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港湾部埋立地の緑地の構造と バッタ類の生息状況の関係
環境情報学部4年 板川 暢
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研究背景と目的 現在の都市域では、市街地開発などの影響を受け、生物生息環境が孤立しつつあり、都市に残された生物は、生息範囲の減少とともに、姿を消してきている。自然環境との共生が求められる今日の社会において、生物生息空間の保全と確保に向けた、緑地構造の現状把握は重要な課題であると言える。 港湾部埋立地でもその流れは波及してきており、三番瀬の人工干潟や大井ふ頭の多自然型護岸整備、東京港野鳥公園など、幾つかの例を挙げることが出来、東京都が進めている「海の森(仮称)公園構想」など、埋立地という環境への関心が高まっている。 市街地や公園緑地などの他地域に比べ、港湾部埋立地では、人工緑地を含めた生物生息環境に焦点を当てた調査・研究は未だ少なく、具体的な生態的なポテンシャルの把握は未だ出来ていないのが現状である。 このような状況の中で、埋立地の緑地とそこに生息する生物の現況把握をすることは、非常に重要な課題である。 昆虫類は、環境の変化に敏感であり、比較的早い段階から移入が見られ、他に比べると劣悪とされる環境でも、微視的な環境で十分に定着が可能であることから、港湾部埋立地のような環境における指標にも適していると言える。 生息環境が種によって多様化している直翅目は、緑地構造との関係性が密接であり、その状態を把握することで、緑地の評価を行えると考えられる。
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上位計画 -首都圏の都市環境インフラのグランドデザイン
上位計画 -首都圏の都市環境インフラのグランドデザイン 首都圏の都市環境インフラのグランドデザイン 対象地の位置づけ 三浦半島の基部に位置する金沢区は、三浦半島を中心とする緑のまとまりに含められている。この地域は、市街地に近接するいくつかのまとまった緑地や海岸から成るゾーンで、まとまりのある生物多様性に富んだ緑地であるとともに、多数の歴史的な資源が存在し、人と自然とのふれあいの場や良好な景観を提供しているとされる。自然環境の多くが歴史的風土保全区域や近郊緑地保全区域等に指定されており、これらの制度の活用による保全策の充実が課題となっている。
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上位計画 - 県 神奈川県『神奈川みどり計画〜保全・再生・創出をめざして〜』 対象地の位置づけ
上位計画 県 神奈川県『神奈川みどり計画〜保全・再生・創出をめざして〜』 対象地の位置づけ 湾岸沿いに点在しているみどりを主軸のみどりとして位置づけ、主軸に沿ってみどりの創出を図ることにより、海に面するみどりを結びます。また、海を臨む丘に点在する公園や緑地を主軸のみどりと結ぶために、丘に連なる斜面緑地と、斜面緑地に接して海と丘をつなぐように流れ、他の緑化域と結ぶ河川を副軸のみどりとして位置づけます。 さらに、みどりの少ない湾岸部においては、港湾緑地などを拠点のみどりとして位置づけるとともに、工場緑化の促進などによってみどりの創出を進めます。
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上位計画 - 市 『横浜市 水と緑の基本計画』 対象地の位置づけ 海岸段丘を中心とした斜面林を中心とした緑地を、水と緑の回廊軸
上位計画 市 『横浜市 水と緑の基本計画』 対象地の位置づけ 海岸段丘を中心とした斜面林を中心とした緑地を、水と緑の回廊軸 海岸線を含めた緑地帯を、海のふれあい軸 金沢緑地の西側は、長浜公園や富岡総合公園 などの基幹公園は、計画に積極的に組み込ま れているのにも関わらず、東側の工場・流通 地帯はほとんど計画では触れておらず、計画 上ではなかば無視されているような状態
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調査対象地 『神奈川県横浜市金沢区埋立地 円海山や平潟湾など、多様な環境が近くにある場所
本研究における調査対象である「小柴・富岡地区」は、金沢区の北東部に位置し、直ぐ南側には人工島として有名な八景島や人工砂浜が敷設された海の公園が在る 旧海岸線沿いに残されている緑地、富岡総合公園や長浜公園などの都市公園を有する側は、埋立地を中心と地域でありながらも、横浜市水と緑の基本計画で緑の七大拠点のひとつとして位置づけられている 地区の央を南北に横断する緩衝緑地である金沢緑地から東側の物流・工業地帯は、水と緑の基本計画では白紙にされており、上位計画から半ば外された形になっている 本研究では、地区の東側を中心とした埋立地に調査地点を23 箇所を設けた 都市公園・街区公園、緑道、中央分離帯などを対象 ま自然植生との比較を行う為、旧海岸線の内側に残されている緑地を3 箇所設けた。
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調査対象地 調査対象地は、横浜市の五大都市整備事業のひとつに数えられる場所であり、昭和40年〜60年の間に造成埋立が行われた地域である。
調査地点を設定した地域は、造成年代別に大きく3つに分けられる。埋立時期に大きな差はなsいものの、それぞれの土地利用には特徴があり、緑地等の整備が積極的に行われているのは、昭和49年〜55年に造成された地域である。 主な土地利用は、集合住宅地と工場・流通施設、処理施設である。 集合住宅のスケールごとにゾーン分けされており、近隣住区論に乗っ取った計画的な整備がなされている。そのため、一定以上の緑地が確保されている。 工場、処理施設等には、工場内に設けられた緑地の他に、一定幅の植栽帯が施設の周囲に設けられている。さらに、休憩緑地・港湾緑地等の緑地も確保されている。
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調査方法 直翅目バッタ・キリギリス・コオロギ類を取り上げる。直翅目は、内陸を中心とした環境に生息し、生息環境域が広く、分散能力が高いため、微視的な環境にも生息する。また、特に直翅目、蜻蛉目は種の中でも植物群落などの環境構造の違いによる棲み分けが為されており、都市域の緑地においても有効な指標生物となりえる。本研究では、養父らが行った先行研究で用いられた手法を基に、調査方法の設定を行った。調査期間は2008 年5 月から2008 年10月までとする。 調査対象とした緑地は、対象地域内の公園緑地、防災緑地、港湾緑地、緑道、道路沿い・中央の植栽帯で、その中から計23ヵ所の緑地を調査対象として選定した。さらに、対象緑地の中で、環境要素や条件で選別を行い、合計71箇所の調査地点を選出した。各調査地点では、10m×10mのコドラートを設定し、その中で調査を行った ・踏査視認法 10×10mコドラート内の、目視による同定・計数 s捕獲できたものは、持ち帰って図鑑によって同定 ・スイーピング法 踏査による見落としを補完するために行う (相把握) ・鳴き声調査 各調査地点で鳴き声により同定(相把握)
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緑被 マトリクスの構成、周辺緑地割合、緑地の連続性が、生物の生息空間の決定要因になるという先行研究に倣い、調査地点の周辺緑地面積の算出を行った。 横浜市が、2005年に作成した緑被データを使用 ポリゴンデータをラスタに変換 最小算出単位が、5×5m2のグリッドで、その数を計数 各調査地点から、半径50mの範囲内の緑被面積を、GISを用いて算出
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緑被 調査地点から50m範囲内の緑被面積
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緑被 調査地点から50m範囲内の緑被面積
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結果 8月 10月
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結果
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階層性 木本(高層) 低木・植込み(中層) 草本(低層) 調査地71箇所を、植物群落の階層性で分類を行った。
分類は、年変化を考え、植栽管理後の最も簡素な状態(年ごとの差異が少ない状態)で行うことにした。 草本を低層とする。対象地全域で植栽管理が行われているため、管理後の状態の草高は総じて低い。また、50cm以下の幼木等の未床は、低層に分類した。 中層は、1.5m以下の木本類(低木)とした。これには、植込み(植栽された樹木)を含め、被覆型のものも同類として分類した。 1.5m以上の木本を高層とした。ツル状植物が同様の条件を満たしている場合、高層に分類することにした。 木本(高層) 1.5m以上 低木・植込み(中層) 草本(低層)
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階層性 分類表
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直翅目分類 樹上性:5種 草本性:21種 地這(林床)性:3種 アオマツムシ、コロギス、カネタタキ、ヤブキリ、セスジツユムシ
ササキリ、クサキリ、ツユムシ、ヒメギス、カンタン、ウスイロササキリ、ホシササキリ、クビキリギス、ショウリョウバッタモドキ、コバネイナゴ、トノサマバッタ、クルマバッタ、エンマコオロギ、ショウリョウバッタ、オンブバッタ、ツチイナゴ、イボバッタ、クルマバッタモドキ、ヒシバッタ、ハネナガヒシバッタ、シバスズ、マダラスズ 地這(林床)性:3種 コガタコオロギ、ハラオカメコオロギ、イエコオロギ
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植栽管理 調査対象地、およびに、対象地域の植栽管理状況を、横浜市を中心とした管理団体にヒアリングを行った。
ヒアリングを行ったのは、下記の団体 (○:回答が得られた、×:保留 もしくは、回答が得られなかった) 横浜市環境創造局 南部緑地管理事務所 ○ 横浜市環境創造局 公園緑地管理課 ○ 長浜公園 管理事務所 ○ 横浜市港湾局 本牧事務所 × 横浜市都市整備局 × 調査と同時に、植栽管理が入っているかどうかの確認を行った。 多くの地点で、年2回(初夏、秋の2回)行われている 道路の中央分離帯では、他に比べると頻繁に行われている 港湾緑地・休憩緑地は、年に1回の地点もある
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参考文献 1) 大塚高雄(2007) : 東京臨海部の緑地計画, 都市計画56(5), pp.31-36
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