目的 　成人喫煙率は、男性喫煙率が30％台となるなど、全体に減少傾向にはあるが､若い女性や未成年者の喫煙対策が課題となっている。特に､妊婦の喫煙は､胎児や乳児に深刻な影響を与え、有効な対策が急務である。 　本日は昨年に引き続き洲本市における妊婦喫煙の状況と、加えて、出生体重に対する妊婦喫煙や受動喫煙の影響について報告する。

Presentation on theme: "目的 　成人喫煙率は、男性喫煙率が30％台となるなど、全体に減少傾向にはあるが､若い女性や未成年者の喫煙対策が課題となっている。特に､妊婦の喫煙は､胎児や乳児に深刻な影響を与え、有効な対策が急務である。 　本日は昨年に引き続き洲本市における妊婦喫煙の状況と、加えて、出生体重に対する妊婦喫煙や受動喫煙の影響について報告する。"— Presentation transcript:

1 目的 　成人喫煙率は、男性喫煙率が30％台となるなど、全体に減少傾向にはあるが､若い女性や未成年者の喫煙対策が課題となっている。特に､妊婦の喫煙は､胎児や乳児に深刻な影響を与え、有効な対策が急務である。 　本日は昨年に引き続き洲本市における妊婦喫煙の状況と、加えて、出生体重に対する妊婦喫煙や受動喫煙の影響について報告する。

2 妊婦相談や乳児健診会場の洲本市健康福祉館
淡路市 洲本市 南あわじ市 妊婦相談や乳児健診会場の洲本市健康福祉館 （健康福祉部や応急診療所もある）

3 方法１ 平成13年4月より、洲本市に妊娠届を提出した全ての妊婦に対し､喫煙や受動喫煙の状況、喫煙の害に関する知識などについての調査を、自己記入式で実施した。調査対象数は平成13年4月～平成21年6月の8年間、3,200名であった。　 有効回答数 2,933（91.7％）

4 方法２ さらに、平成14年6月より、乳児健診（４か月児対象）で受診したすべての母親に喫煙状況と喫煙の害に関する知識についての調査を、自己記入式で実施した。

5 平成20年度 妊娠初期喫煙率 17．6％ 妊娠届出時喫煙率 5.5％
結果 妊婦喫煙率 妊娠初期（最終月経時）喫煙率と妊娠届出時喫煙率 平成20年度　妊娠初期喫煙率　17．6％　妊娠届出時喫煙率　5.5％

6 乳児（4か月）健診時にわかった 妊娠届出時の喫煙歴自己申告の矛盾 ■ 喫煙していないと答えたのに実は喫煙していた
（妊娠届出時と乳児健診時のデータがある1352人対象） ■　喫煙していないと答えたのに実は喫煙していた ３．１％（１０３７人中３１人） ■　喫煙していると答えたのに実は喫煙したことはなかった ０％ ■　妊娠届出時に喫煙していたがその後妊娠中に禁煙した １７．２％（９３人中１６人）

7 対象：平成13年4月～平成19年6月に妊娠届を提出し、出産後4か月健診時のデータが追跡可能な1,438人
妊娠時期による妊婦喫煙率の推移 対象：平成13年4月～平成19年6月に妊娠届を提出し、出産後4か月健診時のデータが追跡可能な1,438人 （4か月健診時の回答で補正したデータ） つまり喫煙したことのない妊婦　69.9％ 問題となる妊娠初期喫煙妊婦　24.8％ 禁煙できた妊婦の再喫煙率22.8％ 禁煙継続率は喫煙妊婦の60.8％ 喫煙妊婦のうち78.7%が禁煙

8 妊娠期間中のタバコ煙が、低出生体重リスクを高める
妊婦喫煙と出生体重 n=1,349人 （多胎22例除く．年齢未調整） 妊娠期間中のタバコ煙が、低出生体重リスクを高める 本数別には見た目は体重差があるようだが有意差はなかった。 非喫煙と喫煙、妊娠後禁煙と喫煙の間に有意差があった。つまり出生体重に関しては妊娠初期の喫煙は影響が少なく、妊娠期間通じての喫煙が影響を与えることが示唆される。 「妊娠期間中」というのが重要。つまり、「非喫煙」でも妊娠期間中にタバコ煙を浴びる「受動喫煙」は出生体重に影響を与える可能性が示唆される。

9 年齢に有意差がある → 出生体重の比較のために年齢調整が必要
妊婦喫煙と年齢 n=1,352人 年齢に有意差がある　→　出生体重の比較のために年齢調整が必要 * p<0.05　*** p<0.001 出生体重に影響を与える妊婦の年齢に差があるかどうか検定しました。Post-hoc test（Sheffe‘s Ftest）の結果、妊婦の喫煙状況と年齢に有意な差があることがわかりました。そのため、出生体重の検討を行う前に年齢調整を行いました。妊娠前の38人に合わせて年齢調整を行いました。

10 受動喫煙は、喫煙以外との間に、有意差があった
妊婦喫煙と出生体重 ※　年齢調整後 *** p<0.001 受動喫煙は、喫煙以外との間に、有意差があった もっとも人数が少ない「妊娠前」38例に合わせて年齢調整した上で分析した。年齢調整後、年齢に有意差がないことを確認済み。

11 「外だけ」のみ「喫煙」との差があったが、他の対策は差がなかった
受動喫煙対策と出生体重 （同居喫煙者あり妊婦） ※　年齢調整後 62 n=137 169 101 85 59 「外だけ」のみ「喫煙」との差があったが、他の対策は差がなかった もっとも数が少ない「空気清浄機」群59例にあわせて再度年齢調整したデータをもとに解析した。（そのため直前スライドと数値が異なる） 年齢調整後、年齢に有意差がないことを確認済み。

12 同居喫煙者がいる割合 同居者に喫煙者がいる割合は減少が続いているが、男性喫煙率の減少によるものであろう　（同居喫煙者のうち89.5%は夫である）

13 同居喫煙者の喫煙方法/場所 妊婦の同居喫煙者のうち、どこでも吸っている割合が減少する一方、家の外で吸う割合が増加傾向にある。換気扇はまだ使用割合が高いが、空気清浄機は減少傾向にある。今後、受動喫煙に無頓着な喫煙者が禁煙しないで残ると、改善は足踏みする可能性も。

14 喫煙の害啓発のパンフレット 平成15年1月から3大有害知識（ＳＩＤＳ、先天異常、知能低下）や受動喫煙の害についてのパンフレットを、全ての妊婦と４か月健診時の母親に配布している。

15 考察 ● 妊婦自身の喫煙も、非喫煙妊婦の受動喫煙も、低出生体重のリスクとなる
●　妊婦自身の喫煙も、非喫煙妊婦の受動喫煙も、低出生体重のリスクとなる ●　受動喫煙状況の改善は認められるものの、今後、さらに啓発が必要である ●　妊婦の喫煙について、虚偽申告が少なくとも３％あった ●　現在、淡路島３市（淡路市、洲本市、南あわじ市）での妊婦喫煙および乳児受動喫煙調査を実施している。 参考　：　 洲本市禁煙専門外来&禁煙支援センターホームページ