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Published by伏 向 Modified 約 7 年前
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労働運動への発信 ryo-sato@hyper.ocn.ne.jp
Common Sense No.14 社会保障費の半分が年金給付金。 年金改革の論点を学ぶ。 「少子高齢化社会の社会保障論」 田中きよむ 労働運動への発信
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少子高齢化の意味すること 高齢化と少子化はメダルの裏表の関係。高齢者人口が増加しても、それと同程度に年少人口が増加するならば、人口に占める高齢者人口の比重は高まらず、高齢化は進まない。高齢者人口の増加と年少人口の減少の同時進行が人口の高齢化を促進する。 15~49歳までの年齢別出生率の合計。1人の女性が生涯において平均的に出産する子どもの数。 平均寿命(2009年) 男79.59 女86.44 〔高齢化〕 〔少子化〕 ●65歳人口が7%以上-高齢化社会(1970年) ●14%台-高齢社会(1994年) ●21%を超える社会-超高齢化社会(2009年) 年 合計特殊 出生率 1947年 4.59 1957年 2.04 1966年 1.58 1973年 2.14 1989年 1.57 1997年 1.39 2003年 1.29 2005年 1.26 2006年 1.32 2007年 1.34 2008年 1.37 2009年 人口を維持するための水準は2.08前後。 アメリカ2.09 (08)フランス1.99(09 )イギリス1.90(07)スウェーデン1.88(07)ドイツ1.37(07)イタリア1.37(07) 65歳以上の男性労働力率(2007年) 日本-29.8% アメリカー20.5% イタリア-6.1% ドイツ-5.3% (「高齢社会基礎資料」10年版、エイジング総合研究センター) 1966年は丙午 1989年1.57ショック 薄れる同居介護の基盤 少子化の原因 生活・医療水準の向上 女性の学歴・雇用・経済力の向上 結婚・出産に対する価値観の多様化 子どもの「列島財」化 出産・育児をめぐる機会費用の増加 年 65歳以上の子との同居 単身・夫婦のみ世帯 世帯平均人員 1980年 60.0% 28.1% 3.24 1990年 59.7% 2.98 2000年 49.1% 2.66 2008年 44.1% 52.0% 2.40
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国民所得(賃金と利潤の総和)に対する税金+社会保険料の割合を国民負担率という。2007年は40%である。他方、社会保障費の国民所得比は24
国民所得(賃金と利潤の総和)に対する税金+社会保険料の割合を国民負担率という。2007年は40%である。他方、社会保障費の国民所得比は24.4%である。この意味は、国民所得の4割程度が保険料、税金で徴収され、そのうち6割程度が社会保障費に使われているということである。そして社会保障費の半部が年金給付金である。 実額 社会保障給付費 91兆4,305億円 (2007年度) 年金給付費 48兆2,735億円(52.8%) 医療給付費 28兆9,462億円(31.7%) 他給付費 14兆 2,107億円(15.5%) (介護保険給付費 6兆3,727億円 7.0%) ●国民負担率 2011年度38.8% ●社会保障負担率16.8% (10年度実績見込み) 財務省発表11.2.4時事 〔年金システムの制度分析〕 支給事由別(給付目的別) ●老齢年金-退職後の収入不足を補う。6065歳から支給。 ●障害年金-障害にともなう稼働収入の不足や支出の増加を補う。20歳以上。 ●遺族年金-主な生計稼得者の死亡に伴う収入不足を補う。配偶者、18歳未満の子。 職域別の年金の種類 ●国民年金-加入義務付けは自営業者、農林漁業従事者、20歳以上の学生。被用者で ない立場にある成人。 ●厚生年金-民間企業労働者が加入する。 ●共済年金-公務員、私立学校教職員が加入。 被用者年金
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老齢年金制度の支給開始年齢 〔基礎年金の構造〕 60歳 → 65歳 → 死亡 (給付水準) 報酬比例部分 報酬比例部分 1999年度改革→
〔基礎年金の構造〕 60歳 → 歳 → 死亡 (給付水準) 報酬比例部分 報酬比例部分 =現役時の給与水準に比例 1999年度改革→ 定額部分 基礎年金 1994年度改革→ =加入(納付)期間に比例 段階的廃止 20歳~59歳までの40年間 満額年金は66,008円 1986年(昭和61)から国民年金は「基礎年金」と呼ばれる。 被用者年金者(民間労働者、公務員)も国民年金に同時に加入し、20歳以上60歳未満の国民はすべて加入が義務付けられ、国民共通の基礎年金となった。 1人1年金の原則-9種類-基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金・老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金・退職共済年金・障害共済年金・遺族共済年金 厚生年金 3,444万人 共済年金 447万人 第1号被保険者-毎月、定額の保険料を自主納付。 第2号被保険者-毎月、賃金から定額の保険料が天引き。基礎年金保険料が含まれている。 第3号被保険者-第2号に扶養される配偶者。年収130万円未満、配偶者収入の1/2未満、3/4時間未満労働者。保険料納付は免除。 国民 (基礎) 年金 第1号被保険者 2,001万人 第3号被保険者 1,044万人 第2号被保険者 (3,892万人)
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人口構造の変化に対応し、負担と給付をめぐる年金制度の見直しが行われた
近年の年金政策 少子化は負担人口の減 高齢化は受給人口の増 年金扶養比率(08年) 基礎年金-2.67 厚生年金-2.74 (被保険者数:受給権者数) 制度改革は ①負担の側の保険料引き上げ、②受給の側の支給繰り延べや給付抑制が焦点となった。 ●1985年(昭和60年)-基礎年金制度の導入 ●1989年-学生強制加入 ●1994年-60歳代前半の定額部分の段階的廃止 ●1999年-60歳代前半の報酬比例部分の段階的廃止 ●2004年-保険料固定方式、マクロ経済スライド方式、夫婦間の年金受給権分割制の導入 1.保険料固定方式〔2004年改革〕-保険料を将来的に固定し、その枠内で給付を抑制する。 基礎年金 13,300円(2004年度)→16,900円(2017年度)、毎年280円の引き上げ。 厚生年金 13.58%(2003年度、ボーナスからも同率徴収)→18.3%(2017年度、毎年0.354%の引き上げ、 2011年8月現在16.058%) 問題点 少子化により、「固定」された保険料自体が上方修正される可能性。 継続的な引き上げに被保険者が応じ切れるか。 給付抑制により、基礎年金が老後の生活保障機能が損なわれないか。 2.支給開始年齢の繰り延べ〔1994年改革〕-定額部分と報酬比例部分の段階的廃止された。60代前半の年金が受けられない。5年間の支給停止はそれだけ財政支出を抑制することになる。 2004年-高齢者雇用安定法。実際は経済雇用制度が多い。 老後の生活に公的責任を維持する立場から、65歳以上の定年を一般化し、年金支給開始年齢との空白期間を埋める必要がある。
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4.国庫負担率の変更と年金一元化ー〔1999年改革の付則〕-基礎年金の「国庫負担率
3. 給付抑制-〔1985年改革から20年かけて実施〕〔1999年改革〕-新規受給者の5%カット、賃金スライド制廃止。物価下落率に合わせたマイナススライドの実施(2003年度から) 「保険料固定方式」と「マクロ経済スライド〕の導入により、モデル世帯の年金水準は2004年の現役世代の手取り収入の59.3%から2023年度以降、50.2%に引き下げられる。 少子化の前提が変われば、さらに給付水準が抑制される。 4.国庫負担率の変更と年金一元化ー〔1999年改革の付則〕-基礎年金の「国庫負担率 1/3を2004年までに1/2に引き上げる」と明記している。5兆8,000億円→8兆5,000億円。2009年6月 の国民年金改正法で同年から引き上げられた。 ●基礎年金全体を税方式化-報酬比例部分の改革とセット。年金のミニマム保障に対する公的責任は明確になるが、移行に相当時間がかかる。 ●報酬比例部分も含め、年金全体の一元化-民主党のマニフェストは、一元化を前提とする保険方式の「所得比例年金」をベースにして、消費税を財源とする最低保障年金(上限7万円)を補足給付するというもの。2013年度関連法案提出となる。 完全一元化は職域に関係なく負担に応じて給付が得られるという明快さがある。 最低保障年金が補足的に給付されるすべての国民に最低水準が保障される。 所得をベースとするので所得捕捉率の違いによる職域間の負担の不公平が生じる。 5.第3号被保険者制度-年金保険料負担者の拡大の方法。 肯定論 ・能力に応じた負担 ・世帯単位では専業も共働きも負担は同じ ・家庭労働の評価 批判論 ・専業主世帯は相対的に恵まれている ・免除分を共働き夫婦、独身者が負担している ・ 女性の社会参加に歯止めをかけている 2004年改革で年金受給権の夫婦分割制が採用された。(報酬比例部分のみ)
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6.財政方式 ●積立方式-個人の現役時の負担と将来の給付を均衡させる。自分の過去の保険料積立金とその運用益のみで将来の自分の給付を賄う。自己責任型の財政方式。 ●賦課方式-世代軸に沿って負担と給付のバランスをとる考え方。時間軸の一点を年度で切り取った場合、ある年度の高齢世代に必要な給付財源をその年度の現役世代の保険料負担ですべて賄う。世代間扶養型の財政方式。 賦課方式 少子高齢化の影響を受けない。インフレ等の不確実性への対応が困難。 老齢世代 (世代) 受給 積立方式 負担 受給 年金価値の目減りを現役に賦課できる。世代間の不公平を生じる。 負担 若年世代 (時間) 現役時 退職時 日本は積立方式で制度が発足したが、保険料を引き上げず、予想以上の高齢化で給付対象者や給付期間が増大し、賦課方式の要素が強まってきた。現在の受給世代の年金額の8割程度が現役世代からの移転による。賦課方式に重点化する形で修正された積立方式である。なお、積立金運用赤字額が12兆5,731億円である。 研究者は、基礎年金の完全税方式を前提に、報酬比例部分の賦課方式重点型から完全積立方式への転換を求める考え方が強い。基礎年金部分の公的責任(公助)を重点化しつつ、報酬比例部分を自己責任化(自助)するもの。 A : 国営、強制加入のまま積立方式とする B : 強制加入を維持するが民営化する 現役世代に「2重の負担」が生じる。
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年金改革の方向 「少子高齢化の社会保障論」田中きよむ(中央法規)
年金改革の方向 「少子高齢化の社会保障論」田中きよむ(中央法規) 年金の公共性を考えると年金の最低保障部分を確定し、国民全体に基礎年金を普遍的に保障することが必要となる。それまでの給付実績は受給権に反映させつつ、低年金者には生活保護水準がクリアできるような補足的給付を一般財源で行なうことが考えられる。 第3号被保険者制度の廃止。 第1号被保険者または第2号 被保険者に結合していく。 (同一の免除・給付算定基準 への全体的統一、低収入の場合、労使双方の負担を考慮した軽減保険料率の設定)同一労働同一賃金にもとづくパート労働者の労働条件の見直し、厚生年金の加入基準の見直しが必要。生活保護を下回る部分は補足的給付を行なう。 基礎年金部分の上乗せ給付。これから保険料を納付する世代を中心に完全積立方式に移行する。「給付調整」措置が必要である。 サラーマンと公務員-所得に応じた定率保険料が所得税の一部を年金目的税化し、給付実績にリンクした給付を行なう。 自営業者-基礎年金(最低保障年金として補足)に対する上乗せの定額負担を任意で求め、その給付実績にリンクした給付を行なう。 国民年金の納付率-60.0%(2009) 空洞化が進み、老後の最低保障生活が果たせなくなっている。 60歳単身世帯の保護基準は月額79,530円(2010年、冬期加算を除く生活扶助費)との差額を補足給付する。
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