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栄光放課後ゼミ 「激甚災害 -東日本大震災(2011)で 見た、聞いた、した事-」

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1 栄光放課後ゼミ 「激甚災害 -東日本大震災(2011)で 見た、聞いた、した事-」
栄光放課後ゼミ 「激甚災害 -東日本大震災(2011)で 見た、聞いた、した事-」 (株)地域・技術経営総合研究所 (株)多夢 28K 中原 新太郎

2 中原の役割(期待されていた事) 1.情報の収集、整理、統合、伝達 2.初動 3.関係諸活動の調整 4.記録・記憶に残し次に備える 背景として長期の活動に裏付けられた 相互の信頼感 醸成 千葉、茨城、福島、宮城、岩手の5県で活動

3 1.東日本大震災発生当日、中原の周囲で起きたこと
発生から2時間で民-民が中心になるという暗黙の了解   ←公的支援の即時出動は、規模の大きさから無理     日赤も共同募金も資金は半年動かないと予測 特定個人を中継点・結節点とした情報の流通開始 特定個人への著しい情報の集中   +中継点・結節点が事実上の司令センターに。 トリアージの訓練無しでの状況判断と、   それに対する高レベルのストレスの発生 各組織からの参加要請←情熱のある人はいるが、             実務家は案外少ない。 阪神淡路被災者が中心となり活動開始 12

4 2.日本の特徴 1.まず自分に何ができるか考え、リスクを取って 行動する人間が、年代・地域を問わずに存在。 2.子供の頃から身近にICT。 3.研究者、技術者等の専門家コミュニティが 被災地の近くに存在。 4.歴史の伝承がある。 5.自然との共生が受け継がれている。 6.利他の心が重んじられている。 7.識字率が高く、地方でも大学進学率が高い。

5 2.1.自分に何ができるか考え、リスクを取って 行動する人間が、年代・地域を問わずに存在。 2.2.子供の頃から身近にICT。
同時多発的に各地で行動が開始される。  NPO、J-MAT(医療)、JC、日弁連(無料法律 相談) 例:NHKのニュースをネットに流したのは    広島の中学生だった。    それをNHKの公式Twitter担当者が追認。    更にはNHKの公式サイトからリンク。    発災2時間後には福岡県久留米市運営の     地域SNSが支援表明。  

6 2.3.研究者、技術者、弁護士等の専門家 コミュニティが被災地の近くに存在。
2.3.研究者、技術者、弁護士等の専門家     コミュニティが被災地の近くに存在。 これにより、被災地で必要な製品、サービスが  災害の段階に応じて提供される。 プロボノ (専門知識を活用したボランティア)の拡大 例:スマートフォンのアプリケーション    by Androidの会、IT×災害on Facebook    IT DART←IT×災害会議 2013年    大阪安全安心まちづくり支援ICT活用協議会   Yahooトップページ     災害復興法学:法律相談案件をDB化し、新 法  」

7 2.4.歴史の伝承があること。 過去の風習と現代技術の融合でイノベーション 過去の災害の記憶の伝承 例:地域SNS連携村継ぎプロジェクト
   村継ぎ:江戸時代(400年前)の風習    災害の境界線としての古刹

8 2.5.自然との共生が受け継がれている。 自然の脅威を抑え込むのではなく、  受け止め受け流す。 例:信玄堤、防潮林

9 2.6.利他の心が重んじられている。 公益>利己 例:1986年大島三原山の噴火 支払の約定も無いのに私企業の東海汽船
   支払の約定も無いのに私企業の東海汽船    自主的に定期便を全便欠航、避難に振向。    同社バス運転手、ピストン輸送    島民1万人全員脱出、犠牲者ゼロ。   南三陸町防災無線係の犠牲   東京都特殊救助隊、域外である福島原発での   放水、冷却作業   北海道からの自衛隊の輸送に民間フェリー 為政者は自己犠牲を称揚して半強制するのではなく     しなくて済むようにするのが務め

10 2.6.識字率が高く、地方でも 大学進学率が高い。
2.6.識字率が高く、地方でも     大学進学率が高い。 災害の詳細な記録が残される。 状況や意思伝達が迅速、的確。 モバイルフォーンの普及率が高く、 アプリケーションソフトの開発も活発

11 3.1.自然災害とICT:課題と教訓(まとめ1)
発生直後は 多(被災地)→ 一(首長)の情報集約 次いで 多(指揮命令)→ 多(被災地現場部隊) 復興時は 一(公的機関)→ 多(被災者)の情報提供 と時期により、情報伝達の形態が異なる。 また、情報伝達の形態により、最適な通信システム異なる 映像情報(特に現場からのもの)の有用性と、複数機関 /組織(警察・消防・防衛・県庁)での情報共有の重要性 しかし、緊急時に実際に使える通信システムは少ない。 通信インフラの重要性の再認識:被害の局限化に必須。 ↓ 復旧の加速にも寄与。 途切れない通信網への期待 国際貢献としてソフト(人)も含めたシステム提供

12 3.2.自然災害とICT:課題と教訓(まとめ2)
自治体機能喪失時の情報の流れの規定   信用できる連絡先に玉石混交の情報が殺到し   結果として機能不全に。 民間ベースでの連携の基盤   地域SNSでは半年毎に全国フォーラムで   顔をあわせているので、相互の信頼関係構築 システムの日常使い化 「普段使っていないものを緊急時だけ使えるかという  話になる。 普段使っているものの安全性を高めない と、通信途絶と孤立の 問題には対応できない」     新潟県 泉田知事(新潟中越地震の経験)

13 4.安全・安心を確保するICTシステムの課題[調達面]
平時には、調達数少←自治体緊縮財政 災害・事件が起きてから緊急調達急増 調達が活発なのは半年のみ(喉元過ぎれば) 担当者、首長が変わると教訓活かされず 調達の急増に対応できない(部品手配、IC増産) 調達少ない平時は生産ラインが維持できない 半年後には、仕掛品、部品在庫の山 メーカーにとっては参入リスク大 製造は企業の社会的責任への対応頼み?

14 5.中原の役割:情報の収集、整理、統合、伝達
1.情報の真偽の判断 2.重要度の判定 3.どの情報とどの情報を組み合わせて どこに流すか、流さないか。 4.相手が理解できるように翻訳。 5.情報を流した相手からの反応を見据え ながら、支援ができる団体に案内する。

15 6.中原の役割:初動 全国で500ある地域SNSと相談 リレーで物資搬送

16 地域SNS連携による震災救援プロジェクトの概要
・リクエストも地域SNS、応えたのも地域SNSという民-民プロジェクト ・20の地域SNSが参加、夫々が物資を集めリレー形式の「村継ぎ」で搬送 ・第一回:山武市への古タオル発送 ・第二回:盛岡へ児童むけ学用品とランドセル(新品)を発送                  背景 ・職員/庁舎が被災→自治体機能低下/消滅 →被害/必要な物資の把握困難 ・個社/業界団体は既に赤十字/共同募金に寄付 ・個社/業界団体は特定地域のみを優遇できず→どこに救援を求めてよいか  わからない→個人やNPOへの依存比率の拡大活躍の余地                 「信頼と互酬性」という日本人が持つ空間の履歴 をSNSというITで蘇らせた世界初のプロジェクト 環境宗教学(お遍路さん研究)+ITのコラボ 村継ぎ:江戸時代、 巡礼の際に病気になった人をリレー形式で運んだ風習 温故知新と異分野研究者ネットワークが新しい価値を生み出す

17 地域SNS連携による震災救援プロジェクト
近畿は姫路、関東は葛飾に集積 第一回:山武向け     第二回:盛岡向け搬送   同  :物資集積      浸水対策タオル約2万本 段ボール230箱分の 新品学用品や ランドセルを搬送 盛岡 福井 松江 熊谷 宍粟 上田 桐生 栃木 三田 伊丹 宇治 佐用 上五島 尾道 姫路 春日井 葛飾 掛川 山武 南房総 収入 支出 第一回 75,000 58,000 17,000 第二回 364,000 126,762 237,238 439,000 184,762 254,238

18 地域SNSとは 規模は様々だが全国で500以上 会員数は100名前後から数千名まで オープンソース使用により初期費用節減
運営の主体は様々:自治体、私企業、NPO 通常から知見交換の交流有 半年毎に全国フォーラム開催 被災地への応援実績有:2009年の台風9号 上下関係よりも緩やかな連携を重視 実名で招待登録で匿名性は薄い

19 第一回救援活動:山武市向け 洪水の後始末に吸水性が高い 古タオルが緊急に必要と連絡。
3/21出発 3/22到着 姫路 春日井 葛飾 山武 洪水の後始末に吸水性が高い 古タオルが緊急に必要と連絡。 台風9号の被害で同じく古タオルを全国のSNSから集めた兵庫 から約2万本を陸送 総経費\58,000

20 第二回救援活動:盛岡市向け 「学び応援プロジェクト」 +村継ぎ 盛岡の地域SNSから流された学用品の代わりを
近畿は姫路、関東は葛飾に集積 盛岡の地域SNSから流された学用品の代わりを 届けて欲しいと連絡。全国のSNSから協力表明。 現代に「村継ぎ」を蘇らせ応援メッセージもリレーしよう。 段ボール230箱分の学用品搬送。総経費\126,762 盛岡 4/9 福井 松江 熊谷 宍粟 上田 桐生 栃木 三田 伊丹 宇治 佐用 上五島 4/7 尾道 姫路 春日井 葛飾 4/6 4/7 掛川 山武 4/8 4/8 南房総

21 プログラム設計方針 1.継続性を重視:一過性に終わらせない 2.負担の公平感:数字として正しいではない
3.適度な負担感:多少汗をかかないと参加意識をもてない 4、最終的な収支ではなく、資金繰りを重視 5.参加SNSの段階的な拡大:最初はコアを固め、後に拡大 6.参加メンバーに「プロ」としての力を発揮できる環境を      提供する

22 実際の運用 1.継続性を重視→負担の集中の是正 2.負担の公平感→集めた物資に応じた経費負担(一箱千円) ↑
                   ↑   SNSによって会員数も経過年数も異なり、またコアメンバー   も異なるので、頭割りでは新興・小規模SNSに過度の負担 3.適度な負担感→上記 4、資金繰りを重視→一旦「ひょこむ」が全経費を即時支払い、            他のSNSからは経費清算後に通知、徴収            初期段階で手元資金を厚めに確保 5.参加SNSの段階的な拡大→山武をテストランと位置付け、               盛岡で実績   制度設計段階から、外部公開掲示板でオープンに議論       →後からの参加者も事前に議論が追える

23 課題・感想 1.安全確保:余震が続き、高速道にも10cm程度の段差 最終が深夜の長距離となった →中間集積地/前進基地設置で調整中
         最終が深夜の長距離となった          →中間集積地/前進基地設置で調整中 2.ドライバーの確保:平日ということもあり、少人数で回した。            最長は約1100km:60歳の女性          →関東地区での車輌とドライバー確保 3.資金;初期費用で2回分の運送費を予め確保       緊急物資車輌認定で高速道路無料←プロの仕事 4.出発時に数少ない明るい話題として新聞報道、地域SNSの認知       子供から尊敬されるようになった父、親子での参加も。 5.次回に向けた議論が現在進行形で続いており、記憶の風化から   逃れられる見込み⇔阪神淡路は3月の地下鉄サリン事件発生で           被災地以外の人間の記憶から薄れてしまった

24 電子会議の様子(ひょこむ提供)

25 参考資料.東日本大震災復興支援活動1 図は和崎宏氏 提供

26 7.中原の役割:関係諸活動の調整 NPO・ボランティア相互 自治体とNPO・ボランティア 自治体内の部署間 官庁間 背景として長期の活動に裏付けられ 醸成されてきた相互の信頼感と翻訳機能

27 支援活動2:大槌みらい新聞 27

28 そして未来へ:自ら動く高校生による派生プロジェクト (支援活動3)
28

29 だが課題も残っている

30 8.自然災害とICT:課題と教訓 災害発生の度に、その教訓とICT進歩で、対応が進化
・1995年:阪神・淡路大震災→パソコン通信+スニーカーネット      (死者:6,434名 行方不明者:3名 負傷者:43,792名)        課題・教訓:電話の輻輳、        安否確認・生活情報提供の必要性 ・2004年:新潟県中越地震→ 緊急地震速報、GIS、無線LAN        課題・教訓:速報システム、映像情報の重要性認識        (しかしシステム貧弱) ・2005年:スマトラ沖地震→特定非営利活動法人BHN          (Basic Human Needs 1992年設立)        を経由した業界団体(CIAJ)主体の支援    (通信業界OBからなるスタッフを派遣、救援チームのための無線    通信網と被災者のためのFM放送局構築+FMラジオ16千台寄贈)          課題・教訓:日本の社会システムは世界に通用、                  人というソフトの強さ

31 ・2007年:新潟県中越沖地震→緊急地震速報、 BCP(事業継続)(←リケン工場被害)、      コミュニティFM (日経地域情報化大賞2007特別賞) (部品工場被災、死者15名 負傷者2345名 )       課題・教訓:複数機関(警察・消防・防衛             ・県庁)の情報共有の重要性 ・2009年:台風9号→ 地域SNS、SNSコミュニティ        (兵庫県の佐用町、穴粟市中心に多数の家屋 が床上浸水、倒壊)        課題・教訓:SNSによるコミュニティ力回復で被害 局限化/復旧加速

32 資源配置がアンバランス→間接死 熊本の震災(2016)では建物の倒壊 などによる直接死が50人 それに対して間接死は4倍の200人以上 ある業種の人が呼び寄せるのは同業者 従って一部地域に特定業種の支援が集まる それを調整する自治体もそこまで手が回らない

33 支援は偏在する 支援は同業者に偏りがち 医療は病院に、法曹は弁護士会に、 物資は情報発信が強いITコミュニティに etc これを各機関から上がってくる情報を分析し 再配置 看護師を避難所に 仮設トイレを車中泊の傍に等

34 善意の支援が被災地の生活を破壊することも
段階を追って支援内容を切り替えていく 緊急対応→日常を取り戻すことを主眼に 現地に寄り添う心と覚悟を忘れずに 失敗して傷が付くのを恐れて傍観する姿は美しくない そんな人間に限って功績だけは主張する

35 9.中原の役割:記録・記憶に残し次に備える
(1)シンポジウム開催 (土) 開催シンポジウム 震災から3年が過ぎて見えてきたこと。 開催第3回 国連防災世界会議 公式日英合同パブリック・フォーラム 月~6月実施予定 一部の資料は300の大学図書館に寄贈 (2)神奈川県主催の研究会に委員として参加

36 例:2014.05.31(土) 開催シンポジウム 震災から3年が過ぎて見えてきたこと。
例: (土) 開催シンポジウム   震災から3年が過ぎて見えてきたこと。 被災地からの声:10:10-12:00 ・千葉:NPO山武IT推進協会SNS担当理事 小島 妃佐子 氏 ・茨城:関東経済産業局 元産業部次長 久野 美和子 氏 ひたちなか商工会議所工業振興課長 小泉 力夫 氏 ・福島:いわきテレワーク センター 代表取締役社長、 会田 和子 氏 ・宮城:東北イノベーション キャピタル 代表 取締役 熊谷 巧 氏 ・岩手:カタリバ、大槌町 高校生 釜石 望鈴 氏

37 防災・減災・復旧 ・総合:日本総合研究所 調査部 主席研究員 藻谷 浩介 氏 ・災害に強い通信:JAXA 前理事長、NTTドコモ 元社長 立川 敬二 ・インフラの安全確保:ジオ・サーチ 社長 冨田 洋 氏 ・女子力とデザイン:防災ガール 代表 田中 美咲 氏 ・高専・高専人の取り組み~復旧から復興へ~:HN高専 顧問 島田 一雄 氏

38 復興に向けて: 行政:総務省 大臣官房審議官 渡辺 克也 氏 NPO活動-走れ東北!移動図書館プロジェクト 鎌倉 幸子 氏 料理・食メディアでの事例:アイランド 社長 粟飯原 理咲 氏 ミスキャンパスによるメディア  発信力を生かした学生ボランティア  支援 活動:Sweet Smile 前代表   西川 礼華 氏 観光:JR東海 相談役、   元会長 須田 寬 氏

39 例: 2015.03.15開催第3回 国連防災世界 会議 2015 公式パブリック・フォーラム
例: 開催第3回 国連防災世界 会議 2015 公式パブリック・フォーラム 基調講演:久保田 崇 陸前高田副市長、 市川 啓一 レスキューナウ最高顧問、中原 新太郎 林 春男 京都大学防災研究所巨大災害研究センター長・教授 パネルディスカッション;粟飯原 理咲 アイランド社長 岡坂 健 東日本大震災支援全国ネットワーク事務局長 和崎 宏 ひょこむ (兵庫県SNS)創立者 牧野 友衛 ツイッター ・ジャパン メディア 事業部 執行役員 酒井 紀之 情報支援プロボノ ・プラットフォーム共同代表

40 須田 寬 JR東海相談役、 輿石 逸樹 JR東日本 執行役員、 冨田 洋 ジオサーチ社長、 高橋 幸弘 北海道大学創成研究機構宇宙ミッションセンター長 熊谷 巧 東北イノベーションキャピタル代表取締役 鈴木 祐司 地域創造基金みやぎ(さなぶりファンド)理事 パネルディスカッション 麻生 菜穂美 長野五輪組織委 事務次長補佐(IOC出向)、 白石北ロータリークラブ前会長 篠目 貴大 損保ジャパン日本興亜 リスクマネジメント コンサルティング部長

41 牧 慎太郎 熊本市副市長 地引 泰人 東北大学グローバル安全学プログラム助教 近藤 道雄 福島再生可能エネルギー研究所 所長代理    兼上席イノベーションコーディネーター 今村 文彦 東北大学   災害科学国際研究所長 林 春男 京都大学防災研究所   巨大災害研究センター長・教授

42 ご静聴ありがとうございました。 自分の立場だけから考えるのではなく、現場に立ち、 肉声を聴き、寄り添う心で多様な視点で考えましょう。 連絡先 (株)地域・技術経営総合研究所 中原 新太郎 連絡・お問合せ 住所 :〒 横浜市港北区下田町 TEL : HP : s-nakahara.com


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