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単純レントゲン撮影機器 の操作はできなくてもよい

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Presentation on theme: "単純レントゲン撮影機器 の操作はできなくてもよい"— Presentation transcript:

1 単純レントゲン撮影機器 の操作はできなくてもよい
でも胸部レ線の読影はやってね いくら腱反射を出すのがうまくても 所見の意味がわからなければ無意味 腱反射が出せなくて何が悪い?

2 この質問に答えられなければ,いくら腱反射の出し方がうまくても,そんな技術に意味はない!
各症例における腱反射の意義 50歳女性:3日前から歩きにくい 5年前に乳癌で乳房切除 25歳女性:数年前から手が震える。結婚を考えているので。 どういう鑑別疾患を思い浮かべ,それぞれの疾患で上腕二頭筋,上腕三頭筋,橈骨,膝蓋腱,アキレス腱,バビンスキ,それぞれの反射がどういう所見になるか予想せよ どういう鑑別疾患を思い浮かべ,それぞれの疾患で上腕二頭筋,上腕三頭筋,橈骨,膝蓋腱,アキレス腱,バビンスキ,それぞれの反射がどういう所見になるか予想せよ この質問に答えられなければ,いくら腱反射の出し方がうまくても,そんな技術に意味はない!

3 プロとアマチュアの違い ー診察の優先順位を知っているか?ー
神経内科医はその診察の「不必要度」を,その場で一瞬にして判断できる プロとは,普段から手を抜くことばかり考えている職人である

4 なぜ「手抜き」なのか? 「手抜きは悪」という思考停止からの離脱
たとえば腱反射手抜きの意義 腱反射を手抜きして初めてわかること 腱反射をやらなくても診断は変わらない 腱反射をやらなくても治療は変わらない 腱反射をやらなくても予後は変わらない 腱反射をやることのリスク回避 腱反射をやったがために診断が迷走

5 次ぎに何をしたいか? 67歳男性。朝8時、食事中に突然黙りこくったかと思うと椅子から崩れ落ちるように倒れた。救急車で来院。ストレッチャーの上で開眼しているが,呼びかけに対して言葉が出ずにうなづくばかり。高血圧の既往有り。 タバコ40本,日本酒三合/day 一番共有できそうなケース

6 「したくない」ことの数々 長谷川式・MMSE Western Aphasia Battery 失行・失認検査 嗅覚機能検査
Rinne Weber 項部硬直・Kernig・Brudzinski, Lasegue 振動覚検査

7 診察ができなくて何が悪い!? 腱反射が: 検査と同様、診断も 所見がとれなかった時 左右差がなかった時 病側で亢進していた時
病側で減弱していた時 検査と同様、診断も 標的疾患によって感度も特異度も異なる 脳卒中の急性期と慢性期、筋萎縮性側索硬化症、ギラン・バレ-、多発筋炎、多発性硬化症・・・

8 腱反射の技術は二の次でいい それよりも想像力を豊かにすること 今,目の前の患者で大腿四頭筋反射はどんな意味があるのかを「想像せよ」
左右それぞれの亢進・異常なし・消失の6通りのパターンのどれが一番可能性が高いのか?二番目は?ありない選択肢はあるか?あるとしたらそれはなぜか? それが完璧に答えられなければいくら腱反射がうまく出せても全く意味がない 逆にこの想像力があれば腱反射がめきめき上達する

9 診察手抜きを弁護する ー「その診察」を手抜きして何が悪い!ー
神経診察に自信がない人のために 神経内科医による優越性のハラスメントから守る 過剰検査,過剰診断,そして過剰神経診察 「その診察」の意義は?:アウトカム評価 「その診察」のリスク・ベネフィットバランスは?:判断を誤って誤診につながるリスクは? 「その診察」のタイムパフォーマンスは?:限られた時間内にその診察が「必要か?」(上記の要素を含めて総合的に判断)

10 では手を抜いて生まれた余裕をどう活用するの?
手抜きの必要性はわかったけど では手を抜いて生まれた余裕をどう活用するの? 好奇心・想像力 そして観察

11 もう1つ2人に共通しているのは,現代科学とは違う方法をとったことです。いまの科学では,最初に仮説を立て,それを証明するために何かをするという方法をとっていますね。しかし彼らは そうではなく,何もないところで何かを見つけようとしました。じっと見ていると何か気がつくわけですね。「あれ?」と思って,そこでもっと観察を進めるという方法で す。 その点、いまは見るべきところしか見ないんです。例えば何かの値が いくつと数字で出ると,その情報はそれ以外のものではないわけです。しかし画像というのは数字で表されるだけではありません から,見ようと思えば何だって見える。それだけ情報量があるのに,ほとんどの人は数字として表されるようなものしか見ない。 要するに自分の知りたいところしか見ていないのです。そうしたら何が表現されていても他のものは全部捨てていくわけですよ。 見るべきところはきちんと見なければいけない。しかしそういう意味だけではなく,関係ないところでも, 見てみると結構面白いことが見えているわけでね。それをどうやって見逃さないようにするかが大切なのです。見逃しても誰かがどこかで見つけると言われればそれまでですが,自分がその誰かになろうと思うかどうかですよね。ババンス キーやシャルコーの時代は,自分で見つけるしかなかったけれども,いまは自分がやらなくても世の中は進んでいきますから。で も「へえ,何でこんなことがあるのかな」と思うことが始まりですよ。 問診で鑑別診断を絞り込み、腱反射が亢進している確率が何パーセントか?そういう問題では実はない。そういう使い方もするけれども、それは決して「面白くない」、神経学の「楽しさ」は伝わらない。ましてやOSCEに面白さはない 目の前の患者さんについて「見つける」のは自分しかいない。

12 二人の共通点と相違点 Joseph Francois Felix Babinski:1857-1932
,シャルコーという人はどちらか というとじっと観察する立場なんですね。例えばシャルコーの書いたものには,歩行状態がどうだとか,姿勢がどうだとか,どう いう不随意運動があるなどの記載はたくさんありますが,ここを叩いたら,あるいはここをこすったらどうなったとか,患者の体 に問いかけて観察する記載は非常に少ないのです。 ババンスキーのほうはそうではなく,両方を非常にはっきり観察しています。ですから,臨床的な意味での反射学はババンス キーが確立したものだと言えます。「この腱反射は正常では必ず出る」,「この反射は正常でも出ない場合がある」などをきちん と記載したのはババンスキーです。私たちがいま何気なくやっている反射の検査はほとんどババンスキーに負っているわけです。 そのことを誰も知らないのはあまりにも常識になっているからで,それはシャルコーの時代にはなかったことでしょうね。彼は シャルコーのめざしたところをもう一歩進めて,非常にダイナミックに,自然に問いかけて観察をしていたのです。 Joseph Francois Felix Babinski: Jean-Martin Charcot:

13 シャルコーという人はどちらか というとじっと観察する立場なんですね。例えばシャルコーの書いたものには,歩行状態がどうだとか,姿勢がどうだとか,どう いう不随意運動があるなどの記載はたくさんありますが,ここを叩いたら,あるいはここをこすったらどうなったとか,患者の体 に問いかけて観察する記載は非常に少ないのです。  ババンスキーのほうはそうではなく,両方を非常にはっきり観察しています。ですから,臨床的な意味での反射学はババンス キーが確立したものだと言えます。 「中枢神経系をおかすいくつかの器質性疾患における足底皮膚反射について」J.ババンスキー(1896年2月22日開催の生物学会報告より)

14 シャルコーはバビンスキ-反射を知らなかった
,シャルコーという人はどちらか というとじっと観察する立場なんですね。例えばシャルコーの書いたものには,歩行状態がどうだとか,姿勢がどうだとか,どう いう不随意運動があるなどの記載はたくさんありますが,ここを叩いたら,あるいはここをこすったらどうなったとか,患者の体 に問いかけて観察する記載は非常に少ないのです。 ババンスキーのほうはそうではなく,両方を非常にはっきり観察しています。ですから,臨床的な意味での反射学はババンス キーが確立したものだと言えます。「この腱反射は正常では必ず出る」,「この反射は正常でも出ない場合がある」などをきちん と記載したのはババンスキーです。私たちがいま何気なくやっている反射の検査はほとんどババンスキーに負っているわけです。 そのことを誰も知らないのはあまりにも常識になっているからで,それはシャルコーの時代にはなかったことでしょうね。彼は シャルコーのめざしたところをもう一歩進めて,非常にダイナミックに,自然に問いかけて観察をしていたのです。 Jean-Martin Charcot: Joseph Francois Felix Babinski: 1896~

15 シャルコー/バビンスキ-の業績と反射学 1868年:多発性硬化症の臨床病理所見 1869年:筋萎縮性側索硬化症を提唱
1870年:普仏戦争(~1871) 1875年:腱反射に関する二つの論文( Erb & Westphal ; Archiv fur Psychiatrie und Nervenkrankheiten ) 1893年:シャルコー死去 1896年:バビンスキ-徴候発表 1912年:腱および骨反射に関する連続講義

16 Charcotのように、じっと観察するだけでも、これだけ奥深い。ならばすぐにBabinskiに飛びつかずに、まずはCharcotを目指そう
「観察」の奥深さと優先順位 Charcotのように、じっと観察するだけでも、これだけ奥深い。ならばすぐにBabinskiに飛びつかずに、まずはCharcotを目指そう

17 患者さんが教えてくれる 「朝目がさめる。起きて顔を洗う、歯を磨き、ひげをそる。家族と話しながら朝食をとる。コーヒーを飲みながら新聞に目を通す。ネクタイを締め、洋服を着、クツをはいて出かける。いつも混んだ電車に乗り、幸い足も踏まれずに駅におりる。さあ、会社では山積みの仕事だ。こんな日常のなんでもない生活や動作の、どれひとつをとってみても、脳や神経系の働きなしにはうまくできないものばかりです。・・・」 (『日常の中の神経学』 より)

18 43歳の男性:無呼吸を疑われ紹介来院 3ヶ月前から瞼が何となく重く(閉じるまでいかない)睡眠不足かと思っていた。 まぶたをあげようと努力しているので同僚から人相が悪くなったといわれる。左 へ振り返ったときに一瞬ものが二重に見えることが時々あり、片目をつぶればはっ きり見える。同じ頃からからつばやものが飲み込みにくいと感じる事がありのど が狭くなった(少し体重が増えたので)と思った。1ヶ月前から食事(特に量の 多いとき)の後半になると顎が疲れてうまくかめなくなり時間がかかるようになっ た。(やすめばもどる)同時にこのころからシャンプーをしていると右手が重く なり支えないと頭まであがらなくなる。(休めば治る) ところで、この病歴を聴いて学生さんはおそらく疾患を思い浮かべて聞い たのだろうと思いましたが、思い浮かべることは難しかったのでなるべくご不自 由に思っていることを一生懸命聴いたそうです。聴く態度があれば疾患が思い浮 かばなくても良い病歴がとれるものだと感心しました。 18

19 43歳の男性:無呼吸を疑われ紹介来院 3ヶ月前から瞼が何となく重く(閉じるまでいかない)睡眠不足かと思っていた。 まぶたをあげようと努力しているので同僚から人相が悪くなったといわれる。左 へ振り返ったときに一瞬ものが二重に見えることが時々あり、片目をつぶればはっ きり見える。同じ頃からからつばやものが飲み込みにくいと感じる事がありのど が狭くなった(少し体重が増えたので)と思った。1ヶ月前から食事(特に量の 多いとき)の後半になると顎が疲れてうまくかめなくなり時間がかかるようになっ た。(やすめばもどる)同時にこのころからシャンプーをしていると右手が重く なり支えないと頭まであがらなくなる。(休めば治る) ところで、この病歴を聴いて学生さんはおそらく疾患を思い浮かべて聞い たのだろうと思いましたが、思い浮かべることは難しかったのでなるべくご不自 由に思っていることを一生懸命聴いたそうです。聴く態度があれば疾患が思い浮 かばなくても良い病歴がとれるものだと感心しました。 19

20 問診と診察(観察) 相補的かつ不可分な関係
問診→診察項目を思いつく 診察→問診項目を思いつく 問診→患者さんの生活に思いを馳せる 診察→患者さんの生活に思いを馳せる 問診=患者さんの「自己観察記録」を頼りに観察の範囲(空間・時間の両面で)を広げる

21 想像力=「観察名人」になるかどうか分かれ目は?
目の前の患者の生活・人生に興味・好奇心が持てるか? 「知りたい」という「欲望」 & 腱反射を手抜きしたという「成功体験」

22 予診表の主訴:手が震える 70歳女性 25歳女性 歩行:筋力低下、運動失調 体型(痩せ型?長身?) 皮膚がしっとり? 目の輝き
同伴者の有無 呼びかけた時 表情とその動き こちらを向く首の角速度 椅子からの立ち上がり速度 方向転換・踏み出し 歩行時 頚部の曲がり具合 手の振り方の左右差 視線・瞬きの頻度 着席時 腰を落とす速度 表情、顔脂、目やに、よだれ 歩行:筋力低下、運動失調 体型(痩せ型?長身?) 皮膚がしっとり? 目の輝き (問診項目を考える) 問診前確率が形成される時点で、おおよその鑑別診断表が出来上がり、既に診察(観察)項目が決まっていることに注意

23 神経内科医が身近にいない・いる 神経内科医が身近にいない場合 神経内科医が身近にいる場合 神経内科医の必要性が確実にわかる
「国際標準」の教育環境である 神経内科医が身近にいる場合 神経内科医を「使える」! 身近にいる・いないは白黒のデジタルではないことに注意.時と場所,状況によって,神経内科医のアクセスはいくらでも変わるし,神経内科医自身のキャラでもaccessibilityはいくらでも変わる.(例:私が霞ヶ関時代の経験)

24 神経内科医という生き物 目の前の患者さんで、大腿四頭筋反射が左右それぞれの病的亢進・亢進・異常なし・減弱・消失の10通りのパターンのどれが一番可能性が高いか?二番目に高いのは?それはなぜか?ありえない選択肢はあるか?「ありえない選択肢がある」としたらその理由は?etc 救急外来で、患者さんを目の前にして、これらの問い全てに対して、説明責任を果たせる。 さらにどういう所見だった場合に、鑑別診断の順位がどう変わってくるかを説明できる。 裏を返せば、大腿四頭筋反射をやった場合とやらなかった場合のRCT試験などしなくても商売ができる。

25 神経内科医を「観察」する 自分は想像力を豊かにすること 今,目の前の患者で大腿四頭筋反射はどんな意味があるのかを「想像せよ」
左右それぞれの亢進・異常なし・消失の6通りのパターンのどれが一番可能性が高いのか?二番目は?ありない選択肢はあるか?あるとしたらそれはなぜか? それが完璧に答えられなければいくら腱反射がうまく出せても全く意味がない この想像力があれば神経内科医の診察を本当に面白く見物できる

26 実は本質的な問題 “神経診察の必要性”などどうでもいい
ジェネラリスト vs スペシャリストという“医者都合分類”の意義は何か? 自分は患者さんに対して何ができるのか? 脳血管障害の香川さん 筋萎縮性側索硬化症の高松さん 脊髄小脳変性症の長崎さん クロイツフェルト・ヤコブ病の千葉さん この患者さんに四頭筋反射がどう役立つのか?

27 Take Home Messages 神経学的診察に対する誤解と理解 問診と診察に対する誤解と理解
腱反射に代表される「体に働きかける」診察よりも患者さんの「観察」が重要 専門医は問診と観察だけで診断を決める 「体に働きかける」診察はあくまで確認作業である 問診と診察に対する誤解と理解 問診は「患者自身による観察」の聴取である だから問診と診察の間に境界線は存在しない 問診と診察は常に双方向性に作用して診療の質を高める

28 参考サイト マッシー池田の神経内科快刀乱麻 講演公演スライド集 病歴から学ぶ神経内科 一般内科医のための神経内科 神経内科の裏道
内科診断学フォトライブラリー 神経疾患画像(脳血管障害以外)


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