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2012 口腔微生物学  10月9日 口腔微生物学講座;前田伸子.

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1 2012 口腔微生物学  10月9日 口腔微生物学講座;前田伸子

2 セッション1; フローラとしての歯垢 Ⅰ 口腔微生物学概論 2 歯垢

3 学習目標 ① 歯垢の潜在的病原性を説明する。 ② 口腔感染症の特徴を列挙する。 ③ 内因感染を説明する。
① 歯垢の潜在的病原性を説明する。 ② 口腔感染症の特徴を列挙する。 ③ 内因感染を説明する。 ④ 歯科の2大疾患とは何かを説明する。 ⑤ 代表的なう蝕原因名を挙げる。 ⑥ 代表的な歯周病関連菌名を挙げる。 ⑦ 歯肉縁上と縁下の環境の違いを説明する。 ⑧ 歯石とはなにか、説明する。 ⑨ 歯肉縁上歯石と縁下歯石の違いを説明する。

4 歯垢の潜在的病原性

5 表に明らかに出るほどの強い病原性はないが、ある条件・状態になると病原性を発揮するということ
歯垢の潜在的病原性とは 潜在的;中に潜んでいること 表に明らかに出るほどの強い病原性はないが、ある条件・状態になると病原性を発揮するということ

6 歯垢には何百種類もの細菌が歯垢1mgあたり1億個も存在する
培養できないものも加えると2000種?

7 潜在的病原性があるということは 病原性を持つ微生物が存在する
う 蝕 酸を産生する タンパク分解酵素 LPS 溶血毒 歯周病

8 代表的なう蝕原性細菌 Streptococcus mutans
酸を産生する 硬組織を脱灰

9 代表的な歯周病関連細菌Porphyromonas gingivalis
タンパク分解酵素 LPS 溶血毒 歯周組織を傷害

10 その他の口腔感染症; カンジダ症の原因真菌 Candida albicans
タンパク・多糖体 分解酵素を持つ 粘膜を傷害

11 口腔内の感染症はほとんど 全てが内因感染症
常在微生物によって起こる感染症 内因感染症 口腔内の感染症はほとんど 全てが内因感染症

12 内因感染症はKochの原則に当てはまらない
1 その病原菌は、その疾患の全ての症例から、その病巣と関連して見いだ   さなければならない。 2 その病原菌は、他の疾患から偶然あるいは無害な寄生体として見いだされ   てはならない。 3 その病原菌は生体外で純培養され分離された後、感受性のある動物に接種   したとき、同じ疾患を起こさなければならない。 4 その病原菌を接種した動物から、その病巣と関連して、その病原菌が分離   されなければならない。

13 内因感染症としての 口腔感染症;その特徴 ① 複数の微生物が感染症の現場に 存在する ② 場合によっては原因微生物の置 きかわりが起こる ③ 免疫反応が必ずしも治癒に結び つかない

14 複数の微生物が感染症の現場に存在する

15 場合によっては原因微生物の置きかわりが起こる
エナメル質齲蝕 象牙質齲蝕

16 場合によっては原因微生物の置きかわりが起こる
歯髄炎 根尖病巣

17 生体防御に働く炎症反応も免疫反応も両刃の刃である
免疫反応が必ずしも治癒に結びつかない 生体防御に働く炎症反応も免疫反応も両刃の刃である 炎症反応;組織を傷害 免疫反応;アレルギー反応として病巣      を進展させる 歯周組織とくに 歯槽骨を吸収

18 根尖病巣部の骨吸収も 歯周組織の骨吸収を同じメカニズム

19 根尖病巣は細菌の集団と局所の防御 反応の戦いのフロントライン
根尖病巣は細菌の集団と局所の防御  反応の戦いのフロントライン     ここで起こる免疫反応= III,IV型アレルギー反応 5

20 生態系から見る歯科の 二大疾患 歯科の二大疾患 う蝕と歯周病

21 病原性を考えるうえでも歯肉縁上か 縁下で分けて考えたほうが良い
酸を産生する 歯周病 う 蝕 タンパク分解酵素 LPS 溶血毒

22 細菌にとっての歯肉縁上・縁下の環境の違い
酸 素  細菌にとっての栄養物 pH 歯肉縁上 多 い   糖・唾液    不安定  歯肉縁下 少ない  おもにタンパク・   安定       歯肉溝液

23 歯垢はう蝕に関係する 細菌を含む →歯肉縁上の生態系 ●エナメル質う蝕 ●象牙質う蝕 ● (歯)根面う蝕

24 エナメル質う蝕 Streptococcus mutans Streptococcus sobrinus
ミュータンス レンサ球菌 Streptococcus mutans Streptococcus sobrinus

25 エナメル質より有機質成分が多いが、エナメル質と同様にう蝕は無機質の脱灰から始まる
象牙質う蝕 エナメル質より有機質成分が多いが、エナメル質と同様にう蝕は無機質の脱灰から始まる グラム陽性桿菌群 Actinomyces Lactobacillus Propionibacterium

26 (歯)根面う蝕 セメント質う蝕 歯肉縁上に露出した歯根面に起こる齲蝕 Actinomyces
ミュータンス・レンサ球菌とLactobacillus

27 う蝕発生の好発時期

28 歯垢は歯周病に関係する 細菌を含む →歯肉縁下の生態系 ●歯肉炎 ●慢性歯周炎(旧;成人性歯周 炎) ●侵襲性歯周炎(旧;若年性歯周 炎)

29 歯肉炎 歯肉縁上と縁下の生態系が接触しあうところ

30 慢性歯周炎 原因細菌の置きかわり! 血液成分が必要! 血液成分が必要!

31 慢性歯周炎よりもさらに宿主側の因子が発症に重要?
侵襲性歯周炎 慢性歯周炎よりもさらに宿主側の因子が発症に重要? Aggregatibacter actinomycescomitans

32 歯垢は歯周病の免疫を 増強する物質を含む ●グラム陰性菌のリポ多糖体;LPS ●グラム陽性菌のリポタイコ酸;LTA
炎症や免疫反応を増強する働きあり

33 歯周病と関連する炎症/免疫反応 歯周病関連菌の刺激 ↓ 歯肉線維芽細胞 好中球/単球の走化因子 歯周病関連菌の刺激 ↓ 歯周組織の細胞
炎症性サイトカイン 好中球/単球活性化 食菌作用誘導と同時に組織も傷害

34 歯垢は必ず歯石 になる!

35 歯垢の石灰化     歯垢は必ず石灰化する   ●唾液の石灰化作用 ●死滅した微生物の石灰化現象

36 唾液の石灰化作用 唾液にはCaイオンとリン酸イオンが 常に過飽和に存在する このおかげで萌出したてのまだ石灰化が未熟な歯の石灰化が進行する
一方で歯垢の石灰化も招く

37 Corynebacterium matruchotii
死滅した微生物の石灰化現象 Corynebacterium matruchotii 菌体内石灰化現象 全ての微生物は死滅すると石灰化する。 しかも菌体内・外で!

38 歯肉縁上歯石と縁下歯石の比較 成 分 唾液の作用により 炎症反応により 歯垢が石灰化 歯垢が石灰化 量 多 い 少ない
          歯肉縁上歯石      歯肉縁下歯石    成 分      唾液の作用により    炎症反応により            歯垢が石灰化      歯垢が石灰化 量         多 い           少ない  構 造       層 状       無構造  色 調     白色・黄色     暗褐色・暗緑色 硬 度      柔らかい       硬 い 除 去     除去カンタン     除去困難

39 上顎第一大臼歯を例に 取ると・・・

40 歯肉縁上歯石の好発部位 大唾液腺の開口部 ●耳下腺;上顎第一大臼歯頬側 ●顎下腺・舌下腺; 下顎中切歯舌側 唾液腺開口部 ↓
  唾液腺開口部        ↓ 唾液腺房内に多量にあったCO2が喪失   ↓   Caの溶解性が低下    ↓     沈殿が生じやすくなる

41 炎症部位の歯肉縁下歯垢 ↓ 歯周病原(歯周病関連)菌 タンパク・ペプチドを利用 代謝産物がpH上昇
歯肉縁下歯石の好発部位 炎症部位の歯肉縁下歯垢 ↓ 歯周病原(歯周病関連)菌 タンパク・ペプチドを利用 代謝産物がpH上昇

42 歯石の成分 リン酸カルシウム結晶 ●ヒドロキシアパタイト[Ca10(PO4)6・(OH)2]
●オクタカルシウムリン酸[Ca8H2(PO4)6・5H2O] ●第二リン酸カルシウム[CaHPO4・2H2O] ●ウイットロッカイト[Ca3(PO4)2]

43 プレ/ポストテスト10/9/12 正しいのはaに誤っているのはbにマークして下さい。 ① 歯垢の病原性はきわめて強い。 ② 歯垢1mgあたりには約百万個の微生物が存在する。 ③ 口腔感染症のほとんどが内因感染症である。 ④ 内因感染症の病巣には複数の微生物が存在する。 ⑤ 内因感染症では原因微生物の置き換わりも起こりうる。 ⑥ 根面う蝕は歯肉縁下の歯根面に発症する。 ⑦ 歯周病は歯肉縁上で起こる口腔感染症である。 ⑧ 歯垢は石灰化する場合としない場合がある。 ⑨ 死滅した微生物は石灰化する。 ⑩ 歯肉縁上歯石の方が縁下歯石よりも固い。 ⑪ 大唾液腺開口部は縁下歯石の好発部位である。


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