Presentation is loading. Please wait.

Presentation is loading. Please wait.

2005/06年冬季における 北半球環状モード変動の 予測可能性について

Similar presentations


Presentation on theme: "2005/06年冬季における 北半球環状モード変動の 予測可能性について"— Presentation transcript:

1 2005/06年冬季における 北半球環状モード変動の 予測可能性について
京都大学大学院理学研究科 地球惑星科学専攻 木村和紀

2 北半球環状モードとは 北半球環状モード(NAM: Northern Annular Mode)
北緯20度以北の北半球域で冬季(11~4月)の 各等圧面高度偏差に主成分(EOF)解析を行い, 最も卓越するモード(EOF1)を抽出したもの 北極域と中緯度の高度場(気圧)のシーソー的変動 地表においては北極振動(AO: Arctic Oscillation)ともよばれる まず、北半球環状モードについて説明します。北半球環状モード、以下ではNorthern Annular Mode , NAMとよびます。 これは、北緯20度以北の北半球域で11月から4月の各等圧面高度場偏差に主成分分析、EOF解析を行い、最も卓越するモードとして定義されます。この最も卓越するモードをEOF1と呼びます。 NAMの特徴として挙げられるのは、北極域と中緯度との高度場または気圧のシーソー的変動です。北極域で正の気圧偏差のとき中緯度で負の気圧偏差となり、北極域で負の気圧偏差のとき中緯度で正の気圧偏差となります。 また、Thompson and Wallace (1998)で提唱されたように、地表面気圧の変動で対応するモードを北極振動とよびます。

3 NAM Index EOF1のスコアに回帰した高度偏差場:NAMパターン ※スコアは,EOF1と高度偏差場との内積をとった時系列
NAM-regressed 1000hPa NAM-regressed 100hPa NAM-regressed 10hPa H H H L L L H H H コンター間隔:5m,寄与率:21.1% コンター間隔:20m,寄与率:38.8% コンター間隔:50m,寄与率:50.3% ※スコアは,EOF1と高度偏差場との内積をとった時系列 NAM Index  NAM Indexは,各等圧面高度偏差場の回帰図への射影 上の3つの図は、月平均した各等圧面高度偏差場のEOF1のスコアへの回帰図です。左から、1000hPa面、100hPa面、10hPa面です。これらの図からわかるように、NAMパターンは地表から成層圏までほぼ環状の構造を持っています。そして、このパターンは北緯60度付近での東西平均風の変動でも特徴付けられます。また、寄与率が高く、北半球冬季において、この変動パターンは最も主要な変動成分であることがわかります。なお、一般的に、NAMパターンが極域で負の高度場偏差となるとき日本付近は暖冬になりやすく、 NAMパターン が極域で正の高度場偏差となるとき日本付近では寒冬になりやすい傾向があります。 また、本研究ではこの式で表されるように、日々の各等圧面高度場偏差のNAMパターンへの射影として、日々の各等圧面でのNAM Indexを定義します。NAM Indexが1というのは、NAM変動の気候学的な変動量で、回帰図と同様の射影成分を持っていることを意味します。 :NAM Index :高度偏差場 :各等圧面でのNAMパターン

4 研究の目的 NAM Indexの予測可能性 NAM変動の力学プロセス 気象庁1ヶ月アンサンブル予報データを用いて解析
Baldwin and Dunkerton(2001) より引用 NAM Indexが10hPaで-3.0を 超えた日をLag 0とした, 前後90日のNAM Indexを 18例で合成した図 コンター間隔は0.25,白線は0.5 -0.25~0.25は色塗されていない NAMの性質として,統計的に下方伝播する性質がある 対流圏でのNAM偏差は長い可能性 NAM Indexの予測可能性 NAM変動の力学プロセス 本研究の目的です。まず、Baldwin and Dunkerton(2001)の図を示します。ここで示すのは、10hPaでNAM Indexが-3.0を超えた日をLag 0とし、その前後90日のNAM Indexを18例で合成した図です。この図から見て明らかなように、上部成層圏から、NAM Indexの負の値が下部成層圏さらに対流圏に下方伝播するという統計的性質が見られます。さらに、上部成層圏より下部成層圏や対流圏のほうがNAM偏差が長く続く傾向があります。 このことから本研究では、NAM Indexの予測可能性について解析することにしました。成層圏でNAM偏差があるかどうかによって予測可能性に影響を与えるか調べました。さらにNAM変動の力学プロセスについてもみてみることにしました。これらを、気象庁1ヶ月アンサンブル予報データをもちいて解析しました。 気象庁1ヶ月アンサンブル予報データを用いて解析

5 使用データ NAMパターンの定義 ERA-40再解析データ 1959~2001年冬季(11~4月)月平均値
気象庁客観解析データ   2005年11月から2006年2月 気象庁1ヶ月アンサンブル予報データ   2005年11月から2006年2月   初期日:毎週水・木曜日   予報日数:34日   予報メンバー:摂動を加えないコントロールラン           摂動を加えた12メンバー 使用したデータは、まずNAMを計算するために、ERA-40再解析データを使用しました。 また、2005,2006年冬季の解析をするために、気象庁客観解析データを使用しました。 さらに、本研究では気象庁1ヶ月アンサンブル予報データも使用しました。 これは、毎週水曜、木曜日を初期日とした予報日数34日のデータです。予報メンバーは、人工的な摂動をまったく加えないコントロールランと、人工的な摂動を加えた12メンバーの、あわせて13メンバーからなっています。

6 ⇒2月上旬,大きな負の値は対流圏へ下方伝播
2005年11月1日~2006年2月28日のNAM Index 時間高度断面図 気圧 [hPa] まず、2005年11月から2006年2月にかけてのNAM Indexの時間高度断面図です。2005,2006年冬季は、特に12月を中心として記録的な寒い冬となりました。このときを見てみますと、11月下旬に、対流圏において大きな負のNAM Indexの値になっており、それが12月にかけて継続しています。また、2006年に入ってから、成層圏突然消音が起こりました。成層圏極域で気温が急激に上昇し、極域は正の気圧偏差となり、成層圏でNAM Indexの値は大きな負の値になりました。そのご大きな負の値は下部成層圏からさらに対流圏まで伝播して来ました。本研究では特徴的な2つの期間11月下旬と2月上旬について解析を行いましたが、本発表では特に日本の寒冬と関連して、顕著な負の値を示した11月の事例について述べることにします。 11月下旬,対流圏のみで大きな負の値 1月10日頃成層圏突然昇温発生 ⇒極渦の弱まりに伴い大きな負の値 ⇒2月上旬,大きな負の値は対流圏へ下方伝播

7 コントロールランのNAM Indexの予報誤差(2005/06年平均)
気圧 [hPa] 予測期間[日] 誤差が予測可能な期間の気候学的標準偏差1に達するまでの時間 対流圏では7日前後,成層圏では2週間以上 まずこの図は、2005年11月から2006年2月までの人工的な摂動をまったく加えていないコントロールランのNAM Indexの予報誤差の大きさを示したものです。横軸は予測期間で、縦軸は対数座標系で気圧軸となっています。この図から、予測可能期間といえる、誤差が気候学的標準偏差である1に達するまでの期間は、対流圏ではおよそ7日程度であるのに対して、成層圏においては2週間以上あることがわかります。これは一般的に、成層圏では空間スケールの大きい惑星規模波がが卓越しており、一般的に時間スケールが長いのに対して、対流圏では、相関規模の低気圧や高気圧の擾乱成分が入っており、持続期間の短い波があることが原因と考えられます。 成層圏では惑星規模運動が卓越するため時間スケールが長く, 予報可能期間が長くなる

8 1000hPaNAM Index 予報誤差の初期値依存性
共にアンサンブル平均の 誤差は平均より小さい スプレッドの大きさは平均的 アンサンブル平均・スプレッド共に成層圏循環に対する依存性は小さい 初期値依存性が大きい 1000hPa NAM Indexアンサンブル平均誤差(7-9日予報) アンサンブル平均からのスプレッド(7-9日予報) 次に、NAM Indexの予報誤差の初期値依存性について示します。一番上の図は、NAM Index時間高度断面図、その下は1000hPa NAM Indexののアンサンブル平均の誤差、一番下の図でアンサンブル平均に対するメンバー間のスプレッドを示しました。これは、前の図でわかった予報限界に近い期間、さらに移動性擾乱の影響を考慮して7-9日予報を選びました。 両期間ともアンサンブル平均の誤差は小さいものの、スプレッドはほぼ平均的な値でした。 また期間を通して、成層圏に負のNAM Indexが歩かないかによって対流圏のNAM Indexの予報に顕著な差は見られませんでした。また初期値依存性が高いこともわかりました。 黒の実線はそれぞれの平均値 上下の緑の実線は1標準偏差

9 1000hPa NAM Index予測値 (2005年11月) 初期日11/9,10 予報期間が2週間と長く スプレッドが極めて大きい
初期日11/9,10  予報期間が2週間と長く  スプレッドが極めて大きい 初期日11/23,24  予報日の直前で  スプレッドが極めて小さい 11/24の NAM Index NAM Index 11/16,17 11/19~21の 帯状平均風 減速過程 NAM Index 11/23,24 次に今回注目した11月下旬のNAMの力学的プロセスについて調べました。最初に観測値の1000hPaのNAM Indexが負の極大を取った11/24のNAM Indexの予報誤差に着目しました。そして、11/24に適度なスプレッドを持つ11/16,17を初期日とする予報を選びました。そして、誤差が最も小さい赤で示したメンバーをRun A、誤差が最も大きい青で示したメンバーをRun Bとしました。そして、帯状平均風の減速が顕著であった、11/19~21の3日平均で力学プロセスを調べました。 観測値と予報値のNAM Index 黒の実線が観測値,緑の実線が予報値 赤(青)の実線が11/24日の予測誤差が最も 小さい(大きい)メンバー,Run A(Run B)

10 EP-flux(波活動度フラックス) EP-fluxと帯状平均風の時間変化に着目して解析を行う NAMは帯状平均風の変動でも特徴付けられる
以下の変形されたオイラー平均方程式を解析に用いる u:  東西風 v: 南北風 f:  コリオリパラメータ ρ0: 密度 θ: 温位 バーは東西平均 ダッシュは東西平均からの偏差 帯状平均風 時間変化 残差 子午面循環 摩擦 EP-fluxの収束発散 :EP-flux 本研究では、力学的プロセスを調べるためにEP-fluxを用いました。NAMは帯状平均風の変動でも特徴付けられるため、この式で最も影響が大きいと考えられるEP-fluxの収束、発散に着目して解析を行いました。 :残差子午面循環 EP-fluxと帯状平均風の時間変化に着目して解析を行う

11 波数1が重要 帯状平均風変化とEP-flux(11/19~21) [m/s/day](11/19~21) 波数1(11/19~21)
波数2(11/19~21) [m/s/day](11/19~21) 波数3(11/19~21) 波数4-12(11/19~21) 陰影:東風加速 コンター間隔:1.0[m/s/day] 11/19~21の帯状平均風変化とEP-fluxの図を示します。 図の説明 北緯70度以北の対流圏上部の波数1成分のEP-fluxの収束が最も顕著に見られ、これと台頭して同じ領域で帯状平均風の東風加速が見られます。よってこの事例では、極域対流圏上部の波数1のEP-fluxの収束が対流圏NAM Indexの辺土運最も重要な役割を果たしていることが考えられます。 波数1が重要 矢印:EP-fluxで単位はkg s-2 右下の矢印:(4.0×108,1.5×106)(kg s-2),150hPaから上は10倍 コンター:EP-fluxの収束分布     コンター間隔:5.0[m/s/day] 赤(青)色が収束(発散)

12 波数1成分のEP-flux (11/19~21の3日間平均)
観測値 Run A Run B 矢印:EP-fluxで単位はkg s-2 右下の矢印:(4.0×108,1.5×106)(kg s-2),150hPaから上は10倍 コンター:EP-fluxの収束分布     コンター間隔:5.0[m/s/day] 赤(青)色が収束(発散) 次に同じ期間のEP-fluxの収束について、観測値、Run A、Run Bの比較について示します。NAM Indexの予報が最もうまくいったRun Aでは、北緯70度以北の対流圏上部のEP-fluxの収束が観測値と同様にうまく表現できています。この分布がうまく表現できていることによってNAM Indexの負の値もうまく再現できていると考えられます。一方Run BはEP-fluxの収束が弱く、これによりNAM Indexの再現がうまくできなかったと考えられます。 同様の検証を2006年1,2月の事例でも行いましたが、こちらはRun A、Run Bとの違いがそれほど顕著ではありませんでしたが、同様に波数1成分が重要ではないかという結果が得られました。 極域対流圏上部の波数1のEP-fluxの収束を うまく再現することがNAM Indexの変動予測に重要

13 まとめ 気象庁1ヶ月予報データを用いてNAM Indexの 予測可能性とNAM変動の力学的プロセスの 解析を行った
NAM Indexの負偏差の形成には波数1に伴う 対流圏上部のEP-fluxの収束が重要 本研究結果の統計的有意性の議論については, 解析する事例数を増やす必要がある

14 分散が最大の方向 ・ 回帰線 ・ この距離を最小にする ・ 回帰図にあたる 1 高度場偏差 主成分得点(スコア) 高度場偏差 高度場偏差
主成分得点(スコア)

15 1000hPa NAM Index予測値 (2006年1,2月) 観測値と予報値のNAM Index 黒の実線が観測値,緑の実線が予報値
赤(青)の実線が2/2日の予測誤差が最も 小さい(大きい)メンバー,Run A(Run B)

16 観測値 Run A Run B 波数1 1/29~31の3日間の平均
矢印はEP-fluxで単位はkg s-2右下の矢印は(4.0×108,1.5×106)(kg s-2)と対応,150hPaから上は10倍とした コンターはEP-fluxの収束分布,単位はm/s/day,赤(青)色がEP-fluxの収束(発散)を表す コンター間隔は5.0[m/s/day]


Download ppt "2005/06年冬季における 北半球環状モード変動の 予測可能性について"

Similar presentations


Ads by Google