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「複合原子力科学の推進」について -京都大学原子炉実験所の将来計画案として-

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1 「複合原子力科学の推進」について -京都大学原子炉実験所の将来計画案として-
川端祐司 平成22年度中性子イメージング専門研究会 平成23年1月6日  京都大学原子炉実験所・事務棟大会議室

2 京都大学原子炉実験所とは 大学における原子力の 基礎研究と教育のために
日本学術会議:「関東及び関西の大学に研究炉を1基づつ設置」(1955年) 原子力委員会:原子力開発利用長期基本計画:「大学における基礎研究及び教育のための原子炉はさしあたり関西方面に1基設置し、」(1956年) 1963年(昭和38年)京都大学附置全国共同利用研究所として設置 設置目的:「原子炉による実験及びこれに関連する研究」

3 京都大学炉(KUR)・ホットラボと共同利用
共同利用件数 年間 約160件、 4000人日 KUR 定格出力5MW (1MW) スイミングプールタンク型 低濃縮新燃料 HL 圧気輸送管(放射化分析) ホットセル(最高185TBq) 照射後機械強度試験 α,β,γ線用セル 超ウラン関連実験

4 原子炉実験所の主要3施設 KUR:1964年初臨界 → 全国共同利用研究の遂行 KUCA:1974年初臨界 → 原子力教育
イノベーションリサーチラボ (FFAG陽子加速器) 原子炉実験所の主要3施設  KUR:1964年初臨界 → 全国共同利用研究の遂行  KUCA:1974年初臨界 → 原子力教育  イノベーションリサーチラボ:2004年竣工 → ADS,加速器BNCT

5 中性子源の位置づけ 加速器 J-PARC, SNS, (ESS) ISIS, PSI KENS LENS 北白川中性子源
北大Linac、京大炉Linac 研究炉 ILL, FRM-II, CARR JRR-3M, NIST HANARO, ORPHEE KUR, KUR-ADSR JRR-4 近大炉 大型 中型 小型

6 施設利用の将来ビジョン ●H22年度よりKURは新燃料にて再稼働 → 約10年間の運転 ●中期的:KUR/HLの積極活用
  しかし現実的には加速器中性子源が必要 ●中長期的:大学に相応しい中型規模の中性子源を確保して積極活用 ●研究炉・HL利用の活性化       中小型中性子源利用のあるべき姿の追求 ●加速器中性子源による中性子研究のさらなる展開 ●人材育成の重要性:大学付置研究所としての使命          → 広義の原子力分野における若手研究者・技術者育成

7 日本学術会議の提言 提言 学術の大型施設計画・大規模研究計画 -企画・推進策の在り方とマスタープランの作成について- (平成22年3月17日) この提言は、日本学術会議 科学者委員会 学術の大型研究計画検討分科会の審議結果を取りまとめ公表 日本学術会議は学術の推進上の重大な問題点を認識し、科学者コミュニティの専門的意見を集約して、大型施設計画および大規模研究計画の検討を行い、わが国として初めての全分野にわたる大型計画のマスタープラン(全43課題)を策定した。 京大炉提案「複合原子力科学の有効利用に向けた先導的研究の推進」 : 原子力を表看板に掲げた唯一の課題

8 学術研究の大型プロジェクトの推進について(審議のまとめ) ー学術研究の大型プロジェクトの推進に関する 基本構想「ロードマップ」の策定ー 科学技術・学術審議会 学術分科会 研究環境基盤部会 平成22年9月2日 ロードマップは、日本学術会議のマスタープランに盛り込まれた43計画についてさらに検討を深め、大型プロジェクト推進に当たっての優先度を明らかにする観点から、各研究計画について、本作業部会としての評価結果を整理した。 評価の観点は、日本学術会議のマスタープランのリストアップ基準である、①研究者コミュニティの合意、②計画の実施主体、③共同利用体制、④計画の妥当性のほか、⑤緊急性、⑥戦略性、⑦社会や国民の理解を加えて設定 評価の結果をまとめると、基本的な要件が満たされており、一定の優先度が認められる計画が18計画、これらのうち、上記2)について評価の高かったものから順に、「a」が8計画、「b」が5計画、「c」が5計画と整理される。

9 複合原子力科学の有効利用に向けた 先導的研究の推進
評価①: a 評価②: a 主な優れている点等:・京大の原子炉実験所を中心としたネットワークの責任体制が明確になっている。・大学が有する我が国唯一の教育・研究用の原子炉として、運転を持続させるとともに、維持発展すべき。・利用分野は広がっており、特にガン治療などの医用について国民の理解が得られる。・原子力人材を育てる教育機関としても重要な役割を担う。 主な課題・留意点等:・オールジャパンとしての原子力研究に位置づけられておらず、大学や独法全体における検討が必要。・期待される成果と緊急性について更なるアピールが必要。

10 複合原子力科学の有効利用に 向けた先導的研究の推進 (京都大学原子炉実験所)
大規模研究計画(大型施設計画ではない) 初期投資:60、運用経費:3.8×10年(億円) 人類社会の持続的発展には原子力・放射線の利用が必要である。本計画では、研究炉・加速器を用いる共同利用・共同研究を軸に、複合的な原子力科学の発展と有効利用に向けた先導的研究を推進し、その拠点を形成する。

11 京大炉(KUR)及びホットラボの利用高度化
精密な照射条件の達成による 精度の高い科学的研究の実現 中性子利用を中核とした総合的微量元素分析 微量元素総合計測システム 陽子線 加速器 (FFAG) 試料移送 精密制御照射 炉心照射 放射化分析 蛍光X線 装置 電子線 加速器 ICP-AES 低温照射 短寿命核種用 放射化分析 ICP-MS X線 回折装置 電 子 顕微鏡 引張り 試験機 汎用 HL 試料 試験 装置 即発γ線分析 X線マイクロ アナライザ B4実験孔 試料加熱引張り ホルダ 試料温度 コントローラ (スーパーミラー導管) 照射後材料試験システム 金属材料 照射効果研究 京大炉(KUR) 中性子ラジオ グラフィ装置 大電力 加熱装置 医療 照射 線量評価 システム 医療照射(BNCT)システム 中性子イメージングシステム 線量評価高度化研究 大電力利用二相流研究 科学的基礎研究を伴った新がん治療研究 大型炉では不可能な試料環境整備

12 中小型施設でこそ できることとは 大型施設はユーザーの多い典型例に最適化 試料からのバックグランド減らしてS/N向上 → 通常は正しい選択
JRR-3M PGAA JRR-3M TNRF 大型施設はユーザーの多い典型例に最適化 試料からのバックグランド減らしてS/N向上                 → 通常は正しい選択 試料周りの空間の制限 → 試料条件をコントロールする(比較的大きな)装置の設置に困難 中小型炉では、遮蔽が少なくてすむ(補助遮蔽)            → 試料周りを完全にフリー化 測定精度は落ちるが研究者がやりたいことを自由行う環境の整備  特に即発ガンマ線分析では世界初の試み

13 加速器利用による新中性子源の提案 加速器BNCT ADS(FFAG+CA) 臨界集合体棟 イノベーションリサーチラボ 中規模
 パルス中性子利用  連続中性子利用  陽子利用 大規模施設では実施が難しい 特徴的研究、萌芽的研究、 教育への展開 特に、核燃料物質の利用

14 パルス陽子利用設備 二次粒子利用設備 陽子ビーム利用設備 パルス中性子源設備 連続中性子源設備 中性子利用設備 放射線取扱施設 としての付帯設備 パルス中性子利用設備 管理エリア ホットラボ

15 まとめ 原子炉及び加速器を利用した複合原子力科学の積極的推進 大学付置の特長を生かした原子力研究と教育の実施
大学における中型中性子源の理想像の実現 KUR、HL、CA、各種線源及び新中性子源の合理的将来像の構築


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