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第13章 フォンノイマン/モルゲンシュテイン解
第Ⅱ部 協力ゲームの理論 第13章 フォンノイマン/モルゲンシュテイン解 2008/07/02(水) ゲーム理論合宿 M2 渡辺美穂
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内容 1.安定集合 2. 非定和3人ゲームの解 3.解と行動基準 ‥‥‥ フォン・ノイマン/モルゲンシュテイン解 定和3人ゲームの対称解
定和3人ゲームの差別解 2. 非定和3人ゲームの解 交渉曲線 コアが空である非定和3人ゲームの解 コアが空でない3人ゲームの解 3.解と行動基準 ‥‥‥
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安定集合 フォン・ノイマン/モルゲンシュテルン解とは ・3人以上の協力ゲームに関し提案された最初の解.
・この解は,安全な配分の集合なので安定集合ともよばれる. ・すべてのゲーム理論の解はここから生まれ,ここへ帰っていく.
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安定集合 【定義】 i)内部安定性 ii)外部支配性(外部安定性) > > > > > >
ゲーム(N,v)が与えられたとき,配分の集合Aの部分集合Kが,以下の2つの性質を満たすとき,Kをフォン・ノイマン/モルゲンシュテルン解(安定集合)という. i)内部安定性 配分xと配分yとがKに属するならば,xはyを支配せず,yはxを支配しない. ii)外部支配性(外部安定性) Kに属さない任意の配分は,Kに属する少なくとも1つの配分によって支配さ れる. P1,P2,P3 選好条件:提携Sのすべてのメンバーにとって、配分xが配分yより大きい 利得が得られるため、yよりもxを選好する 実現可能条件:そのような配分xを提携Sだけで実現可能である 支配する > (10,20,30) (12,21,33) (11,22,27) > > > 支配しない > >
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安定集合 フォン・ノイマン/モルゲンシュテルン解とは ・3人以上の協力ゲームに関し提案された最初の解.
支配関係は1人提携と全体提携については成立しないため,2人ゲームの安定集合は配分の集合に一致する. 3人以上の任意のゲームにおいて安定集合が空でないとは限らない. (ex.安定集合が空な10人ゲーム(Lucas,1968))
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安定集合 定和3人ゲームの対称解 x1 A B C D E F G ☆多数決3人ゲーム ・コアが空 →シャープレイ値や仁での 配分が難しい.
・コアが空 →シャープレイ値や仁での 配分が難しい. 提携{1,2} ⇒ (6,6,0) 提携{1,3} ⇒ (6,0,6) 提携{2,3} ⇒ (0,6,6) x2 x3 集合K={D,E,F}
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安定集合 定和3人ゲームの対称解 x1 A {1,2} ⇒ (6,6,0) {1,3} ⇒ (6,0,6) {2,3} ⇒ (0,6,6)
ⅰ)内部安定性 Kの属する任意の2つの配分は互いに他を支配しない. ⅱ)外部支配性 配分D=(d1,d2,d3)=(0,6,6)に不満をもったP1がP2にG=(g1,g2,g3)=(4,8,0)という集合Kに含まれない配分を示して提携{1,2}をつくることを提案する. 集合K={D,E,F} F E G より,配分Gは配分Dを支配するが,この時,P3は配分Gを支配する配分E=(6,0,6)を示してP1とP2の提携を阻止する. B D C x2 x3
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安定集合 定和3人ゲームの対称解 Kはフォンノイマン・モルゲンシュテルン解である. (対象解・客観解) x1 A
{1,2} ⇒ (6,6,0) {1,3} ⇒ (6,0,6) {2,3} ⇒ (0,6,6) ⅰ)内部安定性 Kの属する任意の2つの配分は互いに他を支配しない. ⅱ)外部支配性 配分D=(d1,d2,d3)=(0,6,6)に不満をもったP1がP2にG=(g1,g2,g3)=(4,8,0)という集合Kに含まれない配分を示して提携{1,2}をつくることを提案する. 集合K={D,E,F} Kに属さない任意の点は,Kに属するいずれかの配分に支配されるので,Kは外部支配性を持っている. F E G Kはフォンノイマン・モルゲンシュテルン解である. (対象解・客観解) より,配分Gは配分Dを支配するが,この時,P3は配分Gを支配する配分E=(6,0,6)を示してP1とP2の提携を阻止する. B D C x2 x3
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安定集合 定和3人ゲームの差別解 【対象解】 提携合理性という行動基準に基づいて行動し,提携形成に成功すれば利得6を得,失敗すれば利得が0になる. 【差別解】 提携形成をめぐる駆け引きから下りて,自ら中立を宣言し,ある一定の利得で満足する.或いは,あるプレーヤーが他のプレーヤーから差別的立場に立たされて,提携形成から排除され,ある一定の利得に固定されている状態 P1に をみたす一定の値cを与え,残りのv(N)-cをP2とP3で分けるとすると,配分の集合D1(c)は以下のように表現できる.
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安定集合 A D1(c)が内部安定性と外部支配性をみたしていることを証明する. D1(c) E D ⅰ)内部安定性 B F G C H
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安定集合 D1(c)は内部安定性・外部支配性を満たすので,フォンノイマン・モルゲンシュテルン解である. (差別解) A
ⅱ)外部支配性 1.a1>cのとき a2<b2,a3<b3より, aは提携{2,3}に関してbに支配される. 2.z1<cのとき z1<cなる配分zはDまたはEに支配される. a D1(c) E D b z D1(c)は内部安定性・外部支配性を満たすので,フォンノイマン・モルゲンシュテルン解である. (差別解) B F G C H
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安定集合 以上より,定和3人ゲームのフォンノイマン・モルゲンシュテルン解として1つの客観解と無限の差別解があることがわかった.
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非定和3人集合の解 交渉曲線 ☆非分割財3人ゲーム このとき,コアは という一つの配分から成る. P2・P3が共謀して価格を引き下げる戦略
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非定和3人集合の解 ⇒交渉曲線 配分Aから底辺BCに向かってP1の利得は常に減少し,P2,P3の利得は常に増加する曲線 A=(12,0,0)
交渉曲線上の配分の集合をKとすると, E=(7,3,2) E F=(4,4,4) E’ 提携{1,2}{1,3}についてはもちろん,提携{2,3}についても F Z であるからEはAを支配できず,支配関係は成り立たない⇒内部安定性 B D’ C D
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非定和3人集合の解 A E 交渉曲線Kは安定集合である E’ F Z B D D’ C
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非定和3人集合の解 コアが空である非定和3人ゲームの解
一般の3人ゲームにおいても,コアが空であってもプレーヤー間の話し合いは何らかの意味である状態に落ち着くと考えられ,安定集合を求めることができる. 1.v1+v2+v3>2v コアが空の場合
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非定和3人集合の解 ・7つの領域 ①のどの領域も外部の点によって支配されない ①の領域について対称解と差別解を考える.
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非定和3人集合の解 以下のような非定和2人ゲームを考える (1)対象解
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非定和3人集合の解 (1)対象解 K①によって支配されない三角形3つ 三角形の安定集合Kは3つの交渉曲線
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非定和3人集合の解 (1)差別解 P1は中立的立場であり,利得はc1に固定される. C1=50とすると, 線分pqが差別解
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非定和3人集合の解 コアが空でない3人ゲームの解 ・コアは内部安定性を満たしている.
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解と行動基準 ・フォンノイマン・モルゲンシュテルン解は安定な行動基準によって得られる解である.
・このとき,行動基準とは,プレーヤー間の社会秩序や社会組織.或いは社会習慣・社会規範などを意味する. ・つまり,客観解や差別解のような異なるタイプの解が存在するということは,そのような解を導く異なる安定な行動基準が存在し,それがプレーヤーに受け入れられるということである. ・フォンノイマン・モルゲンシュテルン解の理論は,規範的理論でも記述的理論でもなく,起こり得る可能性のあることを発見する理論であるということである.
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安定集合
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