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星団で見る銀河系 ~星団の色等級図作成を通して~
原稿 ・「星団で見る銀河系~星団の色等級図作成を通して~」という題で発表します。天文ゼミ 野上です。宜しくお願いいたします。」 天文ゼミ 07571250 野上 敬寛 出典:NASA 1
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銀河系における星団の分布 散開星団 球状星団 ハロー 銀河系円盤 ★銀河系の模式図★ 太陽系 銀河系円盤の太陽系近傍部分だけわかる
銀河系円盤はガスやちりが集中しているため、見通しが悪い 球状星団 太陽系 ガスやちりが少ないため見通しがよい (ゆっくりと説明) *・星団で銀河系をみるためにまず、銀河系における星団の分布についてより詳しく説明していきます。 ・これはわれわれ銀河系の模式図です。青で囲んだ部分が銀河系円盤、赤で囲んだ部分が銀河系円盤を球状に取り囲むハローとよばれる部分です。 (補足:我々太陽系は銀河系の中心から約2.8万光年離れた所にあります。銀河系の直径は約10万光年とされています。)←結構文献によって3万であったり、2万5千光年とかかれていたりする。) ・(ク1)散開星団は銀河系円盤に分布しています。 ・これに対し(ク2)球状星団は銀河系全体を取り囲むハローに分布しています。 ・★星団の分布からわかることですが、 ・散開星団の分布からは(ク3)銀河系円盤の太陽系近傍部がわかります。(ク4)<太陽系が見渡せる範囲を表示。>、というのも銀河系円盤部はガスやちりが集中しているために見通しが悪くなっているからです。 (ク5)なお銀河系円盤全体像は電波による観測によって得ることができます。 ・球状星団の分布からは(ク6)銀河系を取り囲むハローの広がりがわかります。(ク7)というのもハロー部に関しては見通しがよいので、遠くにある球状星団も観測することができるからです。 次は、本研究における目的を述べたいと思います。 →次スライド 先生のメールより(星の集団である星団) 星団は同時に同じ場所で誕生した。 「同時」にということは、星団内の星は同年齢である。 「同じ場所」でということは星団内の星は地球から等距離である。 ある一定の距離に同じ年齢の星の集団がある。 銀河円盤には,ガスや塵が集中しているため,可視光では中心まで見通すことができませんが,塵の影響が少ない電波や赤外線なら銀河系中心を観測することができます. 銀河系円盤の太陽系近傍部分だけわかる 約2.8万光年 ハローの広がりがわかる。 *銀河系円盤全体像は電波観測で得る 約10万光年 2
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本研究の目的 和歌山大学屋上天文台で 撮影した独自の星団の観測 データから銀河系における 星団の分布図を作成.
散開星団 和歌山大学屋上天文台で 撮影した独自の星団の観測 データから銀河系における 星団の分布図を作成. ⇒星団から銀河系の構造理解へのアプローチ 球状星団 本研究の目的です。 本研究の目的は、「和歌山大学屋上天文台で撮影した独自の星団観測データから銀河系における星団の分布図を作成することです。」 ・右の画像はどちらも屋上で私が撮影した星団です ⇒星団から銀河系の構造理解へのアプローチをすることを目的としました。 *なお、電波から銀河系の構造理解をする方法については、次の電波グループの発表をお聞きください。 次は本研究で作成した星団の分布図です。 。 .
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本研究で作成した銀河系における星団の分布図
*XーZ (銀河系円盤を真横 から眺めたときの 星団の分布 ) *XーY (銀河系円盤を上 から見下ろした時 の星団の分布) 球状星団M3 図は、本研究で作成した星団の分布図です。散開星団が16個、球状星団が9個プロットされています。 太陽系が原点となっています。(矢印を説明。) ・作成した分布をみればわかるように、散開星団と球状星団で銀河系における分布にそれぞれ特徴があることがわかります。 (散開星団は太陽系の近傍部、球状星団は銀河系中心にハローつまり、銀河系全体に広がっている様子が分かります。<ク3>) (*M79の例外についても少し言及) ☆ちなみにM3の分布図はこのようになります。 次からは、M3を例にして、どのようにして銀河系における星団の分布図を1つ作成することができるのかを説明します。 どういう手順で星団の分布図を作成することができるのか説明していきたいと思います。 銀河系中心 太陽系
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星団(M3)の分布図作成の流れ ①星団データ取得 ②画像整約 ③測光(星の明るさを測定) ④色等級図作成 ⑤距離測定
⑥銀河系における星団の分布図作成 星団の分布図作成の流れはこのようになっています。 ①星団データ取得 ②画像解析 ③測光(星の明るさを測定) ④色等級図作成 ➄距離測定 特に、④、⑤の色等級図作成から距離測定が分布図作成における大きなポイントとなっています。 (星団を1つプロットするにあたりこれだけの作業が必要です。) *この5つの手順をへてはじめて、1つの星団が先ほどの分布図に1つプロットされます。 次のスライドからM3を例にしてその流れを順を追って説明していきます。 それでは M3を例にして
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・SMOKAデータベースによるデータ取得
①星団データ取得 屋上観測によるデータ取得 ・SMOKAデータベースによるデータ取得 (*対象星団数に限りあり。) ⇒撮像視野が狭い 球状星団M3(カラー合成) まずは星団データの取得です。 基本的には屋上での観測によってデータを取得しました。 より多数のデータ、より良質なデータを取得するためにSMOKAデータベースからもデータを取得しました。 右の写真をご覧ください。先ほど登場した球状星団M3です。上の画像が観測データ画像で下の画像がSMOKAデータ画像です。 *どちらも画像解析後カラー合成を行ったものです。 ・同じM3の写真ですが、屋上観測データのほうが、SMOKAデータに比べ、随分と画像の視野がせまい(ク2)ことがわかります。 次は取得したデータに対して、画像の整約を行います。 (狭いということは、一つの画像に対して調べることができる星の数も限られてきます。)
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②画像整約(reduction) 整約前(生データ) 整約後 ・観測装置から発生するノイズ ・CCDピクセルの感度ムラ ・空の明るさ等
②画像整約です。 左が整約前、つまり生データです。 星団の生データには(CCDカメラから発生するダークノイズやカメラの感度ムラ空の明るさや)といった不要なものが含まれています。 それら不要なものを取り除いてやる必要があります。 右が整約後の画像です。ノイズを取り除いてやることでこのように星がたくさん見えてきます。ノイズにまみれて見えなかった星が見えてきます。 次は、画像に写る星の明るさを求めていきます。
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522個 ③星の明るさを測定(測光) Vバンド(可視光・緑) Rバンド(可視光・赤) 1つのバンドの画像に対して カラー画像
ここでは解析した画像に対して、星の明るさを求めていきます。 この際、複数の波長の領域で撮影された画像ごとに星の明るさを求めます。 左がVバンドと呼ばれる可視光の緑の領域で撮影された画像です。さきほどの解析後の画像がこれです。 右がRバンドと呼ばれる可視光の赤の領域で撮影された画像です。 これに、Bバンドとよばれる可視光の青の領域で撮像された画像を加えることで、写真集でみられるようなカラー画像ができます。 本研究ではVバンドとRバンドにうつる星の明るさを求めていきます。 1つのバンドの画像に対して、522個の星を調べました。 次は調べた星の明るさを用いて色等級図を作成していきます。 Bバンド(可視光・青)
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④色等級図作成 星団(M3)までの距離測定へ ・横軸に等級差V-R(色指数) ・縦軸にV等級(見かけの明るさ) 赤 青 明 暗
本研究のタイトルにもある④色等級図作成です。 各波長領域V、Rバンドごとに星の明るさを求めることができたならば、横軸に等級差V-R、縦軸にVをとったグラフを作成します。 このグラフのことを色等級図といいます。横軸は色を表し、縦軸は明るさを表します。 次は色等級図から星団までの距離を測定していきます。 星団(M3)までの距離測定へ
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⑤星団(M3)までの距離測定 m―M=5logr-5 m-M=15~15.5を代入して距離を求めると・・・ ☆M3までの距離
理論曲線と 合うように縦軸方向に動かした位置 等級差(距離指数) 距離 m―M=5logr-5 M(星本来の明るさ) m-M=15~15.5を代入して距離を求めると・・・ ☆M3までの距離 32600~41041「光年」 文献32000「光年」 等級差15~15.5 理論曲線(等時曲線) 星団までの距離測定です。 先ほど求めた色等級図を利用して星団までの距離を求めます。 青の部分が前のスライドで作成した色等級図です。 距離は、理論曲線と比較して求めることができます。(理論曲線は星の進化経路を表すもので、質量をパラメータとして、理論的に求めることができる。)(ク1)はじめに作成した色等級図は見かけの明るさを表すのに対して、理論曲線は星本来の明るさを表します。 *色等級図を縦軸方向に動かして、理論曲線と一番合う位置を探します。これが理論曲線と合うように縦軸方向に動かした位置です。(ク2) その時の等級差を求めます。ここでは等級差を15から15.5と読み取りました。(ク3)手作業で縦軸方向に動かすので、誤差を含んでしまいます。ここでは15から15.5というように誤差範囲を含んだものとしました。(プラスマイナス1等級程度を誤差範囲とした。これは比較的良くできたほう。) 等級差が求まると次の式(ク4)からM3までの距離を求めることができます。 等級差は距離指数ともいいます。 実際に式に代入して求めてみます。(ク5) 以上で球状星団M3の距離を測定することができました。 m(見かけの明るさ)
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⑥星団の分布図作成 ☆銀河系の座標 M3までの距離 銀河系における M3の分布(x、y、z) Z Y X 太陽系 球状星団M3 銀河系円盤
銀河中心 X 太陽系 銀河系円盤 最終段階の星団の分布図作成です。 ①から⑤の作業で球状星団M3の距離がわかりました。 求めた距離から、銀河系における星団M3の分布を求めます。 図のように銀河系円盤を基準とした銀河座標とよばれる座標系を考えます。(ク1) M3の方向は銀経(ク2)と銀緯(ク3)で表すことができます。これは地球での経度と緯度にあたります。 これは座標の変換によって求めることができます。 これによって銀河系における星団M3の分布をもとめることができました。 次はまとめに入ります。 銀緯(地球でいう緯度のこと) 銀経(地球でいう経度のこと)
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まとめ ☆1つの星団につき ①から⑥の作業が必要 XーZ(銀河系円盤を真横から眺める位置 ) XーY(銀河系円盤を上から見下ろした位置)
太陽系 太陽系 球状星団M3 まとめです。 最後にもう一度本研究で作成した星団の分布図を載せます。 ①から⑥の作業を行うことで、球状星団M3の銀河系における星団の分布図を作成することができました。(ク1) 星団の分布図を1つ作成するにあたり、①から⑥の作業が必要となります。(ク2) 本研究では散開星団16個、球状星団9個を調べてこのような星団の分布図を作成しました。 その結果より、初期的成果ではあるが、散開星団の分布からは銀河系円盤の太陽系近傍部、球状星団の分布から銀河系のハロー部を示すことができた。 *独自に撮影した散開星団16個、球状星団9個の計25個の星団の色等級図を作成。 *作成した色等級図から求めた距離をもとに銀河系における星団の分布図を作成。 ☆初期的成果ではあるが、散開星団の分布から銀河系円盤の太陽系近傍部、 球状星団の分布から銀河系のハロー部の広がりを示すことができた。
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今後の課題 ☆より精度の高い距離測定のための色等級図作成
⇒できるだけ多数の星を用いた色等級図の作成 ⇒SMOKAデータベースの活用、広視野での星団の撮影 ☆銀河系(ハロー)の広がりを明確に示すために、より多数の星団、特に球状星団のデータ取得 ⇒和歌山大学独自に撮影された星団データによる銀河系の地図づくりへ
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☆星団(星の集団)の種類 散開星団(M45) 球状星団(M13) 星団 形状 距離 星の数 空間分布
出典:Image From The Universe ・まず星団というものについて説明します。(星団とは名前のとおり、星の集団のことです。) ・星団には(クリック1)散開星団と(クリック2)球状星団の2種類あります。 * (ク1)←以下クリック1のこと。 それらの特徴ですが、 (表を説明) (時間短縮のために「スライドの通りです」といって軽くながしたほうがよい?) ・形状は図の通り、(散開星団が)不定形なのに対し、(球状星団は)球対称 ・距離は(散開星団が)数百から数千光年に対し、(球状星団は)数万から数十万光年 ・星の数は数十から数百個に対し、数万から数百万個 ・空間分布に関しては、次にも説明しますが、散開星団が銀河面系円盤部に分布しているのに対して、球状星団はハローと呼ばれるところに分布しています。 ⇒次のスライド 星団 形状 距離 星の数 空間分布 散開星団 不定形 数百から数千(光年) 数十から数百個 銀河系円盤に分布 球状星団 球対称 数万から数十万(光年) 数万から数百万個 ハローに分布 15
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私が和歌山大学屋上で 撮影した星団画像を ご覧ください
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M52(散開星団)
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M103(散開星団)
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M53(球状星団)
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M15(球状星団)
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