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機能の獲得?喪失? 分子機械の複雑化における原動力

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1 機能の獲得?喪失? 分子機械の複雑化における原動力
五十嵐研雑誌会 No. 1108 機能の獲得?喪失? 分子機械の複雑化における原動力 PD 千葉 洋子

2 背景① 分子の複雑化はなぜ起こるか? 通説 Assumption: 根拠のない前提 AとBそれぞれに、新たな機能を
背景① 分子の複雑化はなぜ起こるか? 通説  AとBそれぞれに、新たな機能を 加えたり、既存の機能を強化したり するような有利な変異が生じ、 それが蓄積することにより複雑化する。  Assumption: 根拠のない前提 AとBは同一の 起源を有する。 W. Ford Doolittle, Evolutionary biology: A ratchet for protein complexity. Nature (2012) 481: 270–271

3 背景① 分子の複雑化はなぜ起こるか? 今回の研究により示されたモデル (酵母 V-ATPaseの例) 中立的な変異が
背景① 分子の複雑化はなぜ起こるか? 今回の研究により示されたモデル (酵母 V-ATPaseの例) 中立的な変異が 蓄積。 ランダムに結合可。 さらに変異が蓄積。分子の並びが 制限される。 W. Ford Doolittle, Evolutionary biology: A ratchet for protein complexity. Nature (2012) 481: 270–271

4 背景② V-ATPaseとは V-ATPase:
  Vacuolar(液胞)-type, proton-translocating ATPase ATP オルガネラの酸性化 に関与する膜タンパク質 細胞質 ADP+Pi V1 小胞輸送 エクソサイトーシス  (開口分泌) 膜融合 イオン恒常性 伸長(成長?) pH調整 H+ V0 Michael Forgac, Vacuolar ATPases: rotary proton pumps in physiology and pathophysiology. Nature Reviews (2007) 8: 917–929

5 背景③ 酵母のV-ATPase << 液胞 ゴルジ体/ 局在 エンドソーム 複合体 存在量
細胞内のpHおよびイオン恒常性を保つ役割を有する。 V-ATPaseを欠損させることが可能。(致死でない) →V-ATPase破壊株 液胞を酸性に保てない 2価の陽イオン感受性になる 液胞 ゴルジ体/ エンドソーム 複合体 局在 << 存在量 GC Finniagan et al., The reconstructed ancestral subunit a functions as both V-ATPase isoforms Vph1p and Stv1p in Saccharomyces cerevisiae. Mol Biol Cell (2011) 22: 3176–3191

6 背景③ 酵母のV-ATPase 今日はV0 protein ringを形成するこの サブユニットc, c’, c’’に注目します。
液胞 ゴルジ体/ エンドソーム 複合体 局在 << 存在量 GC Finniagan et al., The reconstructed ancestral subunit a functions as both V-ATPase isoforms Vph1p and Stv1p in Saccharomyces cerevisiae. Mol Biol Cell (2011) 22: 3176–3191

7 論文の紹介 Gregory C., Finnigan1* Victor Hanson-Smith2,3*, Tom H. Stevens1 & Joseph W. Thornton2,4,5 1Institute of Molecular Biology, 2Institute for Ecology and Evolution, 3Department of Computer and Information Science, University of Oregon, Eugene, Oregon 97403, USA. 4Howard Hughes Medical Institute, Eugene, Oregon 97403, USA. 5Departments of Human Genetics and Ecology & Evolution, University of Chicago, Chicago, Illinois 60637, USA. *These authors contributed equally to this work. Nature (2012) 480: 360–365

8 V0 protein ring の機能 Michael Forgac, Nature Reviews (2007) 8: 917–929

9 酵母V-ATPaseのV0 protein ring
多くの生物にはSubunit 11がなく、 1つのSubunit 16と5つのSubunit 3からなる。 一方、酵母を含むFungiにはSubunit 11が存在し、3つとも必須。

10 酵母V-ATPaseのV0 protein ringの 3サブユニットは同一の起源を有する。
最尤 (ML)法を用いて   系統樹を作成した。 Subunit 16 Subunit 3 Subunit 11

11 酵母V-ATPaseのV0 protein ringの 3サブユニットは同一の起源を有する。
最尤 (ML)法を用いて   系統樹を作成した。 Subunit 16 →Subunit 3と11はFungiの祖先が他の 生物と別れる直前に 分化したことが判明。 Anc. 16 Question: Fungiが分岐する前の生物のV-ATPaseは 2つのサブユニットAnc.16とAnc.3-11を使っていたのか? Subunit 3 Anc. 3-11 Subunit 11

12 祖先型サブユニットの構築 最尤法のアルゴリズムを使い、祖先型タンパク質の配列を予測した。

13 祖先型タンパク質の機能解析 ① 祖先型タンパク質をSaccharomyces cerevisiaeで発現させ、実際にV-ATPaseとして機能するか確認した。 YEPD CaCl2 (25 mM) Anc.3-11は現存のSubunit 3および11の機能を補完可能。

14 祖先型タンパク質の機能解析 ① 祖先型タンパク質をSaccharomyces cerevisiaeで発現させ、実際にV-ATPaseとして機能するか確認した。 Anc.3-11は現存のSubunit 3および11の機能を補完可能。

15 祖先型タンパク質の機能解析 ① 祖先型タンパク質をSaccharomyces cerevisiaeで発現させ、実際にV-ATPaseとして機能するか確認した。 Plasmid  Genotype YEPD CaCl2 (25 mM) Anc.16も現存のSubunit 16の機能を補完可能。 Anc.3-11とAnc.16の組み合わせでも機能可能。

16 祖先型タンパク質の機能解析 ① 祖先型タンパク質をSaccharomyces cerevisiaeで発現させ、実際にV-ATPaseとして機能するか確認した。 これらV-ATPaseが進化し複雑さが増す中で、 V0複合体自体にもV0 protein ringを形成する 各サブユニットにも新しい機能は生じなかった ことが明らかになった(と著者らは述べている)。

17 祖先型タンパク質の機能解析 ② Subunit 3および11が分化した後の祖先型タンパク質を作成し、同様の実験を行った。 Anc. 16
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18 祖先型タンパク質の機能解析 ② Subunit 3と11が分岐 した後、Anc.11はSubunit 3が有する 何らかの機能を失った
Anc.11は現存のSubunit 11の機能を補完可能だが、Subunit 3は補完できない。逆もしかり。 Subunit 3と11が分岐 した後、Anc.11はSubunit 3が有する 何らかの機能を失った ことが示唆された。 逆もまたしかり。

19 Subunit 3と11の機能特化 仮説: Subunit 3と11はそれぞれリング形成に必要な界面を失う
仮説:  Subunit 3と11はそれぞれリング形成に必要な界面を失う ことで、互いに補完不可能なパーツになったのではないか? Anc.3-11の 重複 界面の喪失 19

20 仮説の検証 Subunit 16の片側に特定のサブユニットを 結合させた融合サブユニットを作成し 機能し得るか(=リングになるか)確認した。

21 仮説の検証 Subunit 16の片側に特定のサブユニットを 結合させた融合サブユニットを作成し 機能し得るか(=リングになるか)確認した。
    Plasmid       Genotype   YEPD   CaCl2

22 V0 protein ringを形成する3サブユニットの必須性は非対称性の界面に起因する。

23 Anc. 3-11からSubunit 3および11への 分化における遺伝学的基盤

24 Anc. 3-11からSubunit 3および11への 分化における遺伝学的基盤
V15FはAnc. 11 M221IはAnc. 3の 性質に近づいた。

25 Anc. 3-11からSubunit 3および11への 分化における遺伝学的基盤
M221: 界面Rに存在 P, R P, Q P, R P, Q V15: 界面Pに存在 P, R P, Q V15FはAnc. 11 M221IはAnc. 3の 性質に近づいた。 わずかな変異によりAnc. 3-11はSubunit 3および11に特化 し得る。

26 結 論 V-ATPaseのV0 protein ringの構造的な複雑化は、祖先型の界面を消失させるが他の機能には影響を与えない数個の変異により起こりうる。 新機能の獲得 中立な変異の蓄積による、 界面の喪失 (機能への影響なし)


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