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蔭山 恵美 徳島大学病院 緩和ケアセンター 専従看護師 がん性疼痛看護認定看護師 徳島大学看護部 副看護師長
緩和ケアについて 蔭山 恵美 徳島大学病院 緩和ケアセンター 専従看護師 がん性疼痛看護認定看護師 徳島大学看護部 副看護師長 2008.6.11
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本日の内容 緩和ケアとは 疼痛マネジメントにおける看護師の役割 疼痛アセスメント 鎮痛剤の種類と副作用 2008.6.11
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緩和ケアとは 世界保健機関(WHO):「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな (霊的な、魂の)問題に関してきちんとした評価をおこない、それが障害とならないように予防したり対処したりすることで、クオリティー・オブ・ライフ(生活の質、生命の質)を改善するためのアプローチである。」 (日本ホスピス緩和ケア協会 ホームページの翻訳より) 2008.6.11
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緩和ケアの形態 形態 説明 施設緩和ケア 院内病棟型
一般病院の病棟の一部を利用して、緩和ケア病棟の承認基準を満たした施設で、わが国では、最も多く見られる形態である。 院内独立型 病院の敷地内に別棟として建てられているもので、敷地面積に余裕のある施設にこの形態が多い。 完全独立型 緩和ケア病棟承認基準を満たす施設を、独立に設立するもので、運用に必要なスタッフや機器が独自に必要になることから、経営上の負担が大きいと考えられる。 緩和ケアチーム 承認基準を満たした病棟を持たない施設などで、緩和ケアに関する専任のスタッフがチームとして緩和ケアを提供する形態である。 在宅緩和ケア 医療機関の外来や病棟ではなく、患者の自宅を医療現場と考えて、訪問診療や訪問看護を中心に緩和ケアを提供する形態である。 2008.6.11 出典:「広島県における緩和ケアの推進について」2000年3月広島県地域保健対策協議会末期医療専門委員会
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緩和ケア導入のタイミング 【これまでのがん医療の考え方】 【これからのがん医療の考え方】 がん病変の治療 緩和ケア がん病変の治療 緩和ケア
※ある一定の時期が来たら、緩和ケアに移行する。 【これからのがん医療の考え方】 ※治療と平行して行い、徐々に緩和ケアの比率を高くしていく。 がん病変の治療 緩和ケア がん病変の治療 緩和ケア 2008.6.11
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日本における緩和ケア 昭和52(1977)年 わが国にはじめてホスピスが紹介される 昭和52(1977)年 日本死の臨床研究会が発足
昭和52(1977)年 わが国にはじめてホスピスが紹介される 昭和52(1977)年 日本死の臨床研究会が発足 昭和56(1981)年 聖隷三方原病院でホスピスが開設 昭和59(1984)年 淀川キリスト教病院でホスピスが開設 平成2(1990)年 厚生省が緩和ケア病棟入院料を新設 平成3(1991)年 全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会発足 平成8(1996)年 日本緩和医療学会が発足 平成14(2002)年 厚生労働省が緩和ケア診療加算を新設 平成20(2008)年 4月1日現在緩和ケア病棟整備施設181施設 3,468床 (データ:日本ホスピス緩和ケア協会) 2008.6.11
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がん性疼痛のアセスメント 2008.6.11
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実際にアセスメントしてみましょう Aさん 30代 女性 乳がん 腰椎転移
Aさん 30代 女性 乳がん 腰椎転移 現病歴:2年前に乳がんⅡaと診断され、胸筋温存乳房切除術を受けました。その後外来にて経過を見ながら、化学療法を行っていました。 7月26日夕方Aさんが激痛を訴えて、救急外来を受診しました。外来でペンタジン®(15mg)を1A筋肉注射しましたが、気分不良が強く、緊急入院となりました。 2008.6.11
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不足情報 画像所見:腰椎L2/3に骨転移所見あり。
WBC:8000/mm3 RBC:440×104mm3 Hb:13.1g/dl PLT:27.4×104 TP:5.7g/dl ALB:2.0/dl Na:136mEq/l K:4.4mEq/l Cl:99Eq/l BUN:9.6/dl Cr:0.58 Ca:14.3 GOT:32IU/l GPT:26IU/l 2008.6.11
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不足情報2 痛みの状態 腰部から臀部にかけての疼くような痛みがあり、体動で増強します。
腰部から臀部にかけての疼くような痛みがあり、体動で増強します。 ボルタレン座薬を使用すると、腰部から臀部にかけての痛みはNRS7/10→3/10に軽減します。 右の大腿部外側に常に鉛が張り付いているような感じがあります。以前もらっていたボルタレン座薬®は、全く効きません。 2008.6.11
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Aさんの痛みは・・・ 腰椎転移に関連した腰部の体性痛と腰椎転移に 関係した神経因性疼痛と考えられます。 処方の一例
関係した神経因性疼痛と考えられます。 処方の一例 オキシコンチン® (5mg):徐方製剤 →オキノーム散でタイトレーションしてから開始 レスキューでオキノーム散® (2.5mg):即効製剤 モービック® (15):消炎鎮痛剤 テグレトール®(100):鎮痛補助薬 マグミット®(250):緩下剤 ラキソベロン®:緩下剤 ノバミン®:中枢性制吐剤 では処方はどうしましょうか? 2008.6.11
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痛みの定義 国際疼痛学会: McCaffery American Pain Society
痛みとは、不快な感覚体験および感情体験であって一般に何らかの組織損傷が起こったとき、組織損傷が差し迫ったときないしは組織損傷に引き続いて、持続的に表現されるものである。痛みはいつも主観的なものである。 McCaffery 痛みとは、それを体験している人が痛いと訴えるものの全てである。それは、痛みを体験している人が痛みがあると訴えるときはいつでも存在しているのである。 American Pain Society 痛みを測定する神経学的、化学的検査法はない。医療者は患者の報告する痛みを受け入れなければならない。 2008.6.11
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急性疼痛モデルと適応 血圧正常 脈拍数正常 生理学的 ↑血圧 呼吸数正常 反応 ↑脈拍数 瞳孔正常 ↑呼吸数 皮膚は乾燥 瞳孔散大 発汗
(痛みの程度は変わらないが、 観察可能な兆候が減少する) (観察可能な苦痛兆候) 血圧正常 脈拍数正常 呼吸数正常 瞳孔正常 皮膚は乾燥 生理学的 反応 ↑血圧 ↑脈拍数 ↑呼吸数 瞳孔散大 発汗 痛み 適応 聞かれないと痛みを訴えない 静かに睡眠したり休息をとっている 痛み以外のことに注意を向ける 身体的な活動が不活発か不動の状態 無表情もしくは正常な顔の表情 痛みに集中 痛みの訴え 泣いたり わめいたりする 痛みの部位をさする ↑筋の緊張 まゆを寄せたり 行動学的 反応 適応 2008.6.11 (Brunner&Suddarth)
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身体的苦痛 精神的苦痛 社会的苦痛 霊的苦痛 痛み 他の身体症状 ADLの支障 不安 苛立ち 孤独感 恐れ うつ状態 怒り 全人的痛み
痛み 他の身体症状 ADLの支障 精神的苦痛 不安 苛立ち 孤独感 恐れ うつ状態 怒り 社会的苦痛 全人的痛み (Total Pain) 仕事上の問題 経済上の問題 家庭内の問題 人間関係 遺産相続 霊的苦痛 人生の意味への問い 価値体系の変化 苦しみの意味 罪の意識、死の恐怖 神の存在への追求 死生観に対する痛み 2008.6.11
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痛みの閾値に影響する因子 低下させる因子 上昇させる因子 不快感 不眠 疲労 不安 恐怖 怒り 悲しみ うつ状態 倦怠 内向的心理状態
孤独感 社会的地位の喪失 上昇させる因子 睡眠 休息 周囲の人々との共感 理解 人とのふれあい 気晴らしとなる行為 不安の減退 気分の高揚 鎮痛剤 抗不安薬 抗うつ薬 2008.6.11
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ペインスケール Numerical Rating Scale (VRS) 言葉による痛みの強さの尺度 ( NRS ) フェイススケール
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 No pain 100mm Worst pain Numerical Rating Scale (VRS) 言葉による痛みの強さの尺度 ( NRS ) フェイススケール 2008.6.11
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痛みの原因による分類 侵害受容性疼痛(内臓痛、体性痛) ・組織を実質的にあるいは潜在的に傷害する刺激(侵害刺激)による痛み
・組織を実質的にあるいは潜在的に傷害する刺激(侵害刺激)による痛み 神経因性疼痛(ニューロパシフィックペイン) ・末梢神経あるいは中枢神経の損傷や障害による痛み、オピオイドが効きにくい痛み 心因性疼痛 ・痛みの原因が身体的には存在しない痛み。がん患者では皆無といってよい 2008.6.11
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侵害受容性の疼痛のメカニズムと特徴 内臓痛
侵害受容性の疼痛のメカニズムと特徴 内臓痛 内臓器の閉塞、浸潤、圧迫により生じる ・臓器被膜の進展 ・管腔臓器の内腔狭窄による平滑筋の強い収縮 ・通過障害による内容物の蓄積により管腔壁が伸展 ・炎症、壊死、虚血による発痛物質の産生 関連痛が生じることがある 局在性が不明確なことが多い 鈍い痛み、締め付けられる痛み、深い痛み オピオイドが奏功する 2008.6.11
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関連痛 2008.6.11
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侵害受容性の疼痛のメカニズムと特徴 体性痛
筋肉、骨、皮膚、粘膜に生じる痛み ・軟部組織の機械的圧迫、骨膜などの被膜の牽引、組織損傷による発痛物質の産生 痛みの局在性がはっきりしている 疼く痛み、刺しこむ痛み NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が奏功 2008.6.11
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神経因性疼痛のメカニズムと特徴 神経の損傷あるいは機能障害より生じる 損傷された神経の支配領域の持続的な痛みあるいは発作的な痛み
・損傷部位における異所性興奮 ・交感神経系機能異常(知覚神経との連結などによる) ・神経周囲の結合組織の圧迫や炎症 損傷された神経の支配領域の持続的な痛みあるいは発作的な痛み ・しびれ感、締め付けられ感、ツッパリ感 ・刺すような痛み、電撃痛、激しい痛みの発作 感覚の変化(感覚低下、反射減少、感覚過敏、過敏痛) オピオイドが効きにくい痛みである 2008.6.11
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がん患者における 神経因性疼痛の主な原因 がんの増大による神経浸潤、圧迫 骨転移に伴う神経損傷、圧迫 放射線照射
化学療法(シスプラチン、タキサン系、エトポシド、 ビンクリスチン等) 術後神経叢障害 帯状疱疹後神経痛 2008.6.11
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がん性疼痛緩和に用いる主な薬剤 オピオイド NSAIDs 鎮痛補助薬 があります。 これらをWHO除痛ラダーに 添って使用していきます。
があります。 これらをWHO除痛ラダーに 添って使用していきます。 2008.6.11
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第一段階:NSAIDs 一般名 商品名 用法 常用量 エトドラク ハイペン 分2 400mg メロキシカム モービック 分1 10~15mg
ナブメトン レリフェン 800mg ロイソプロフェンナトリウム ロキソニン 分3 180mg ナプロキセン ナイキサン 600mg ジクロフェナクナトリウム ボルタレン 75~100mg メフェナム酸 ポンタール 分4 500~750mg フルルビプロフェンアキセチル ロピオン 1回50mg ハイペン®やモービック®、リレフェン®では、胃腸障害や腎障害の頻度が少ない。 ロキソニン®は、吸収後にNSAIDsに変化するので、胃粘膜の障害は少ない。 注射薬はロピオン®のみ。ポンタール®は剤形が様々。ボルタレン座薬®は、非常に強力。 2008.6.11
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第二段階・第三段階:オピオイド 薬剤 効力比 効果発現までの時間 最大効果までの時間 効果持続時間 オプソ® (モルヒネ水) 1 10分以内
30分~60分 3~5時間 MSコンチン® (モルヒネ徐放錠) 1時間 2~4時間 8~14時間 カディアン® (モルヒネ徐放製剤) 30分~60分 6~8時間 24時間 アンペック座薬® (モルヒネ座剤) 1.5~2 20分 1~2時間 6~10時間 モルヒネ注射 3 直ちに(靜注) 数分(皮下注) 10~20分(皮下注) 4~5時間 オキシコンチン® (オキシコドン徐放錠) 1.5 12分 2~3時間 8~12時間 オキノーム® 100分~120分 4~6時間 デュロテップパッチ® (フェンタニルパッチ) 100 17~48時間 72時間 2008.6.11
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実際の量による比較 オプソ®=MSコンチン® =カディアン® =60mg アンペック座薬® =30mg
モルヒネ注射(持続皮下・静脈)=20mg モルヒネ注射(硬膜外)=3.0mg フェンタニスト® =0.2mg デュロテップパッチ® =2.5mg オキシコンチン® =40mg 2008.6.11
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モルヒネの副作用 副作用 発生の時期 防止と対策 便秘(100%) 反復投与時 緩下剤を投与
平常の便通が得られるのに十分な量の緩下剤(プルゼニド® 、ラキソベロン®等)を常用します 嘔気・嘔吐 (30~50%) 投与初期及び増量時 制吐薬を投与 特に中枢性作用の制吐薬(ノバミン® 、セレネース®ルーラン®等)モルヒネへの耐性は比較的早くできます 眠気・錯乱 ふらつき眩暈 譫妄(末期の3割にある) 軽度:モルヒネを増量せず経過を観察 耐性は3-5日 高度:減量 高齢者や全身衰弱の強い患者によくみられます。軽度のものが多く、数日で消失します。錯乱症状の激しい時や経過観察後も錯乱状態が改善しない時には、セレネース®を投与します。 呼吸抑制 適切な投与では起こらない 投与初期及び過剰投与時 気道を確保し、酸素吸入 モルヒネ拮抗薬のナロキソン®の投与 モルヒネ投与初期の適量調整中や代謝異常のある患者及びモルヒネ投与により鎮静が強く起こる患者に起こることがあります。 2008.6.11
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モルヒネの副作用 副作用 発生の時期 防止と対策 発汗 3割 投与期間中 環境及び温度調整
発汗 3割 投与期間中 環境及び温度調整 室内の換気をはかったり、衣類や寝具の交換をまめに行います。 かゆみ 数% 抗ヒスタミン薬を投与 症状の強い時には、モルヒネ不耐性を疑います。 排尿障害 ほとんどない コリン作動性薬などを投与 排尿遅延が主であり、比較的対処しにくい症状です。ベサコリン® 、ウブレチド® 、ミニプレス®を投与します。 モルヒネ 投与初期及び過剰投与時 気道を確保し、酸素吸入 モルヒネ拮抗薬のナロキソン®の投与 モルヒネ投与初期の適量調整中や代謝異常のある患者及びモルヒネ投与により鎮静が強く起こる患者に起こることがあります。 2008.6.11
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2008.6.11 癌疼痛治療のレシピ
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薬物療法におけるアセスメント 薬物の効果のアセスメント
鎮痛薬等の薬剤効果を患者とともにくり返し評価し,効果が不十分であれば増量や変更の必要性について検討する レスキューの使用に関するアセスメント レスキューを使用すべきか,どのタイミングで使用するのかを適切に判断する 副作用のアセスメントと対策 鎮痛薬等の副作用をアセスメントし,副作用対策を検討,実施していく 2008.6.11
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疼痛マネジメントにおける 看護師の役割 薬物療法において 薬物療法以外の緩和技術において
→看護師が鎮痛剤の効果や副作用を経時的にアセスメントすることにより医師が効率的に鎮痛剤の効果を知ることにつながる。 薬物療法以外の緩和技術において →側にいること、コミュニケーション、マッサージや罨法、リラクセーション、イメージ法などの痛みの緩和技術を提供すること 2008.6.11
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患者・家族への教育 →痛みは主観的なものであり、患者の参画なしにしては効果的なペインマネジメントはできません。
→痛みは主観的なものであり、患者の参画なしにしては効果的なペインマネジメントはできません。 患者・家族の能力を最大限に高めるよう促進することも大切な役割です。 患者や家族の理解度や能力を見極め、他職種と共にわかりやすく情報提供を行い、精神的なサポートを行っていくことが求められます。 2008.6.11
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疼痛管理のリンク先 医薬品情報をゲットに“「癌疼痛に対する麻薬性鎮痛剤の処方 第5版」”が掲載されております。 ■能登・緩和ケア研究会に“痛みのコントロール”が掲載されております。 ■国立がんセンターに“がん疼痛の治療” “「痛み止めの薬」のやさしい知識”が掲載されております。 ■国立病院 九州がんセンターに“モルヒネの使い方”が掲載されております。 ■財団法人癌研究会に“癌の治療について”が掲載されております。 ■Nurse project 2001に“疼痛コントロール がんの疼痛緩和方法 (3段階式がん鎮痛治療ラダー)”が掲載されております。 ■ホスピス研究会に“末期がん患者のよりよいターミナルケアを実現するために”が掲載されております。 ■日本ホスピス在宅ケア研究会に“がん緩和ケアマニュアル”が掲載されております。 ■医療法人社団 かとう内科並木通り診療所に “ドクター加藤のわかりやすい最新医療情報”が掲載されております。 ■富山医科薬科大学附属病院に“疼痛緩和治療マニュアル”が掲載されております。 2008.6.11
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引用・参考文献 がん疼痛治療のレシピ:的場元弘 春秋社 がん患者のペインマネジメント:岡田美賀子 日本看護協会出版会
がん疼痛治療のレシピ:的場元弘 春秋社 がん患者のペインマネジメント:岡田美賀子 日本看護協会出版会 ナースが出来る癌疼痛マネジメント:高宮有介 メヂカルフレンド社 2008.6.11
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