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第11課 ダストの光学 講義のファイルは 平成17年 1月 17日
第11課 ダストの光学 講義のファイルは に置いてあります。 質問は へ。 平成17年 1月 17日 最終授業は平成17年1月24日です。レポート提出が遅れる人は1月末日までに天文学教室事務室桜井敬子さんに届けて下さい。単位が欲しい人は5つ以上のレポートを提出して下さい。M2、B4で単位認定を急ぐ人は申し出て下さい。
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11.1. 誘電体 (cgs静電単位系)の分極 (復習)
11.1. 誘電体 (cgs静電単位系)の分極 (復習) ガウスの法則は 双極子モーメント 分極密度 N=双極子数密度 例1 HCl分子 電場中の原子 Clー H+ 電子 原子核 α=原子分極率 単位はcm3 電場 E
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例2 一様に分極した板 = ρ+=N・q ρ-=-N・q P=N・p=N・q・r = + r = σ+ =ρ+・r=N・q・r=P
例2 一様に分極した板 = ρ+=N・q ρ-=-N・q P=N・p=N・q・r = + r σ+ =ρ+・r=N・q・r=P = σ- =-P
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例3 コンデンサー +Q +Q 面積S ε d Eo E -Q -Q 自由電荷密度 σ=Q/S 電場 Eo=4πσ
例3 コンデンサー +Q +Q 面積S ε d Eo E -Q -Q 自由電荷密度 σ=Q/S 電場 Eo=4πσ 電位差 Vo=4πQd/S 静電容量 Co=S/4πd 自由電荷密度 σ=Q/S 束縛電荷密度 P 電場 E=Eo-4πP =Eo/ε 電位差 V=Vo/ε 静電容量 C=Q/V=ε・Co P=χE χ=電気感受率(electric susceptibility) ε=誘電率(dielectric constant) εとχの関係は χ=(ε-1)/4π ε=1+4πχ
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例4 一様に分極した誘電体球(半径Ro)内の電場 E
例4 一様に分極した誘電体球(半径Ro)内の電場 E ρ+=N・q + = ρ-=-N・q 分極した誘電体球を、一様に正に帯電した球と負に帯電した球が 、r だけずれて重なっていると考える。 正電荷球の内部、中心からRでの電場Eは E=4π(4πR3ρ+/3)/(4πR2)= 4πRρ+/3 電位は中心でゼロとして、
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全体の電位φは、φ+とφーの和であるから、
したがって、 板の時はE=-4πPであったが、 球では 1/3 がかかることに注意。 球の外側の電場は球の中心にお いたモーメントの大きさ Po=(4πRo3P/3) の双極子による電場に等しい。 E=-4πP/3
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例5 一様な外部電場中の誘電体球 球内部では、外場Eoと球の分極Pにより生じる電場(-4πP/3)の和として、 E=Eo-4πP/3
例5 一様な外部電場中の誘電体球 球内部では、外場Eoと球の分極Pにより生じる電場(-4πP/3)の和として、 E=Eo-4πP/3 の電場が生じている。 ー - - - - - - - P Eo Eo -4πP/3 + + + + + + + + + = E Eo 例3で求めたP=(ε-1)E/4π の関係を使って、 E=Eo- (ε-1)E/3
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α=原子分極率(atomic polarizability)
分極密度Pの誘電体の個々の原子は誘電体内の平均電場Eaveを受けているわけではない。なぜなら、Eaveには考えている原子自身による電場Eselfも含まれているからである。 考えている原子のまわりに、原子一個分の球状の空洞を考える。空洞の壁に生じた分極電荷による電場はEcav =+4πP/3だが、平均電場Eaveにこの空洞電場Ecavを加えたEoth=Eave+Ecav が原子に実際に働く電場である。すると、 個々の原子の双極子モーメント p は、 p=αEoth =α(Eave+Ecav) =α(Eave+ 4πP/3 ) Eave p P=N・p P=N・p=Nα (Eave+ 4πP/3 )
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11.2.固体の光学的性質 屈折率(refractive index) m=n + i・k
誘電率(dielectric function) ε=ε´+ i・ε´´=N2 真空中での電磁波 E=Eo・exp( i・2πx/λ-i・ωt) 屈折率mの媒質中 E=Eo・exp(-2πk・x/λ)・exp(i・2πn・x/λ-iωt) (1) Lorentz model : 固体は双極子(光で揺すられるバネ)の集まり (Aは質量) ここに、 p(双極モーメント)=q・z なので N(双極子の数密度)を使うと、分極密度P=N・pは、 ここに、 はプラズマ角振動数である。
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P=χEなので、 ε=1+4πχ= 4 ε´ ε´ ´ 2 3 k 1 2 n 0 1 0 ωO ω ωO ω
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ωOは共鳴角振動数と呼ばれ、バルクな固体では吸収が最も強くなる箇所である。 固体表面に垂直に入射する電磁波の反射率は、
で与えられるので、通常はω= ωOの付近でR≒1となる。 例1 多くの場合、紫外~可視域では、電子の詰まったエネルギーバンドから空のエネルギーバンドへの遷移に伴う吸収が起きる。 n 2 ω= ωO k 1 0 ωO ω ω< ωOでは、n≒一定で短波長(青)側に緩やかに増加し、k<<1で透明となる。ガラスや水では可視域が、紫外域にある吸収帯の裾野にあたる。このためにこれらの物質は。可視で透明でかつ屈折率nがほぼ一定で、短波長側にやや大きくなっているのである。
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例2 赤外波長帯には、結晶格子の振動による吸収が起きる。
例2 赤外波長帯には、結晶格子の振動による吸収が起きる。 振動のモード毎に共鳴振動数は変わるので、物質の光学的性質は様々な共鳴振動子の集まりと考えられ、次のように表される。 ε´ 透明 透明 透明 透明 ε´´ 0 0 ω1 ω2 ω3 ω
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(2)Drude model 金属では電磁波による自由電子の振動がその光学的性質を決めている。
(2)Drude model 金属では電磁波による自由電子の振動がその光学的性質を決めている。 Lorentz modelでC=0(バネなし)とおいて、金属のεを求めると、 2 ε´ ´ 0 γは電子の衝突間隔時間τと、 γ~1/τの関係にある。可視・紫外では、γ<<ωなので無視でき、 -2 -4 ε´ -6 ωP ω
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多くの場合ωP=2-15eVである。ω< ωP(可視)ではn<1、n<<kとなり
ω>ωP(紫外)ではε´≒1、 ε´´≒0、つまりn≒1、 k≒0、となり金属は透明になる(ultraviolet transparency)。 簡単なイメージとしては、周波数が低いと電磁波に対し金属内の電子が揃って動いて強い誘導電場を生み出して電磁波を遮断し反射する。周波数が高くなると電磁波による電場の速い動きに電子の質量がついて行けなくなり、金属内の誘導電場の応答が小さくなって透明になる。 後に述べるが、ω< ωPにおいてε´<0となる現象は固体微粒子の光吸収において大きな効果をもたらす。
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11.3. 固体球形微粒子の光散乱・吸収・減光(Mie Theory)
11.3. 固体球形微粒子の光散乱・吸収・減光(Mie Theory) 入射フラックス=F(W/m2)の平面波を考える。 半径aの球が単位時間当たりK(W)のエネルギーを吸収し、H(W)を散乱する時、 σABS=K/F =吸収断面積 σSCA=H/F=散乱断面積 σEXT= σABS+ σSCA=減光断面積 減光断面積 吸収 2a 散乱B Q= σ/πa2=Efficiency Factor 散乱A
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波長λの平面電磁波の中に、半径a、屈折率mの球を置いたときの断面積σは厳密に解くことが出来る。x=2πa/λとすると、Q=σ/πa2 は xとmで決まる。
ここに、ψ、ξはRiccati-Bessel 関数と呼ばれ、以下の漸近式を使って計算される。 実際の計算では計算不安定性を避けるために、以下の式がよく用いられる。
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ここに、 は適当な次数でDn(x)=0として、 次の降冪漸化式で計算される。
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参考のため Bohren/Huffman1983”bsorption and Scattering of Light by Small Particles” に載っているFortranプログラムを簡略化したサブルーチンを示す。これは、xとm(=ref)を入力すると、Qext,Qsca,Qabsを返すようになっているプログラムである。 subroutine qmie(x,ref,qext,qsca,qabs) c complex ref,y,d(3000),xi,xi0,xi1,an,bn double precision psi0,psi1,psi,dn,dx dx=x y=x*ref xstop=x+4*x** nstop=xstop ymod=cabs(y) nmx=amax1(xstop,ymod)+15 c logarithmic derivative d(j) calculated by downward c recurrence beginning with initial value 0+i*0 at c j=nmx d(nmx)=cmplx(0.0,0.0) nn=nmx-1 do 100 n=1, nn rn=nmx-n+1 100 d(nmx-n)=(rn/y)-(1./(d(nmx-n+1)+rn/y)) c riccati-bessel functtions with real argument x c caluculate by upward recurrence psi0=dcos(dx) psi1=dsin(dx) chi0=-sin(x) chi1=cos(x) apsi0=psi0 apsi1=psi1 xi0=cmplx(apsi0,-chi0) xi1=cmplx(apsi1,-chi1) qsca=0.0 qext=0.0 n=1
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ミー計算のグラフを見ると、x0でQ0、x∞でQext2という特徴に気づく。 また、Qscaに周期的なピークがあることも興味深い。
200 dn=n rn=n psi=(2.*dn-1.)*psi1/dx-psi0 apsi=psi chi=(2.*rn-1)*chi1/x-chi0 xi=cmplx(apsi,-chi) an=(d(n)/ref+rn/x)*apsi-apsi1 an=an/((d(n)/ref+rn/x)*xi-xi1) bn=(ref*d(n)+rn/x)*apsi-apsi1 bn=bn/((ref*d(n)+rn/x)*xi-xi1) qsca=qsca+(2.*rn+1.)*(cabs(an)*cabs(an) + cabs(bn)*cabs(bn)) qext=qext+(2.*rn+1.)*(real(an)+real(bn)) psi0=psi1 psi1=psi apsi1=psi1 chi0=chi1 chi1=chi xi1=cmplx(apsi1,-chi1) n=n+1 rn=n if (n-1-nstop) 200,300,300 300 continue qsca=(2./(x*x))*qsca qext=(2./(x*x))*qext qabs=qext-qsca return end ミー計算のグラフを見ると、x0でQ0、x∞でQext2という特徴に気づく。 また、Qscaに周期的なピークがあることも興味深い。
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誘電率の虚数部=0で、実数部=1.25,1.5,2と変えたときの図を示す。粒子は吸収を起こさないので、Qext=Qsca、Qabs=0である。
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