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動物テクノロジー概論 今川 和彦 K. Imakawa, Ph.D. 東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医・動物育種繁殖学研究室

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1 動物テクノロジー概論 今川 和彦 K. Imakawa, Ph.D. 東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医・動物育種繁殖学研究室
Lecture no. 5 動物テクノロジー概論  東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医・動物育種繁殖学研究室 今川 和彦 K. Imakawa, Ph.D.

2 体性(組織)幹細胞の能力とは? 体性幹細胞のあいだには、「可塑性」と呼ばれる相互作用ネットワークが存在
骨髄の幹細胞(造血幹細胞)は、血管や心筋、腸の細胞にも分化 ヒトの唾液腺や胎盤の幹細胞からインスリンを分泌する細胞 造血幹細胞から肝細胞 脳の神経細胞にも幹細胞の存在   従来、「脳の神経細胞は大人になるともう増殖しない」と考えられていた    ドーパミン産生神経細胞の減少によるパーキンソン病に新治療

3 幹細胞で全てが解決されるか? 幹細胞の自己複製と癌細胞の増殖における共通分子群の機能
幹細胞は両刃の剣?   十分に分化していないES細胞を体内に戻すと、がん細胞になる可能性    パーキンソン病モデルマウスの脳内にES細胞を注入すると、    14/25匹 症状が改善、5/25匹 テラトーマ様腫瘍により死亡 クローン技術の使用   ドナーは患者のものでも、未受精卵(ヒトの卵子)を使う必要性    卵子を使えば必ず生命になる可能性の論議が    2006年、京大再生研が皮膚からES細胞を分化・誘導した         iPS細胞の確立と応用 他の問題点は?   ES細胞を様々な細胞への分化誘導は可能   立体構造をもち正常に機能する器官の実現は(ツメガエルではある程度   可能だが、哺乳類の細胞では)?

4 がん細胞を初期胚(ICM)に注入したら? ES細胞を体内に戻すと「がん」が発生する可能性があった・・・
テラトーマ(癌の一種)を初期胚(胚盤胞)に   正常なマウスの一部へ分化し、「がん」の発生はない マウス初期胚の未分化な細胞を成体マウスに   テラトーマが発生 未分化な細胞を、成体という分化しきった環境におくと「がん」になる可能性 ES細胞を体外で分化誘導して成熟した臓器にすればよいが・・・ 細胞同士のコミュニケーションを含む生体内環境?

5 細胞をつくる社会 バクテリアが1万個集まっても、まとまりのある生物個体にはならない 多数の細胞が集まって、一個体の生物をつくるには?
細胞同士がくっついていて、お互いがそう簡単に離ればなれにならない 1個体の生き物は、全く同じ姿や働きを持った細胞からだけで成立していることは絶対にありえない   多細胞の生き物は「分化」により、「不均一なシステム」を構築する 不均一なシステムには「秩序」がある   細胞同士はお互いに話し合い、それぞれに割り当てられた役割を責任をもって分担している 「全ての生物は細胞からなる」だけではなく、1生物個体は「細胞からなる社会」

6 どの細胞も同じ遺伝子セットを持つが、体細胞では同じように働かない 肝臓の細胞は基礎生命活動タンパク質と、肝機能に特有なタンパク質のみ作る
細胞同士のコミュニケーション 細胞社会が秩序を維持するためには、異なった部分に完全な協調が必要 どの細胞も同じ遺伝子セットを持つが、体細胞では同じように働かない 肝臓の細胞は基礎生命活動タンパク質と、肝機能に特有なタンパク質のみ作る 調節領域 プロモーター領域   読み取りのオン・オフを調節する塩基配列=遺伝子のスイッチ ターミネーター領域   遺伝子の終わりを教える塩基配列 イントロン   ひとつの遺伝子を分断するようにはさまった塩基配列で、    遺伝子をアミノ酸に翻訳する途中で切り落とされる タンパク質のコード領域=アミノ酸に翻訳される塩基配列

7 遺伝子の働き 発生のメカニズムにおける遺伝子(群)の働き 発生時計 原腸陥入はいつも胚胞形成の後に起こるし、
  遺伝子は個々の細胞を特徴づけるだけではなく、全体を統括してボディ   プランを担当する力も持っていた   ハエの頭をつくるホメオティック遺伝子は、カエルの頭を作ることもできる   脊索発生遺伝子T:脊索を持たない動物のT遺伝子も脊索をつくるという   能力を保持 脊索保有の動物は、持たないものから進化? 発生時計   原腸陥入はいつも胚胞形成の後に起こるし、    原腸陥入の前に神経管形成は起こらない    細胞の分裂周期と密接な関係?

8 細胞から臓器、生命体へ からだの各細胞では、様々な遺伝子のスイッチがまるで交響楽の 音符のように絶妙のタイミングで入れられる
「ゲノムはあくまで生命情報のデータベース」 遺伝子は別の遺伝子のスイッチをコントロールしている   この連鎖で、遺伝子を中心とした分子ネットワークができる 細胞と細胞もコミュニケーションをしている   ある細胞から周りの細胞(標的細胞)に蛋白質の信号(誘導と応答)     細胞の集団は周りと共調作業を始めてそれぞれの組織や   臓器に分化していく   組織や臓器への分化   細胞が集まりが器官をつくり、器官があつまって生命体に   胚仔から胎仔期:様々な器官が(同時に)分化・発達する

9 修復能力低下の見返りは? 地球上で生きとし生けるものは、修復力がないと生き続けることはできない 他の性質が高度に発達したため、大規模な修復能力を必要としない?
優れた感覚や運動能力、脳の発達   修復能力を補う 免疫の威力   外からの病原体だけを絶滅させるようなタンパク(抗体)の産生    戦うために、免疫細胞は非常な勢いで増殖する しかし、免疫は「がん」に対しては無力?

10 なぜ「癌」で亡くなるのか? 何の役にも立たない「がん」細胞が組織内に広がりその臓器が機能しなくなるから
「がん」細胞は細胞同士のコミュニケーションを行わない   正常細胞の分化、増殖や維持には、コミュニケーションをベースにした    細胞同士の秩序が保たれている 毒素を作るとか、他の細胞は食い荒らすことはない   「がん」細胞は、周囲からの働きかけを無視して自己増殖を続けるだけ 転移   ひとたび転移を始めたら、全身から「がん」細胞を取り除くのは非常に困難

11 がん細胞はどこが変? がん細胞の振る舞いは、正常細胞とはかなり違う
正常細胞の培養皿(シャーレ)での行動・運動   正常細胞は細胞同士が接触すると離れ、皿の中では一層の細胞に しかならない 「分裂の接触阻止」の消失   がん細胞はお互いを乗り越え分裂を続け、幾重にも重なり塊をつくる    がん細胞は「分裂の接触阻止」の性質を失った細胞 細胞の運動と分裂の接触阻止が正常に働かないと、それぞれの臓器のなかで 組織が秩序正しく配列することや、臓器が一定の大きさを保つことが出来ない

12 正常細胞 vs. がん細胞 細胞外基質:フィブロネクチン、コラーゲン、ラミニン
  隣同士の正常細胞は細胞外基質などを介してうまくコミュニケーション がん細胞では?   細胞外基質が減少:細胞同士のコミュニケーションなし がん化した細胞にフィブロネクチンを加えたら がん原遺伝子(proto-oncogene)とガン抑制因子   発癌には、がん原遺伝子が活性化し、がん遺伝子になることと、 がん抑制遺伝子が変異を起こして抑制力を失うことが関与

13 正常な発生とがん原遺伝子 なぜ動物はがん原遺伝子を持っているか?
がん原遺伝子は、すべての動物に必要?   発生の過程で、細胞の増殖と分化に重要な役割    発生のプログラムに従って順序よく発現し、発現バランスが取れている   必要なところでタンパクをつくり、後はキチンと抑制されている がん原遺伝子は危険?   がん原遺伝子    がん遺伝子=無軌道に働き出し、正常な生体では                         作られないタンパクを過剰に その結果、細胞間のコミュニケーションがうまくいかなくなり 無秩序な「がん」細胞の自己増殖が始まる

14 癌とどう戦うか? 制(抗)癌剤は、細胞分裂のシステムを阻害する 実際には、細胞分裂の速い細胞なら全て効く
正常細胞の毛根細胞、小腸粘膜の上皮細胞、血液幹細胞などに毒性 脱毛、嘔吐、貧血などの症状を引き起こす 新しいタイプの制癌剤:   免疫作用の増強や細胞分化の誘導   がん細胞に、がん抑制遺伝子を送り込む

15 イモリのパピローマ(皮膚癌) ウサギやマウスに発がん物質を投与すると発がんする 同じ発がん物質をイモリに投与しても発がんしない
癌組織にウイルスの結晶 しっぽを切ると皮膚の癌が消える   「再生」が起こった:体の一部で小規模に発生をやり直している   癌を持つイモリを冬眠状態にすると癌は消える   他の動物にも適応できるか?

16 免疫の威力 免疫:非自己の認識と排除 逆の面(免疫による戦力をもたない)からの考察
魚の免疫   その魚のすむ外界の温度が一定以上ではたらく=自然の調和    病原体(微生物)の変異によって、一定以下の温度でも増える    限られた環境での魚の全滅 アメリカ原住民   1492年以降、スペイン人が持ち込んだ天然痘や ハシカへの免疫能力の欠如    最初の50年間に、原住民の人口が約20分の1に減少

17 免疫機構の司令塔 ヘルパーT細胞 マクロファージ 体内の病原体の偵察 ヘルパーT細胞 マクロファージに病原体の断片を見せられると、 B細胞
  体内の病原体の偵察 ヘルパーT細胞   マクロファージに病原体の断片を見せられると、    この細胞は、情報伝達分子を放出し、    B細胞に抗体を作れと指示 B細胞   このときT細胞はB細胞と「B7」・「CD40」と「CD40」・「CD40リガンド」を    介して接触し、情報伝達物質を手渡す キラーT細胞   感染した細胞には、殺戮細胞のT細胞が働く

18 胸腺物語 ヒトの体の壮大な無駄の実行 骨髄で生まれた未熟なT細胞は、まず胸腺へ 成熟したヘルパーT細胞やキラーT細胞になるべく、
   様々な教育、訓練、選別を受ける ほとんどのT細胞はここで死滅   生き残るのは全体の2~3%、それ以外は死滅  なぜ生命の営みは、こんな無駄をあえて断行するのか

19 無駄こそ安全弁 免疫の役割を担うためには・・・
体内に侵入した外敵を発見し攻撃する   敵を察知する能力や攻撃力の低いT細胞を送り出さない 間違って自分を「敵」と認識するT細胞を作らない   事前に徹底した選別   役に立たない軟弱なT細胞を消滅させる    胸腺は自分でT細胞を殺さない    T細胞が自ら死を選ぶ   アポトーシス(指と指の間の水かき様組織と同じ)

20 アポトーシス(細胞の自殺)の種類 木の葉や花びらが離れて落ちる現象(ギリシャ語)
遺伝子に組み込まれたプログラムによって   おたまじゃくしの尾がしかるべき時期に消滅する現象 外部からもたらされる信号によって

21 体外受精 1978年、イギリスで体外受精児ルイーズ・ブラウンさんが誕生した・・・
2006年12月、ルイーズさん(28歳)が自然妊娠で出産   ルイーズさんの妹ナタリー(体外受精児)も1999年に自然妊娠・出産 2003年8月、本邦で体外受精児が自然妊娠で男児出産   東北大、1984年2月、体外受精により    2726グラムの男児、自然妊娠・出産 2004年までに日本では、13万5000人が生まれている   2004年だけで、1,8168人(2004年出産の1.6%)

22 受精卵をふるいにかける? 「性別」や「遺伝病」を判別する「着床前診断」の功罪?
初期胚の発達途上で1個の細胞を切り離し、遺伝子診断   受精卵には、一部分の細胞が失われても、残りの細胞がその欠落を    補償し、その後の発達を「調整」する能力がある ディシェンヌ型筋ジストロフィー   2~4歳前後で発病、全身の筋肉が萎縮して歩行や運動が困難に   X染色体に原因遺伝子、ほとんどが男性(X染色体1本)に発病   着床前診断:XXなら子宮に、XYなら凍結保存や研究に  「いのち」の選別につながる着床前診断はすべきではない  (デザイナー・ベイビー)

23 遺伝子がもたらす医療新時代 Peering into the future
現在(2007年1月)、遺伝子検査が行われている疾患   遺伝病を中心(単一の原因遺伝子)に1300種以上    乳がん(BRCA)5~10%、大腸がん3~5%にしか変異がない・・万能ではない 遺伝性疾患のリスク評価   新生児を対象に29種類の病気の検査:イソ吉草酸血症(IVA) 着床前遺伝子診断   ハンチントン病(不随意運動や痴呆) 複数の遺伝子が関与する疾患の場合   2型糖尿病、心臓病、アルツハイマー病・・・2010年までに検査法 カスタム医療

24 着床前診断、その是非は? 「賛否両論」生命の選抜につながる・・・読売新聞2007年5月27日
日本遺伝カウンセリング協会での報告   日本筋ジストロフィー協会が2005年に実施した調査(回答者1292人の患者)   筋ジストロフィー患者の約4割(38.0%)が賛成、反対16.9%、    分からない39.9% 「デュシェンヌ型」の着床前診断は承認 遺伝子の異常により発症

25 血液検査だけで「がん」を早期発見 タンパク質やエキソソーム診断ががん治療のカギ?
「がん」などの病気と闘う最善の方法   初期症状を見逃さないこと バイオマーカー(指標)   タンパク質は人体が正常に機能するのに欠かせない    DNAよりはるかに多様で細胞の機能と密接に関わっている    病気に罹ると、タンパク質がその病気特有の生物変化を示す    メラノーマ(悪性黒色腫)や乳がんなどは前駆症状の段階で特有の    タンパク質が生じる   様々ながんに特有なエキソソームの発見 すべての病気のバイオマーカー特定は可能か?   リー・ハートウエル(フレッドハチンソン癌研究所) 3~5年以内に

26 クローン技術で移植臓器はつくれるか? 肝細胞だけあれば肝臓がつくれるわけではない 特徴的な構造をもつ臓器を作り出すことは非常に難しい
移植用臓器の不足   心臓や肝臓、腎臓などに重い障害を抱え、臓器移植を待つ患者は多い 異種移植の可能性   ヒト以外の動物(ブタなど)の臓器を移植につかう    しかし、拒絶反応が・・・      超急性拒絶反応(a-ガラクトース、移植後数分で)      急性拒絶反応(移植後1週間から3ヶ月)      慢性拒絶反応(移植後3ヶ月以降) 2002年1月、a-ガラクトース遺伝子欠損ブタが作出されたが、 拒絶反応抑制は、この先が本番 

27 臓器再生という考え方 1981年 マウスES細胞(embryonic stem cell: ES細胞、胚性幹細胞)
臓器再生という考え方  1981年 マウスES細胞(embryonic stem cell: ES細胞、胚性幹細胞)      マーティン・エバンス(ケンブリッジ大学)  1998年 ヒトES細胞の樹立       ジェームズ・ワトソン(ウィスコンシン大学) 何故、17年もかかったのか? ES細胞:あらゆる組織や臓器の細胞を作り出すことが可能 難治性疾患に対する細胞移植治療などの再生医療が可能になる・・・期待 問題点:  不妊治療で使用されず廃棄予定の受精卵=発生初期の胚=子になる可能性

28 マウスからブタ、そしてヒトへ 1981年 マウスES細胞=生殖細胞への分化能力あり ES細胞の初期胚への導入
将来、体となる細胞と混じり合い、キメラを作る キメラ個体の中で、ES細胞は生殖細胞に分化する そのような生殖細胞を持つ個体が誕生する 個体を交配 ES細胞に由来する生殖細胞から子どもをつくる

29 遺伝子を改変したES細胞をつくることができれば・・・
遺伝子改変個体、とくに遺伝子ノックアウト動物をつくることができる 1989年 ES細胞による遺伝子ノックアウトマウスの作出  その後、ラット、ハムスター、ウサギ、ミンク、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、サルで 作出が試みられた                三好和睦、佐藤英明 畜産の研究 2000 マウス以外では、生殖細胞へ分化するES細胞の作出はできなかった (とくに、ブタとサルで精力的の行われた) ブタで成功すれば、ヒトに移植可能な臓器生産ブタの生産が可能 その後、多くは研究を中止した・・・ なぜ? 遺伝子改変細胞による体細胞クローンの作出が可能となったため ES細胞がなくても遺伝子改変ブタを作ることが可能

30 ES細胞: 患者由来のES細胞の作出は可能か?
世界中で多能性幹細胞の作製法が研究されていた 人工多能性幹細胞 Induced pluripotent stem cell: iPS細胞 体細胞              多能性幹細胞        リプログラミング 2006年 京大 山中教授研究グループ マウスiPS細胞の樹立 2007年 同グループにより ヒトiPS細胞の樹立

31 iPS細胞の作出とその可能性  2000年頃 奈良先端科学技術大学院大学において多能性幹細胞の作出研究開始 レトロウイルスベクター Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc マウスの皮膚(繊維芽)細胞 数週間の培養      リプログラミング 同時期、ヒトES細胞を樹立したトムソン教授 Oct3/4, Sox2, Nanog, Lin28

32 遺伝子導入法な導入遺伝子の改良 レトロウイルスベクター → レンチウイルス、アデノウイルスベクター プラズミドの活用
遺伝子導入法な導入遺伝子の改良  レトロウイルスベクター → レンチウイルス、アデノウイルスベクター プラズミドの活用 c-Myc → L-Mycに

33 血管(動脈と静脈)、リンパ管、支持組織をどのように開発するか?
iPS細胞から組織や臓器を  2013より、ヒトでの安全性の検証が始まる ES細胞と同じ問題が・・・ 小さな肝臓を作ったという報告(Nature 2013 July 25, 499: ) 体外で大きな臓器をつくる   必要とされる細胞への効率的な分化と、   血管(動脈と静脈)、リンパ管、支持組織をどのように開発するか?    大きな臓器を体外でどのように維持するか    ブタの体内で 未分化なES細胞の「がん」の可能性 未分化な細胞と分化した細胞群を見分けられるか?    どのようにすれば未分化な細胞を分化した細胞群から分けられるか?

34 未分化な細胞 何が問題なのか? 胚性幹細胞よりは免疫反応が引き起こされやすい
 Zao et al., Nature 474: , 2011 マウスのiPS細胞で 原因は、未分化なiPS細胞の移植   未分化なiPS細胞は奇形種をつくる → 免疫反応が起こってしまった  iPS細胞作製過程における内在性レトロウイルスの作用

35 Proc Natl Acad Sci U S A. 111(34):12426-12431, 2014.
Dynamic regulation of human endogenous retroviruses mediates factor-induced reprogramming and differentiation potential. Ohnuki M1, Tanabe K1, Sutou K1, Teramoto I1, Sawamura Y1, Narita M1, Nakamura M1, Tokunaga Y1, Nakamura M1, Watanabe A1, Yamanaka S2, Takahashi K3. Pluripotency can be induced in somatic cells by overexpressing transcription factors, including POU class 5 homeobox 1 (OCT3/4), sex determining region Y-box 2 (SOX2), Krüppel-like factor 4 (KLF4), and myelocytomatosis oncogene (c-MYC). However, some induced pluripotent stem cells (iPSCs) exhibit defective differentiation and inappropriate maintenance of pluripotency features. Here we show that dynamic regulation of human endogenous retroviruses (HERVs) is important in the reprogramming process toward iPSCs, and in re-establishment of differentiation potential. During reprogramming, OCT3/4, SOX2, and KLF4 transiently hyperactivated LTR7s--the long-terminal repeats of HERV type-H (HERV-H)--to levels much higher than in embryonic stem cells by direct occupation of LTR7 sites genome-wide. Knocking down LTR7s or long intergenic non-protein coding RNA, regulator of reprogramming (lincRNA-RoR), a HERV-H-driven long noncoding RNA, early in reprogramming markedly reduced the efficiency of iPSC generation. KLF4 and LTR7 expression decreased to levels comparable with embryonic stem cells once reprogramming was complete, but failure to resuppress KLF4 and LTR7s resulted in defective differentiation. We also observed defective differentiation and LTR7 activation when iPSCs had forced expression of KLF4. However, when aberrantly expressed KLF4 or LTR7s were suppressed in defective iPSCs, normal differentiation was restored. Thus, a major mechanism by which OCT3/4, SOX2, and KLF4 promote human iPSC generation and reestablish potential for differentiation is by dynamically regulating HERV-H LTR7s.

36 バイオリアクターとしての家畜 家畜の臓器は医薬品となる生理活性物質の宝庫である
バイオリアクターとしての家畜   家畜の臓器は医薬品となる生理活性物質の宝庫である  成長ホルモン遺伝子の導入では、期待通りの成果を得ることは出来なかった その技術は成長し続け、家畜をタンパク質生産工場「バイオリアクター」として活用 単に、タンパク質を多量に生産し、精製するには大腸菌などが安価 医薬品などの生理活性物質は、そのタンパク質が糖と結合したり、独特の高次構造   大腸菌などには無理  生理活性物質の乳汁中への分泌  ヒト生理活性タンパク質の遺伝子    乳腺特異的な遺伝子発現    細胞外へ乳汁として分泌することに関わる遺伝子も融合 このコンストラクトを受精卵に導入

37 全世界における医薬品の年間必要量とその量を生産するために 必要な遺伝子導入家畜の総数
タンパク質           年間必要量     遺伝子導入家畜                     (kg) 動物種    頭数  ヒト血清アルブミン A1 プロテアーゼインヒビター モノクローナル抗体 アンチトロンビンIII 組織プラズミノーゲン アクチベータ 第IX因子 100000 100 75 2 ウシ ヤギ 3400 1800 36 27 1

38 遺伝子導入家畜による医薬品生産の実際と課題
遺伝子導入家畜による医薬品生産の実際と課題  医薬品の候補となる生理活性物質とそれをつくる遺伝子の選定  選定された遺伝子コンストラクトのマウスへの導入・結果など 次に、ウシやヤギへの導入 性成熟、交配、分娩、そして搾乳=生理活性物質の産生   ここまで最低3年 採取した乳汁から標的タンパク質(生理活性物質)の精製   医薬品として利用可能かどうか   数年から十数年=医薬品産生までの期間が長い ウシやヤギは単胎動物=遺伝子導入家畜の増産にはさらに時間が

39

40 家畜やサルの臓器のヒトへの移植例 発表年 ドナー 移植臓器 移植結果 1906 1963 1964 1984 1992 1993 ヤギ、ブタ
発表年    ドナー      移植臓器        移植結果       1906 1963 1964 1984 1992 1993 ヤギ、ブタ チンパンジー ヒヒ ブタ 腎臓 心臓 肝臓 壊死したため3日後に取り出す 短期的な生着 4時間機能 20日間生存 70日間生存 34時間生存 26日間生存 佐藤英明 アニマルテクノロジー2003

41 ヒトに移植可能な臓器生産ブタ 臓器提供数の伸び悩み(限界) 免疫抑制剤の開発
ヒトに移植可能な臓器生産ブタ  臓器提供数の伸び悩み(限界) 免疫抑制剤の開発   6-メルカプトプリン、アザチオプリン、シクロスポリン、FK506など ヒトへの臓器移植は、できるだけ近縁の動物に越したことはない  サル:繁殖は難しい、繁殖技術が発達しても需要を賄うだけの数の用意は無理  国際移植学会での倫理委員会:  1.臨床応用の前に十分な動物実験を行い、成功の可能性が示されていること  2.準備の十分整っているグループにより行われること  3.国、地域、施設などの倫理委員会で承認が得られていること  4.レシピエントのインフォームドコンセントが得られていること  5.動物愛護の精神に留意すること

42 なぜブタか: 1.ヒトに適した大きさの臓器が得やすい 2.家畜や実験動物としての歴史が長い 3.疾患についての解明が進んでいる
 1.ヒトに適した大きさの臓器が得やすい  2.家畜や実験動物としての歴史が長い  3.疾患についての解明が進んでいる  4.飼育に必要なスペースが比較的小さくて良い  5.一年中繁殖が可能で多産である  6.ブタ飼育が産業となっている  7.心臓・血管系において、解剖学的にも生理学的にもヒトに近い  8.悪性腫瘍の発生率が低い  9.末梢血球数やその大きさがヒトに近い、ヒトと同じ雑食性で血液生化学値や    電解質の平均値がヒトの正常値に近い 10.ヒトの肝不全の治療にすでにブタの肝細胞を用いた実績がある


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