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ディジタル信号処理 Digital Signal Processing
第05講 周波数特性 離散フーリエ変換
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2.2 周波数特性 周波数特性( frequency characteristic またはfrequency property) とは、周波数と何らかの物理量との関係を表したものである。f 特(エフトク)と呼ばれることもある。 信号処理の分野では、時間領域信号をフーリエ変換したもの、すなわち周波数領域信号を周波数特性と呼ぶ。 電気・電子回路や電子機器においては、周波数特性は温度特性と並んで重要な特性である。周波数特性の評価にはスペクトラムアナライザやネットワークアナライザが用いられる。無線機の場合は、測定者が通信周波数を変えながら測定をおこないグラフ用紙にプロットするか、パーソナルコンピュータを組み合わせて自動測定をする。
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2.2.1 離散時間正弦波信号 A:振幅 x(nT)=Acos(nωT+θ) ω:角周波数(点を結んだ包絡線の)
2.2.1 離散時間正弦波信号 θを変えればcosもsinも同じ A:振幅 ω:角周波数(点を結んだ包絡線の) θ:位相 x(nT)=Acos(nωT+θ) x(nT)=Asin(nωT+θ)
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オイラーの公式を用いると ej(nωT+θ) + e-j(nωT+θ) cos(nωT+θ)= 2
ej(nωT+θ) ー e-j(nωT+θ) sin cos(nωT+θ)= 2 ej(nωT+θ) = cos(nωT+θ) +jsin cos(nωT+θ)
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例題 x(nT)=sin(0.1πn) の周波数を求めよ。 ただし,T=0.001 s とする。
離散時間信号とアナログ信号では周波数は異なるであろうか。 x(nT)=sin(nωT)と表される ωT=0.1π→ω= 100π rad/s → f=50 Hz T=0.002 s の場合は, ω= 50π rad/s → f=25 Hz サンプリング間隔が変われば周波数が変わる
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2.2.2 周波数特性 正弦波信号(離散時間信号)が入力されたときのふるまいについて考える。
2.2.2 周波数特性 正弦波信号(離散時間信号)が入力されたときのふるまいについて考える。 アナログ系では出力は振幅が変わったり,位相が変わったりする。これを周波数特性と称した。(横軸ωまたはfとし,縦軸出力振幅のグラフと縦軸位相のグラフを合わせて描いて検討した) 離散時間信号系でも同じ手法で解析する。 インパルス応答から周波数特性を求める方法を学ぶ。
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(単位)正弦波信号 x(t)=ejωt 離散時間信号系では x(nT)= ejωnT ejωnT を入力とし,インパルス応答がh(nT)である系の出力は次のようになる。(計算はテキスト) y(nT)=ejωnT*H(ejωT) (4.13) すなわち,H(ejωT)は,入力ejωnTに対する伝達度を意味する。 周波数特性(frequency characteristic)と呼ぶ。
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式(2.46)
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H(ejωT)をさらに変形すると, 式(2.48)になる。 H(ejωT)=Σh(kT) e-jωkT (k=-∞~∞)
=| H(ejωT) | ejθ(ω) =M(ω) ejθ(ω) (2.48) これをみると, ① M(ω)はH(ejωT) の大きさ→振幅特性 ② θ(ω)はH(ejωT) の偏角→位相特性 k=-∞~∞の代わりにk=0~∞でもよい frequency characteristic 周波数特性 amplitude characteristic 振幅特性 phase characteristic 位相特性
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振幅2乗特性 | H(ejωT) |2
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例題2.7 周波数特性を求めよ y(nT)=x(nT)+by(nT-T)
インパルス応答は,n=nにおいて y(nT)=bnであるから h(nT)=y(nT) =bnとなる H(ejωT)=Σh(nT) e-jωnT=Σbne-jωnT =Σ(be-jωT)n =1/(be-jωT) これより,振幅特性,位相特性は
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正規化周波数はさておいて, 周波数特性を図示してみる
b=0.6 T=1 s とする
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群遅延特性 τ(ωT)=-dθ(ω)/d(ωT)
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例題2.8 y(nT)=x(nT)+by(nT-T) で表されるシステムに x(nT)=cos(nωT) を入力したときの応答y(nT) を求めよ
前の例題で求めた振幅特性と位相特性を用いて
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2.2.3 離散時間フーリエ変換 Discrete-Time Fourier Transform
Impulse responseをひとつの離散時間信号と見なしたとき,角周波数ωの正弦波成分がどれだけ含まれているかを表した式(2.45) h(nT)をH(nT)に対応させる変換式(2.62) これを離散フーリエ変換とする
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離散時間フーリエ逆変換 Inverse Discrete-Time Fourier Transform
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2.2.4 正規化周波数 正規化角周波数 離散時間信号は,サンプリング周期Tが異なると周波数が違ってくる
2.2.4 正規化周波数 正規化角周波数 離散時間信号は,サンプリング周期Tが異なると周波数が違ってくる サンプリング周波数fsを fs=1Hz(T=1s)になるように変換(正規化)して簡単明瞭化をする 周波数f,正規化された周波数F,サンプリング周波数fs,の関係は,F=f/fs(f=F・fs)となる f=fsの場合,F=1となる 離散時間信号の周波数特性には,周期性,対称性があるが,対称軸のFの値は2の倍数となる
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例題2.9 fs=16kHzの場合,f=320Hz の正規化周波数を求める
比例問題
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例題2.10 fs=22kHzの場合,F=0.1に対応する周波数fを求める
比例問題
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例 インパルス応答がわかっているとき, 周波数特性を調べる
例 インパルス応答がわかっているとき, 周波数特性を調べる h(nT)=enαの場合の周波数特性を求める ただし,α<0,n<0におけるh(nT)=0とする
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参考知識 デシベル デシベル (decibel, dB) は,電気工学や振動・音響工学などの分野で使用される無次元の単位
ある物理量を基準となる量との比の対数によって表すことをレベル表現という 対数として底が10である常用対数を採る場合の単位がベル(bel, B)と定義される。 すなわち、ある基準量 Aに対する B の比がx ベルであるとき の関係がある。 このベルで表される量を10倍したものを表すために、ベル[B]に10-1を意味するSI接頭辞であるデシ[d]を付けた単位が、デシベル[dB]である。
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ベル氏・・・電話発明、ベル研究所 ベル:比の値を真数でなく常用対数で表すときの単位・・・ベル氏に由来 log(出力/入力):出力は入力の△△倍・・・○○[B] dB:実際はデシベルを使う(気圧でパスカルでなくヘクトパスカルが使われるように) 10×log(出力/入力):出力は入力の△△倍・・・◎◎[dB] パワーは10×logだが、電圧や電流は20×logになる・・・電圧や電流の2乗が電力の次元になるから ちなみに,対数の底をe(= ・・・)とする自然対数の場合はネーパ(neper, ネーパー、ネイピア、ネーピアとも、記号 : Np) 国際単位系 (SI) においては、「SI と併用されるが SI に属さない単位」とされている。その名前は、スコットランドの数学者で、対数を発明したジョン・ネイピアに因む。
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絶対デシベル 比べる元(分母)が決まっている
デシベルは本来二つの電力の比を表す次元のない量であるが、工学では慣習により絶対基準値を定めて絶対単位として使うことが広く行われている。 dBSPL (Sound Pressure Level) dBSIL (Sound Intensity Level、音の強さレベル) dBm dBv dBu dBV dBs dBi dBμ dBμEMF、dBμ(emf)
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dBSPL (Sound Pressure Level)
音を構成する空気の圧力の実効値である音圧のレベルを表し、2×10-5Pa を基準値 (0dB)とする。 120デシベル ・飛行機のエンジンの近く 110デシベル ・自動車の警笛(前方2m)・リベット打ち 100デシベル ・電車が通るときのガードの下 90デシベル ・犬の鳴き声(正面5m)・騒々しい工場の中・カラオケ(店内客席中央) 80デシベル ・地下鉄の車内・電車の車内・ピアノ(正面1m) 70デシベル ・ステレオ(正面1m、夜間)・騒々しい事務所の中・騒々しい街頭 60デシベル ・静かな乗用車・普通の会話 50デシベル ・静かな事務所・クーラー(屋外機、始動時) 40デシベル ・市内の深夜・図書館・静かな住宅の昼 30デシベル ・郊外の深夜・ささやき声 20デシベル ・木の葉のふれあう音・置時計の秒針の音(前方1m)
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dBm 1mWを0dBとしたもの。例えば、600オームの抵抗負荷に1mWの電力を供給するのに必要な交流電圧は、約0.775Vrmsである。
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dBv,dBu 0.775Vを0dBとしたもので、電圧の強さをdBで表したもの。負荷のインピーダンスは無関係。主に業務用オーディオ機器で利用される音声信号レベルの基準。
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dBV, dBs 1Vを0dBとしたもので、電圧の強さをdBで表したもの。負荷のインピーダンスは無関係。主に家庭用オーディオ機器で使われる音声信号レベルの基準。通常のマイクロホン出力が-40dB(10mVrms)~-50dB(3mVrms)程度。
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dBμ 1μVrms(0.000001Vrms)を0dBとしたもの。主に無線通信の分野で使用される。
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dBμEMF,dBμ(emf) 無線通信の分野で高周波信号発生器(SG)の出力電圧を表現する場合、SGの出力を信号源インピーダンスで終端したときの電圧(終端電圧)で表現する場合と、SGの出力を開放したときの電圧(開放電圧)で表現する場合があり、両者は6dBの差があるため、開放電圧で表現する場合は、dBμに続けてEMF(Electro Motive Forceの略)と付記するか、別に説明する必要がある。例えば50Ωの場合、113dBμEMFと107dBμはどちらも同じであり約0dBmである。 日本では、業務用無線機やPDC方式携帯電話機でdBμEMFが使われることが多い。米国やアマチュア無線ではdBμが使われることが多い。規格や仕様でEMFが省略されて書かれていることもあるため注意が必要である。例えば、-6dBμの受信感度の業務無線機と、-12dBμの受信感度のアマチュア無線機は、どちらも同じ受信感度であるが、アマチュア無線機のほうが受信感度が良いと誤認するおそれがある。dBmで表示すれば間違うおそれはない。
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相対デシベル 比べる元が決まっていない 10×log(出力電力/入力電力) 20×log(出力電圧/入力電圧)
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