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小玉英雄 宇宙物理理論グループ 素粒子原子核研究所,KEK
宇宙創成を探る 小玉英雄 宇宙物理理論グループ 素粒子原子核研究所,KEK KEK・素核研 サマーチャレンジ講義 2010年8月25日
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光で見る宇宙
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光で見る宇宙 SDSS I 宇宙銀河地図
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電波でみる宇宙
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電波で見る宇宙 WMAP CMB温度地図
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物質の起源 宇宙膨張の謎 宇宙創成の謎 熱いビッグバン宇宙 ダークエネルギー ダークマター 原子物質 インフレーション 暗黒時代
現在の宇宙の加速膨張 暗黒時代 物質の起源 宇宙膨張の謎 宇宙創成の謎
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構成プラン I. 光と重力で探る宇宙 II. 電波で探る宇宙 III. 宇宙創成の謎 宇宙の元素組成 ダークマター Hubbleの法則
宇宙地図 膨張宇宙モデル 宇宙パラメータ 宇宙膨張による赤方偏移 光度距離・赤方偏移関係 SNIa観測 ダークエネルギー II. 電波で探る宇宙 ビッグバン宇宙とCMB Jeans不安定 宇宙音波 WMAP観測 Doppler peaks 宇宙のdark pie III. 宇宙創成の謎 フリードマンモデルの諸問題 インフレーション 量子ゆらぎから銀河へ CMBによるインフレーションの検証 インフレーション問題 宇宙誕生を観測する
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I. 光と重力で探る宇宙
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宇宙物質の組成
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銀河系
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Andromeda
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Fraunhofer線
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H He metal C Fe B Be Li Solar Photospheric Abundance
Grevesse N & Sauval AJ: Adv. Space Res. 30: 3-11 (2002) H He metal C Fe B Be Li
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宇宙の元素組成 主要成分: 水素:ヘリウム=10:1(個数比) メタル(炭素およびそれより重い元素) 軽元素
主要成分: 水素:ヘリウム=10:1(個数比) メタル(炭素およびそれより重い元素) 重い元素間の相対比は種族によらない. ヘリウムの割合も種族に大きく依存しない. 星には,メタルの割合の大きく異なる2つの種族が存在: 種族I: X=0.74, Y=0.25, Z= Cf. 太陽:X=0.7381, Y=0.2485, Z=0.0134 種族II: X=1-Y-Z. Y=0.25 +/- 0.03, Z=2£ 10-3» 2£ 10-5 軽元素 He: Yp= / D/H = (2.78+/- 0.29)£ , ( 3He/H)p » 10-5 ( 7Li/H)p ' 2£ 10-10
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Dark Matter 我々の銀河の回転曲線 輝く物質量からの予想値 太陽の位置 Newton理論での回転速度は
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渦巻き銀河には普遍的にダークハローが存在
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重力レンズでダークマターを探る
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リング状の分布をする銀河団ダークマター 衝突銀河団では、高温ガス(赤)とダークマター(青)が異なる分布をしている。
Abell 520 (NASA/Chandra) Bullet Cluster (NASA/Chandra)
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Hubble則と宇宙地図
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銀河の運動とDoppler効果 KISS (Kitt Peak National Observatory) 銀河の後退運動
[Vesto Melvin Slipher (1912)] Andromeda銀河を除く多くの銀河からの光が赤 方偏移. z´¢¸/¸ =v/c >0 [O++] [O+] [O++] Hb Hg KISS (Kitt Peak National Observatory)
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Cepheid型変光星の距離決定 δ-Cepheid型変光星に対する光度周期関係
[Henrietta Swan Leavitt (1916)] 絶対等級 M = - a log(P) + b 現在の公式は <MV> = log P (<B0> - <V0>) + f f ~ -2.25: a zero point. P in days 適用範囲: 7Mpc (M101) on Ground; 25Mpc by HST Cepheidは超巨星であるため,遠方まで観測可能. Pop I 型星なので,楕円銀河(や球状星団)には含まれない. 1Mpc=106 pc 1pc= 3.26光年
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Mathewson, Ford and Visvanathan (1986) ApJ 301: 664
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Hubbleの法則 by Hubble & Humanson
赤方偏移: z = v c = 遠方の銀河は距離に比例する速度で我々から遠ざかる運動をしている. E. Hubble: PNAS 15: 168 (1929) 1Mpc=106 pc 1pc= 3.26光年
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Hubbleの法則の意味 v = H0 r ) v’ = v- v(a)= H0 r – H0 a = H0(r-a)
Q1-1 Hubbleの法則 v=Hd が我々から見て厳密 に成り立つとすると,我々から距離 a の銀河 にいる観測者にとって他の銀河はどのように 運動して見えるか? (解答) v = H0 r ) v’ = v- v(a)= H0 r – H0 a = H0(r-a) ) v’ = H0 r’ すなわち,どの銀河から見ても同じHubble の法則が成立(宇宙の一様等方性) Q1-2 銀河の運動速度が一定とする.このとき,過 去に時間をさかのぼると銀河の分布はどのよう に変化するか?また,その変化の特徴的な時 間はいくらか.(宇宙年齢) (解答) t –t0= - 1/H0 で一点に集まる. 時間は, 1/H0= 23億年 x(560km/s/Mpc /H_0) Cf. 地球の年齢は約46億年
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宇宙の距離はしご HST 方法 適用距離 年周視差測定 0~100pc 星団視差法 100pc~10kpc 散開星団主系列星
Cepheid型変光星 10kpc~25Mpc Tully-Fisher法 10Mpc~200Mpc SN Ia 60Mpc~4000Mpc Hippparucos JASMINE HST
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Hubble定数 by HST H0の観測値 1Mpc= 106 pc 1pc=3.26 光年 = 3£ 1018cm
H0= 74.2 ± 3.6 km/s/Mpc ) 1/H0 = 140 億年 H0= 100 h km/s/Mpc = 70 h70 km/s/Mpc Q1-3 Hubbleの法則が大きな距離でもそのま ま成り立つとすると,銀河の後退速度が 光速に達する距離は?(ホライズン) (解答) z=1 , c / H0 = 4,300 Mpc 1Mpc= 106 pc 1pc=3.26 光年 = 3£ 1018cm
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CfA Survey Hubble則を用いて宇宙を測る CfA1 1977-1982 CfA2 1985-1995
CfA Huchra Hubble則を用いて宇宙を測る CfA CfA PI: John Huchra, Margaret Geller Sky coverage: ' 40% Redshift of 18,000 bright galaxies v < 15,000km/s (z<0.05)
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Great Wall & Southern Wall
Geller MJ 1997 Rev. Mod. Astron. 10: 159 Ramella, Geller and Huchra ApJ 384, 404, 1992
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2dF(two degree fields) GRS
南北銀極付近 220,000銀河
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銀河分布のフィラメント・ボイド構造
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Sloan Digital Sky Survey
主に北天 約80万個の銀河
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SDSSI: redshift distribution
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Galaxy Correlation Function
<n(s)n(0)>= n2 (1+»(s)) SDSS Collaboration: ApJ 633: 560 (2005)
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宇宙モデル
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問題 Q2-1 半径 Rの質量Mの一様なガス球を考える. このガス球が一様性を保って膨張するとき, 半径と密度の時間変化を決める方程式を求 めよ.ただし,ガスの圧力は重力に比べて 無視できるとする.さらに,時間t無限大で, 膨張速度 dR/dtがゼロに近づく解を求めよ. (解答) d2 R/dt2 = -GM/R2 ) (dR/dt)2 – 2GM/R= -k. M= 4¼ ¹ R3/3 ) ¹ = 3M/(4¼ R3). 無限遠で dR/dt=0とすると,k=0. よって, R=(GM/2)1/3 (3t)2/3 ) R=R0 (t/tf)2/3; tf=1/(6¼ G ¹0 )1/2 ¹ = ¹ 0 (tf/t)2 Q2-2 Q2-1で求めた R(t)に対する方程式 の一般解を求めよ. (解答) k>0のとき: k=2GM/Rm, x=R/Rm , ¿ = t/(Rm3/(2GM))1/2 d¿ = x dx/(x(1-x))1/2 x=(1-cosµ)/2 ) ¿=(µ-sinµ)/2 (0· µ · 2¼) k<0のとき: k= - 2GM/Rm, x=R/Rm , d¿ = x dx/(x(1+x))1/2 x=(coshµ-1)/2 ) ¿=(sinhµ -µ)/2 (0· µ )
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宇宙論の基本方程式 宇宙膨張の方程式 エネルギー方程式
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宇宙膨張による赤方偏移 Robertson-Walker計量 宇宙膨張とハッブル則 光線の伝播 赤方偏移
特に,d= c(t0-t) が小さいとき,
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一様等方膨張宇宙モデル K=0 K>0 K<0 Hubbleの法則(1929) 銀河の後退速度 / 距離 v= H0 r
銀河の後退速度 / 距離 v= H0 r K=0 宇宙の膨張と一様等方性 Robertson-Walker宇宙モデル 空間は一様等方で,一様な曲率 K をもつ 空間のサイズ a(t)が時間 t 共に増大 K>0 K<0 重力は引力 ⇒ 宇宙膨張は減速型 ⇒ 有限な宇宙年齢 ⇒ Big-bangモデル
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宇宙パラメーター ハッブル定数 宇宙膨張の方程式 エネルギー方程式 物質組成 密度パラメーター wパラメーター
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宇宙における天体までの距離測定 光度距離 一般に 角径距離 固有光度 L,見かけの明るさ Fobs
) L=4 dL2 Fobs ) 光度距離 dL 角径距離 固有径 D, 見込み角 ) D = dD ) 角径距離 dD: 一般に 固有量 + 見かけの量 ⇒ 天体までの(様々な)距離
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光度距離ー赤方偏移関係 赤方偏移 z と宇宙サイズ a の関係 距離と面積の関係 dL – z関係
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Hubble Diagramの拡張 Flat ΛCDM models Curved CDM models Degeneracy
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SNIa で宇宙を計測する 適用距離: >60Mpc Ia型超新星までの距離
これまでの観測 (High z) Supernova Search Team 1998 Riess AG et al 16 SNe Ia (z= ) + 34 nearbys 2004 Riess AG et al 16 SNe Ia (z>1.25 by HST) SNe Supernova Cosmology Project 1997 Perlmutter S et a: 7 SNe Ia (z= ) 1998 Perlmutter S et al 42 SNe Ia (z= ) 2003 Knop RA et al: 11 SNe Ia (z= , HST) Supernova Legacy Survey 1st yr 2005 Astier P 71 SNe Ia (0.249<z<1.01) + 44 nearbys Ia型超新星までの距離 光度曲線が、ピーク時の色指数と光度減衰時間により良い精度で分類されることを用いて,絶対光度を推定. 適用距離: >60Mpc
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Supernova Legacy Survey
SNLS collaboration: A&A 447:31 ( 2006)
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問題:何を意味するのか? 宇宙は現在,加速膨張している!! 重力が引力 ⇔ 宇宙膨張が減速 宇宙膨張が加速 ⇒ 重力が斥力
Q3-1. 宇宙膨張の基本方程式を用いて,現在の宇宙膨張の加 速度(d2 a/dt2)を密度パラメータで表せ.また,密度パラ メーター (M,K,¤) =(0.26,0,0.74)に対して,加速度の 値をを計算せよ. (解答) Q3-2. 宇宙膨張の基本方程式を用いて,宇宙膨張の加速度 (d2 a/dt2)をエネルギー密度½と圧力Pで表せ. (解答) Q3-3. ダークエネルギーの密度をPlanck単位(G=1, c=1, ~=1) で表すといくらか?(tpl=(G~ /c5)1/2 =5.4£ s, 1yr=3£ 107 s) 重力が引力 ⇔ 宇宙膨張が減速 宇宙膨張が加速 ⇒ 重力が斥力 重力が斥力 ⇔ 圧力 P < - /3
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Riess A et al: ApJ659(2007)98
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Dark Energy
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Reacceleration of the Universe
宇宙の膨張速度 インフレーション 熱いビッグバン宇宙 宇宙時間 現在の宇宙の加速膨張 暗黒時代
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ダークエネルギー問題 一般相対性理論が宇宙のスケールで正しいとすると,量子エネルギーを含めて,真空のエネルギーが 正である (加速問題),
素粒子物理の特徴的なエネルギースケールと比べて異常に小さい (階層性問題), Cf. 真空の構造が変化する特徴的なエネルギースケール EPlanck=1028eV, EGUT=1025eV, EEW=1011eV, EQCD=108eV ちょうど現在の物質密度と同程度である(一致問題).
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様々な理論的試み 特別の場を導入 Quintessence, K-essence, phantom field, dilatonic ghost condensate, tachyon field(¾ Chaplygin gas), 量子重力 Spacetime foams, EPI, baby universe 重力理論の変更 ミクロでの変更: 弦理論・M理論 長距離での変更: Lorentz不変性の自発的破れ, f(R,,r) モデル, TeVeS理論, DGPモデル 人間原理 ダークエネルギー問題は、21世紀に残された最大の難問。その解決には,真空のエネルギーを完全にコントロール出来る基礎理論(重力を含む統一理論)の構築が不可欠! Ref: Copeland, Sami, Tsujikawa: IJMPD15, 1753(2006)
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II. 電波で探る宇宙
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Cosmic Microwave Background
1950年代 George Gamov Heの起源を熱い膨張宇宙モデルにおける初 期宇宙での核融合反応により説明(BBN). 数度Kに相当する熱的背景放射を予言. 1964年 A.A. Penzias, R.W.Wilson 宇宙から等方的にやってくる約3Kに相当する 熱雑音電波を発見(1978年ノーベル賞) 1990年代 COBE実験(John R. Mather & George Smoot; 2006年ノーベル賞) CMBのスペクトルが非常に高い精度でPlanck 分布に従うことを確立し,温度を精密に決定: TCMB=2.728+/-0.004K CMB温度の異方性を発見. ピーク振動数: 160GHz ピーク波長: mm
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COBE FIRAS FIRAS= Far InfraRed Absolute Spectrometer
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問題:ビッグバン宇宙 Q4-1. 現在の宇宙は,約2.74KのPlanck 分布をする熱放射により満たされてい ることが知られている(CMB).光子ガス のエントロピー密度がT3に比例すること を利用して,宇宙のエントロピーが一定 とした場合のCMBの温度Tとスケール 因子aの関係を求めよ.また,T=3000K, 3800Kとなる時期の赤方偏移の値と時 刻を求めよ. (解答) T3 a3=一定 ) T/ 1/a 1+z=1/a = (t/t0)2/3 , t0=140億年より zdec= 1,100, tdec= 3.8£ 105 yr zrec= 1,400, trec= 2.1£ 105 yr Q4-2. 現在のCMBの密度パラメーは h2CMB=2.39£ 10-5 T2.74で与えられる. これより,熱輻射のエネルギー密度と ダークマターのエネルギー密度が等しく なるときのzと温度,時間を求めよ. (解答) ½m/½r / a=1/(1+z) より, zeq=DM/CMB=5,000, Teq=15,000K, teq= 4£ 104 yr Q4-3. 輻射のエネルギーが支配的な時期に おいて,スケール因子の時間依存性を求 めよ. ½ / T4 / 1/a4 より, (da/dt)2/a2= Heq2 (aeq/a)4 ) a =aeq (t/teq)1/2
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宇宙プラズマの中性化 宇宙プラズマの電離率の時間変化
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宇宙の熱史 エントロピー密度 Cf. 太陽 温度の変化
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Jeans Length 半径Lのガス雲(領域)において, 一様なガス雲のゆらぎに対して, ガスの圧力勾配 単位体積当たりの重力
P/L » cs2 m/L 単位体積当たりの重力 Gm M/L2 » Gm m L 両者が等しい長さ ) Jeans長 LJ= cs/(Gm)1/2 = cs tff L < LJ のガス雲は膨張し密度勾配が減少 L > LJ のガス雲は重力収縮し,さらに密度が上昇. 一様なガス雲のゆらぎに対して, 波長 < LJ のとき,音波として伝播 波長 > LJ のとき,重力収縮によりゆらぎは成長 圧力 重力 L
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Jeans長とホライズン Q5-1. 宇宙物質を輻射 (r)と物質(b) (電子,陽子プラズマ)の混合気体 と見たとき,両者の圧力の比 Pb/Pr をもとめよ.ただし,輻射と物質は 同じ温度とする. (解答) Q5-2. 同じ仮定の下で,宇宙物質のエ ネルギー密度½と圧力Pをスケール 因子の関数として求めよ.さらに,こ れを用いて,このガスの音速 をスケール因子の関数として求めよ. また,原子物質が中性化して以降の 音速を求めよ. (解答) 宇宙の中性化により P=Pr+Pb )P=Pb cs は 3.7£ 10-5-倍に減少! CMB=4.8£ 10-5, b=0.046, kB TCMB=2.4£ 10-4 eV. mp=940 MeV/c2
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Q5-3. 物質優勢な宇宙および輻射優勢 な宇宙において,宇宙誕生時を頂点 とする光円錐の宇宙時間tにおける 半径lH(t)を時間の関数として求めよ. この値と 1/Hを比較せよ.
(解答) 光波面の方程式は,cdt=a d より, 物質優勢とすると: lH(t) = 3c t = 2/H 輻射優勢とすると: lH(t) = 2c t =1/H 初期面 宇宙晴上り 現在 時間
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Sounds of CMB 膨張宇宙におけるJeans長 H2= 8 G /3 ) LJ ¼ cs /H
宇宙の晴上り 膨張宇宙におけるJeans長 H2= 8 G /3 ) LJ ¼ cs /H Cf. ホライズン長 LH ¼ c/H LJは宇宙の晴れ上がり直前で最大となる. 晴れ上がり前: LJ ¼ LH 晴れ上がり後: LJ < 10-5 LH 現在 熱い膨張宇宙 長さ c /H cs /H CMB 時間 t
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宇宙音波の振舞い Q6-1 水素再結合時tdec以前のCDM 優勢な時期では,電磁輻射と物 質の混合気体を伝播する波数 k/aの音波の方程式は, となる.このWKB解 に対して,t=tdecでの振幅|¢r|2は 離散的な波数knでピークをもつ. kn/(a(tdec) H(tdec))を求めよ. (解答) WKB解は次のように書き換えら れる: ここで, よって,
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宇宙音波の観測 Q6-3. CMBの最終散乱面t=tdecでのホ ライズンを見込む角度を求めよ.た だし,宇宙膨張は平坦な物質優勢 FRWモデルで近似できるとする. (解答) Q6-4. Q6-1の結果を用いて,第 1Dopper peakの波長を¸1として, l=2¼ rplc(tdec)/¸1を求めよ. Q6-2. CMBの最終散乱面t=tdecで我々 が観測できる領域の半径(t=tdec時で の固有長rplc(tdec)と対応する現在の 長さ(共動長)Âplc(tdec))を求めよ.そ れとlH(tdec)の比を求めよ.ただし,宇 宙膨張はK=0の物質優勢FRWモデ ルで近似できるとする. (解答)
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CMB Temperature Map by WMAP
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Doppler Peak WMAP観測 1st Doppler peak l ¼ 200 , K¼ 0
WMAP 7yr: arXiv:
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Cosmometry by CMB WMAP観測 Komatsu E et al 2009: ApJ Supple180:330
Dopplerピークの位置は空間曲率を決め る. Dopplerピーク波長はほぼ物理で決まり, 宇宙物質組成に敏感でない. 晴れ上がり時でのDopplerピークの波長 Lp とそれを見込む角度pの対応は,主に 空間曲率に依存: WMAP観測 1st Doppler peak l ¼ 200 , K¼ 0 観測値: |K| < 0.1 Komatsu E et al 2009: ApJ Supple180:330
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宇宙のDark Pie WMAP 7yr data Flat ΛCDM 6 parameter fit
ダークエネルギー ダークマター 通常物質 WMAP 7yr data Flat ΛCDM 6 parameter fit [Larson D et al: arXiv: ] Allen SW, Rapetti DA, Schmidt RW, Ebeling H, Morris G, Fabian AC: MNRAS383:879(2008) SDSS Collaboration: ApJ 633: 560 (2005)
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III. 宇宙創成の謎
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平坦性問題 Planck時での空間曲率 Q7-1. 現在の宇宙でK=0.01とすると, Planck時(t=tpl)での½K/½mの値はいく らになるか? (解答) (古典的な)宇宙の始まり 平坦性問題は,宇宙初期にエネルギー密度 m が曲率 K/a2より緩やかに減少する(i.e. 宇宙の加速膨張)時期が十分長く続けば解消される. Planck定数 h, 光速 c, 重力定数 G Planck時間 tpl ¼ 10-43s Planck長 Lpl ¼ 10-33cm Planckエネルギー Epl¼ 1019GeV ¼ 1032 K Planck時の曲率半径 > 1030 Lpl
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ホライズン問題 Friedmannモデルを仮定すると ホライズン問題も,宇宙初期に宇宙膨張が加速する時期が十分長く続くと解消される.
我々がCMBで観測する領域のサイズは,宇宙晴上りの時点で,ホライズンサイズの33倍程度 初期面 宇宙晴上り 現在 時間 観測領域で,CMB温度ゆらぎは 10-5 程度 宇宙の一様等方性は,宇宙誕生時の初期条件.量子論と整合しない.
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宇宙膨張の起源 宇宙の膨張速度 インフレーション 熱いビッグバン宇宙 現在の宇宙の加速膨張 暗黒時代 宇宙時間 なぜ宇宙は膨張を始めたのか?
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宇宙構造の起源 L Q7-2. 同じサイズの各々の領域でエネルギーがδEだけ ランダムに変動するとき,N個の領域の全体でのエネル ギーは N1/2 δEだけ変動する. また,サイズLの領域で重力ポテンシャルのゆらぎは δE/Epl /(L/Lpl)で与えられる. このことを用いて,Planck時においてホライズンサイズの 領域でエネルギーがランダムに比率 ² で変動するとき, t=tdecにおいてホライズンサイズの領域での重力ポテン シャルのゆらぎはいくらになるか? (解答) 宇宙誕生時のゆらぎのスペクトルは lH(tdec)に対応するPlanck時でのサイズとLplの比は 観測は 「曲率ゆらぎはすべ てのスケールで一定で10-5程 度」を支持 (Harrison- Zeldovichスペクトル)。
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宇宙のインフレーション ビッグバンの起源 平坦性問題 宇宙初期での加速膨張 ホライズン問題 モノポール問題 宇宙構造の起源 解決
宇宙の膨張速度 インフレーション 熱いビッグバン宇宙 宇宙時間 ビッグバンの起源 平坦性問題 ホライズン問題 モノポール問題 宇宙構造の起源 宇宙初期での加速膨張 解決
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問題:インフレーション宇宙 Tr=5 ¢10-4 Tpl , g=100 ) Htpl=3 ¢ 10 - 6
Q7-3. インフレーション時の宇宙膨張 率Hが一定で,時刻t=tfにインフ レーションが終了し直ちに輻射優 勢LFRWモデルに移行するとする. LFRW宇宙に移行した直後の宇宙 の温度Trが1016 GeVとなるとすると, Hはいくらか?ただし,この時点で の物質のエネルギー密度は g (Tr/Epl)4 Epl/Lpl3, g=100とする. (解答) Tr=5 ¢10-4 Tpl , g=100 ) Htpl=3 ¢ Q7-4. Q7-3と同じ設定で,現在サイズLの 領域は,t=tfにおいて,そのときの Hubbleホライズンサイズ1/Hの何倍 か? (解答) NL=L (T0/Tr) H = (L/Lpl) (T0/Tpl) (1.38g)1/2 (Tr/Epl )2 = 1.7 £ 1030 (L/4000Mpc) (Tr/Epl )2
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Q7-5. 同じ設定で,ホライズン問題が解決さ れる,すなわちインフレーションの始まり に現在の観測領域が1/H以下のサイズで あるためには,インフレーションが続く時 間¢ tがいくら以上必要か?H¢ tの値で答 えよ. (解答) H¢ t >> ln(NL) ¼ ln(Tr/Epl ) Q7-6. 同じ設定で,平坦性問題が解決される には,H¢ tがいくら以上である必要がある か? N=exp(H¢ t)とおくと, Q7-7. 計量のゆらぎをdgとおくと,重力場のサイ ズLの領域での量子ゆらぎの大きさは, h=dg/κ を用いて,h= 1/Lで与えられる.イン フレーション時の量子ゆらぎがHubbleホラ イズンより引き延ばされると一定に保たれる ことも示される.このことから,インフレーショ ン時に生成される重力波の振幅を宇宙の再 加熱温度で表せ. (解答)
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宇宙加熱(graceful exit)問題
インフレーションは起こせるか? インフラトン =重力が斥力となる物質 宇宙加熱(graceful exit)問題 新インフレーションモデル カオティックインフレーションモデル
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量子ゆらぎから銀河へ インフレーション時. インフレーション後 長さ 時間 t
インフラトンの量子ゆらぎはスケール不変な宇宙ゆらぎを生成する. 同様に,インフレーションによりスケール不変な重力波背景放射が生成される. インフレーション後 インフラトンのゆらぎは再加熱により通常の物質密度のゆらぎに変化し,CMBのスカラ型ゆらぎを生み出す. 重力波背景放射は宇宙晴れ上がり後,CMBにテンソル型ゆらぎを誘起する. 宇宙の加熱 宇宙の晴上り 現在 熱い膨張宇宙 長さ 量子ゆらぎ 時間 t
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CMBによるインフレーションの検証 WMAP(+others) 温度非等方性のスケール依存性は,CDM+インフレーションの予言とよく一致.
スカラ型スペクトル指数: ns = 0.95 » 0.97 WMAP 5yr: arXiv:
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インフレーション問題 適当にポテンシャルを手で与えれば,スカラインフラトンを用いて(現在の)観測と整合的なインフレーションモデルを作ることは容易である. そのようなモデルは,インフレーションの背後に重力を含む統一理論が隠れていることを示唆する. インフレーションがPlanck時に始まることが要求される. インフラトンと他の場の相互作用は,重力相互作用程度となる. 現在,超弦理論・M理論は整合的な重力を含む統一理論の唯一の候補であるが,未だにそれに基づくインフレーションモデルは存在しない.特に,次のNo-Go定理は大きな障害となっている. 10次元ないし11次元の超重力理論の余剰次元を定常,コンパクトで滑らかな空間によりコンパクト化することにより得られる4次元理論では宇宙の加速膨張は起こらない. [Gibbons GW 1984]
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宇宙誕生を観測する CMB非等方性 LiteBIRD (KEK CMB group, 10年 後)
より精密な観測.特に,ゆらぎの非ガ ウス性の測定 ⇒非線形効果を通して,インフレー ションの情報を得る. Planck (2009年6月-) 偏光(特にBモード)観測 ⇒インフレーションで生成された重力 波の観測 ⇒インフレーションの終了時期など新 たな情報 QUITE, PolarBear, …. LiteBIRD (KEK CMB group, 10年 後) NASA EPIC(Einstein Probe of Inflationary Cosmology, 15年 後?) WMA 5yr data: arXiv:
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宇宙誕生を観測する 文科省科学研究費補助金 新学術領域研究 領域代表:羽澄昌史 (KEK) 平成21年度~平成25年度
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宇宙誕生を観測する CMB非等方性 スペースレーザー干渉計 原始重力波 より精密な観測.特に,ゆらぎの非ガウス性の測定
⇒非線形効果を通して,インフレーションの情報を得る. Planck (2009年6月-) 偏光(特にBモード)観測 ⇒インフレーションで生成された重力 波の観測 ⇒インフレーションの終了時期など新 たな情報 QUITE, PolarBear, …. LiteBIRD(KEK CMB group, 10年後) NASA EPIC/CMBPol (Einstein Probe of Inflationary Cosmology, 15年後) 原始重力波 スペースレーザー干渉計 Lpl at inflation ⇒ L >10 RE LISA, DECIGO (20年後) LISA (of Great Observatories), The Structure and Evolution of the Universe 2003 roadmap, "Beyond Einstein: From the Big Bang to Black Holes.“ (NASA)
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まとめ
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宇宙の誕生,進化の全過程を直接観測する時代が始まる!!
可視:SUBARU HSC, BOSS, EELT(42m光学望遠鏡,2018?-),… ダークマター,ダークエネルギー,第1世代銀河・星の探査,系外惑星探査 赤外・サブミリ:ALMA (12m級アンテナ80基,2010?-), SPICA(2017?-) 第1世代星,初期銀河,系外惑星探査 電波:500m 固定望遠鏡, SKA (km2 array) 21cm HI線によるダークエージ探査, ダークマター CMB偏光Bモード: QUIET, PolarBEAR, LiteBIRD (2020?) , EPIC (2025?) インフレーション起源重力波,ダークマター,銀河形成 原始重力波:LISA (2030?), DECIGO (2030?) インフレーション起源重力波,巨大ブラックホール ダークマター・ダークエネルギーの実体の解明 インフレーション機構の解明,背後にある究極理論への手がかり LHC実験 DM直接検出実験
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