道向きと極向きの輸送が存在       (境界は緯度±40°付近)

16 7.まとめ・展望 DCPAM を用いた数値実験の結果 今後の展望 熱収支・水収支 → 年平均で収支が保たれている,季節変化がある
水蒸気輸送 → 赤道向きと極向きの輸送が存在する 今後の展望 より精度の良い計算結果を得るために,今回よりも高解像度での計算 を行う. 今回調べなかったエネルギー輸送などについても実験結果からの説明 を試みる. DCPAM の計算過程や支配方程式についての理解を深める.

17 8.参考文献 地球流体電脳倶楽部,2014/06/18,DCPAM5 支配方程式系とその離散化,
  地球流体電脳倶楽部,2015/08/04,らくらくDCPAM5,

18 付録 独立変数 モデルで時間発展を計算することとなる予報変数 経度 [deg.] 気温 [K] 緯度 [deg.] 比湿 [kg kg-1]
独立変数 モデルで時間発展を計算することとなる予報変数 緯度 [deg.] 経度 [deg.] 気温 [K] 比湿 [kg kg-1] 時間 [s] 渦度 [s-1] 発散 [s-1] 東西風速            南北風速

19 付録 各時間ステップで診断的に求められる変数 ジオポテンシャル高度 [m2 s-2] 渦度の水平拡散とスポンジ層における散逸
                                発散の水平拡散とスポンジ層における散逸                                                                            熱の水平拡散とスポンジ層における散逸  基準温度 [K]                       水蒸気の水平拡散とスポンジ層における散逸                                  小規模運動過程(経度方向)                                 小規模運動過程(緯度方向)                                 放射・凝結・小規模運動過程等による加熱 凝結・小規模運動過程等による水蒸気ソース                                 摩擦熱                                 惑星半径                                 乾燥大気の気体定数 [J kg-1 K-1]                                 乾燥大気の大気定圧比熱 [J kg-1 K-1]                                 コリオリパラメータ [s-1] 水蒸気分子量比 定数


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