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国産楽器(サクソフォン)の 認知度を高め浸透を図る
国産楽器(サクソフォン)の 認知度を高め浸透を図る 経営学部経営学科企業経営コース 芹川和輝
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目的 今日、海外のプロのサクソフォンプレイヤーが、日 本の楽器を使いはじめる一方で、国産楽器が日本 で思ったより浸透していないことに気づいた。 知識や経験の浅いアマチュアのプレイヤーはどの ように楽器を選び、購入をするのか疑問を抱いた。 サクソフォンの日本と海外、それぞれのメーカーの 印象・魅力・購入する人の動機、などを調査し、日本 の楽器も海外の楽器に引けを取らないという事を 知ってもらえるマニュアル作りに取り組んだ。
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概要 国産楽器と輸入楽器では、どういったところに特徴が あるかを調べ、両者のメーカーを比較することで、国 産楽器の魅力をより理解する。
同時に、「YAMAHA以外の国産楽器の浸透性の低 さ」と、「国産楽器が何故国内で浸透していないのか」 について考える。
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方法 ①プロのプレイヤーの使用している楽器を調べる。
②知人や母校の後輩、mixiなどのサクソフォンプレイヤー に、アンケート調査で、国産楽器と輸入楽器の良い点と悪 い点を抽出する。 アンケート回答数104件 ③なぜそのプレイヤーが使用している楽器のメーカーを選ん だのかを調べる。 ④プレイヤーが次に買い替えたい楽器のメーカーとその理 由を調べる。 ⑤①~④を踏まえたうえで、3パターンのターゲットに国産楽 器の魅力を提案する。
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意義 私が知る限り、ほとんどのプレイヤーがプロや先輩、 楽器屋さんの薦めでその楽器を購入する。
しかし、購入したすべての人がその楽器に満足する わけではなく、 サクソフォン自体を購入することは安い買い物では ない。 今回の調査を通じて、メーカーの種類・特徴などを 理解してもらい、その人のあったサクソフォンを見つ けてほしい。
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サクソフォンとは 1846年にベルギーの管楽器製作者アドルフ・ サックスが発明し、サクソフォン(Saxophone) と呼ばれる。
発明された当時14 種類あったが、現在 おもに使われている のは、音程の高い 順に、ソプラノ、 アルト、テナー、 バリトン。
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サクソフォン3大メーカーと特徴 セルマー (Selmer) 本場フランスの伝統ある有名メーカー。
日本で特に愛用者が多く、ブランド力を持っている。 ヤマハ(YAMAHA) 日本を代表するメーカー。 幅広ユーザーに支持され、近年海外でもよく使われて いる。 ヤナギサワ(Yanagisawa) 日本で最近有名なメーカー。 一歩先行く技術力の高さを世界に示し、金属の素材 にもこだわる。
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アンケート調査について 1 ・今使っているサックスのメーカーは? ・なぜその楽器を選びましたか? (複数回答可)
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アンケート調査について 2 表1 音色 47 色や見た目 12 値段 4 特にない、気に入らない 9 メーカーによる安心感 3 音程の良さ
アンケート調査について 2 表1 音色 47 色や見た目 12 値段 4 特にない、気に入らない 9 メーカーによる安心感 3 音程の良さ ・今の楽器のどんなところが気に入って いますか? ・新しい楽器に買い替えたいですか? また、買い替えるならどのメーカーを選 びますか?
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○セルマー アマチュアでもプロでも使用者が多く、ブランド色の強いメーカーである。 ほとんど人が「サックス=セルマー」と言うぐらいの良いイメージがある。 楽器としての精度の個体差は日本製のサクソフォンに比べると大きい。 購入者の満足度は高い。 初心者が購入するには少し高額である。 ○ヤマハ 最近海外のプロも使用しており、安心感のあるメーカーである。 どちらかと言うとアマチュア向きの楽器と思われがち。 楽器として完成度が非常に 高く全音域がムラなく安定感がある。 購入者の満足度はあまり高くない(?)。 初心者にでも購入しやすい安価なものから高価なものまである。 ○ヤナギサワ 現在プロで使用している人はまだ少なく、認知度も高くない。 豊富な素材のヴァリエーションにより、見た目や音色に個性が出る。 ヤマハと同様に楽器の完成度は高く安定感がある、音程も良い。 初心者にでも購入しやすい安価なものから高価なものまである。
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サクソフォン購入者に満足して頂けるマニュアル
① 『これから始める人や、始めたての初心者のプレイヤー』の場合 多くの初心者はヤマハしか知らない場合があるので、まず、ヤマハはもちろん、セルマーとヤナギサワも提案し、それぞれ の特徴を説明した上で予算に合った楽器を選ぶ。また、無理をして値段の高い輸入楽器を買う必要はなく、国産楽器の方 が音程は良い事も説明するとより良い。 このとき、初心者であっても選定品を選んで頂き、楽器を試し吹きしてもらい、吹き心地や、持った時の指の感じ確認して もらう。 ② 『今の楽器では満足できなくなり、2本目の購入を考えているプレイヤー』 このプレイヤーは、ワンランク上の楽器を求めている。(明確に次の楽器を決めているプレイヤーにはあまり薦める必要 はないが、)まず、今の楽器のどういったところが気に入らないのか、どういった事を求めているかを抽出する。 音色であれば、どのメーカーのサウンドが好きか、どんなプレイヤーのサウンドが好きか、また分かるなら、どの素材で できたサウンドが好きかを確認すると楽器が決まってくる。 ③ 『国産楽器より海外のメーカーが良いと思い込んでいるプレイヤー』 このプレイヤーは「セルマー=良い」という先入観を持った人がやはり多いので、まずどんなプロのプレイヤーが国産楽 器を使っているのか、国産楽器の特徴、実際のプレイヤーの声を聞いて頂くと良い。しかし、やはり一番良いのは、本人 が国産楽器に触れて、実際に吹く事であり、その性能に気付いてもらうことである。また、先入観を取り払うために説明を 受けて頂いてから、試し吹きをしてもらうとより効果がある。 これらをヒントとし、予算なども踏まえて自分にあった楽器を選んで頂けたら、長くご愛用できるサクソフォンに出会える のではないだろうか。
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まとめ 今回の研究がサクソフォン以外の楽器に適用できるのかを調べると、トランペットやトロンボーンにも有 名な「Bach」というメーカーをはじめ様々なメーカーがあり、ホルンやチューバにもフランスやドイツの有 名な楽器メーカーが存在する。しかし、近年このような金管楽器も海外ではYAMAHAが使われるように なってき、日本のプロでもYAMAHAのカスタムというシリーズの金管楽器のみで組まれた「カスタムブラ スクウィンテット」というアンサンブルバンドも有名になってきた。 金管楽器同様、サクソフォン以外の木管楽器や打楽器にでも伝統のある海外のメーカーはあるが、これ らにもやはりYAMAHAは有名である。また、サクソフォンのYANAGISAWAと同じように近年有名になっ た国産のメーカーが、フルートでは「Muramatsu」、打楽器では「Pearl」といったように、まだいくつか存 在する。しかし、日本の楽器は実力があるにもかかわらず、海外のブランド力により隠れてしまっている ような印象を受けたので、今回のマニュアルは他の楽器にも使用することが可能ではないかと考える。 つまり、サクソフォンをはじめ、他の楽器にも、やはり日本人には確かにブランド志向というものがあり、 そこにある技術だけではなく、見た目やブランド力によって人の気持ちが動いている事も分かった。 卒業論文制作を通じ、アンケート回収104件とマニュアル作りをする事が出来た。中でも、やはりアン ケートのデータは特に興味深いものが取れたのではないかと思う。今回の楽器を題材に卒業論文を進 めていたが、『何が良い楽器で、何が良い音なのか』という価値観が漠然としすぎていたため、最終的に はプレイヤーや購入者の価値観に任せるような形になってしまったが、音による価値観の深さがまだま だ底が知れないという事が分かった。
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